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吸収分割とは?メリットとデメリット、手続きの流れやポイント

M&A / スキーム

  • 公開日2025.01.29
  • 更新日2025.01.31

吸収分割とは?メリットとデメリット、手続きの流れやポイント

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吸収分割は、会社の事業や権利義務の一部、またはすべてを分割し、ほかの会社に承継させる会社分割の手法の一つです。

主に、企業の再編や事業の効率化を目的に活用されています。吸収分割は企業間の経営資源を最適化し、新たな成長の機会を生む可能性があります。その一方で、適切に進めなければリスクやトラブルにつながることもあるため注意が必要です。

この記事では、吸収分割の基本的な仕組みや、具体的なメリットとデメリット、成功させるためのポイントなどについてご紹介します。

吸収分割の概要

吸収分割は、企業再編や効率化を目指す手段の一つとして活用されます。この手法では、会社が事業や権利義務の一部をほかの会社に承継させることが可能です。まずは、吸収分割の基本的な仕組みや種類についてご紹介します。

吸収分割とは

吸収分割とは、会社がその事業の一部または全部をほかの会社に引き継がせる法律上の手続きの一つです。事業を分割する分割会社は特定の事業や権利義務を移譲し、事業承継会社はそれを受け継ぎます。

ほかにもM&Aスキーム(手法)の一つとして新設分割がありますが、こちらは新設会社に承継する点に違いがあります。吸収分割は、経営資源を集中させるために非中核事業を切り離したり、企業間の協力体制を強化したりと、さまざまな目的で活用される手法です。

吸収分割の種類

吸収分割には大きく分けて分社型吸収分割と分割型吸収分割の二つの形式があります。それぞれの特徴と活用される場面について説明します。

分社型吸収分割

分社型吸収分割とは、特定の事業部門をほかの会社に移転し、その対価として分割会社が現金や株式などを直接受け取る手法です。事業を子会社化したり、他社に完全に移管したりする際に採用されます。

主に事業の戦略的な再配置や経営資源の効率的な活用を目的としており、旧商法では「物的吸収分割」とも呼ばれます。分割会社は、移転した事業の対価を受け取ることで、新たな資本の確保が可能です。この資本を活用してほかの事業に再投資したり、経営体制を強化したりすることもできます。

分割型吸収分割

分割型吸収分割では、事業を移転した対価を受け取るのは会社ではなく株主です。分割会社の株主が移転先の承継会社の株主になるケースも多く、株主に直接利益が還元されるのが特徴です。

旧商法では人的分割とも呼ばれており、2006年5月施行の新会社法において、分割型吸収分割は廃止されました。現在は「物的分割 + 配当」として区分されています。

吸収分割のメリットやデメリット

吸収分割は非常に有用な手段ですが、メリットだけでなく注意すべきデメリットも存在します。ここでは、吸収分割の具体的な利点と課題についてご紹介します。

吸収分割のメリット

必要な資金を抑えられる

吸収分割では、現金による支払いだけでなく、株式による対価の支払いが可能です。現金が不足している場合でも、事業を買収することができます。

比較的簡便な手続きで実施できる

吸収分割は包括承継であり、事業譲渡に比べて個別の契約移転の手間が省ける側面があります。会社法上の手続きは必要ですが、迅速に事業再編を進めたい場合に適しています。

シナジー効果を期待できる

吸収分割を活用することで、承継先企業の協力によりシナジー効果を期待できます。技術や人材、顧客基盤の共有により、新たな市場や製品の展開の可能性が広がるでしょう。

吸収分割のデメリット

債務の引き継ぎリスクがある

吸収分割では、事業だけでなく関連する債務も承継されるため、事前のリスク分析が欠かせません。特に大きな負債を伴う場合は慎重な対応が求められます。

買い手企業の株主が変化する可能性がある

吸収分割の結果として、買い手となった企業の株主構成が変わることがあります。この場合、新たな株主間での合意形成や調整が必要となるケースがあります。

吸収分割の流れ

吸収分割を実施するためには、法律で定められた複数の手続きを済ませなければいけません。ここでは、吸収分割の具体的な流れを、順を追って説明します。

承継会社との吸収分割契約の締結

吸収分割の最初のステップは、分割元企業と承継先企業の間で吸収分割契約を締結することです。契約書には、移転対象となる事業内容や分割のスケジュール、対価の支払い条件などが詳細に記載されます。契約内容が双方の合意に基づくものであり、法的に問題がない旨を確認することが重要です。

