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株式譲渡契約書(SPA)とは?書き方や雛形、作成時の注意点を解説

M&A / スキーム

  • 公開日2025.07.02
  • 更新日2025.07.02

株式譲渡契約書(SPA)とは?書き方や雛形、作成時の注意点を解説

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株式譲渡契約書(SPA)は、企業のオーナーシップを他者に移転する際に必要となる重要な書類です。

株式譲渡契約書を適切に理解し、正しく作成することが、取引を成功に導くための鍵となります。企業の株式を譲渡することは、経営や財務に大きな影響を及ぼすため、十分な注意と準備が必要です。

本記事では、株式譲渡契約書の基本的な概念や、記載すべき主な項目、作成時に注意すべきポイントについて解説します。企業のオーナーシップを譲渡する際における法的手続きを正しく行うために、ぜひご参考にしてみてください。

株式譲渡契約書(SPA)の概要と作成する目的

株式譲渡契約書(SPA)とは、株式の譲渡に関する詳細を定めた法的文書であり、主に企業の株式を売買する際に使用されます。

株式譲渡契約書によって譲渡のプロセスを体系化することで、取引における両者の役割や義務が明確になるため、トラブルの防止や円滑な取引進行に欠かせないものです。

株式譲渡契約書には、譲渡の条件を文書化し法的な拘束力を持たせる目的があります。加えて、買い手と売り手が取引条件を完全に理解し、共通の合意に達していることを保証するために重要です。

また、株式譲渡契約書を作成することで、後日何らかの問題が発生する可能性を未然に防げます。

例えば、契約書には取引の対象となる株式の数量、譲渡価格、代金の支払い方法、譲渡制限の有無、表明保証条項などが細かく記載され、将来的に取引内容を必要に応じて容易に確認できる状況を確保できます。

適切な株式譲渡契約書を作成することは、株式譲渡に伴うリスクを最小限に抑えるために重要です。

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株式譲渡契約書の主な記載事項

株式譲渡契約書を適切に作成するためには、いくつかの重要な記載事項を含める必要があります。この節では、株式譲渡契約書に含めるべき主な項目について詳しく解説します。

株式譲渡合意

株式譲渡合意は、株式取引における基本的かつ重要な要素です。売主と買主が株式譲渡に関するすべての条件に同意したことを明確にし、正式な契約として成立させます。

株式譲渡合意の記載は、両者の合意を具体的な形で確認できるようにするために必要です。

例えば、「売主は、以下の条件に基づき、買主に株式を譲渡することを合意する」といった記載が含まれます。このように詳細に記載することで、売主と買主の間で取引条件に対する共通の理解が成り立ち、不必要な誤解や紛争を避けられます。

また、株式譲渡合意を契約書に記載することで、その取引が透明性を持ち、信頼性を構築できます。

譲渡制限の有無

譲渡制限とは、企業が自社の株式について、譲渡を行う際に特定の条件を設けることを指します。具体的には、株式を譲渡するためには会社の承認が必要であるという規定が含まれます。

譲渡制限は、特に非上場企業や中小企業において、望ましくない人物に株式が渡ることを防ぐために設けられます。そのため、事前に会社定款や関連する規定を確認し、必要な手続きを理解しておきましょう。

株式譲渡契約書では、「会社定款に基づき、譲渡には取締役会の承認を得ることが必要である」と明記される場合があります。このような規定がある場合には、承認手続きを省略すると譲渡の法的な有効性が損なわれる恐れがあります。

株式譲渡代金の支払い方法

株式譲渡契約書において、株式譲渡代金の支払い方法を具体的に記載することは重要です。これにより、後々の誤解やトラブルを未然に防げます。

契約書上では、代金の支払い方法を明確に定めておくことで、買い手と売り手の双方が安心して取引を進められるでしょう。

株式譲渡契約書には、株式譲渡代金の支払い方法を具体的に記載することが重要です。例えば、「代金は銀行振込により、契約締結日に支払うものとする」といった具体的な表現が一般的です。支払期日や振込先情報も併せて記載することで、誤解やトラブルの防止につながります。

