CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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売却 / 会社売却
- 公開日2024.12.03
- 更新日2025.01.06
会社売却のメリットとデメリットは?手続きの流れや成功させるためのポイントを解説
経営戦略の一環として、会社の売却を検討している企業もいるかもしれません。売却には複雑な手続きやリスクも伴うので、適切な知識と準備が必要になります。
本記事では、会社売却のメリット・デメリットや手続き、成功するためのポイントについて解説します。
目次
会社売却とは?
会社売却とは、会社や事業を他の企業や個人に譲渡することを指します。売却の目的や形態は多様化しており、特に「経営者がどのような立場にあるのか」という点で内容が大きく異なります。
■経営者が退任するケース
- 後継者不在による事業承継型の売却
- リタイアメントを機とした完全引退
■経営者が継続するケース
- 成長資金の調達手段として
- 大手企業の傘下で事業拡大を目指す
- 経営の自主性を保ちながらのパートナーシップ型売却
売却の主な動機として以下のようなものが挙げられます。
- 事業の持続的成長や競争力強化
- 業界再編への対応
- 資金調達や財務基盤の強化
- 経営資源の獲得(人材、技術、販路等)
- 事業承継問題の解決
これらの動機をきっかけに売却が行われることがほとんどです。会社売却の代表的な手法に「株式譲渡」と「事業譲渡」があります。
会社売却の代表的な手法
会社売却は、自社に合った手法を選ぶことが成功の鍵となります。会社売却には主に以下の2つの手法があります。
- 株式譲渡
- 事業譲渡
各手法の特徴を理解し、適切な手法を選択しましょう。
株式譲渡
株式譲渡は、会社の株式を他の企業や個人に売却する手法です。
売り手企業が買い手企業に株式を全て譲渡することで経営権が移動します。買い手企業は、取得した企業の資産や負債を包括して受け取ることになります。
「経営権を渡したい」「株式売却に伴う対価を得たい」という経営者にとって、株式譲渡はおすすめの手法です。
株式譲渡については以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
【関連記事】株式譲渡とは?メリットやデメリット、事業譲渡との違いも解説
事業譲渡
事業譲渡は、会社の特定の事業や資産を分割して売却する手法です。事業単位での売却が可能で、経営資源の選択的な譲渡ができる特徴があります。
ただし、負債や契約関係・従業員の移籍などには個別の手続きが必要です。「核となる事業は継続しつつ、戦略的に特定の事業を切り離したい」という場合に有効な手法ですが、関係者との調整や法的手続きには慎重な対応が求められます。
事業譲渡については以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
【関連記事】事業譲渡とは?メリット・デメリット・手続きを徹底解説
会社売却のメリット
ここでは、会社売却のメリットについて解説します。メリットを参考にして、会社売却後のイメージを固めていきましょう。
売却利益を獲得できる
会社売却により、経営者は売却利益を得ることができます。株式や事業を買い手企業に売却することで、その対価としてまとまった資金を受け取れます。
会社や事業の売却による利益の帰属は、売却手法によって異なります。
■株式譲渡の場合
- 経営者(株主)が直接売却利益を得られる
- 現金や株式など、様々な形態での対価受領が可能
■事業譲渡の場合
- 売却益は会社に帰属
- 経営者個人には直接的な売却利益は発生しない
- 会社の意思決定を経て、配当や賞与として間接的に還元される可能性あり
※売却手法の選択に際しては、この利益の帰属の違いも重要な検討要素です。
事業継続ができる
買い手企業が売り手企業の経営資源を引き継ぎ、既存の事業を発展させることで、従業員や顧客へのサービスが途切れることなく続行されます。
会社売却によって経営者が退任しても、事業自体は継続ができる点は大きなメリットです。
経営者の個人保証が解除できる
買い手企業が会社を引き継ぐ際に、売り手の経営者の債務に対する個人保証※を肩代わりしてもらうことができます。
※会社が金融機関などから融資を受ける際には連帯保証が求められ、会社経営者が個人保証として設定されます。
個人保証は自動的な移転や引継ぎはできません。 債権者(主に金融機関)の承諾が必要になります。この個人保証の解除は、売却手法によって内容が異なります。
■株式譲渡の場合
- 会社の借入債務は継続します
- 個人保証の解除には債権者との個別交渉が必要
- 買い手企業の信用力に左右される
■事業譲渡の場合
- 対象事業に関する債務は個別に承継します
- 既存の個人保証は原則継続します
- 新規の借入で対応する場合は別途検討が必要
※債務自体の承継方法から検討する必要があり、個人保証の解除は株式譲渡以上に慎重な協議が必要です。
この個人保証の解除は場合によって、借換えなどの新たな資金調達の手法の構築が必要になることがあります。複雑な内容となるため、会社売却に詳しい専門家の支援をもらうことを推奨します。
会社売却のデメリット
ここでは、会社売却のデメリットについて解説します。デメリットを参考にして、会社売却後のイメージを固めていきましょう。
ロックアップ発生の恐れ
ロックアップとは会社を売却した後の一定期間、主要株主や経営陣が勤務し続けないといけないことを指します。
売却した事業や会社がうまくいかなくなることを防ぐために必要なもので、キーマン条項による取り決めです。
売り手企業の経営者が、引退による経済的自由を目的にしている場合は、売却後も勤務から解放されないという事態を考慮しておくべきでしょう。
また、「売却後に新規事業を始めたい」と思っている方にとっては、なかなか新しく事業を始められないという事態も起こる可能性があります。
競業避止義務を負うリスク
