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秘密保持契約(NDA)とは?基本から締結のメリットまで解説

手続き・契約

  • 公開日2024.10.30
  • 更新日2024.11.05

秘密保持契約(NDA)とは?基本から締結のメリットまで解説

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秘密保持契約(NDA)は、ビジネスの様々な場面で交わされますが、M&A※においても大切なプロセスです。

M&Aは大きな取引となるため、情報漏洩や違反により一層注意が必要になります。情報漏洩や違反をしないためにも秘密保持契約を締結しますが、はじめてM&Aを実施する企業にとって、秘密保持契約は不明な点も多いはずです。

本記事では、はじめてM&Aを実施する企業に向け、秘密保持契約とは何か、そして実際に書面に記載する条項や注意点について解説します。
※M&Aとは、 Merger and Acquisitionの略称で、企業の合併や買収のことを指します。

秘密保持契約(NDA)の定義と目的

秘密保持契約はM&Aを進めるにあたり、極めて重要な役割を果たします。ここでは秘密保持契約とは何か、そして秘密保持契約を締結する目的について解説します。

秘密保持契約とは?

秘密保持契約とは、特定の秘密情報を第三者に漏らさないようにするための契約です。NDA とも呼ばれ、Non-Disclosure Agreementの略称となります。M&Aのプロセスでは、初回面談のあとに締結することが一般的です。

なぜ必要?秘密保持契約の目的

秘密保持契約を締結する目的は、秘密情報の漏洩防止と信頼関係の構築です。

秘密保持契約を締結することで、情報の漏洩リスクを最小限に抑え、ビジネスや技術の情報を含む機密情報を保護する役割を果たします。
取引先の企業と信頼関係を築く意味でも、秘密保持契約は重要な役割を果たします。

情報漏洩が起こると、競争力の低下や経済的損害が発生する 恐れがあります。秘密保持契約の締結は、これらのリスクの低減につなげることができます。
情報の保護とビジネスの円滑な進行のために秘密保持契約の締結を徹底しましょう。

秘密保持契約を結ぶメリット

秘密保持契約を結ぶことで多くのメリットがもたらされます。
ここでは秘密保持契約を締結することで得られる主要なメリットを3つご紹介します。

秘密情報の保護

秘密保持契約を結べば、重要な秘密情報の保護を、相手方に求めることができます。情報の取り扱い方が明確になり、第三者に漏れるリスクを減らすことにつながるのです。

会社や事業の譲渡を控える売り手企業と買い手企業を例にする場合、 秘密保持契約の締結により、特許技術や開発情報が外部に漏れることを防いだり、他社との競争力を維持できたりします。

秘密保持契約を締結して、情報漏洩のリスクを最小限に抑えましょう。

損害賠償条項の設定が可能

秘密保持契約には、情報漏洩が発生した場合の損害賠償条項を設定することができます。

この条項により、万が一情報が漏洩した場合に、相手方に補償を求めることができます。競合企業 等に機密情報が漏洩し、損害が発生した時は、その損失をカバーするための損害賠償を請求することも期待できます。

損害賠償条項の設定により、潜在的なリスクを事前に軽減することができるでしょう。

経営リスクの軽減

秘密保持契約を結ぶことで、企業の経営リスクを軽減できます。
機密情報の漏洩を防ぐことができれば、事業運営における予期せぬトラブルの回避が可能です。

売り手企業はM&Aを実施するに当たり、多くの買い手企業と関わる可能性があります。M&Aの有無にも関わらず、ライバル企業に情報が漏れてしまって、売り手企業のデメリットとなり得る情報を突いてくる企業も出てくるかもしれません。

秘密保持契約はこの問題の抑止力となるでしょう。

秘密保持契約の契約条項

秘密保持契約には、売り手企業と買い手企業の情報を保護するために様々な契約条項が含まれます。

  • 目的
  • 秘密情報
  • 秘密保持義務
  • 秘密情報の破棄・返還
  • 反社会勢力の排除
  • 秘密情報の漏洩に関する義務
  • 損害賠償
  • 直接交渉の禁止
  • 有効期間
  • 協議事項
  • 準拠法・管轄裁判所
  • 署名捺印欄

ここでは、秘密保持契約の各契約条項の詳細を解説します。

目的

秘密保持契約の第1条では契約の「目的」が明記されることが多いです。

目的を明確にすることで、契約範囲外の情報が含まれないようにする役割があります。「目的」の明確化は、契約範囲の限定と関係性の明確化に役立ちます。

秘密情報

秘密情報の対象となる情報を具体的に定める項目です。
弊社では秘密情報を「開示または提供された一切の情報」と定めております。 この秘密情報の範囲は各M&A仲介会社(M&Aアドバイザー)で内容が異なります。

ただし、この秘密情報は保護対象外となる内容についても併せて記載する必要があります。既に公知の情報や、買い手企業から開示を受けた情報とは無関係に売り手企業が独自に開発した情報は、対象外となることが多いです。

