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M&Aでよくあるトラブルとは?未然に防ぐためのポイントや相談先について解説

M&A / 基礎知識

  • 公開日2025.05.01
  • 更新日2025.05.01

M&Aでよくあるトラブルとは?未然に防ぐためのポイントや相談先について解説

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M&Aは新たな成長や事業承継の有力な手段として注目を集めていますが、取引の過程や統合プロセスで生じるトラブルも少なくありません。

本記事では、M&Aでよくあるトラブルの事例や未然に防ぐポイント、万が一トラブルが起きた際の相談先について解説します。

M&Aでよくあるトラブルとは?

M&Aの進め方が不適切であったり、情報収集が十分でない場合、様々なトラブルが発生する恐れがあります。代表的なトラブル事例を挙げながら、その原因を解説します。

買収価格を適正に評価しないことで損失を招く

企業価値を正しく評価せずに高額で買収してしまうと、財務面での負担が大きくなり、資金繰りが逼迫する要因となります。これは特に、事業を拡大しようと意気込む中小企業にとって大きなリスクです。

過大評価された企業を買収した場合、投資回収の目処が立たず、買収後の運営や追加資金調達が困難に陥ることもあります。

簿外債務を見落として予期せぬ負担を背負う

企業の財務状況や負債の詳細を正しく把握できていないと、買収後に簿外債務が発覚する可能性があります。これは思わぬ費用負担を引き起こし、当初の事業計画にも大きな狂いを生じさせるリスクがあります。

具体的には、口頭での借入や契約のほか、役員への貸付金や未払給与、将来の退職金負担、税務上の問題など、多岐にわたるリスクが存在する可能性があります。

従業員の離反を招いて組織運営に支障をきたす

買収後、方針変更や報酬体系の変化などに対する不満が蓄積すると、従業員が一斉に退職する可能性があります。これにより、技術や取引先との関係性といった企業の強みが一気に失われる懸念もあります。

投資回収のため先行してリストラを実施するなど、買い手側の一方的な運営方針が従業員の信頼を損ない、業績悪化につながる事例も少なくありません。

文化の違いを軽視して統合に失敗する

企業文化や経営理念が大きく異なる者同士が統合を進めても、それぞれの強みを発揮できる体制を作り上げなければ、シナジーは得られません。組織風土の摩擦が高まり、従業員同士のコミュニケーションが停滞するおそれもあります。

特に中小企業のM&Aでは、これまでの社内慣習や個人との信頼関係が大きな意味を持ちます。このあたりを軽視すると、買収後の混乱が続き、客観的には小さな衝突でも当事者間には深刻な問題として認識される可能性が高いです。

契約内容を曖昧にして法的リスクを増やす

M&Aに関わる契約書で権利や義務を明確にしないまま締結すると、後になって「聞いていた話と違う」といった齟齬が発生するおそれがあります。追加費用や損害賠償を巡るトラブルに発展すれば、時間とコストの大きな浪費となります。

M&Aのトラブルを未然に防ぐためのポイント

M&Aに潜むリスクを回避するには、初期段階から周到な準備を行うことが欠かせません。以下では、主に注意すべきポイントを解説します。

デューデリジェンスを徹底して簿外債務の発見を防ぐ

企業買収時の重要なプロセスがデューデリジェンスです。財務情報はもちろん、契約関係や訴訟リスク、知的財産など、総合的に調査を行うことで、いわゆる“隠れた負債”の発見を促します。法務DD、財務DD、税務DD、ビジネスDDなど複数の観点から、専門家によるデューデリジェンスを実施しましょう。

公的情報源や信用調査会社のデータも活用しながら調査範囲を広げることで、不正確な情報や見落としを防ぐことができます。急を要する取引でも、入念な調査なくして安易に進めるのは避けましょう。

従業員とのコミュニケーションを強化して大量離職を防止する

買収の背景や今後のビジョンを正確に伝えることで、従業員の不安を和らげ、組織の結束を維持することができます。特に中小企業では、人員が少ないため、一人ひとりが担う役割が大きく、離職の影響は深刻です。

