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M&Aの意向表明書とは?目的や基本合意書との違い、書き方について

手続き・契約

  • 公開日2025.04.07
  • 更新日2025.04.09

M&Aの意向表明書とは?目的や基本合意書との違い、書き方について

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M&A取引において、「意向表明書」は取引の方向性を決定づける文書です。買い手企業が売り手に提出する書類であり、買収に関する基本的な条件や意向を示すとともに、本格的な交渉の土台となります。

意向表明書には、企業概要や買収意図、想定される取引条件などが記載されます。本記事では、M&Aにおける意向表明書の基礎知識から記載内容、精査時の注意点まで解説します。

M&Aの意向表明書とは?

M&Aにおける「意向表明書」は、買収プロセスの初期段階で重要な役割を果たす文書です。ここでは、意向表明書の基礎知識や基本合意書との違いを解説します。

意向表明書の基礎知識

意向表明書について

「意向表明書(Letter of Intent/LOI)」とは、企業買収における基本的な条件や意向をまとめた書類です。買い手企業の購買意欲を示すもので、買収交渉の土台となります。一般的にA4用紙数枚程度の分量で作成され、概要や買収意図、想定される取引条件などを明記します。

売り手企業は、意向表明書を通じて買い手企業の本気度や将来のビジョン、シナジー効果への期待などを確認できます。また買い手企業は、自社の買収に対する強い意欲と具体的な条件を売り手企業へ明確に伝える役割を果たします。このように、意向表明書はM&Aの成否を左右する重要な書類の一つです。

意向表明書を提示するタイミング

意向表明書は、M&Aプロセスにおいてトップ面談の前後のタイミングで提出されるケースが多いといえます。具体的には、秘密保持契約(NDA)の締結後に初回の面談を実施し、交渉相手が検討姿勢を示した段階で提出するのが一般的です。

なお、売り手企業に複数の買い手候補がいる場合は面談前に提出したり、一方で他に買い手候補がいない場合は面談後に提出したりするケースもあります。

意向表明書の法的拘束力の有無

意向表明書は、原則として法的拘束力を持たない文書です。ただし、独占交渉権や秘密保持義務などの特定の条項については、当事者間の合意によっては法的拘束力を持たせることもできます。

意向表明書はあくまでも、買い手企業から売り手企業への意思表示文書に過ぎません。また、デューデリジェンスの結果により条件が変更される可能性があることも、あらかじめ明記しておくのが基本です。

基本合意書との違い

基本合意書」とは、意向表明書の内容に基づいて作成される文書です。意向表明書が買い手側からの意思表示であるのに対して、基本合意書には売り手と買い手の双方が合意した内容を記載します。

また、書類を作成する目的にも違いがあります。意向表明書を作成する目的は、買い手による意思表明です。一方、基本合意書を作成する目的は、両者による合意の形成となります。

書類を提出するタイミングに関しても、意向表明書が具体的な交渉の開始前に提出するのに対して、基本合意書はデューデリジェンスの実施前に提出するのが一般的です。

M&Aの意向表明書の記載内容と書き方

ここからは、M&Aにおける意向表明書の記載内容をご紹介します。意向表明書にはどのような内容が記載されるのか押さえておきましょう。

企業概要

買い手企業の基本情報・事業内容・財務状況などが詳細に記載されています。企業概要は、買い手企業の信頼性や適格性を見極める重要な判断材料の一つです。

M&Aの目的

買い手企業がM&Aを実施する目的や、M&Aによって期待するシナジー効果(=相乗効果)について具体的に記載されています。両者の事業に高いシナジー効果が見込める場合、明確に示すことで交渉を進めやすくなります。

M&Aスキーム

買い手企業が想定している買収手法について記載されています。例えば「株式譲渡」や「事業譲渡」など、具体的にどのような手法を用いてM&Aを実施するつもりなのか、買い手企業の意向を示す項目です。

