CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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M&A / スキーム
- 公開日2025.01.09
- 更新日2025.01.10
会社譲渡のメリット・デメリット|譲渡の流れや成功のポイントも解説
事業を大きくしたり、後継者に事業を引き継いだりするために、会社譲渡は多くの企業に用いられています。会社譲渡をはじめて実施する企業は、不明な点が多いはずです。
本記事では、会社譲渡とは何か、そしてメリット・デメリットについて解説します。さらに会社譲渡を成功させるためのポイントも併せてお伝えします。
目次
会社譲渡とは?
会社譲渡とは、会社の事業に関する資産、負債、契約関係等を他の会社に譲渡する取引を指します。(事業譲渡とも言います)
中小企業が行う会社は企業が自社の株式を譲渡するケースが多く、この株式による譲渡を「株式譲渡」と言います。
経営者が高齢化して後継者不足に悩んでいる企業が、若い世代の企業に引き継ぎたい場合にも会社譲渡はおすすめです。
会社譲渡の手法
会社譲渡の手法には、株式譲渡と事業譲渡があります。
ここでは、株式譲渡と事業譲渡の内容について解説します。
株式譲渡
株式譲渡は、会社の株式を他の企業や個人に売却する手法です。
株式譲渡では株式を全て買い手企業に譲渡することで経営権を渡すことができます。買い手企業は、売却した資産や負債を受け取ることになります。
株式譲渡は以下の記事で詳しく解説しているので併せてご覧ください。
【関連記事】株式譲渡のメリットとデメリットを詳しく解説!注意点や税務面も紹介
事業譲渡
事業譲渡は、会社の特定の事業や資産を分割して売却する手法です。
事業譲渡は会社全体ではなく特定の事業単位で売却することができます。負債のある事業のみを買い手企業に譲ることも可能です。
事業譲渡は以下の記事で詳しく解説しているので併せてご覧ください。
【関連記事】事業譲渡とは?メリット・デメリット・手続きを徹底解説
会社譲渡のメリット
会社の譲渡には多くのメリットがあります。ここでは、会社譲渡のメリットについて解説します。
売却に伴う利益の獲得
株式や事業の売却により利益の獲得が可能です。
経営者が会社の売却に成功し、多額の利益を得ることができれば、経営から退いた後に経済的自由を手にすることもできるでしょう。
売却に伴う利益については手法により内容が異なります。利益の詳細が気になる方は以下の記事も併せてご覧ください。
【関連記事】法人売却とは?会社を譲渡する時のメリットや手続きについて解説
後継者問題の解決
中小企業の多くは、後継者不足について課題を抱えています。
この課題を解消する手段として、会社譲渡が選択されることが多いです。会社譲渡によって、会社の存続が確保されます。
後継者問題に関する内容は以下の記事でも解説しています。併せてご覧ください。
【関連記事】後継者不足に悩む中小企業のための具体的解決策4選
会社譲渡のデメリット
会社譲渡は多くのメリットをもたらす一方で、デメリットも伴います。ここでは会社譲渡のデメリットをいくつか紹介します。
取引先との契約への影響
会社譲渡は取引先(顧客や提携先)との関係に影響を与えることがあります。
既存の取引先は買い手企業の新しい経営陣の意向や企業の信頼性について不安を抱く可能性があり、契約見直しや取引停止が起こることも考えられます。
取引先との信頼関係を維持するためには、会社譲渡に関する情報を適切に共有し、新しい経営陣の意向を明確に示すことが大切です。
税金や仲介手数料の発生
譲渡の内容によっては税金が発生することがあります。大きな額で売却したつもりが、税金が高すぎて、売却による利益があまり出なかったという事態も考えられます。
またM&A仲介会社などのアドバイザーに支援や助言をもらう場合、仲介手数料がかかります。
考えられる出費をあらかじめ予想し、出費に備えた譲渡計画をしましょう。
会社譲渡の手続き・流れ
