CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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支援 / アドバイリー
- 公開日2025.01.16
- 更新日2025.01.21
アドバイザリー契約とは?契約形態や契約書の内容、注意点を紹介
ビジネスの成功には専門知識と豊富な経験のあるアドバイザーによる助言が欠かせません。アドバイザリー契約との契約時に必要な契約となります。
M&Aの場でもアドバイザリー契約は重要です。しかし、はじめてM&Aを実施する企業にとっては、アドバイザリー契約についてわからないことのほうが多いかもしれません。
そこで本記事では、アドバイザリー契約の基本知識から、契約書の内容、注意点までを詳しく解説します。
目次
アドバイザリー契約とは?契約の形態についても解説
専門家にアドバイスを求めるうえで、アドバイザリー契約は非常に重要な役割を果たします。
ここではアドバイザリー契約とは何か、アドバイザリー契約の形態について詳しく見ていきます。
アドバイザリー契約とは?
アドバイザリー契約とは、専門知識を持つアドバイザーが企業に対して助言を提供する契約です。アドバイザーの専門的な知識と経験を活かして、企業の意思決定や運営を効果的に進めることを目的として利用されます。
アドバイザリー契約はM&Aにおいて用いられることが多いですが、M&Aに限らず専門家の助言が必要な場面で登場することが多い契約です。
なお、このときに作成する書類が「アドバイザリー契約書」となります。
アドバイザリー契約の形態
M&Aにおけるアドバイザリー契約は、「専任契約」と「非専任契約」という二つの形態に分類することができます。それぞれの特徴と利点を説明します。
専任契約
専任契約とは、依頼する企業がM&Aアドバイザーと独占的に契約を締結する形態を指します。
専任契約により相談先が統一され、管理・労力の軽減に繋がるのはもちろん、情報漏洩のリスクの軽減が期待できます。
非専任契約
非専任契約とは、依頼する企業が複数のM&Aアドバイザーと同時並行で契約を締結する形態のことを指します。
アドバイザーが増えることで、たくさんの提案が期待でき、買い手候補が増えるといったメリットがあります。一方でアドバイザーや契約の締結先が多い分、情報の管理が難しくなるでしょう。
アドバイザリー契約の費用
アドバイザリー契約を締結する際には、どのような費用がかかるかを理解することが重要です。
ここではアドバイザリー契約における代表的な費用の種類について解説します。
着手金
着手金は、アドバイザリー契約が締結された時点で支払われる初期費用です。
アドバイザーがM&Aに必要な業務を正式に開始するための準備資金として必要とされます。
中間金
中間金は、M&Aや取引の途中で発生する、契約の進捗に応じた費用です。成果報酬の前払いの位置づけとされることが多いです。
成功報酬
成功報酬は、M&Aが成立した場合に支払われる報酬です。M&Aが成立した場合にのみ支払われるため、アドバイザーにとって強力なインセンティブとして機能します。
成功報酬の決め方については、報酬基準額に料率を掛け合わせて成功報酬額を計算する「レーマン方式」を導入するアドバイザーが多いです。
一般的なM&A仲介会社は、最低報酬を2,000万~2,500万円に設定しています。
弊社、CINC Capitalも成功報酬を設けていますが、業界最安値を目指しており、現在成功報酬の金額にしています。
譲渡・売却希望の企業様▶500万円
譲受・買収希望の企業様▶1,000万円
弊社はM&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。
相談をご希望の方はこちらからお問い合わせください。
アドバイザリー契約書の内容と条項
アドバイザリー契約を締結する際に重要なのが契約書の内容です。契約を円滑に進めるためには、詳細な条項を理解することが不可欠です。
アドバイザリー契約では下記の条項が設けられます。
- 目的
- 業務の範囲・内容
- 対価・報酬
- テール条項
- 費用・負担
- 貸与資料
- 直接連絡の禁止
- 専任依頼
- 再委託
- 損害賠償
- 免責
- 秘密保持義務
- 契約の解除
- 権利義務の移転禁止