支払い期日を明確に定めることも重要です。契約書には、支払いが行われる具体的な日付を記載し、可能であれば振込先の銀行名や口座番号も明示することが推奨されます。

支払いが完了したとみなす条件や手続きについても、双方の合意が望ましいです。条件に関して明記することで、支払いに関する誤解や紛争が発生する可能性を大幅に減少できます。

クロージングに関する事項

クロージングに関する事項を明記することによって、具体的な手続きや条件が明確になります。具体的には、「クロージングは全ての条件が満たされた後に実施される」という内容の記載が一般的です。

条件の具体的な記載が、関係者の間での認識が統一され、期待する結果に到達するための道筋がクリアになります。そのため、クロージングに関する事項は契約内容に含めておくことが重要です。

クロージングに関する事項の明記は、取引の完了を確実に行うための一助となります。条件や手順が明白になることで、関係者がどのように進めるべきかを理解しやすくなり、予期せぬトラブルの発生を未然に防げます。

【関連記事】M&Aのクロージングとは?流れや前提条件、成功させるためのポイントを解説

株主名簿の名義書換

株式譲渡契約書を作成する際には、株主名簿の名義書換について詳しく記載する必要があります。名義書換が行われないと、新たな株主が法的に株主の権利を行使できない可能性があるため、契約書には「譲渡後速やかに株主名簿の名義書換を行う」といった具体的な手続きを明記することが重要です。

名義書換の手続きを契約書内で明確に定義することで、新たな株主の権利を保護し、得られる利益や権利を確実に享受できるようになります。また、名義書換をしないままでは、過去の株主が誤って経営に影響を与えるリスクもあります。

株主名簿の名義書換は、原則として譲渡人と譲受人が共同で行う必要があります。共同で行うことで、会社は名義書換を拒否できないため、譲受人が株主権を行使できるようになります。

また、名義書換を行わないままにしておくと、会社側が株主情報を誤認し、旧株主に対して通知や議決権の行使依頼を誤って行ってしまう可能性があります。その結果、経営判断に混乱を招くおそれもあるため、譲渡後は速やかに名義書換を行うことが重要です。

株式譲渡に関する表明保証

株式譲渡契約書における表明保証とは、売主が買主に対して「譲渡する株式に関して、負債や未解決の法的問題が存在しない」といった事実を保証する条項です。表明保証は、契約時点における情報の正確性やリスクの不存在を確認するためのもので、M&A契約においては一般的に盛り込まれます。

万が一、契約後に表明された内容が事実と異なっていた場合(たとえば、隠れた債務や訴訟リスクがあった場合)、買主は損害賠償を請求することができます。つまり、表明保証は契約の信頼性を支えると同時に、買主を保護する重要な仕組みとなっています。

表明保証では、売主が譲渡する株式についての負債や未解決の法的問題が存在しないことを明示します。例えば、「売主は、譲渡する株式に関していかなる負債や未解決の法的問題がないことを表明する」という記述が含まれる場合が多いです。

表明保証を契約書にしっかりと記載することは、後のトラブルを未然に防ぐためにも重要です。買主が安心して株式を取得できるよう、明確で詳細な表明保証を設けるべきです。

遵守事項

株式譲渡契約書において、売主および買主が遵守すべき事項を明記することは非常に重要です。遵守事項について載せることにより、契約の履行における双方の義務が明確になり、トラブルを未然に防ぐことができます。

具体的には、「両者は、契約に基づき必要な一切の手続きを誠実に遂行すること」などの、譲渡実行前の手続きや、譲渡後の義務(例えば、競業避止義務や雇用維持義務など)が含まれます。

