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合併比率とは?定義や計算方法、決め方の流れ、注意点を解説

M&A / スキーム

  • 公開日2025.09.30

合併比率とは?定義や計算方法、決め方の流れ、注意点を解説

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合併比率の決め方についてお悩みではありませんか?

企業価値の評価方法や株主への影響、税務リスクなど、何を基準に判断すべきか迷う経営者や担当者は少なくありません。

本記事では、合併比率の基本的な定義から、企業価値の算定方法、比率決定の流れ、注意点までをわかりやすく解説します。

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合併比率とは?

合併比率は、合併において株主の権利や財産価値を公平に維持するための重要な指標です。

本章では、合併比率の定義とその必要性について詳しく解説します。

合併比率の定義

合併比率とは、合併により消滅する会社の株主が、合併会社または新設会社から受け取る株式の交換割合を指します。

この比率は、被合併会社の株式1株に対して合併会社の株式が何株交付されるかを示すもので、合併後の株主の持ち分や議決権に直接影響を与えます。

適切な合併比率の設定は、株主間の公平性を保ち、合併の円滑な実施に不可欠です。

合併比率の必要性

合併比率の設定は、株主の財産価値を維持するために重要です。また、公平な合併を実現する役割も果たします。

合併当事会社の株式にはそれぞれ異なる評価額があるため、単純に1:1の比率で株式を交換すると、一方の株主が不当に利益を得たり損失を被ったりする可能性があります。

評価額は企業の財務状況や将来性などに基づいて算出され、公平な合併比率を設定するためには客観的な算定が必要です。

また、不適切な比率設定により、ある株主の財産が過度に増減した場合、税務上、贈与とみなされ贈与税が課されるリスクがあります。

なお、「適格合併」の要件を満たす場合にはこのリスクを回避することが可能であり、比率の決定には慎重な検討が必要です。

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合併比率の計算方法

合併比率を算出するには、各企業の価値を客観的に評価する必要があります

企業価値の評価手法には主に「インカムアプローチ」「マーケットアプローチ」「コストアプローチ」の3つがあり、企業の特性や状況に応じて適切な手法を選択します。

これらの評価を基に、合併比率を計算することで、公平な株式交換が可能です。

企業価値の計算

企業価値の評価は、合併比率を算出する上で不可欠です。

企業の将来性や市場での位置づけ、保有資産などを考慮し、適切な評価手法を選択することで、正確な企業価値を導き出すことが可能となります。

以下で、3つの評価手法を解説します。

インカムアプローチ

インカムアプローチは、企業が将来生み出すと予想される収益やキャッシュフローを基に企業価値を評価する方法です。

代表的な手法としては、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く「DCF法」や、将来の収益を資本還元率で割り引く「収益還元法」などがあります。