具体的には、説明会や面談の機会を設けたり、経営方針を共有するレポートを定期的に発行するなど、こまめな対応が重要です。従業員の声を吸い上げる仕組みを整備することで、買収後の段階的な変化にも円滑に対応できます。

買収後の業績悪化を避けるために事業計画を精査する

M&Aにおいては、買収後の新体制のもとでどのように事業を成長させるかが鍵となります。初期段階から、売り手企業の強みや弱み、競合環境などを正しく把握し、現実的な事業計画を作成することが大切です。

とりわけ、中小企業では後継者や新オーナーのビジョンと既存従業員の考え方を合わせる作業が欠かせません。経営資源や予算配分を検討しつつ、長期的な視点で持続可能な計画を策定することを心がけましょう。

企業文化の違いを理解して統合プロセスを円滑に進める

企業文化の違いは数値化が難しい要素ですが、統合作業において非常に重要なポイントです。互いが大切にしている価値観や働き方のスタイルを把握することで、統合プロセスをスムーズに進められます。

実際には文化融合の専門家や組織コンサルタントを招くなど、時間と費用をかけた取り組みが必要となる場合もあります。長期的な成果を生み出すために、初動での誤解や無理な方針転換を避け、双方の積極的な歩み寄りを促す環境を整えましょう。

法的リスクを最小限に抑えるために契約内容を詳細に確認する

契約書の精査は法的リスクを抑えるうえで不可欠です。条件や責任の分担を不明確にしてしまうと、後になって紛争に発展しやすくなります。

専門家のレビューを受けるだけでなく、自社としての経営方針やリスク許容度を考慮しながら、細部の取り決めを行うことが望ましいです。書面で明確に記していれば、トラブル発生時にもスムーズに対応できます。

M&Aでトラブルが発生したときの相談先

万が一、トラブルが生じた際には早期に専門機関や専門家に相談することが重要です。以下に、代表的な相談先を紹介します。

事業承継・引継ぎ支援センター

各都道府県に設置されている公的機関で、後継者不足対策やM&Aに関する情報提供を行っています。無料相談を受け付けており、専門家紹介も可能なため、初めてのM&Aにおいても気軽に活用できます。

公的支援機関であるため、売り手・買い手双方の公平なサポートを受けられるのが特徴です。複雑な案件でも、事業承継としての視点から適切なアドバイスを得ることができます。

M&A支援機関協会 苦情相談窓口

M&A支援機関協会が設置している苦情相談窓口は、仲介会社(※同協会の幹事会員や正会員のM&A支援事業者)とのトラブルや不当な契約内容に関する苦情を受け付けています。第三者的視点からのアドバイスを得られるため、公平な解決につながりやすいです。

仲介契約での手数料トラブルや、契約書の内容を巡る紛争など、具体的な事例についても相談が可能です。必要に応じて弁護士などの専門家とも連携しているため、安心感を持ってトラブル解決を図れます。

M&A仲介会社の相談窓口

既に契約を結んでいる仲介会社があれば、まずは担当者に直接事情を伝えて対処を求めることが一般的です。契約内容に含まれるサポート範囲や補償についての確認も大切になります。

仲介会社が問題解決に積極的でない場合は、別の専門家や公的機関を併用する方法を検討しましょう。自社だけでの交渉では限界があるため、早めに外部リソースを活用することが得策です。

まとめ|専門家のサポートを活用し、円滑なM&Aの実現を

M&Aには大きな可能性がある一方、準備や情報収集を怠ると深刻なトラブルを招くリスクもあります。事前に想定される課題に対処し、専門的なサポートを活用することで、円滑なM&Aを実現しましょう。

M&Aを成功させるためには、デューデリジェンスをはじめとした徹底した事前調査だけでなく、買収後の従業員との関係や企業文化の統合にも十分な配慮が欠かせません。過去の失敗例から学び、契約書や仲介会社の選定、専門家の活用など、多岐にわたる対応が必要となります。

公的機関が提供する無料相談やガイドラインを活用しながら進めれば、トラブルを回避する確率は高まります。経営環境の変化が激しい時代において、次なる成長や事業承継の選択肢としてM&Aを考えるなら、慎重かつ戦略的なアプローチが大切です。

 

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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