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吸収合併とは?メリットやデメリット、手続きの流れをわかりやすく解説

M&A / スキーム

  • 公開日2024.12.04
  • 更新日2025.01.06

吸収合併とは?メリットやデメリット、手続きの流れをわかりやすく解説

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吸収合併は、企業間で行われるM&Aの手法の1つです。事業の成長を加速させるために活用されることが多く、注目を集めています。

本記事では、吸収合併の基本的な内容やメリット・デメリット、そして具体的な手続きの流れを解説します。

吸収合併とは?買収や新設合併との違い

ここでは吸収合併について、合併と買収の違い、吸収合併と新設合併との違いについて説明します。

そもそも合併とは?買収の違い

合併とは、複数の企業が1つの新しい企業として統合されることを指します。対して買収は、一方の企業が他方の企業の株式を取得して、その支配権を獲得することです。

合併と買収では、目的やプロセス、法律上の処理が異なります。事業戦略や事業計画をもとに、どの手法が適切か判断することが大切です。

吸収合併とは?

吸収合併は、M&Aにおいて2つ以上の複数の企業が合併する際に、主要となる一方の企業が存続し、その他の企業が消滅することで1つに統合されることを指します。

統合後に残る企業は、消滅した企業の事業や資産・負債をすべて引き継ぎます。

吸収合併と新設合併との違い

新設合併とは、2つ以上の企業が合併して新しい会社を設立することを指します。吸収合併とは異なり、新しい法人が誕生します。

吸収合併では既存の一方の企業が存続しますが、新設合併では全ての企業が解散し、新しい法人が設立されます。新設合併は、新しいブランドや経営体制を築くために有効です。

吸収合併のメリット

ここでは、吸収合併のメリットについて解説します。メリットを理解し、吸収合併が自社の事業の方向性に合うかどうか確認しましょう。

シナジー効果への期待

吸収合併により、企業間でシナジー効果が生まれることがあります。吸収合併を通して各社の経営資源やノウハウを合わせることで、個別に事業を行うよりも高い成果を上げることが期待できます。

シナジー効果を活用することで、市場競争力を高め、長期的な成長を実現できるでしょう。

資金調達なしでも実施可能

吸収合併は、株式や社債などを合併の対価とします。現金を対価としないので、「現金が準備できずに合併ができない」という事態を避けることが期待できます。

ただし、以下の費用が株式とは別に必要になるので注意しましょう。

  • 法務関係費用(登記費用等)
  • アドバイザリー費用(税理士、弁護士等)
  • システム統合費用
  • その他統合関連費用

M&Aは資金の有無だけで判断するべきではありません。様々な要素を総合的に検討する必要があるので、M&Aに詳しい専門家の相談を推奨します。

吸収合併のデメリット

吸収合併には複数のメリットがありますが、デメリットもあります。ここでは、吸収合併に伴うデメリットについて解説していきます。

手続きが煩雑

吸収合併は株式譲渡や事業譲渡など他の手法に比べ、必要な手続きが増えます。他の手法にもある譲渡や売買に必要な手続きに加え、消滅する会社の法的な手続きを行わなければなりません。

合併に多大な時間と工数が必要になるケースがあるため、充分な準備が必要です。

資産・負債の包括承継に伴うリスク

吸収合併は、消滅する会社のすべての資産や負債を存続する企業が引き継ぐことになります。

合併後に予期せぬ債務や予想以上の負債が発覚した場合、消滅する企業にとっては旧経営陣が責任を問われる可能性が、存続する企業にとっては合併後の企業経営に重大な影響を与える可能性があります。

このように双方にとってリスクがあるため、吸収合併前に必ず合併先の経営状況や負債について確認しておきましょう。

吸収合併の手続きの流れ

ここでは、吸収合併に必要な手続きについて解説します。

吸収合併は以下の8つのステップで成り立ちます。

  • 事前検討
  • 合併契約の締結
  • 事前開示書類の備置
  • 株主総会決議・承認
  • 債権者保護手続き
  • 効力発生
  • 事後開示書類の備置
  • 変更登記