遵守事項を詳細に記載することで、契約が確実に遂行される可能性が高まり、双方の期待や責任のズレを減少できます。

株式譲渡という重要な取引を行う以上、各当事者がどのような行動をとらなければならないかを明示しておくことは、リスク管理の観点からも不可欠です。

契約解除

株式譲渡契約書には、契約解除に関する事項の記載が重要です。契約解除に関しては、「一定期間内に支払いが行われなかった場合、本契約を解除することができる」といった条項を盛り込む場合があります。

具体的な条件、支払い遅延などの問題が発生した場合に、迅速かつ明確な対応が取れるようにします。

また、契約解除に関する条項を明記することで、有事の際の処理方法を確立し、予防措置としての役割を果たします。

その他の一般条項

その他の一般条項には、主に特定のケースに対応するために、包括的な内容を記載して契約の包括性を高めることを目的として記載される項目があります。

例えば、「本契約に関する一切の紛争は、東京地方裁判所を第一審の専属管轄裁判所とする」という条項を記載するケースがあります。記載することで、紛争が生じた場合にどの裁判所が管轄するかを明確にし、迅速かつ適切に対応できます。

その他、通知方法、契約の修正方法、契約の譲渡禁止条項などが含まれる場合もあります。上記の事項を明記して、契約におけるさまざまな状況に備えて、双方の理解と合意が得られるようにすることが重要です。

株式譲渡契約書の雛形・サンプル

株式譲渡契約書(SPA)は、株式の譲渡に関する重要な書類です。

以下に株式譲渡契約書の雛形を紹介します。

株式譲渡契約書の雛形

【引用】経済産業省「(参考資料1)「中小M&Aの主な手法と特徴」

株式譲渡契約書に貼付する収入印紙の金額一覧表

株式譲渡契約書には、原則として収入印紙を貼る必要はありません。株式譲渡契約書は印紙税の課税対象外のため、通常は印紙を貼付する必要がないとされています。

ただし、特定の状況下では収入印紙が必要になることがあります。具体的には、契約書に「代金を受領した」といった文言が含まれている場合、契約書は受取書として扱われ、印紙税が発生します。この場合、受領した金額に応じて収入印紙を貼付する必要があります。

下表は株式譲渡契約書に貼付する金額です。

記載金額

税額

5万円未満

非課税

5万円以上100万円以下

200円

100万円超200万円以下

400円

200万円超300万円以下

600円

300万円超500万円以下

1,000円

500万円超1,000万円以下

2,000円

1,000万円を超え2,000万円以下

4,000円

2,000万円を超え3,000万円以下

6,000円

3,000万円を超え5,000万円以下

10,000円

5,000万円を超え1億円以下

20,000円

1億円を超え2億円以下

30,000円

2億円を超え3億円以下

60,000円

3億円を超え5億円以下

100,000円

5億円を超え10億円以下

150,000円

10億円を超えるもの

200,000円

受取金額の記載のないもの

200円


【出典】国税庁「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」 

適切な収入印紙の金額を確認し、契約書に貼付することで、トラブルを未然に防ぎ、契約の有効性を維持できます。したがって、収入印紙の貼付については常に心がけ、事前にしっかりと確認を行うようにしましょう。

株式譲渡契約書を作成するときの注意点

株式譲渡契約書(SPA)の作成は、企業活動や資産管理において重要な役割を果たします。

ここでは、株式譲渡契約書を作成する際に注意するべき、個人間取引についてや、契約書の保管方法などについて解説します。

個人間取引でも契約書は必要となる

個人間の株式譲渡であっても、契約書の作成は非常に重要です。契約書があることで、法律上の証拠として機能しますし、後々のトラブルを避けるための防止策ともなります。

特に、友人同士や家族間といった信頼関係がある場合でも、口約束だけでは後に意見の食い違いが生じるリスクがあります。したがって、契約書を作成して双方の合意内容の明確化が求められます。