労働者保護手続き

吸収分割の対象事業に従事する労働者の権利を保護するため、適切な対応が求められます。労働契約について確認を行い、労働者が不利益を被らないよう注意しましょう。また、必要に応じて労働組合や従業員との協議を行い、理解を得る努力も欠かせません。

事前開示書類の備置

分割計画を実施する際には、分割に関する重要な情報を事前開示書類としてまとめ、関係者が閲覧できるように備置します。株主や債権者からの信頼を得るため、透明性を確保することを心がけましょう。

株主総会での承認

吸収分割は特別決議事項となります。通常、吸収分割を実施するには、分割会社の株主総会で、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。株主総会では、吸収分割契約の内容や分承継する権利義務に関する事項、株式の割当に関する事項などを決議しなければなりません。

また、承継会社側では、原則として株主総会決議は不要ですが、承継する資産等の規模が大きい場合には株主総会決議が必要となることがあります。

債権者保護手続き

吸収分割により影響を受ける可能性のある債権者を保護するための手続きも不可欠です。債権者に対して個別に催告または官報公告を行うとともに、異議申述期間(1ヶ月以上)を設定する必要があります。

異議が提出された場合には、債権者保護のための「弁済」「相当の担保の提供」「信託会社等への相当の財産の信託」などの対応を求められることがあります。

会社分割の登記申請

吸収分割が正式に実施されるためには、吸収分割の効力発行日から2週間以内に法務局での会社分割の登記申請が必要です。提出書類が多いため、司法書士などの専門家に確認を依頼することがおすすめです。

事後開示書類の備置

吸収分割が完了した後は、分割に関する最終的な情報を事後開示書類として備置しましょう。株主や債権者が必要な情報を確認できるようになります。

吸収分割のポイント

吸収分割を成功させるためには、いくつかの重要なポイントを事前に理解し、適切に対応することが求められます。以下では、特に注意すべき費用や法的要件、税務面について解説します。

吸収分割にかかる費用を把握する

吸収分割には、さまざまな費用が発生します。具体的には、契約書の作成費用や法務局への登記申請費用などが含まれます。債権者保護手続きで各別に催告を行う場合は、公証人が作成する催告書が必要になるケースがあり、その費用も発生します。

弁護士や税理士など、専門家への相談費用も忘れずに見込んでおきましょう。

簡易分割でも株主総会が必要な場合がある

簡易分割では、分割会社において承継する資産の帳簿価額が総資産の20%以下であれば、原則として株主総会決議は不要です。ただし、総株主の議決権の6分の1以上を有する株主から株主総会の請求がある場合は、株主総会を開催する必要があります。

簡易分割を選択する場合でも、株主への事前説明や合意形成を十分に行うことが大切です。

税務を把握する

吸収分割を行う際には、税務上の影響も無視できません。例えば、分割によって承継される資産の評価や、譲渡損益の計算が税務上の課題となります。

また、分割元企業と承継先企業の双方で発生する、税務処理についても考慮することが必要です。顧問税理士に相談し、リスクを最小限に抑えましょう。

まとめ

吸収分割は、事業の再編や経営資源の最適化を実現するための有効な手法です。成功させるためには、株主総会の要否などを事前に確認し、適切な対策を講じることが重要です。

特に、内容の透明性を確保し、リスクを最小限に抑えるためには、専門家のアドバイスを積極的に活用することが望まれます。目的を明確にし、計画的に手続きを進めることで、事業の新たな可能性を引き出せるでしょう。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長。リクルート関連会社や外資系製薬会社、大手・ベンチャー独立系M&A仲介会社で営業組織を牽引。 特にM&A実績の多い業界は調剤・IT・運送業。

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