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【早見表あり】M&Aのレーマン方式とは?成功報酬の計算方法や種類、メリット、注意点を解説

支援 / M&A仲介

  • 公開日2024.12.15
  • 更新日2025.05.28

【早見表あり】M&Aのレーマン方式とは?成功報酬の計算方法や種類、メリット、注意点を解説

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M&Aを検討する企業にとって、仲介会社へ支払う「成功報酬」は大きな関心事のひとつです。

なかでも広く採用されているのが、報酬率が段階的に下がる「レーマン方式」です。

この記事では、レーマン方式の仕組みや計算方法、種類ごとの違い、他の報酬体系との比較、そして利用時の注意点などを解説します。

レーマン方式とは

レーマン方式とは、M&Aにおける成功報酬の計算方法で、米国の大手投資銀行リーマン・ブラザーズに由来します。

取引金額に応じて報酬率が段階的に下がるスライド式が特徴です。明確な基準を持つため、M&A仲介アドバイザリー契約で広く使用されています。

レーマン方式の計算方法

レーマン方式の基本計算式は以下の通りです。

成功報酬額=報酬基準額(円)×報酬率(%)

M&Aが成立した場合、報酬基準額に報酬率をかけた金額が、成功報酬額として売り手企業からM&A仲介会社に支払われます。

レーマン方式の手数料率の早見表

レーマン方式の手数料率の設定は各仲介会社によって異なります。

今回はレーマン方式の計算例を、当社(CINC Capital)の基準表に沿って説明します。

報酬基準額 料率
5億円以下 4%
5億円超 10億円以下 3.5%
10億円超 50億円以下 2.8%
50億円超 100億円以下 1.8%
100億円超 に該当する部分 0.8%

レーマン方式を使った成功報酬の計算例

例えば、ある売り手企業がM&Aに成功し、報酬基準額が20億円だったとします。報酬基準額20億円の場合、以下のように計算します。

報酬基準額 料率 計算 各料率における成功報酬額
5億円以下 4% 5億×4% 2,000万円
5億円超 10億円以下 3.5% 5億×3.5% 1,750万円
10億円超 50億円以下 2.8% 10億×2.8% 2,800万円

各料率における報酬額を全て足した額が、成功報酬額となります。

2,000万円+1,750万円+2,800万円 = 6,550万円

報酬基準額20億円の場合、6,550万円が成功報酬額です。表にある報酬基準額の低い額から順番に計算して、足していく必要があります。

「報酬基準額が20億円だから、『10億円超、50億円以下』の料率である2.8%を20億円に掛ける(5,600万円)」というわけではないので注意が必要です。

レーマン方式の種類

レーマン方式は以下の4つの種類に分類できます。

  • 株価方式
  • オーナー受取額方式
  • 企業価値方式
  • 移動総資産方式

ここでは、レーマン方式の種類について解説します。

株価方式

株価方式はM&Aにより、譲渡された株式の譲渡対価を報酬の基準額とする方式です。

株式の売却額に対して料率をかけるため、株式以外が含まれず、比較的コストを抑えやすい方式です。

オーナー受取額方式

株式の譲渡額に、オーナー(経営者)やオーナーの親族からの借入金・役員借入金を加えた金額を報酬の基準額とする方式です。

売り手企業のオーナーは、会社を買い手企業に引き渡した後、会社に貸していたお金を返却してもらいます。結果として、その返却してもらったお金と株式の譲渡額を足すような形になります。

企業価値方式

企業価値方式は、株式の譲渡対価にすべての有利子負債総額を加えた金額を報酬の基準額とする方法です。株式の譲渡額、家族や役員からの借入金、銀行などの借入金なども含めます。

会社を譲渡した時は、売却益が手に入るだけでなく、銀行などから借りていた負債からも解放されます。この負債も含めたものを「企業価値」として考えたものです。

株価方式やオーナー受取額方式よりも、多くの報酬が必要でしょう。

移動総資産方式

移動総資産方式は、移転する純資産額に総負債を加えた金額を報酬の基準額とする方式です。

株式の譲渡額、すべての借入金、そして買掛金や未払金なども含めるため、報酬基準額が他の3つの方式よりも大きくなります。

自社にどのくらい借入金や買掛金、未払金があるのかよく確認する必要しましょう。

レーマン方式を活用するメリット

レーマン方式にはいくつかメリットがあります。ここでは、レーマン方式のメリットについて解説します。

M&Aにかかる費用を事前に予測できる

報酬基準額さえ把握できれば、ご自身で成功報酬額を計算することが可能です。公式サイトを持っているM&A仲介会社の多くが、料金形態や採用しているレーマン方式の種類について掲載しています。

