CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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後継者問題・跡取り問題
- 公開日2024.10.30
- 更新日2024.11.05
後継者不足に悩む中小企業のための具体的な解決策4選
少子高齢化が進む日本において、多くの中小企業が後継者不足に悩まされています。後継者不足は事業の継続にも影響を与え、中には廃業を余儀なくされる企業もあります。
本記事では、後継者不足に悩む中小企業が取るべき具体的な解決策を4つ紹介します。また、相談先や後継者不足がもたらす影響についても併せてお伝えします。
目次
後継者不足の現状と背景
日本経済の基盤を支えている中小企業では、「後継者不足」が深刻な問題となっています。ここでは、後継者不足の現状とその背景について詳しく見ていきます。
中小企業の後継者不在率
日本の中小企業において、後継者がいない企業は約半数に上ります。中小企業の経営者の高齢化が進んでおり、新たな後継者を見つけることが困難になっているためです。
※日本帝国データバンクより引用
帝国データバンクの『全国「後継者不在率」動向調査(2023年) 「後継者不在率」推移』によると、後継者不在率は53.9%と過去最低の数字となっており、状況は改善傾向にあります。
しかし、依然5割に近い中小企業が後継者不足の課題を抱えており、深刻な状況が続いていることは変わりありません。
なお、後継者不在率が減少傾向にある理由として、親族内承継はなく、非親族の「内部昇格」や地域の金融機関などからの支援を受けられるようになったことが挙げられます。
後継者不足の原因
後継者不足の主な原因は、「少子高齢化」「事業への不安や魅力の低下」です。少子高齢化により、引き継ぎ先の最有力候補である若年層が減少しています。
厚生労働省 より引用
厚生労働省が発表する「我が国の人口について」によると、高齢化率は2020年で28.6%であったものが、2070年には38.7%になると予想。また、14歳以下人口は、2020年に1,503万人であったものが、2070年には797万になると予想されております。
データを見ても、これから日本は若年層が減り、高齢者が増えていくことがわかります。若年層の減少は間違いなく、後継者不足に影響を与えます。
また、事業が衰退傾向にあると、その不安から事業への魅力が下がり、転職を考える人が増える傾向にあります。
近年、働き方改革(2019年~)や業務のオンライン化・リモートワーク導入で、働き方が多様化しています。働き方の多様化によって転職がしやすい状況となり、企業の定着率が低下している点も、後継者不足に影響していると考えられます。
後継者育成の重要性
中小企業の持続的な成長と発展のためには、後継者育成が不可欠です。
既存のノウハウや知識を次の世代に引き継ぐことで、企業の一貫性と競争力の維持が可能になります。
継続的な経営の安定と、企業のビジョンを実現するためには、計画的な後継者育成が必要です。
後継者不足がもたらす影響・デメリット
ここでは、後継者不足がもたらす影響やデメリットについて解説します。起こりえる影響を予測し、今後の事業戦略に活かしましょう。
事業継続のリスク
後継者不足は、企業の事業継続に大きなリスクをもたらします。
後継者が見つからない場合、企業の経営が滞り、事業を継続することができなくなります。このような事態を予測し、早期の対策を考えていくことが大切です。
従業員への影響
後継者不足は、従業員の士気や雇用の安定にも悪影響を及ぼします。企業の将来が不透明な場合、従業員の不安が高まり、生産性や職務に対する満足度の低下を招く恐れがあります。
会社の未来が見えないことで従業員が転職を考え始め、人材流出が加速する可能性もあります。後継者不足は経営者や事業継続だけの問題ではないことを意識しておきましょう。
地域経済への影響
中小企業が地域経済の一部を支えている場合、その中小企業が廃業すると地域経済も停滞してしまいます。
例えば、多くの雇用を生み出している企業が廃業したとします。廃業後、その地域の失業率が急増し、地域全体の経済活動が低迷してしまう恐れがあります。
たくさんの雇用を生み出しているという企業は、地域社会と協力して解決策を見出す必要があります。
