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会社分割とは?吸収分割や新設分割との違い、手続きについても解説

M&A / スキーム

  • 公開日2024.12.05
  • 更新日2025.01.06

会社分割とは?吸収分割や新設分割との違い、手続きについても解説

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事業や会社を譲渡する手段として、会社分割が注目されています。

会社分割には「吸収分割」と「新設分割」の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。しかし、初めて会社の譲渡を検討する経営者の中には、吸収分割と新設分割の内容や違いについて曖昧な方もいるかもしれません。

この記事では会社分割の内容、そして吸収分割と新設分割の違い、さらに手続きの詳細についても触れていきます。

会社分割とは?吸収分割と新設分割との違い

まずは、会社分割とは何か、また吸収分割と新設分割の違いについて解説します。

M&A手法の1つ、会社分割とは?

会社分割は、会社が持つ事業の一部、または全ての事業を他の企業に承継する手法のことを指します。

会社の一部を切り離して、別の会社に承継するM&Aの手法で、新たな経営体制の確立や事業の再編成を目的として実施されることが多いです。

会社分割の種類

会社分割には大きく分けて「吸収分割」と「新設分割」の2種類があります。それぞれの手法の特徴を見ていきましょう。

吸収分割

吸収分割は、既存の会社の事業の一部または全部を他の会社に引き継ぐ組織編成を指します。吸収分割を実施する時は「吸収分割契約」の締結が必要です。

吸収分割では対価として株式、その他の財産の受領が可能です。引き継ぎ先は親会社・子会社だけでなく、資本関係のない他社も選択肢になり得ます。

新設分割

新設分割は、新しい法人を設立して、そこに事業を承継させる組織編成を指します。新設分割を実施する時は「新設分割計画」の作成が必要です。

分割と同時に新会社が設立され、新設会社が発行する株式が対価となります。

会社分割のメリット

ここでは、会社分割のメリットについて解説していきます。

契約を簡便に承継可能

事業譲渡などのM&Aの手法の場合、取引先との契約や各種許認可を改めて行う必要がありますが、会社分割では基本的に契約がそのまま継続されます。

※契約を結び直したり、許認可を行ったりする必要がないため、比較的簡便に承継が可能です。

また、買い手企業に移動予定の労働者から個別に同意を得る必要がないため、交渉にかかる手間や時間を省くこともできます。

※ホテル・旅館の営業や貸金業は許認可の再取得が必要です。

部分譲渡が可能

会社分割では、特定の部門や事業だけを譲渡したり、新しく会社を作って独立させたりすることが可能です。

不採算事業や新規事業の切り離しなどを実施することで、組織再編ができます。

また、移転する事業や資産などは選ぶことができるので、既存の会社に必要な事業を残して経営をスリム化させつつ、経営資源を集中させて成長速度を速める戦略も取れます。

会社分割のデメリット

会社分割にはメリットもありますが、デメリットも存在します。

ここでは会社分割のデメリットについて解説します。デメリットをしっかり理解して、適切に対応していきましょう。

財務・税務の手続きの煩雑化

会社分割における財務・税務手続きは、非常に複雑になる可能性があります。

事業の移転に伴う会社分割が適格なのか、非適格なのかで手続きの難易度・課税額が大きく変わります。

財務・税務の手続きの煩雑化に対応するため、会社分割に詳しい専門家に助言をもらいながら、計画的に進めることが大切です。

株主総会の特別決議が必要

会社分割では株主総会の特別決議が必要です。

特別決議を行った際に、株主の3分の2以上の賛成があると、会社分割の実施が可能ですが、賛成が3分の2に満たない場合は会社分割の実施ができません。

また、反対する株主が多い場合はその対応に追われる手間も発生します。

経営統合が難航する可能性

会社分割が行われた後は、組織文化や経営方針の違い、新しい組織体制に適応するための時間が必要です。従業員が新しい環境に適応するのに時間がかかることもあるでしょう。

また、会社分割を実施すると、株主構成・株式所有率も変わります。この変化に既存の株主が反発するかもしれません。

会社分割を実施する前から、考えられる反発や障害を予測し、計画的に組織の統合戦略を立て、従業員の適応を支援することが大切です。

会社分割の手続きの流れ

ここでは、会社分割の各ステップについて詳しく解説します。

会社分割の手続きは以下の8つのステップに分類することができます。

  • 事前検討
  • 新設分割計画書・吸収分割契約書の作成
  • 事前開示書類の備置
  • 取締役会による承認
  • 債権者保護手続き
  • 登記申請
  • 事後開示書類の備置
  • 従業員への対応

各ステップを理解し、今後の会社分割の手続きに活かしましょう。

事前検討

会社や事業の方向性を確認し、適切な手法を選んでいきます。
手法を選ぶ時に会社の経営状況や資産、負債などを整理して、会社分割が円滑に進むように万全の準備をしていきましょう。

また、このタイミングで会社分割に詳しい専門家に相談することを推奨します。

新設分割計画書・吸収分割契約書の作成

会社分割を実施する時は、新設分割計画書や吸収分割契約書の作成が必要です。それぞれの書類は国税庁が以下のように定義しています。

新設分割計画書とは、新設分割をする株式会社又は合同会社が作成する新設分割計画(会社法第762条)を証する文書をいいます。

【引用】国税庁「吸収分割契約書・新設分割計画書の範囲」

吸収分割契約書とは、吸収分割をする株式会社又は合同会社と権利義務を承継する会社との間で締結する吸収分割契約(会社法第757条)を証する文書をいいます。

【引用】国税庁「吸収分割契約書・新設分割計画書の範囲」

会社分割を遂行するにあたり、いずれも必要な書類です。原則として、取締役会の決議によって、承認を得なければなりません。

事前開示書類の備置

吸収分割契約書などの法定開示事項を記載した事前開示書類を備置する必要があります。

契約書の内容や法務省で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を備え置かなければなりません。この内容は会社法782条、794条に記されており、必要な手続きです。

