CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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M&A / 基礎知識
- 公開日2025.04.11
- 更新日2025.04.14
M&Aの中間報酬とは?費用の相場や計算式、注意点を解説
M&Aを進める際、仲介会社への手数料がどのように発生するのか、どのくらいの費用がかかるのか、疑問を持つ方は多いでしょう。特に「中間報酬」は、M&Aの途中で発生する費用であり、契約内容によっては返金されないため、慎重に確認する必要があります。
本記事では、M&Aの中間報酬とは何か、相場や計算方法、支払い時の注意点について詳しく解説します。
目次
M&Aの中間報酬とは?
M&Aの中間報酬とは、M&Aプロセスの途中で発生する手数料のことを指します。一般的には、基本合意(MOU)締結時に発生するケースが多いですが、契約内容によって異なり、トップ面談やデューデリジェンス(DD)開始時に発生することもあります。また、M&Aの中間報酬は、M&Aが最終的に成立するかどうかにかかわらず、ほとんどの場合で返金されない点が特徴です。
M&A仲介会社は、企業の買収・売却を円滑に進めるために企業価値の評価や交渉支援を行います。その対価として手数料が発生し、その一部を成功前に受け取るのが「中間報酬」です。
完全成功報酬制を採用する仲介会社では、M&Aが成立しなければ手数料が発生しない仕組みを導入している場合もあります。これは売り手企業の負担を軽減し、M&Aのハードルを下げる効果があります。しかし、完全成功報酬制ではトータルの費用が高くなる可能性もあります。
この後のセクションでは、M&Aの中間報酬の相場、計算方法、支払い時の注意点について詳しく説明します。
M&Aの中間報酬の相場
M&Aの中間報酬は、成功報酬の10〜20%程度が相場とされていますが、場合によっては30%近くを請求されるケースもあります。また、一部の仲介会社では成功報酬とは関係なく、100万〜500万円の固定額を設定していることもあります。
例えば、成功報酬が1,000万円の場合、中間報酬として100万〜200万円が発生するケースが多いです。
M&Aの仲介手数料体系は仲介会社によって異なります。中間報酬を設定せず、完全成功報酬制を採用する会社もあるため、契約前に料金体系をしっかり確認することが重要です。
M&Aの中間報酬の計算式
M&Aの中間報酬は、成功報酬の一部として算出されることが一般的です。成功報酬は、多くの仲介会社が採用するレーマン方式によって決定され、譲渡価格に応じた手数料率を適用して計算されます。
例えば、以下のような計算式が用いられます。
- 取引金額が5億円以下の部分→5%
- 取引金額が5億円超~10億円の部分→4%
- 取引金額が10億円超~50億円の部分→3%
- 取引金額が50億円超~100億円の部分→2%
- 取引金額が100億円超の部分が1%
仮に譲渡価格が10億円の場合、成功報酬と中間報酬は以下のように算出されます。
(5億円 × 5%)+(5億円 × 4%)=2,500万円+2,000万円=4,500万円(+消費税)
成功報酬は4,500万円(+消費税)となり、中間報酬を成功報酬の10%とする場合、
4,500万円×10%=450万円(+消費税)
が基本合意時に発生します。
なお、仲介会社によっては固定額で中間報酬を設定するケースもあるため、契約前に計算方法を確認しておくことが重要です。
M&Aにおける中間報酬における注意点
M&Aの中間報酬を支払う際には、いくつかの注意点があります。特に、支払い条件の確認と、仲介会社ごとの費用体系の違いを理解することが大切です。
中間報酬の支払い条件を確認する
M&Aの中間報酬は、基本合意の締結時に発生することが一般的ですが、その支払い条件を事前に確認する必要があります。多くのケースでは、最終契約が不成立となった場合でも、支払った中間報酬は返金されません。ただし、買い手側のデューデリジェンス(DD)の結果によっては、取引が中止される場合もあります。このような場合、中間報酬の取り扱いは契約内容によるため、契約時に明確にしておくことが重要です。
また、仲介会社によっては中間報酬の支払いを「基本合意時」ではなく「買収監査(DD)開始時」、あるいは「トップ面談(初回面談)時」に設定しているケースもあります。そのため、契約時には必ず報酬の発生条件をチェックしましょう。
M&A仲介会社で費用が異なる
M&Aの仲介手数料は、仲介会社ごとに大きく異なります。一部の仲介会社では完全成功報酬制を採用し、中間報酬を設けずに成約時のみ報酬を請求するケースもあります。ただし、完全成功報酬制を採用する会社は依然として少数派であり、主流の仲介会社では中間報酬を設定していることが多いため、契約前にしっかり確認することが重要です。
費用体系の違いによって、M&Aにかかる総額が大きく変わるため、契約前に仲介会社の料金体系を詳細に比較することが重要です。特に、不成立時の費用負担を最小限に抑えるためには、成功報酬のみの仲介会社を選ぶのも一つの選択肢です。
M&A中間報酬とその他の費用
中間報酬のほかにも、M&Aに関わる手数料には成功報酬、相談料、着手金、月額報酬などがあります。それぞれの費用について詳しく説明します。
成功報酬
成功報酬とは、M&Aが最終的に成立した際に支払われる手数料のことを指します。多くのM&A仲介会社では先述したレーマン方式を採用し、譲渡価格に応じた手数料率を適用して計算されます。
成功報酬のみを請求する仲介会社もあり、特に『完全成功報酬制』を採用する場合は、成功報酬の割合が高く設定される傾向があります。また、一部の仲介会社では最低成功報酬額(例:500万円以上)を設けている場合があり、小規模M&Aでも一定の成功報酬が発生する点には注意が必要です。
相談料
M&Aを検討する際に、仲介会社や専門家に相談することで発生する費用です。
近年では無料相談を提供する仲介会社も増えており、初期相談段階では費用がかからないケースも多いです。しかし、詳細な企業価値評価や法務・財務の専門的なアドバイスを求める場合には、相談料が発生することがあります。
着手金
着手金とは、M&Aの交渉を正式に開始する際に支払う費用のことを指します。主に企業価値評価や資料作成、買い手または売り手候補の探索にかかるコストとして請求されます。着手金を不要とする仲介会社もあるため、契約前に確認しましょう。
月額報酬
月額報酬とは、M&Aプロセスが進行する間、仲介会社に対して毎月支払う費用です。完全成功報酬制の仲介会社では月額報酬を設定していない場合もあるため、費用体系をよく確認しましょう。
まとめ|M&Aを実施する前に自社の価値や費用がどのくらいかシミュレーションすることが大切
M&Aを成功させるためには、事前に自社の価値を把握し、かかる費用をシミュレーションすることが不可欠です。企業価値を正しく評価することで、適正な売却価格を設定し、適切な交渉が可能になります。
また、M&Aには中間報酬や成功報酬のほか、着手金や(主に外資系のFAで発生する)月額報酬など、多くの費用が発生します。これらの総額を事前に試算し、資金計画を立てることで、予期せぬコストの発生を防げます。
仲介会社の料金体系を十分に理解し、不要なコストを避けることがM&Aの成功につながります。企業価値の評価とコスト管理を徹底し、より有利な条件でM&Aを進めましょう。
CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。