CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。

お電話でのご相談はこちら(無料)

03-4500-7072

CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。

事業譲渡と会社分割の違いは?それぞれのメリットやデメリット、流れ

M&A / スキーム

  • 公開日2025.01.29
  • 更新日2025.01.31

事業譲渡と会社分割の違いは?それぞれのメリットやデメリット、流れ

シェアする

会社の事業を引き継ぎたい場合、選択肢に入るのが「事業譲渡」や「会社分割」と呼ばれる手法です。両者ともに別の会社へ事業を受け渡すのは同じですが、いくつかの点において明確な違いが見られます。具体的な違いをチェックしてみましょう。

この記事では、事業譲渡と会社分割の概要や主な違い、メリット・デメリット、基本の流れを解説します。

事業譲渡と会社分割の概要

事業譲渡と会社分割は異なる手法であり、それぞれ特徴に違いが見られます。まずは各手法の概要をチェックしてみましょう。

事業譲渡とは

事業譲渡とは、企業が展開する事業の一部もしくはすべてを売却し、他企業に譲渡することです。受け渡す資産や負債を選べる「個別承継」に該当します。なお、実務上ほとんどのケースで譲渡の対価は現金となり、株式対価はほぼ用いられません。

会社分割とは

会社分割とは、会社(分割会社)の持つ事業の一部もしくはすべてを分け、別の会社で引き継ぐことです。グループ企業の再編において用いられるケースが多く見られます。

会社分割の方法は、主に「吸収分割」と「新設分割」に分けられます。吸収分割では、すでに存在する会社(承継会社)に事業を譲渡します。新設分割では、新規設立の会社(設立会社)に事業を承継するのが特徴です。

事業譲渡と会社分割の違い

事業譲渡と会社分割には、どういった部分に違いがあるのでしょうか。具体的な相違点を把握しておきましょう。

資産や負債の引継ぎ

事業譲渡では、引き継ぐ資産や負債を選択することができます。選択した資産や負債によっては、取引先や従業員、債権者、行政機関への許可や同意が必要なケースもありますが、買い手側のリスクを軽減できるのはメリットの一つです。

一方、会社分割は包括承継であり、資産に加えて負債もすべて引き継ぎます。ただし、会社分割であっても特定の資産・負債を除外することは可能です。

許認可の引継ぎ

事業譲渡では、原則として許認可は個別に承継の可否を判断し、契約で承継を定める必要があります。買い手は、承継できない許認可については改めて取得が必要になります。

会社分割の場合は原則として許認可も包括的に引き継がれます。ただし、許認可の種類によって引き継ぎの可否に違いがあったり、事前の届出や承認が必要となったりするケースがあるため、個別に確認しておきましょう。

債権者保護手続き

「債権者保護手続き」とは、組織再編の際に債権者となる金融機関や取引先などへ事前に通知し、1カ月以上の期間にわたり異議を受け付けることです。

事業譲渡は、個々の契約について債権者からの同意を得る必要があるため、原則として債権者保護手続きは不要です。一方で、会社分割の場合は債務も引き継ぐため、債権者保護手続きが必要です。

債権者の事前承認

事業譲渡の場合、債権者保護手続きは不要ですが、譲渡対象の債務を譲受企業が引き継ぐ場合には、債権者の個別承諾が必要です。会社分割の場合は、債権者保護手続きが必要であり、原則として個別催告も必要です。

労働者保護手続き

組織再編の影響を受ける労働者に対しては、事前協議や通知などの「労働者保護手続き」が必須です。事業譲渡の場合でも、労働契約承継法に基づき、労働者保護手続きが必要です。譲渡企業は、事業譲渡に伴う労働契約の承継について、労働者に説明し、協議する義務があります。また、労働者代表からの意見聴取も必要です。

会社分割の場合は、労働契約承継法に基づいた労働者保護手続きが必要です。分割会社は、会社分割契約の効力発生日の2週間前までに労働者への説明、協議、意見聴取を行う必要があります。

課税の範囲

事業譲渡は消費税の課税取引とみなされ、必要な消費税を納めることになります。オフィスビルなどの不動産も譲渡する場合、不動産取得税や登録免許税などが生じます。一方で、会社分割は消費税が生じず、不動産取得税と登録免許税は軽減措置の対象となるため、税負担が軽減されます。

事業譲渡と会社分割のメリットやデメリット

事業譲渡と会社分割のどちらが自社に合うかを見極めるには、メリット・デメリットを比較することがおすすめです。それぞれの強みや注意点をチェックしてみましょう。

事業譲渡のメリットやデメリット

事業譲渡のメリット

事業譲渡の売り手側は、譲渡する事業を選択し、特定の資産や従業員は残しておくことができます。会社の形を変えずに存続できるのもメリットといえます。譲渡益が出た場合、投資資金に回して新規事業の創出につなげることも可能です。

買い手側は自分達にとって魅力的な事業のみを選んで買収することができます。負債や債務などの引き継ぎリスクも軽減できるでしょう。

事業譲渡のデメリット

事業譲渡では債権者や労働者などに個別で対応するケースもあり、手続きが煩雑になりやすい側面があります。消費税の支払いが必要であり、不動産取得税や登録免許税などの軽減措置もないため、税金面での負担が大きくなりやすい点に注意しましょう。

会社分割のメリットやデメリット

会社分割のメリット

会社分割では、資産や負債も包括的に引き継ぎます。契約の結び直しの手間がかからず、事業譲渡と比較すると手続きにかかる期間を短縮できるのがメリットの一つです。スムーズに事業承継を進められるでしょう。また、税金の負担も少なく済みます。