会社の譲渡の手続きを円滑に進めるために、M&Aの流れを理解しておくことは大切です。
M&Aは以下の流れで進んでいきます。
◆準備フェーズ
- 初回面談
- 秘密保持契約(NDA)の締結
- 財務資料の共有
- 簡易企業価値評価
- アドバイザリー契約の締結
◆マッチングフェーズ
- 必要資料の共有
- 詳細な企業価値評価
- ロングリストの作成
- ノンネームシートの作成
- IMの作成
- 買い手候補の確認および選択
- 買い手にアプローチ(ノンネームシート送付)
- IM開示を売り手に確認
- 買い手と秘密保持契約(NDA)の締結
- 買い手にIM開示し、面談
- 買い手とアドバイザリー契約
◆交渉フェーズ
- トップ面談
- 買い手から意向表明の受領
- 基本合意書の締結
◆実行フェーズ
- デューデリジェンスの実施
- 最終契約書の締結
- クロージングパッケージへの調印
- クロージング
M&A仲介会社から支援をもらいながら会社譲渡を行った場合は、上記の流れで進んでいきます。大きく4つのフェーズに分けることができ、どの工程も大切です。
会社譲渡の流れは以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
【関連記事】M&Aの基本的な流れとは?検討からクロージングまでの手続きについて解説
会社の譲渡に必要な書類|株式譲渡の場合
会社の譲渡に必要な書類は以下の通りです。
◆基本的な必要書類
- 株式譲渡契約書
- 取締役会議事録(株式譲渡の承認)
- 株主総会議事録(重要な財産の譲渡の場合)
- 印鑑証明書(譲渡人・譲受人双方)
- 株主名簿
- 定款
◆会社の状況確認のための書類
- 決算書(直近3期分程度)
- 企業の資産負債一覧
- 従業員名簿
- 重要な取引先との契約書
- 不動産の登記簿謄本(所有物件がある場合)
◆法的手続きに関する書類
- 事業譲渡承認書
- 各種許認可の確認書類
- 債権者への通知書
- 従業員への説明資料
手法によって必要な書類が異なります。
今回は「株式譲渡」を例にご紹介しました。
また、M&A仲介会社に支援してもらう場合、上記の資料以外に、アドバイザリー契約書や秘密保持契約書、基本合意書も必要となります。
必要書類についてはM&Aに詳しい専門家に相談しましょう。
会社の譲渡を成功させるための5つのポイント
ここでは、M&Aまたは会社の譲渡を成功するためのポイントをお伝えします。ポイントは以下の5つです。
- 事前準備に入念にする
- 事業の価値向上に繋がるような行動を実施する
- 情報漏洩防止に努める
- M&Aに詳しい専門家に支援にもらう
- 譲渡にかかる税金を把握する
5つのポイントを押さえて、M&Aを成功に導きましょう。
事前準備に入念する
しっかりとした事前準備を行うことで、M&Aに必要な各プロセスが円滑に進み、予期せぬトラブルの回避にも繋がります。
また、M&Aを行う際は、事前準備の時点でM&Aに詳しい専門家に助言をもらいましょう。
事業の価値向上に繋がるような行動を実施する
M&Aを有利に進めるために、事業(企業)の価値向上を図ることが大切です。
事業価値が高まれば、譲渡価格が上がり、買い手企業に魅力的な提案が可能になります。
事業価値を短期間で上げることは難しいので、譲渡を思い立った時点で事業の価値を上げることに日々尽力しましょう。
情報漏洩防止に努める
情報漏洩が発生すると会社の信用が低下し、取引自体がなくなるだけでなく、今後の経営にも悪影響を与える可能性が高いです。
この情報漏洩を防ぐためにも、秘密保持契約の締結や情報管理システムの導入を行いましょう。
M&Aに詳しい専門家に支援をもらう
M&A仲介会社をはじめとしたM&Aに詳しい専門家は、豊富な経験と専門知識を持っており、スムーズな譲渡を実現するためのアドバイスを提供してくれます。
M&A仲介会社のほか、ファイナンシャルアドバイザー(FA)、M&Aに詳しい弁護士や税理士を頼るのも良いでしょう。
譲渡にかかる税金を把握する