秘密保持義務

秘密保持契約を締結した当事者は、「秘密保持義務」が課せられます。
ここでは具体的にどのように秘密を保持するのか、保持の範囲について記載があります。

ちなみにこの条項では「開示者」と「被開示者」について説明があります。
秘密情報を開示した当事者を「開示者」、秘密情報の開示を受けた当事者を「被開示者」とし、開示者と被開示者という言葉が各条項で用いられます。

秘密情報の破棄・返還

契約終了時の対応について記したものが「秘密情報の破棄・返還」です。速やかに秘密情報を返還するか、適切な方法で破棄することが記載されます。

契約が終了する前に売り手企業から秘密情報の破棄や返還の要求があった場合の対応方法も記載されます。

秘密情報の返還が難しい場合の取り扱いについてもこの条項で記載するのが望ましいです。

反社会勢力の排除

秘密保持契約には「反社会勢力の排除」に関する条項 が含まれることが多いです。経済活動の健全性を保つため、反社会勢力と関わりを持つ企業との取引の回避を目的に設定されます。

契約相手が反社会勢力と関りがあることが判明した場合に、契約を解除するための条文を盛り込みます。「反社会勢力の排除」は社会からの信 頼関係の確保とリスク管理に寄与します。

秘密情報の漏洩に関する義務

秘密保持契約では「秘密情報の漏洩に関する義務」が規定されます。この条項では実際に情報漏洩が起こった場合の対応方法について記載されます。

情報漏洩の発生時にはすぐに売り手企業へ報告する義務を設けることが多いです。これにより、トラブル発生時に迅速な対応が可能になります。

損害賠償

秘密保持契約には「損害賠償」条項が含まれることが一般的です。

情報漏洩によって被った実際の損害額を請求できるように規定します。「損害賠償」条項は契約違反時の法的手続きを円滑にする役割があります。

直接交渉の禁止

「直接交渉の禁止」は名前にある通り、今後M&Aを実施することが考えられる売り手企業と買い手企業がお互い直接交渉を禁止する条項です 。

ポイントは「事前の承諾なし」で直接交渉を行うこと です。売り手企業と買い手企業が交渉や取引 をしたい場合は、秘密保持契約を締結する前に相手方に相談しましょう。

有効期間

秘密保持契約の「有効期間」を明記します。「契約日から〇年間有効」といった具体的な期間設定が行われることが一般的です。

ちなみに弊社がお客様と締結する秘密保持契約は、有効期間を1年間と定めていますが、 「秘密保持義務」については3年間存続する ような取り決めになっています。

協議事項

秘密保持契約には「協議事項」の条項が設けられることがあります。
秘密保持契約の事項や内容に関わらず、売り手企業と買い手企業の間で疑問に思えることがあれば、誠実に協議をすることを目的に設定されます。

「契約にない事項、契約に関する疑義が生じた事項は、両当事者間で誠実に協議をする」のような記載をされることが多いです。

準拠法・管轄裁判所

秘密保持契約の準拠法は何か、紛争などが生じた場合の管轄裁判所が記載されます。

売り手企業と買い手企業で言い分が食い違った時や、契約の内容が契約書だけでは解釈できない時に準拠法は活用されます。

署名捺印欄

契約が双方によって正式に承認されたことを証明するために署名捺印欄が設けられます。

契約書を2通作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有します。印鑑は社印を使用します。認印ではなく、実印を使用することが一般的です。

秘密保持契約の電子契約について

近年、秘密保持契約を電子契約で締結する事業者が増えています。

電子契約を利用することで、契約手続きを迅速に行える上、ペーパーレス化によるコスト削減が期待できるためです。
従来の紙ベースの契約では郵送や対面でのやり取りが必要でしたが、電子契約であればインターネット上で迅速に契約締結が完了します。

アクセス権限を設けたり、パスワードを適切に設定したりすれば、強固なセキュリティも確保できるでしょう。

なお、 弊社においても秘密保持契約の電子契約に対応してい ます。電子契約について不明点がある方はお気軽にご相談ください。

情報漏洩による損害や秘密保持義務違反が起こった場合の対処法

秘密保持契約を締結した後に万が一情報漏洩による損害や秘密保持義務への違反が発生した場合には、適切かつ厳格な対処が必要です。

秘密保持契約はビジネス上のリスクを最小限に抑えるために締結されますが、損害や違反が生じた場合の対処方法を明確にすることで、迅速かつ効果的に問題解決を図れます。

損害賠償請求など違反者に対する適切な制裁を実行することで、 従業員や取引先への影響を抑えられます。対処法については必ず条項に記載しましょう。

まとめ丨安全なM&Aを実現するために秘密保持契約の締結は不可欠

安心してM&Aを進めていくためにも秘密保持契約の締結が不可欠です。

秘密保持契約を結ぶことにより企業間の情報漏洩リスクを低減し、相互の信頼関係の強化を図れます。

条項をはじめ、秘密保持契約の締結に関して 不明点などがあれば、お気軽にご相談ください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長。リクルート関連会社や外資系製薬会社、大手・ベンチャー独立系M&A仲介会社で営業組織を牽引。 特にM&A実績の多い業界は調剤・IT・運送業。

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