CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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M&A / 基礎知識
- 公開日2024.12.17
- 更新日2025.01.22
M&Aの完全成功報酬とは?メリットやデメリット、会社選びのポイント
近年、M&Aは企業の成長戦略の手段として活用される機会が増えています。大きな取引となるため、中にはM&A仲介会社の支援を希望する企業もいるでしょう。
M&A仲介会社は、費用や報酬に「完全成功報酬制」を取り入れているところがあります。しかし、初めてM&Aを行う企業は、この「完全成功報酬制」について不明な点が多いはずです。
本記事では、M&Aの完全成功報酬制とは何か、完全成功報酬制のメリット・デメリット、M&A仲介会社の選び方のポイントを解説します。
目次
M&Aの完全成功報酬とは?
M&Aの完全成功報酬とは、M&A仲介業者やアドバイザーに支払う報酬形態の一種で、取引が実際に成立した場合にのみ発生する費用のことです。
買収や売却が完了しない限り、事前の着手金や中間金などは発生しません。完全成功報酬モデルは、依頼者にとって初期費用の負担を抑えつつ、仲介業者が成功に向けて全力を尽くすインセンティブとなります。特に中小企業のM&Aやリスクを重視する場面で採用されることが多い形態です。
M&Aの完全成功報酬制のメリット
ここでは、M&Aの完全成功報酬制のメリットを何点かご紹介します。メリットを理解し、M&A仲介会社を選ぶ時の情報として役立てましょう。
初期費用を抑えることができる
完全成功報酬制は、M&Aが成約しない限り費用が発生しません。特に資金が限られている中小企業におすすめです。初期費用の心配をすることなく、M&Aを進めることができるでしょう。
完全成功報酬制ではない場合、M&A実施の有無にかかわらず、手数料が発生することがあります。このM&A手数料の発生の有無は契約の内容や条件によって変わります。
M&A仲介会社と契約する際に費用と契約内容について確認が必要です。
M&A仲介会社の成約に対するモチベーションが高い
完全成功報酬制のM&A仲介会社が報酬を得るためには、M&Aを成約しなければならないため、成約に向けて全力でサポートしてくれます。
M&A仲介会社は成約に向けて、適切な買い手を探し出し、交渉を成功に導くための努力を惜しまず、顧客の利益を最大限にするための支援を行います。
資金繰りに負担をかけない
完全成功報酬制では、契約成立まで報酬を支払う必要がないため、売り手側の資金繰りに余裕を持たせることができます。
これは特に、現金の流動性に限りがある企業にとって大きなメリットです。例えば、売却が成立するまで余計な支出が発生しないため、資金計画を明確に立てやすくなります。
また、買い手側にとっても事前のコスト負担が不要であるため、交渉の敷居が低くなり、双方にとって安心感をもたらします。完全成功報酬制は、資金管理が厳しい企業でもM&Aプロセスを負担なく進められる重要な要因です。
成約後の報酬体系が明確である
完全成功報酬制では、報酬が成約金額に基づいて明確に定められるため、コストの透明性が高いというメリットがあります。
売り手や買い手は、契約前に具体的な費用を把握できるため、予算管理がしやすくなります。不明確な追加費用が発生しない点も、安心して仲介会社に依頼できる理由の一つです。
例えば、成約後に「想定外の費用」が発生する心配がないため、最終的な資金計画を立てやすくなります。このような明確な報酬体系により、M&Aプロセスにおけるコスト管理がよりスムーズに進められます。
M&Aの完全成功報酬制のデメリット
M&Aの完全成功報酬制にはメリットがある一方で、デメリットも存在します。ここではM&Aの完全成功報酬制におけるデメリットについて解説します。
報酬が高額になりやすい
M&Aが成約した場合、成約後の報酬がM&A仲介会社の唯一の収入源になるため、一度の報酬が高額になる傾向があります。
M&Aの成約金額の数%を成功報酬として求める仲介会社も多く、これが予想以上の大きな出費となることがあります。完全成功報酬制にはレーマン方式が用いられることが多く、レーマン方式の料率は1~10%の間になることが多いです。
レーマン方式についての詳細は、以下の記事をご覧ください。
【関連記事】レーマン方式とは?種類や計算式、メリットについて解説
成約に至らない可能性がある
完全成功報酬制は、契約が成立しなければM&A仲介会社は報酬を得られません。そのため、成約の確実性が低い場合には仲介会社の積極的な対応が期待できないことがあります。
例えば、非常にニッチな業界でのM&Aや、買い手企業の選定が難しい場合など、M&A仲介会社がリスクを避けて他の案件に注力する可能性もあるので注意が必要です。
M&Aが実施されない可能性があることも念頭に置きましょう。この問題を解決するために、M&A仲介会社との相談のタイミングで、成約の可能性について確認することをおすすめします。
小規模案件では仲介会社が対応しづらい場合がある
成功報酬制では、報酬額が案件規模に比例するため、小規模案件は仲介会社にとって利益が薄いと判断される場合があります。その結果、小規模案件に対するサポートが不十分になることや、対応を断られる可能性も考えられます。