取締役会による承認

新設分割計画書・吸収分割契約書をもとに取締役会(株主総会)で会社分割について議論します。

議論の上、会社分割の承認が必要です。効力発生の前日までに取締役会の承認を得ましょう。

債権者保護手続き

会社分割によって債権者が不利益を被らないように、適切な措置を講じることが法的に義務づけられています。

会社法では分割会社および承継会社は、効力発生日の1か月前までに、一定の債権者に対して会社分割に異議を申し出ることができる旨を官報に公告・催告しないといけないと定めています。

個別催告や異議の申し立てがあった場合、弁済※を求める機会が設けられております。

※弁済…債務者が債務の本来の目的に従って給付を行います。行うことで債権が消滅します。

登記申請

効力発生日から2週間以内に登記申請が必要です。登記を行うことで、会社分割が法的効力を持つようになります。

登記申請の内容は、「吸収分割」と「新設分割」で内容が異なります。

新設分割の場合

分割元の会社と新設会社、それぞれの内容を紹介します。

■分割元の会社

  • 代表取締役の印鑑登録証明書
  • 資本金減少を証明する書類(必要に応じて)

■新設会社

  • 新設分割計画書
  • 新設会社の定款
  • 役員就任の承諾書
  • 役員の印鑑登録証明書
  • 本人確認書類
  • 代表取締役の選定書(必要に応じて)
  • 株主総会の議事録
  • 債権者保護手続きの書類
  • 会社法の規定にのっとって資本金の額が計上されたことを証する書面

吸収分割の場合

吸収分割の登記申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 会社分割契約書
  • 承継会社の株主総会議事録
  • 分割会社の株主総会議事録
  • 官報公告のコピー
  • 株主リスト
  • 会社分割に異議を述べた債権者がいない旨の上申書

※状況によって、「分割会社の登記事項証明書」「分割会社の印鑑証明書」「承継会社の資本金が会社法の規定に従って計上されていることを証する書類」が必要なケースがあります。

事後開示書類の備置

法定事項を記載した事後開示書類を作成し、備置が必要です。

契約書の内容や法務省で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を備え置かなければなりません。
この内容は会社法791条、801条に記されており、必要な手続きです。効力発生日から6か月間が備置期間となります。

従業員への対応

従業員に会社分割の詳細を説明し、不安を解消することで、モチベーションの維持が図れます。

会社分割説明会などを開催し、従業員からの質問に対して丁寧に応答する時間を設けましょう。従業員への適切な対応により、分割後の組織の一体感を保つことができます。

適格分割と非適格分割の課税

ここでは適格分割と非適格分割それぞれの税金について解説します。

適格分割

適格分割に該当する場合、資産・負債の移転に係る譲渡損益の課税が繰り延べられます。

適格分割を満たすための要件は以下の通りです。分割の形態により要件が異なります。

①完全支配関係がある法人間の分割|100%グループ内での分割

  • 資産・負債の適正な引継ぎ
  • 従業員の80%以上の承継
  • 主要な事業の継続

②支配関係がある法人間の分割(50%超100%未満)

  • 分割事業の継続
  • 株式継続保有
  • 従業員の80%以上の承継
  • 事業関連性

③共同事業を営むための分割

  • 事業関連性
  • 事業規模の相当性
  • 特定役員の継続
  • 従業員の80%以上の承継
  • 株式継続保有

①~③のいずれかに該当し、各要件を満たした場合は原則として課税が繰り延べられます。その他の税金(登録免許税、不動産取得税等)は発生する可能性があるので注意が必要です。

適格に該当するかどうかの判断は非常に複雑なため、会社分割に詳しい専門家にご相談ください。

非適格分割

非適格分割は、適格分割の要件を満たさない会社分割です。
もし、非適格分割に該当した場合は、資産は時価で引き継ぎが必要になります。

時価と簿価の差額に法人税が課税されます。そして、分割会社の株主にはみなし配当の課税義務が生じます。

みなし配当とは、法人税法23条に規定する剰余金の配当または分配等には該当しないものの、実質的に剰余金の配当と変わらないため、これを法人税法上配当とみなして、受取配当等の益金不算入の規定の適用を受けることができるとされた一定の金額

【引用】PwC Japanグループ「みなし配当」

まとめ|会社分割の課税は複雑。会社分割に詳しい専門家に相談することが重要

M&Aを検討する際は、事業の方向性を明確にし、その方向性に適切な手法を選択することが大切です。その結果、会社分割が適切だと判断した場合は、会社分割に詳しい専門家に相談しましょう。

会社分割が非適格分割に該当する場合は課税の面を中心に、複雑化しやすい傾向にあります。税務上のリスクを抑え、円滑に会社分割を進めるためにも専門家に相談することが大切です。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、会社分割のご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。会社分割の相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長。リクルート関連会社や外資系製薬会社、大手・ベンチャー独立系M&A仲介会社で営業組織を牽引。 特にM&A実績の多い業界は調剤・IT・運送業。

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