会社譲渡を実施する際は適切な税務対策を行いましょう。譲渡をした後に予期せぬ税負担が発生する可能性があります。
状況や立ち位置で税金のかかり方が大きく変わります。税務面についてはM&Aに詳しい専門家か税理士に必ず相談しましょう。
会社売却の相場価格と、譲渡価額の算出方法
ここでは、会社売却の相場価格と、譲渡価額の算出方法について解説します。
特に売却による利益を最大にしたい方は算出方法についてしっかり理解しましょう
会社売却の相場価格
会社売却の相場価格は、年買法(年倍法)という計算式を使用することで、目安を算出できます。
会社売却の相場=純資産(時価)+営業利益1~5年分
代表的な計算式ではありますが、あくまで目安です。他にも計算式はあります。
会社の売却やM&Aに詳しい専門家に相談しながら、適切な計算式を選択し、算出することが事業の売却成功のポイントとなるでしょう。
譲渡価格の算出方法
譲渡価格を算出する方法は以下の3つです。
- コストアプローチ
- マーケットアプローチ
- インカムアプローチ
ここでは、譲渡価格を算出するための方法を3つ紹介します。
コストアプローチ
コストアプローチは、純資産額を株式価値として採用する方法を指します。
貸借対照表(バランスシート)を用いて、資産から負債を引いた値(純資産額)が株式価値であるという考え方です。
先ほど会社売却の相場価格の算出に利用した「年買(倍)法」もこのコストアプローチに該当します。計算式は他にも「簿価純資産法」「時価純資産法」があります。
マーケットアプローチ
マーケットアプローチは、類似企業の市場評価を参考に企業価値を算出する方法です。
PER※、PBR※、EBITDA倍率※などの複数の指標を用い、業界特性や企業規模の違いを適切に調整して評価を行います。上場企業との比較では、流動性や規模の違いによる調整が必要不可欠です。
例えば、売却したい事業が食品会社であった場合、類似した上場中の食品会社を参考にします。ただし、上場企業と中小企業では大きな差がある場合もあるので、この点は留意する必要があります。
※PER(株価収益率)…株価が1株当たり純利益の何倍になっているかを表す指標
※PBR(株価純資産倍率)…企業の資産内容や財政状態をもとに、株価の水準を測る指標。株価1株当たりを純資産で割った値
※EBITDA倍率…企業価値をEBITDAで割った指標で、企業の収益力や投資価値を評価する際の基準として使用されます。
インカムアプローチ
マーケットアプローチは、現在の価値から将来の価値(収益)を予測し、株式価値を計算する方法です。
この算出方法では割引率を使用しますが、この割引率は考えられるリスクから導き出します。
マーケットアプローチでは「DCF法」を計算式に用いることが多いです。計算式は他にも「配当還元法」「収益還元法」があります。
まとめ|M&Aの成功のポイントを押さえて、理想の譲渡を実現しよう
会社の譲渡を成功させるために以下の5つは必ず押さえて、実行しましょう。
- 事前準備に入念にする
- 事業の価値向上に繋がるような行動を実施する
- 情報漏洩防止に努める
- 会社譲渡に詳しい専門家に支援をもらう
- 会社譲渡にかかる税金を把握する
5つのポイントを押さえることで、トラブル回避をしながら、円滑に譲渡を進めることが出できます。
また、譲渡またはM&Aをより円滑に進めるためにも会社譲渡に詳しい専門家に助言をもらうことを推奨します。
弊社はM&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。
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この記事の監修者
CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
CINC Capital取締役執行役員社長。リクルート関連会社や外資系製薬会社、大手・ベンチャー独立系M&A仲介会社で営業組織を牽引。 特にM&A実績の多い業界は調剤・IT・運送業。