- 反社会的勢力の排除
- 対象会社の有価証券の売買禁止
- 有効期間
- 存続情報
- 準拠法及び管轄
- 協議
- 署名捺印欄
ここでは、実際に弊社がアドバイザリー契約時に利用している契約書をもとに各条項について解説します。
目的
アドバイザリー契約書には契約の目的が明記されます。
目的を明示することで、契約の範囲や意図が明確になります。報酬が発生する旨もここに記載します。
業務の範囲・内容
アドバイザーが行う業務の具体的な範囲と内容が記載されます。
業務の範囲が曖昧な場合、契約後にトラブルが発生する可能性があります。業務内容は箇条書きで書くことが多く、情報提供以外にも資料作成やスケジュールの立案・調整などが記載されます。
対価・報酬
契約に基づいて支払われる対価や報酬を記載します。具体的な報酬額や報酬の種類、支払いのスケジュールが明記されます。
報酬はアドバイザーで異なるので、アドバイザリー契約を締結する際に企業の報酬について確認が必要です。
テール条項
M&Aアドバイザーとの契約終了後に一定期間にわたって報酬が支払われる「テール条項」が含まれることがあります。
テール条項は、「M&Aの交渉が成立しないままアドバイザリー契約が終了した場合でも、契約終了から一定期間内に譲渡側がM&Aを実行すれば、M&Aアドバイザーに対して手数料等を支払う」という条項です。
テール条項により、アドバイザーは長期的な視点で業務に取り組むことができます。
費用負担
費用の分担が曖昧であると、後々問題になることがあります。トラブルを避けるために、費用負担に関する内容を記載します。
M&A遂行にあたり、出張費や宿泊費、資料作成費などがかかる場合はその旨も記載します。費用負担を明確にすることで、一方が過度に費用を負担する必要がなくなり、契約の納得度が高まるでしょう。
貸与資料
M&A実行に必要な資料や参考データの貸与に関する条項です。
この条項では、提供された資料に誤りがあり、損害が発生した場合は、アドバイザーや仲介者が一切の責任負わないと記載されます。
万が一トラブルがあった際、企業だけでなく、アドバイザーに負担や悪影響が生じる場合があるため、リスク対策として必要な条項です。
直接連絡の禁止
依頼した企業が特定の関係者へ直接連絡することが禁止される条項が含まれることがあります。無断での連絡がトラブルの原因となる場合があるためです。
専任依頼
特定の仕事について「専任依頼」の条項が含まれることがあります。この「専任依頼」の条項があった場合、ほかのアドバイザー、外部専門家に依頼することができません。
アドバイザーや外部専門家は、他社のM&A仲介会社はもちろん、弁護士、公認会計士、税理士、司法書士などが該当します。
万が一違反した場合に「違約金が発生する旨」も記載されるでしょう。
再委託
M&Aを遂行するにあたり、仲介会社以外のアドバイザーやそのほか専門家の支援が必要な場合に再委託可能である旨が記載されます。
ただし、「再委託」について記載がある場合は、「(専任のアドバイザーの)本契約と同等の義務を課す」と、併せて記載が必要です。
専任・非専任に関わらず、すでに依頼しているM&Aアドバイザー以外にも支援が必要になった時にこの条項が機能します。
損害賠償
契約不履行や過失によって生じた損害について記載されます。損害賠償に伴う額については、詳細に記載するか、報酬総額を上限とすることが一般的です。
免責
アドバイザーが一定の条件下で免責される条項が記載されます。
M&Aを遂行した結果だけでなく、M&Aが終了した後の将来の実現可能性についても免責対象と記載するところは多いです。免責条項により、アドバイザーと依頼者の双方のリスクが公平に分配されます。
秘密保持義務
契約に関わる情報を第三者に漏らさない秘密保持義務について記した条項です。機密情報が漏洩すると、事業に重大な影響を与える可能性があります。
ただし、「公的機関からの情報開示要請があった場合は、可能な限り開示すること」、そして「本契約の目的の範囲でのみ使用すること」の2点が追記されます。
情報漏洩を防ぐために、秘密保持義務を明記することは重要です。
契約の解除
契約解除の条件を明確にすることで、トラブルを防ぎます。
契約の解除について具体的な条件が箇条書きで記載されます。依頼者が契約を解除した場合、「費用について支払い義務を免れるものではない」と記載することがあります。