各M&A仲介会社の報酬基準額、レーマン方式の種類、その他手数料を把握することで、事前に費用を予測することが可能です。

取引額が大きくなるほど報酬料率が下がる

レーマン方式の大きな魅力の一つは、取引金額が大きくなるほど段階的に報酬料率が下がる仕組みにあります。これは、M&Aの規模が拡大しても、仲介手数料が比例して増え続けることを防ぐための制度設計です。

もしレーマン方式がなく、譲渡額に対して料率をかけて成功報酬額を決めた場合、以下のような差が出てしまいます。

  • A社:5億円(基準報酬額)× 5%(料率)= 2,500万円
  • B社:50億円(基準報酬額) × 5%(料率)= 2億5,000万円

※基準報酬額に5%をかけるだけの方式(算出)の場合

上記の例のように、取引規模に関係なく、基準報酬額に料率をかける方式を採用した場合は、取引の規模が大きいほど、割高に感じるでしょう。

レーマン方式では、5億円の譲渡では最初の5,000万円に対して5%、次の5,000万円に対して4%といったように、段階的に手数料率が逓減していきます。この仕組みにより、売却価格が高くなるほど実質の手数料率は抑えられ、コストパフォーマンスが高くなる点が魅力です。

報酬額が大きくなりすぎることを防げるため、買い手・売り手の双方にとってコスト面での安心感が得られます。結果として、大型のM&A案件でも納得のいく条件で交渉を進めやすくなり、成約に向けた意思決定もスムーズに行えるようになります。

料金体系が明確で依頼者と仲介会社の双方に納得感がある

レーマン方式は、段階的な手数料率が明確に定義されているため、料金体系の透明性が高く、依頼者と仲介会社の双方にとって納得感のある契約が成立しやすいという特徴があります。

報酬額の計算方法があらかじめ公開されており、契約前に最終的な費用のイメージを把握しやすいため、料金に関するトラブルを回避しやすくなります。例えば、「譲渡価格のうち最初の1億円に対して5%、次の1億円に対して4%」というように、細かく設定された料率が提示されることで、仲介業者の報酬に対する根拠が明確になります。

また、交渉段階から成約後まで、一貫した費用構造をもとに進行できるため、企業経営者にとっても安心材料となります。特にM&Aが初めての中小企業経営者にとっては、料金の不透明さが大きな不安要素となりがちなため、明快な体系は信頼構築においても有効です。結果として、依頼者と仲介会社の間で対等かつ健全な関係性を築くことが可能となります。

レーマン方式を利用する際の注意点

レーマン方式はM&Aにおける報酬計算方法として広く採用されていますが、利用する際にはいくつかの注意点があります。

ここでは、レーマン方式を利用する際の注意点について説明します。

算出に使用する取引金額に注意する

レーマン方式では取引金額に基づいて報酬が算出されるため、どの取引金額を基に計算するのかを確認することが大切です。

  • 株価方式=株式の譲渡額

  • オーナー受取額方式=株式の譲渡額+オーナーと役員の借入金

  • 企業価値方式=株式の譲渡額+オーナーと役員の借入金+金融機関からの借入金

  • 移動総資産方式=株式の譲渡額+オーナーと役員の借入金+金融機関からの借入金+買掛金や未払金

レーマン方式の種類で取引金額が異なります。予想以上に高い報酬を支払う可能性があるため、事前に取引金額の範囲を確認することが大切です。
また、併せて料率についても確認しておくと良いでしょう。

成功報酬に最低報酬が設定されている場合がある

M&A仲介会社によっては、成功報酬に最低金額が設けられていることがあるため、事前に確認が必要です。

最低金額が設けられていると取引金額が少額でも、高額な成功報酬を支払わなければならない場合があります。

売り手企業のオーナーの中には連帯保証から解放されたいという理由で、「連帯保証さえ解消できれば、M&Aの譲渡額は無くても良い」という考え方をお持ちの方もいるかもしれません。

しかし、最低成功報酬が定められていた場合は費用が発生し、予想以上の支払いに追われてしまうことがあります。予想を超える支払いを避けるために、最低成功報酬は必ず確認しましょう。

ほかに発生する手数料がないか確認しておく

レーマン方式を採用している場合でも、他の手数料が発生することがあります。代表的な費用・手数料として以下の3つが挙げられます。

  • 着手金
  • 中間報酬
  • 月額報酬(リテイナーフィー)