このアプローチは、企業の将来性や成長性を評価に反映できる点が特徴です。

マーケットアプローチ

マーケットアプローチは、市場での取引価格や類似企業の評価を基に企業価値を算定する方法です。

具体的な手法としては、上場企業の株価を基に評価する「市場株価法」や、類似企業の財務指標を用いる「類似会社比較法」などがあります。

このアプローチは、市場の客観的なデータを活用するため、透明性が高い評価が可能です。

コストアプローチ

コストアプローチは、企業が保有する資産と負債の価値を基に企業価値を評価する方法です。

主な手法としては、帳簿上の純資産を基に評価する「簿価純資産法」や、資産と負債を時価で評価する「時価純資産法」などがあります。

このアプローチは、特に中小企業の評価において、実態に即した価値を算定するのに適しています。

合併比率の計算

合併比率は、被合併会社の1株あたりの評価額を、合併会社の1株あたりの評価額で割ることで算出されます。

具体的な計算式は以下の通りです。

合併比率=被合併会社の1株あたりの評価額÷合併会社の1株あたりの評価額

合併比率を決め方の流れ

合併比率の決定は、企業価値の評価から始まり、仮の比率設定、株主構成の確認を経て、最終的な比率の確定に至るまで、段階的に進められます。

以下では、それぞれのステップについて詳しく解説します。

企業価値の算定を行う

合併比率の算定において、まず重要なのは各企業の価値を正確に評価することです。

企業価値の評価方法には、インカムアプローチ、マーケットアプローチ、コストアプローチがあります。

これらの方法を適切に選択し、企業の実態を反映した評価を行うことで、公平な合併比率の算定が可能となります。

仮の合併比率を設定する

企業価値の評価が完了したら、それに基づいて仮の合併比率を設定します。

この比率は、被合併会社の1株あたりの評価額を合併会社の1株あたりの評価額で割ることで算出されます。

例えば、被合併会社の1株あたり評価額が1,000円で、合併会社の1株あたり評価額が2,000円の場合、合併比率は「1:0.5」で、計算式は以下の通りです。

合併比率=1,000円÷2,000円=0.5(1:0.5)

この仮の比率は、後の株主構成の確認や最終調整の基礎となります。

合併後の株主構成を確認する

仮の合併比率を基に、合併後の株主構成を確認します。

合併により、株主の持株比率が変動し、議決権や経営への影響力が変わる可能性があるため、慎重な確認が必要です。

特定の株主が過半数の株式を保有することになると、経営の意思決定に大きな影響を与えることになります。

そのため、合併後の株主構成が各株主にとって納得のいくものであるかを確認し、必要に応じて調整を検討します。

最終的な合併比率を決定する

株主構成の確認を経て、最終的な合併比率を決定します。

この段階では、仮の比率から必要な調整を行い、株主間の公平性を確保します。

調整方法としては、株式価値評価の再検討、株式の売買、種類株式の導入、合併以外のスキームの検討などがあります。

最終的な比率が決定したら、端数処理などの微調整を行い、合併契約書に反映させます。

合併比率を決める際の注意点

合併比率の設定においては、株主の財産変動、債務超過企業の取り扱い、小数点以下の処理といった点に注意が必要です。

本章では、これらの注意点を主に3つに分けて詳しく解説します。

株主の財産の変動を考慮する

合併比率を設定する際には、株主の財産が合併前後で変動しないようにすることが重要です。

不適切な比率設定により、ある株主の財産が増加し、他の株主の財産が減少する場合、贈与税の課税対象となる可能性があります。

例えば、企業価値が同等の会社同士が1:0.5の比率で合併すると、一方の株主が不当に利益を得ることになり、税務上の問題が生じることがあります。

したがって、株主の財産が変動しないよう、公平な合併比率の設定が求められます。

債務超過企業の合併比率を計算しておく

債務超過の企業との合併では、株式の価値が実質的にないため、合併比率の設定が難しくなります。

このような場合、合併比率を0とすると無対価合併と見なされ、適格合併の要件(株式交付が必要)を満たさず、税制上の優遇措置を受けられない可能性があります。

そのため、形式的にでも株式を交付するために、例えば「1,000:1」といった極端に小さな比率を設定する方法が採られることがあります。

適格合併を適用するためには、例えば1,000:1のように極端に小さい比率を設定し、形式的にでも株式を交付することで、税務上の不利益を回避することが可能です。

合併比率の小数点以下をどのように扱うかを決める

合併比率の設定により、交付株式に端数が生じることがあります。

このような場合、株式分割や併合を行い、端数を解消する方法が一般的です。

例えば、1株を10分の1に分割することで、端数をなくすことができます。

また、端数が避けられない場合には、定款や合併契約に基づいて、端数処理金を交付するなどの方法で対応する必要があります。

通常は、株式分割や併合を用いて端数を解消するか、金銭で処理されますが、法的には会社法第234条などの規定に従った対応が求められます。

まとめ

合併比率は、合併における株主間の公平性を確保するための重要な指標です。

適切な企業価値の評価と、段階的な検討プロセスを経て、合理的な比率を設定することが求められます。

特に、財産の変動や税務上の影響、端数処理などに十分配慮することで、トラブルのない円滑な合併を実現できます。

合併を成功させるために、慎重かつ専門的な対応を行いましょう。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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