例えば、売却金額が1,000万円以下の案件では、仲介会社のコスト回収が困難となり、手厚いサポートを期待するのが難しい場合があります。これにより、小規模事業者は選択肢が限られる状況に直面することもあるため、対応可能な仲介会社を慎重に選ぶ必要があります。
M&Aでかかる手数料や報酬体系
M&A仲介会社の支援をもらう際に、支払う手数料や報酬体系は以下のものがあります。
- 相談料
- 着手金
- 月額報酬(リテイナーフィー)
- 中間報酬
- 成功報酬
相談料
相談料は、M&Aの相談時に発生する費用です。適切なアドバイスや基本的な流れ、相談の回答を業務と考え、相談の時からお金が必要になるM&A仲介会社もあります。
ただし、弊社CINC Capitalを含め「無料相談」を実施している企業は多い傾向です。
着手金
着手金は、M&A仲介会社に正式な依頼をしたタイミングで支払う費用です。
M&A仲介会社や専門家が本格的に作業を開始するための前提条件として設定されています。したがって、M&A仲介会社で働く人の、人件費の位置づけが強いです。
着手金は、M&Aが成約に至らなかった場合でも返金されないため、注意が必要です。
月額報酬(リテイナーフィー)
月額報酬は、継続的なコンサルティングサービスに対する報酬(費用)です。M&Aアドバイザーやコンサルタントが活動するための人件費や実費として支払われます。
M&Aプロジェクトが完了するまで支払い続ける必要があるので、交渉が長引くほどトータルで支払う月額報酬は増えることになります。
中間報酬
中間報酬は、M&Aの基本合意の締結時に発生する手数料です。基本合意とは、売り手と買い手の双方が基本的な条件に合意を示すための契約のことを指します。
なお、この中間報酬は、後述する成功報酬の額に含めているM&A仲介会社も多いです。
また、まれに中間報酬を支払うタイミングが基本合意の締結時でない場合もあるため、初期の相談時にしっかり確認する必要があります。
成功報酬
成功報酬は、M&Aが成立した場合に支払われる手数料であり、M&A手数料の大半を占めています。この手数料は、M&Aプロジェクトの成果に対して支払われるものです。
成功報酬費用の算出には、レーマン方式と呼ばれる計算方法が一般的に用いられています。
なお、多くの仲介会社は成果報酬の下限値を定めています。これを最低報酬額と言います。レーマン方式で算出された額が最低報酬額より低かった場合、最低報酬額が優先されます。
完全成功報酬制のM&A仲介会社を選ぶときのポイント
ここでは、M&A仲介会社を選ぶ際に意識してほしい4つのポイントについて解説します。選ぶときに抑えてほしいポイントは、以下のとおりです。
- 報酬・費用が明確であるか
- 自社の業界で、実績や経験があるか
- 幅広いネットワークがあるか
- 担当者との相性が良いか
これらのポイントを全て押さえたM&A仲介会社への依頼がおすすめです。各ポイントを理解し、M&A仲介会社の選定に役立てましょう。
報酬・費用が明確であるか
料金体系が不明瞭だと、予期せぬ高額請求が発生するリスクがあります。また、予算がある場合は予算の金額を上回ってしまう可能性があります。
相談料や着手金などの有無の確認はもちろん、成功報酬で用いられる算出式や料率っも確認しましょう。報酬・費用が明確な仲介会社を選ぶことで、安心して契約を進めることができます。
自社の業界で、実績や経験があるか
自社の業界の専門知識や経験が豊富なM&A仲介会社を選択することで、適切な提案やサポートが期待できます。
M&A仲介会社が自社の関わる業界で、実績や経験があるかどうか確認することが大切です。M&A実施にあたって考えられる業界特有の課題やリスクについても、解決策を掲示しながら円滑に進めることができるでしょう。
幅広いネットワークがあるか
支援候補のM&A仲介会社に下記のようなネットワークがあるか確認をしましょう。
- 売り手や買い手の案件が豊富にある
- M&Aに詳しい専門家とつながりがある(税理士、弁護士、会計士など)
案件やつながりの多いM&A仲介会社は、より多くの選択肢や情報を提供できます。適切な買い手を見つけやすくなるのはもちろん、専門家のサポートもあり、円滑なM&Aが期待できるでしょう。
担当者との相性が良いか
M&Aの成功には長期間にわたる密なコミュニケーションが必要となるため、信頼関係を築ける担当者かどうかを見極めることも大切です。
初回の相談で、担当者の対応やコミュニケーション能力、人柄の確認を行います。相性が良ければ、スムーズな情報共有が可能です。また、効率的かつ円滑なM&Aプロセスを進めることも期待できるでしょう。
まとめ|M&Aにおいて成果重視で費用をかけるなら、完全成功報酬制がおすすめ
完全成功報酬制を選ぶことで、成果を重視しつつ、初期費用やリスクを抑えることができます。これにより、費用対効果の高い取引が可能です。
完全成功報酬制のメリットを最大限に活用するために、信頼できるM&A仲介会社を選びましょう。
CINC Capitalでは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
CINC Capital取締役執行役員社長。リクルート関連会社や外資系製薬会社、大手・ベンチャー独立系M&A仲介会社で営業組織を牽引。 特にM&A実績の多い業界は調剤・IT・運送業。