会社を売却した後の一定期間、売却した経営者は同業の事業に携わってはいけない義務があり、これを「競業避止義務」と言います。
売り手企業の経営者が、会社の売却後に同じような事業をしてしまうと、買い手企業が不利益を被る恐れがあります。これを阻止するために競業避止義務があります。
会社の売却後に新規事業の立ち上げを検討している方は、競業避止義務に違反しないように注意しましょう。
会社売却の流れと必要な手続き
ここでは、会社売却の流れと必要になる手続きを解説します。
会社売却は大きく以下の4つのステップに分類することができます。
- 事前準備と手法の選択
- 買い手の選定と交渉
- デューデリジェンスの実施
- 最終契約書の締結とクロージング
各ステップについて理解し、今後の事業計画に活かしましょう。
事前準備と手法の選択
経営戦略や経営体制の刷新などの目的をもとに、財務状況や社内の状況を確認することが大切です。
また、「今の事業をどうしていきたいのか」「従業員や契約、資産などを今後どうしたいのか」を考えることで、適切な手法を選びやすくなります。
M&A仲介会社などの専門家に助言をもらいながら、万全な事前準備をしていきましょう。
買い手の選定と交渉
買い手候補が記されたロングリストなどをもとに、買い手企業の選定をします。
売り手企業と買い手企業の「ビジョンがマッチするかどうか」「シナジー効果が期待できるかどうか」が見極めのポイントです。適切な買い手を選定後、トップ面談を実施し、会社売却の交渉を進めていきましょう。
M&A仲介会社を介して交渉する場合は、交渉の後に「秘密保持契約」や「アドバイザリー契約」を締結します。
デューデリジェンスの実施
デューデリジェンス(Due Diligence DDとも言われる)は、会社売却の過程で、買収対象企業(売り手)の実態を詳しく把握するための調査を指します。
財務状況や売上、事業進捗を確認し、リスクを評価します。これにより、会社売却の可否の判断はもちろん、適正価格を算出できます。
デューデリジェンスは基本合意書の締結後に開始されます。調査の期間は1~2か月が一般的です。デューデリジェンスは買い手企業が行います。
デューデリジェンスについては以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
【関連記事】デューデリジェンスとは?M&Aにおける基礎知識とその重要性
最終契約書の締結とクロージング
最終契約書の締結により、売却の条件や価格が正式に合意され、会社の売却手続きが完了します。
クロージングした後は、従業員や契約の引き継ぎなどを実施しましょう。
会社売却に成功するための5つのポイント
ここでは、会社売却に成功するために押さえておきたい5つのポイントを解説します。ポイントを理解し、会社売却をスムーズに進めていきましょう。
目的や優先順位を明確にする
会社売却の目的を明確にしておくと、会社売却に何が必要か、どのようなプロセスがどれだけ必要なのかイメージしやすくなります。経営者だけでなく、売却に携わる従業員全員が目的を理解しておくことが大切です。
また、会社売却に必要なタスクについては優先順位を把握しておきましょう。会社売却に伴うタスクは非常に多く、煩雑です。スムーズな売却を成功させるためにも優先順位を明確にしておきましょう。
会社の価値が高いタイミングで売却する
会社の価値が高まっている時に売却すれば、より多くの利益を得ることができます。
例えば、新製品の発売や市場拡大により業績が好調な時期を狙って売却を進めることができれば、より有利な条件で会社売却ができるでしょう。
会社売却の目的が「大きな利益を得ること」と考えている場合は、タイミングが非常に重要です。
秘密保持を厳守する
会社売却を実施する時は秘密保持を厳守することを徹底しましょう。
情報が漏れることで、競争優位性を失う恐れや従業員の不安を招く可能性があります。秘密保持契約(NDA)を買い手企業と締結し、情報開示の範囲を限定するなどの対策が必要です。
事業を継続したいとお考えの方はなおさら秘密保持の徹底が重要です。会社や従業員、資産を守るために重要な機密情報をコントロールすることをおすすめします。
会社売却後のことも考える
会社を売却した後に何をすべきかを明確にしておくことで、売却後に必要なステップについても計画しやすくなります。会社や事業を統合する場合は、PMIと呼ばれるM&A後の統合プロセスについてしっかり考える必要があります。
事業を大きくしていきたい経営者にとって、このPMIは無視できないでしょう。
PMIについては以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
【関連記事】M&A後のPMI成功の秘訣とは?知っておきたいポイント
会社売却に詳しい専門家に相談する
会社売却の専門知識や経験が豊富な専門家のサポートを受けることで、トラブルを未然に防ぎ、円滑に会社売却を進められます。専門家は、M&A仲介会社や弁護士、会計士などが挙げられます。専門家の支援を活用し、万全の準備を整えていきましょう。
まとめ|会社売却の目的を明確にし、タイミングを考えることが大切
会社売却を成功させるためには、まず売却の目的を明確にし、その目的を達成するために適切なタイミングで売却を進めることが重要です。
さらに会社売却に詳しい専門家のサポートを受けながら、事前準備を徹底することで、売却による影響を最小限に抑え、スムーズな取引を実現できるでしょう。
CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、会社売却のご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。会社売却の相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
CINC Capital取締役執行役員社長。リクルート関連会社や外資系製薬会社、大手・ベンチャー独立系M&A仲介会社で営業組織を牽引。 特にM&A実績の多い業界は調剤・IT・運送業。