各ステップを理解し、今後の吸収合併に役立てていきましょう。

事前検討

合併を円滑に進めるために合併先の企業についてよく理解し、自社の事業計画にどのようにマッチするか事前に確認しておきましょう。

合併先の財政状況や合併によるリスク、メリットを事前に把握しておくことで、後の手続きをスムーズに進行できます。

合併契約の締結

吸収合併契約書を企業間で締結します。締結にあたり、合併する各企業は取締役会を開き、合併に関する重要事項の決定・合併承認を得るための株主総会の招集について承認を得る必要があります。

承認後、締結を実施しましょう。

事前開示書類の備置

会社法第782条、第794条より、事前開示書類を備置する必要があります。

合併効力が発生する日の1か月前までを期限として「異議申述公告」「個別催告」を行いますが、その前に必要書類の備置が必要です。合併効力発生日から6か月間が備置する期間となります。

存続する会社と、消滅する会社で備置する書類が異なるので、この点は専門家に相談し、必要書類を準備しましょう。開示書類に関しては、会社法第782条に詳しく記載があるので、ご参照ください。

株主総会決議・承認

合併にあたり、株主からの承認が必要になります。株主総会の招集の手続きは株主総会※開催日の2週間前までに行いましょう。

合併契約承認は効力発生日までに必要です。株主総会当日に株主から承認を得ます。

存続会社では特別決議(出席株主の2/3以上の賛成による決議)によることが必要です。

基本的には消滅会社も特別決議による承認で良いものの、特殊決議(議決権を有する株主の半数以上かつ2/3以上の議決権の賛成による決議)や総株主による同意が必要となる場合もあります。

※簡易合併の要件を満たす場合や略式合併の要件を満たす場合は、株主総会の決議を省略することができます。

なお、これらは基本的なことで、合併の形態や状況によって必要な手続きが異なります。以下の内容も併せて確認しましょう。

■招集手続きの期限

公開会社 2週間前まで
非公開会社 1週間前まで(定款で短縮可能)

※招集通知に記載すべき事項の遵守が必要。


■決議要件

存続会社 原則として特別決議
…議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の2/3以上の賛成(定款で要件加重が可能)
消滅会社(特殊決議が必要となるケース) ・合併対価が存続会社の親会社株式である場合
・その他会社法で定める特定の場合

※種類株主総会の決議が必要となる場合があります。また、合併契約の重要な変更がある場合の再決議が必要になるケースもあります。

債権者保護手続き

合併に伴い、債権者の権利を保護するための手続きが必要です。
吸収合併により、損害を受けたり、リスクが生じたりする債権者が出る恐れがあります。

効力発生日の1か月前までに対象の債権者(知れている債権者、合併により損害を受ける恐れのある債権者)に対し、合併に異議を申し出ることのできる旨を官報で公告を実施し、債権者に催告しましょう。

実際に意義があった場合は以下の弁済を行います。

  • 相当の担保の提供
  • 信託会社等への相当の財産の信託

効力発生

合併契約書に記載した合併効力日に、効力が発生します。

効力の発生後、消滅する会社の権利・義務は存続する会社に承継されて、消滅する会社は解散します。

事後開示書類の備置

会社法第801条により、存続する会社は事後開示書類の備置をします。
事前開示書類と同様、合併効力発生日から6か月間が備置期間です。

開示書類に関しては、会社法第801条に詳しく記載があるので、ご参照ください。

変更登記

最後に、登記を行います。存続する会社と消滅する会社で、登記に必要な書類が異なります。

  • 存続会社:株式会社合併による変更登記申請書
  • 消滅会社:解散登記申請書

合併効力発生日から2週間以内に、法務局に登記申請が必要です。

まとめ|経営方針に基づいて吸収合併の選択を。最善の手法を見極めよう

吸収合併はメリットだけでなく、デメリットもあるため、社内でしっかりと話し合い、「手法として吸収合併は適切かどうか」を考えていきましょう。

現在の企業の状況や事業計画をもとに、専門家と協力して、適切なM&A手法を選んでください。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、合併のご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。合併やM&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長。リクルート関連会社や外資系製薬会社、大手・ベンチャー独立系M&A仲介会社で営業組織を牽引。 特にM&A実績の多い業界は調剤・IT・運送業。

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