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M&Aの着手金とは?相場や会計処理の方法、支払い前に確認すべきポイントを解説

M&A / 基礎知識

  • 公開日2025.04.10
  • 更新日2025.04.14

M&Aの着手金とは?相場や会計処理の方法、支払い前に確認すべきポイントを解説

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M&A着手金は、専門家へ業務委託をする際に発生する初期費用です。案件規模により費用相場が大きく異なり、成約の有無にかかわらず返金されないという特徴があります。

近年は着手金無料の完全成功報酬制のサービスも増えているため、着手金の有無による違いを知りたい方も多いのではないでしょうか。

本記事ではM&Aにおける着手金の基礎知識のほか、会計処理の方法、支払い前の確認ポイントを解説します。また、着手金がかからない完全成功報酬制を採用するM&A仲介会社についても触れますので、ぜひ参考にしてください。

M&Aの着手金とは?

M&Aの着手金は、仲介会社をはじめとする専門家との「アドバイザリー契約(=業務委託の一種)」の契約時に必要な費用です。

ここでは、仲介会社における着手金の利用用途や、支払うタイミングについてご紹介します。

M&Aの着手金の利用用途

一般的にM&Aの着手金は、候補企業の業界分析・財務資料の作成・最適なマッチング先の選定プロセスなどに活用されます。

一部のM&A仲介会社では、グローバルネットワークを活用した幅広いリサーチに着手金を使用します。仲介会社にとって着手金は、成約率向上を図るために必要な経費といえるでしょう。

着手金を支払うタイミング

着手金の支払いタイミングは、契約形態や仲介会社の料金体系に応じて変わります。もっとも一般的なのは、M&Aアドバイザリー契約(業務委託契約)締結直後の一括払いです。一般的には、売り手企業も買い手企業も契約を締結した時点で着手金を支払います。

このほかに、業務進捗に応じて月々の費用を支払う月額制を採用する仲介会社もあります。例えば、着手金が300万円かつ6カ月の調査期間が必要な案件では、ひと月あたり50万円ずつ、6回に分割して支払うことになります。なお、最近は成約時の成功報酬から着手金分を差し引く「ハイブリッド型(着手金+月額報酬)」も採用されています。

自社の資金繰り状況や費用対効果を総合的に検討し、最適な支払い方法・タイミングを選ぶことが大切です。

M&Aにおける着手金の相場

着手金の相場は、M&A案件の規模や複雑さ、仲介会社によって大きく異なりますが、100~500万円が相場とされます。

企業価値評価や買い手探索にかかる専門家の工数から算定し、案件の複雑さや必要な作業量により金額が変動します。業種特有のノウハウが必要な案件では、金額が高まる傾向にあります。

一方、近年は「レーマン方式」による成功報酬体系の普及にともない、着手金を抑えた契約形態が登場しています。

売り手側における着手金の会計・税務処理

ここでは、売り手側における着手金の会計・税務処理について解説します。

株式譲渡の場合

株式譲渡の場合、法的な売り手は株主であり、M&A仲介会社との契約も本来は株主が締結します。個人株主が着手金を支払う場合は、個人の支出となり、将来の株式譲渡益から控除できる取得費として扱われます。

一方、法人株主が着手金を支払う場合は、支払った法人における費用として計上されます。なお、売却対象企業(株式発行会社)が着手金を支払う場合は、株主のために支払った費用となり、株主への寄附金や配当金として扱われる可能性があるため注意が必要です。

事業譲渡の場合

事業譲渡の場合、売り手は企業自身となり、M&A着手金は支払った時点で「業務委託費」や「コンサルティング費用」などとして費用計上するのが一般的です。M&Aの成否にかかわらず、通常は発生した事業年度の販売費および一般管理費として処理され、税務上も損金算入が認められます。

なお、株式譲渡であっても実務上は売却対象企業がM&A仲介会社と契約し着手金を支払うケースが多く見られますが、この場合は税務上の取扱いに注意が必要です。こうした複雑な状況では、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

買い手側における着手金の会計・税務処理

続いて、買い手側における着手金の会計・税務処理について解説します。

株式取得の場合

M&Aが成立した場合、着手金は取得株式の付随費用として取得原価に含めて資産計上するのが一般的です。その際、支払時点では費用として認識されず、将来の株式売却時まで税務上の損金算入は繰り延べられます。

一方で、M&Aが不成立となった場合は、発生した事業年度の費用(通常は販売費および一般管理費)として計上でき、税務上も事業活動に関連する支出として損金算入が認められることが一般的です。