また、契約書の作成で、双方の権利と義務が明確になります。どちらか一方が契約内容に反する行動をした場合でも、それに基づいて対処することが可能です。

契約書に記載された内容を基に、具体的な解決手段を見出すことができ、無用な争いを避けることができます。したがって、個人間取引であっても契約書を作成することをお勧めいたします。

契約書の保管方法や期間に注意する

株式譲渡契約書の保管期間について、法人が作成した場合は、法人税法に基づき基本的に7年間の保管が義務付けられています。一方、個人間の株式譲渡契約の場合、法律上の明確な保管義務はありませんが、確定申告に使用した場合には5年間の保管が必要です。

作成した株式譲渡契約書は、適切に保管し、保存期間にも注意を払う必要があります。契約書が紛失や破損すると、証拠書類としての効力を失う恐れがあります。さらに、法的には一定期間の保存義務が課されているため、適切な保管が必要です。

契約書を電子データとして保存する場合でも、バックアップやセキュリティ対策が必要です。適切な保管方法を取ることにより、必要なときに迅速に契約書を確認でき、法的なリスクを回避できます。株式譲渡契約書は重要な書類であるため、しっかりとした保管計画を立て、万全の体制の管理が求められます。

デューデリジェンスを実施する

デューデリジェンスは、株式譲渡契約書を作成する前の重要なステップです。デューデリジェンスを行うことで、対象となる企業の財務状況や法的な問題、さらに潜在的なリスク要因を事前に把握できます。

デューデリジェンスを通じて企業の財務状況を確認することで、その企業が安定した収益力を持っているか、また負債状況はどの程度かを把握できます。

また、既存の訴訟が存在するか、過去に締結された契約が現在も有効であるかなど、法的なリスクの事前調査は重要です。これらの情報を詳細に調査することで、デューデリジェンスを行わなかった場合に直面する可能性のある問題を回避できます。

さらに、事前のデューデリジェンスを通じて透明性を確保することにより、後々のトラブルを防ぎ、取引に伴うリスクを最小限に抑えられます。この過程を徹底することで、譲渡の際の信頼関係も強化され、より円滑な取引が実現します。

【関連記事】デューデリジェンスとは?M&Aにおける意味や種類、進め方をわかりやすく解説

専門家にアドバイスを求める

株式譲渡契約書を作成する際には、必ず専門家のアドバイスを求めることが重要です。特に法的な細部にわたる知識や、最新の法改正に関する情報を持つ専門家の助言を仰ぐことで、適切で法的に強固な契約書を作成するできます。

弁護士や公認会計士、税理士といった専門家への相談が有効です。専門家は、譲渡に伴う税務上のリスクや法的な必要事項をしっかりとカバーする知識を持っており、知識に基づいたアドバイスを受けることで、契約書の作成にあたってのあらゆる不安を取り除けるでしょう。

また、専門家のアドバイスを受けることで、株式譲渡の手続きを安心して進められ、法的なリスクも軽減されます。このように、専門家の存在は、株式譲渡契約書の作成において非常に大切な役割を担っているのです。

まとめ|式譲渡契約書は専門家の意見を取り入れて適切に作成しましょう

株式譲渡契約書(SPA)は、企業のオーナーシップ移転における中核的な文書であり、正確かつ慎重な作成が求められます。

譲渡条件や表明保証、名義書換などの各要素を明確に定めておくことにより、トラブルを回避し、円滑かつ信頼性の高い取引が実現します。また、取引の性質や規模によっては、法務・税務・会計の各分野にまたがる複雑な判断が必要となる場面も少なくありません。

そのため、株式譲渡契約書の作成や手続きに不安がある場合は、専門家や中小企業のM&A支援に実績のある仲介会社の力を借りることをおすすめします。

経験豊富なプロのサポートを受けることで、取引のリスクを最小限に抑え、安心して次のステップへ進めるできるでしょう。M&Aをご検討の際は、信頼できる仲介会社への相談を、ぜひご検討ください。

CINC CapitalはM&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、M&Aのサポートをいたします。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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