会社分割のデメリット

会社分割の場合、貸借対照表に計上されていない簿外債務を引き継ぐリスクに注意が必要です。買い手側はしっかりと「デューデリジェンス」を実施し、買収する会社の価値だけではなく負債も調査することが求められます。

事業譲渡や会社分割の流れ

事業譲渡と会社分割の手続きの流れは、細かい部分で違いが見られます。それぞれの基本的な手順を確かめていきましょう。

事業譲渡の流れ

譲渡先との交渉

事業譲渡を行うことが決まったら、譲渡先を探して交渉します。自社のリソースを使って選定することも可能ですが、M&A仲介会社を活用するほうが効率的です。プロのサポートを受けることで条件に合う会社を見つけやすくなり、事業譲渡の成功へとつなげられます。

トップ間で大まかなすり合わせができたら基本合意書を作成します。合意した内容や想定するスケジュール等を記載します。

取締役会や株主総会での承認

事業譲渡では、取締役会や株主総会での承認が必要です。事業の重要性によっては、取締役会のみでは不十分と判断され、株主総会の特別決議が必要となる場合があります。たとえば、「事業の全部譲渡の場合」「事業の重要な一部の譲渡の場合」「譲渡する資産の帳簿価額が会社総資産の20%超」といったケースが該当します。

事業の重要な一部の譲渡」にあたるか否かは、定量的な基準だけでなく、定性的な基準も考慮して判断されます。なお、会社の定款によっては、例えば「譲渡する資産の帳簿価額が会社総資産の一定割合を超える場合」に株主総会の特別決議が必要となる場合があります。

取締役会や株主総会で承認を得るためにも、事業譲渡によるメリットをしっかりと伝えましょう。

事業譲渡契約の締結

事業譲渡契約書を作成して取り交わします。譲渡する財産や効力発生日、引渡時期など、必要事項を漏らさずに記載します。契約書のテンプレートを利用する方法もありますが、自社に必要な事項が抜けている可能性もあるため注意が必要です。M&A仲介会社へ内容を相談した上で、適切な契約書を作ることが望ましいでしょう。その後は必要書類の届出を済ませ、名義変更や許認可手続きなどを行います。

事業譲渡の効力の発生

効力発生日を迎えれば、事業譲渡の手続きは終了です。ただし、事業の引き継ぎには相応の時間がかかります。その分のスケジュールも想定して準備しておきましょう。

会社分割の流れ

分割計画・分割契約の作成

新設分割の場合は分割計画を作成し、吸収分割の場合は分割契約または吸収分割計画を作成します。どちらにも法律上定められた項目があるため、事前に確かめた上で適切に記載しましょう。

事前開示書類の備置

分割計画・分割契約の内容は、書面もしくは電磁的記録として備え置くことが求められます。定められた期間を確認して準備しましょう。

株主総会の特別決議での承認

株主総会の特別決議で承認を得る必要があります。議決権の過半数を持つ株主が出席し、かつ出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。多数の承認を勝ち取るため、事前の対策が重要です。

反対する株主や債権者への対応

会社分割に反対する株主は、株式の買取を請求する権利を持ちます。会社側はこれに対し、買取に応じるかどうかの通知と、その後の公告を行うことが必要です。その他、債権者保護手続きなども行います。

会社分割の効力発生

所定の日に会社分割の効力が発生します。効力発生日は吸収分割契約または吸収分割計画、あるいは新設分割計画で定めることができ、新設分割の場合、会社設立日と同一日にすることも可能です。

事後開示書類の備置

吸収分割・新設分割ともに、必要な書面を事後開示することが定められています。事後開示書類の備置期間は、会社法で定められた期間です。

まとめ

事業譲渡と会社分割の主な違いをご紹介しました。どちらも「事業を引き継ぐ」ことに変わりはないものの、細かい流れやメリット・デメリットは異なります。自社の場合はどちらが向いているのか、判断するのが難しい場合はプロのアドバイスをもらうことがおすすめです。

M&A仲介会社へ相談し、自社に合う手法やマッチング可能な企業を探してみましょう。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長。リクルート関連会社や外資系製薬会社、大手・ベンチャー独立系M&A仲介会社で営業組織を牽引。 特にM&A実績の多い業界は調剤・IT・運送業。

OTHERS 関連コラム すべてのコラムを見る

SEMINARセミナー すべてのセミナーを見る

【大好評につき再配信】”資金難”を乗り越えた譲渡事例!オーナーが語るM&Aのリアル
  • IT業界
  • M&A体験談

【大好評につき再配信】”資金難”を乗り越えた譲渡事例!オーナーが語るM&Aのリアル

2025/02/18(火)17:00〜18:00

オンライン

申し込む
事業承継の負担を軽減!従業員承継の新しい「カタチ」とは?~M&Aと徹底比較~
  • Tips
  • 従業員承継

事業承継の負担を軽減!従業員承継の新しい「カタチ」とは?~M&Aと徹底比較~

2025/02/11(火)17:00〜18:00

オンライン

申し込む
【経営者限定】成長戦略、もう迷わない!5期目で年商127億円達成の企業が語る「EC事業の成功法則」とは?
  • Tips
  • EC業界

【経営者限定】成長戦略、もう迷わない!5期目で年商127億円達成の企業が語る「EC事業の成功法則」とは?

2025/02/04(火)17:00〜18:00

オンライン

申し込む

CONTACTお問い合わせ

秘密厳守いたします。お気軽にご相談ください。最新の業界動向・M&A相場などわかり易くご説明させていただきます。