事業譲渡・合併の場合

M&Aが成立した場合、着手金は取得した事業用資産の付随費用または繰延資産として処理されることが多く、税務上も一定期間にわたって償却することで損金算入が可能です。一方、M&Aが不成立となった場合は、発生した事業年度の費用として計上でき、税務上も損金算入が一般的に認められます。

なお、M&Aスキームを検討する過程で複数の方式を並行して検討していた場合や、スキームが途中で変更になった場合は、着手金の性質や処理方法が変わる可能性があります。適切な会計・税務処理については、必ず専門家への相談をおすすめします。

着手金を支払う前に確認しておくべきポイント

M&A仲介契約の標準約款では、着手金を「業務着手の対価」と定めています。そのため、着手金は成約の有無にかかわらず支払いが必須で、一度支払うと、原則として戻ってくることはありません。ここからは、着手金を支払う前に知っておきたいこと、そして着手金無料の仲介会社の特徴について解説します。

着手金の用途について確認しておく

着手金の用途について事前に確認しておきましょう。一般的に、着手金はM&A仲介会社が提供する初期サービスの対価として使用されます。具体的には、「案件概要書(ノンネームサマリー)の作成」「企業価値評価」「市場調査」「買い手・売り手候補企業のリストアップと初期アプローチ」などの活動に充てられます。

M&A仲介会社によってサービス内容は異なるため、契約前に具体的な活動内容について明確な説明を受けることが重要です。なお、弁護士や会計士などの外部専門家の費用は通常、着手金とは別に発生することが多いため、この点についても事前に確認しておきましょう。

着手金は支払い後に返金されない

M&A仲介契約の着手金は、成約の有無にかかわらず返金されません。そのため、案件成立の可能性を確認せずに支払ってしまうと、数百万円単位での損失が発生するリスクがあります。着手金を支払う前に、以下の点を確認することをおすすめします。

  • 過去の類似案件の成約実績(業種・規模・M&A手法など)
  • 担当者の経験年数と専門性(業界特化型か否か)
  • 買い手ネットワークの広さと質
  • 着手金の使途と具体的な活動内容
  • 着手金と成功報酬のバランス

特に中小企業のM&Aでは、業界に精通した経験豊富な担当者の存在が成約率を大きく左右します。着手金の金額だけでなく、これらの観点から総合的に判断することが重要です。

着手金無料の仲介会社の特徴を把握しておく

近年のM&A市場では、「完全成功報酬制」を採用する仲介会社が注目を集めています。この制度は、成約時のみに報酬が発生し、着手金・中間金・月額報酬が不要である点が大きな特徴です。

特に中小企業のM&Aでは、資金負担を抑えながらリスクを回避する仕組みとして普及が進んでいます。着手金がかからない「完全成功報酬制」のメリット・デメリットは以下の通りです。

着手金無料のメリット

完全成功報酬制のメリットは、資金調達に余裕がない企業でもM&Aを検討できることです。成約するまで費用が発生しないため、経営判断のハードルが下がります。また、買い手企業側にも着手金負担がないため、候補先の選択肢が広がり、適切なマッチングがしやすくなります。

着手金無料のデメリット

完全成功報酬制の場合、仲介会社によっては成約可能性の高い案件を優先する傾向があります。ただし、中小企業専門のM&A仲介会社や、特定業界に特化した仲介会社では、案件規模に関わらず専門性を活かした丁寧なサポートを提供するところも増えています。仲介会社選びの際は、過去の類似案件の実績や、担当者の経験・専門性を確認することが重要です。

まとめ|着手金の仕組みを理解して、M&Aを実施しよう

M&A着手金は仲介会社との契約時に必要な初期費用ですが、その金額や支払い方法は多様化しています。費用は一括払いが一般的であるものの、月額制やハイブリッド型などの支払い方法を選択できるサービスも多くなっている状況です。

着手金の会計処理や税務上の取り扱いでは、慎重な判断が求められ、個別のケースに関しては専門家に相談するのが望ましいでしょう。着手金は返金されないため、支払う前に仲介会社の実績や使途を確認し、自社に最適なサービスをお選びください。     

弊社CINC Capitalでは、業界最低水準の手数料体系を実現し、着手金についても柔軟な対応を行っています。また、業界歴10年以上の担当者または業界特化型の担当者のみがご案内することで、高品質なサービスをご提供しています。

さらに、マーケティングテクノロジーを活用したM&A仲介業務の効率化により、お客様の負担を最小限に抑えながら、最適なM&Aをサポートいたします。M&Aに関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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