権利義務の移転禁止
契約に基づく権利や義務を第三者に移転することを禁止する条項です。
契約の途中で当事者が変更になることを防ぐ効果があります。権利義務の移転禁止により、契約の安定性が保たれます。
反社会的勢力の排除
反社会的勢力と関わりを持たないこと、反社会的勢力に該当しないことを明記する条項があります。
反社会的勢力との関わりは、企業の信用を失墜させる可能性があるためです。また、この条項では、やってはならない行為についても記載されます。
なお、依頼者だけでなく、M&Aアドバイザーもこの条項について確約・保証されることが多いです。
対象会社の有価証券の売買禁止
買い手候補企業の有価証券を売買することを禁止する条項です。 M&Aについて知っている関係者・企業の有価証券の売買も禁止されます。
依頼者もインサイダー取引には特に注意したいはずです。売買禁止条項により、法的なリスクを回避します。
有効期間
契約の有効期間について明記されます。契約期間の更新の内容についても記載が必要です。
秘密保持については、契約や取引終了後も漏洩を防ぐために別途、存続期間を定めます。
存続条項
契約終了後も存続する条項についての記載があります。一部の条項は契約終了後も有効としているアドバイザーが多いです。
例えば、「〇条及び条項の性質に鑑み当然に存続すべき規定は、期間満了、解除、失効、その他理由の如何を問わず、本契約が終了した後も引き続きその効力を有する。」のような記載がされます。
存続条項を明記することで、終了後のリスク管理が可能になります。
準拠法及び管轄
契約に適用される法律や管轄裁判所について定めた条項です。準拠法及び管轄を設定することで、法的トラブルのリスクを回避します。
協議
契約に関する問題が発生した場合の協議についての条項があります。問題が発生した際に迅速に解決するために設けられます。
署名捺印欄
契約の署名や捺印に関する欄が最後に記載されます。署名捺印欄を設けることで、契約の正式な成立が確認できます。
アドバイザリー契約を締結する際の注意点
ここでは、アドバイザリー契約を締結する際の注意点について解説します。注意点について理解し、M&Aを成功へ導きましょう。
適切なアドバイザーの選定
アドバイザーの選定はとても重要です。アドバイザーの知識や経験が不足していると、期待する成果が得られない可能性が高くなります。
アドバイザーとしてM&A仲介会社をお探しの方は、以下の3つのポイントを押さえると良いでしょう。
- 複数の候補を比較する
- 過去のクライアントの口コミを参考にする
- 専門分野に強い会社を選ぶ
良いアドバイザー選定は、M&A成功の鍵となります。M&A仲介会社に選び方については以下の記事でも解説しています。併せてご覧ください。
【関連記事】安心のM&A仲介会社選び|失敗しないためのポイント・FAとの違い
契約書の内容の確認
アドバイザリー契約を締結する際は、契約書の内容を詳細に確認することが欠かせません。契約書に不備や不明瞭な点があると、後々のトラブルの原因になります。
例えば、業務範囲や報酬体系が明確に記載されていない場合、契約の履行中に意見の相違が生じることがあります。
記載がない、または不備がある場合は、アドバイザーに確認しましょう。
報酬体系や費用の確認
報酬体系や費用の確認も重要です。不明瞭な報酬体系や費用設定は、後に予算オーバーや支払いトラブルに繋がるリスクがあります。
具体的な成功報酬、費用が発生するタイミングを明確にしておきましょう。
まとめ|契約時にアドバイザーとの契約内容、費用について必ず確認を
アドバイザリー契約を締結する際は、アドバイザーとの契約内容、費用についてしっかりと確認しておきましょう。後々のトラブルを未然に防ぐことにつながります。
また、契約内容に関して疑問点があれば必ずアドバイザーや担当の専門家に質問しましょう。
本記事は弊社が実際に利用しているアドバイザリー契約書をもとに解説しています。アドバイザリー契約を検討中の方はお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
CINC Capital取締役執行役員社長。リクルート関連会社や外資系製薬会社、大手・ベンチャー独立系M&A仲介会社で営業組織を牽引。 特にM&A実績の多い業界は調剤・IT・運送業。