買収価格や算定根拠について

買い手企業が提示する買収価格とその算定根拠が記載されています。M&A後のシナジー効果を見込んだ価格設定を行い、その妥当性に関する詳細な情報が含まれています。

買収資金の調達方法について

買い手企業が買収資金をどのように調達するのか、具体的な方法が記載されています。例えば「自己資金」や「借入金」といった形で資金調達の手段を明確にすることで、取引の実現可能性を説明するための項目です。

M&A後の経営方針について

買収後の経営方針や事業計画に関する内容が記載されています。ここでは、売り手企業の企業文化についても言及されることが多いです。

売り手企業の役員及び社員の処遇

買収後の売り手企業の役員及び社員の処遇が記載されています。特に売り手側が事業承継を目的としたM&Aでは、従業員の離職を防止するために重要な内容となります。

M&Aのスケジュールについて

デューデリジェンスから最終契約締結までの想定スケジュールが記載されています。具体的な時期や期間を示すことで、取引の進め方についての認識を共有することが目的です。

デューデリジェンスについて

M&Aプロセスにおけるデューデリジェンスの範囲や方法について記載されています。必要な期間、実施体制についても明記されることが一般的です。

独占交渉権の付与

独占交渉期間の設定や条件について記載されています。期間中は他社との交渉を制限することになるため、慎重な検討が必要です。

有効期限の設定

意向表明書の有効期限に関して記載されています。一般的には、一定の有効期限を設定することが多いです。

法的拘束力

意向表明書には原則として法的拘束力がないことが明記されます。ただし、守秘義務など一部の条項については拘束力を持たせることもあります。

その他

上記以外の重要事項や特記事項があれば記載されます。状況に応じて必要な情報が追加される場合もあります。

M&Aの意向表明書の注意点

M&Aにおける意向表明書は、取引の方向性を決定づける重要文書です。慎重に検討を行い、取引条件と買い手企業の意向を確認しましょう。ここでは、意向表明書を精査する際に知っておくべき注意点をご紹介します。

買い手側が提示した金額を精査する

買い手企業から提示された金額は、売り手企業の価値を適切に反映したものでなければなりません。一般的には、企業のスタンドアロン価値を基準として、そこにシナジー効果による付加価値を加味して買収金額を算定します。

提示金額が妥当であるかは、公認会計士・税理士・フィナンシャルアドバイザーなどの専門家の知見を活用することで、より客観的な視点から検証できます。また、M&Aに精通する仲介会社やアドバイザーのサポートを受けても良いでしょう。

特に重要なのは、提示価格の算定根拠を詳細に確認することです。「DCF法」や「類似企業比較法」など、複数の評価手法を用いて多角的に分析しましょう。提示価格が市場の実態や将来の事業展開を適切に反映しているかどうかを慎重に見極めることが重要です。

譲れない条件を明確にする

意向表明書を受け取った際には、自社にとって譲れない条件を明確にしておく必要があります。例えば、従業員の処遇や既存の取引関係の維持、経営方針の継続性などは早い段階で買い手企業との認識を擦り合わせることが重要です。

これらの条件について、意向表明書の内容と自社の方針との間に大きな違いがある場合は、早期に協議を行うのが望ましいでしょう。

機密保持について十分に確認する

M&A取引では機密情報を慎重に取り扱わなければなりません。意向表明書には、基本的に機密保持に関する条項が含まれており、内容を十分に確認する必要があります。

特に、企業の重要な情報が外部に漏洩することを防ぐため、情報管理体制や開示範囲について明確な取り決めを行いましょう。また、デューデリジェンス実施時の情報開示範囲についても、事前に十分な協議が欠かせません。

まとめ|意向表明書はM&Aにおいて重要な書類

意向表明書の記載内容は、買い手企業の企業概要や買収の目的、M&Aスキーム、買収価格とその算定根拠、買収資金の調達方法、経営方針など多岐にわたります。売り手企業がM&Aを成功へ導くには、書類に記載内容を十分に理解し、慎重に検討する必要があります。

そのためにも、M&Aの専門家のサポートを活用することがおすすめです。信頼できるM&A仲介会社に相談し、アドバイザーの意見を聞きながら重要書類を精査しましょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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