後継者問題の解決策・方法
後継者不足の問題に直面している中小企業は早急に解決策の実行が求められます。
事業承継の方法は以下の4つに分類することができます。
- 親族内承継
- M&Aによる事業承継
- 社内の従業員への承継
- 外部からの後継者確保(外部CEO)
ここでは事業承継の4つの方法について解説します。
親族内承継
親族内承継では、承継する親族が親子としての長い関係があることで、文化や事業理念の理解が深くなりやすい傾向にあります。企業の伝統や価値観を継続しやすく、従業員の安心感も大きいです。
また、親族内承継の最大のメリットは、経営者が事業承継を考え始めた時点で、引き継ぎのための教育を始めることができる点です。
余裕を持った教育が可能で、いざ承継が必要になった時にスムーズに対応することができます。
M&Aによる事業承継
M&Aによる事業承継は、迅速な解決策として有効です。事業の継続と合わせ、他社との統合により経営資源の拡大が可能になります。
M&Aの詳細は以下の記事で解説しています。M&Aによる事業承継を検討している方は併せてご覧ください。
≫M&Aとは?目的やメリット・デメリット、手法をわかりやすく紹介
※M&Aとは、 Merger and Acquisitionの略称で、企業の合併や買収のことを指します。
社内の従業員への承継
社内の従業員への承継は、事業や文化を理解している者に引き継ぐため、スムーズな移行が期待できます。
現在の業務プロセスや企業文化を熟知している従業員が後を継ぐことで、業務の混乱を最小限に抑えられます。長年勤務している従業員が経営を引き継ぎ、社内の信頼関係を維持したまま事業を継続するということも期待できるでしょう。
外部からの後継者確保(外部CEO)
外部からの後継者確保は、新しい視点と経験を組織にもたらします。
外部の経営者は同業界の知識や独自のノウハウを持っており、新たな成長機会を提供できます。
外部から招聘(しょうへい)したCEOが革新的なマーケティング戦略を導入するなど、経営方針に変革を起こし、飛躍的に事業を拡大させることも期待できます。
後継者不足を解決するための相談先
後継者不足の課題に関して、どこに相談すればよいのか悩む経営者は多いです。ここでは後継者不足の解決に繋がる相談先をいくつか紹介します。
公的支援機関
公的支援機関は、無料または低コストで後継者問題に関する情報提供やアドバイスを行っているため、中小企業にとっては手軽に利用できるメリットがあります。
事業承継・引継ぎ支援センターでは、事業承継を考えている中小企業に向けて、イベントや相談窓口を設けています。
事業承継のきっかけが欲しい方は、事業承継・引継ぎ支援センターの公式サイトを一度チェックしましょう。
M&A関連の専門家
後継者不足を解消するためには、M&A関連の専門家に相談することが有効です。
M&Aの専門家は、事業譲渡や企業買収に関する深い知識と経験があり、適切な買い手や後継者を見つけるサポートをしてくれます。
例えば、M&A仲介会社や弁護士は、企業の評価から契約締結まで一貫してサポートしてくれます。専門家の助けを借りることで、後継者不足の解決がスムーズかつ確実に進められます。
事業承継のコンサルタント
事業承継の専門コンサルタントに相談することも、後継者不足を解決する有効な手段です。
後継者の育成計画の策定や具体的な承継プロセスのサポートを専門的に行っているため、企業のニーズに合った適切な解決策を見つける手助けをしてくれます。
事業承継のコンサルタントの力を借りれば、後継者不足の問題がより具体的かつ効果的に解決できる可能性が高まるでしょう。
まとめ丨後継者不足に事前に備えることが重要
後継者不足に悩んでいる中小企業はとても多いです。「後継者が見つからなくて困っている」という企業は、今すぐ対策を考えることをおすすめします。自社の将来を見据え、後継者育成や適切な承継方法を検討し、積極的に専門家から助言を求めましょう。
この記事の監修者
CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
CINC Capital取締役執行役員社長。リクルート関連会社や外資系製薬会社、大手・ベンチャー独立系M&A仲介会社で営業組織を牽引。 特にM&A実績の多い業界は調剤・IT・運送業。