ここでは、各手数料や費用について解説します。

着手金

着手金は、M&A仲介会社に相談をした際に発生する手数料です。

正式に業務委託契約を締結する前の相談に対して、M&A仲介会社に料金を支払います。相談の段階ではまだ具体的な契約や手続きは行いません。

中には、相談に対するハードルを低くする目的で、着手金を無料に設定している会社もあります。

中間報酬

中間報酬は、M&Aの基本合意の締結時に発生する手数料です。

基本合意とは、売り手と買い手の双方が基本的な条件に合意を示すための契約を指します。基本合意の内容には、M&Aの基本条件や企業調査の期間、最終契約までのスケジュールなどが含まれています。

なお中間報酬は、後述する成功報酬の額に含めている仲介会社も多いです。

月額報酬(リテイナーフィー)

月額報酬(リテイナーフィー)は、継続的なコンサルティングサービスに対する報酬です。

M&Aアドバイザーやコンサルタントが活動するための人件費や実費として支払われます。

M&Aプロジェクトが完了するまで支払い続ける必要があるので、交渉が長引くほどトータルで支払うリテイナーフィーは増えることになります。

レーマン方式以外の成功報酬体系は?

レーマン方式はM&A仲介手数料の代表的な体系ですが、それ以外にも多様な報酬形態が存在します。

最後に、レーマン方式以外の主要な成功報酬体系について解説します。

固定報酬型

固定報酬型は、M&Aの成立有無にかかわらず、あらかじめ決められた報酬額を支払う形式です。固定報酬型の最大の特徴は、成功報酬の変動がないため、コスト予測がしやすい点にあります。特に、取引規模が小さい場合や、成功率に左右されず一定のサポートを受けたい企業に適しています。

例えば、企業が事業譲渡を検討する際、M&A仲介業者に対し「着手金+月額顧問料」といった形で固定費用を支払うケースがあります。固定報酬型では、報酬が取引金額に比例しないため、買い手側との条件交渉において中立性が保たれやすいというメリットもあります。

一方で、成果が出なくても報酬が発生するため、クライアントにとってはリスクと感じられる場合もあります。したがって、固定報酬型は費用対効果を十分に見極めたうえで選択すべき方式と言えるでしょう。

逆レーマン方式

逆レーマン方式は、レーマン方式とは逆に、取引金額が大きくなるほど手数料率が高くなる成功報酬体系です。規模が大きなM&A案件において仲介業者のインセンティブを強くするために導入されることがあります。

通常のレーマン方式では、取引金額が増えるほど手数料率が下がる仕組みですが、逆レーマンではその逆を行くことで、大型案件における仲介者のモチベーションを維持しやすくなります。例えば、10億円以上のディールであれば、通常1%前後の手数料が、逆レーマン方式では2%になるといったケースもあります。

ただし、手数料が高くなりすぎるとコスト負担が重くなるため、売り手・買い手ともに契約前の入念な交渉が必要です。また、業者によってはこの方式を導入していないことも多いため、事前に契約内容の確認が不可欠です。企業規模が大きく、スピードや積極性を求めるケースで適応を検討するとよいでしょう。

完全成功報酬型

完全成功報酬型は、M&Aが成立したときにのみ報酬が発生する仕組みで、着手金や中間報酬は一切不要です。完全成功報酬は、企業にとって初期コストがかからず、結果が出た場合にのみ費用が発生する点で魅力的です。

特に中小企業や資金に余裕のない売り手企業にとっては、リスクを最小限に抑えたうえでM&Aを進めることができるため人気があります。例えば、譲渡先が決まり、契約が締結されるまで一切の費用が発生しないため、交渉段階でのコスト不安を抱えることなく安心して進められるという利点があります。

一方で、仲介業者にとっては報酬が確実に得られる保証がないため、案件の優先度が下がる可能性があります。また、失敗時の業者の責任が不明確になりやすいという指摘もあるため、実績や信頼性をしっかりと見極めた上で依頼することが重要です。完全成功報酬型は、リスクを抑えつつ成果を重視したい企業に適した選択肢といえるでしょう。

【関連記事】完全成功報酬とは?

まとめ|M&A仲介会社でレーマン方式の報酬は異なるため、事前に各社を比較することが大切

レーマン方式はM&Aの報酬計算において有用な方法ですが、仲介会社ごとに報酬の条件が異なるため、詳細を確認し比較することが大切です。
事前に各社のレーマン方式や費用を確認することで、ご自身での予算の見積もりをすることができます。

CINC Capitalのレーマン方式は「株価レーマン方式」を採用し、費用も極限まで抑え、業界最低水準手数料に挑戦しています。

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この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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