CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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支援 / アドバイリー
- 公開日2025.04.22
- 更新日2025.04.23
M&Aブティックとは?M&A仲介との違いや業務内容、メリットデメリットを解説
M&Aを検討しているものの、「M&AブティックとM&A仲介の違いが分からない」「どのブティックを選べばよいのか迷っている」と感じていませんか?
M&Aは企業の将来を左右する重要な取引であり、適切なアドバイザーを選ぶことが成功の鍵を握ります。しかし、M&Aブティックにはさまざまな種類があり、それぞれ得意分野や報酬体系が異なるため、どこに依頼すればよいのか分かりにくいのが実情です。
本記事では、M&Aブティックの基本情報から、M&A仲介・投資銀行との違い、選び方のポイントまで詳しく解説します。M&Aを成功させるために、ぜひ最後までご覧ください。
目次
M&Aブティックとは?
M&Aブティックとは、M&A(企業の合併・買収)を専門に扱うアドバイザリー企業の総称です。明確な定義があるわけではなく、一般には少数精鋭の体制で専門性の高い助言業務を行う企業を指します。主に、案件規模が比較的小さく、特定の業界や分野に特化していることが多い点が特徴です。ここでは、M&AブティックとM&A仲介会社、投資銀行との違いについて解説します。
M&A仲介会社との違い
M&A仲介会社とM&Aブティック(FA会社)の主な違いは、クライアントへの関わり方と立場の取り方です。
M&A仲介会社は、売り手と買い手の双方の間に立ち、中立的な立場で条件調整と交渉を行い、取引の成約に導く役割を果たします。主に中小企業の事業承継案件を中心に扱い、豊富な買い手ネットワークを活かしたスピーディーなマッチングを強みとしています。ただし、同時に双方の利益を調整する関係上、一方の立場に寄り添った戦略的助言には限界があるケースもあります。
一方、FA会社に該当するM&Aブティックは、基本的に売り手か買い手のいずれか一方のクライアントに専属して支援を行います。交渉戦略の立案や企業価値評価、相手企業との折衝において、依頼主の利益を最大化する立場からアドバイスを提供します。特に、複雑なスキームや高額なディール、外資系企業との取引などにおいては、FA型のM&Aブティックが適しています。
ただし、前述のとおり「M&Aブティック」という呼び名は業界内で曖昧に使われることがあるため、実際には仲介型のビジネスモデルであっても、自社をM&Aブティックと称する企業も存在します。そのため、企業の規模やブランドだけでなく、実際の業務範囲や関与の仕方を確認したうえで依頼先を選定することが大切です。
投資銀行との違い
M&Aブティックと投資銀行の違いは、提供するサービスの範囲と案件規模にあります。投資銀行は、M&Aのアドバイザリー業務だけでなく、資金調達(IPO支援、社債発行)、市場分析など、幅広い金融サービスを提供します。一方、M&AブティックはM&Aに特化しており、クライアントのM&A戦略の実行を徹底的にサポートします。
また、投資銀行は超大型案件(数百億円以上)を取り扱うことが一般的です。グローバルなネットワークを活かし、国際的なM&Aやクロスボーダー案件に強みを持っています。一方、M&Aブティックは、中堅・中小企業の案件にも対応でき、規模の大小に関わらず柔軟な支援が可能です。
さらに、投資銀行は主に大企業向けのアドバイザリー業務を行い、金融商品を絡めたM&Aを得意とします。対してM&Aブティックは、買収・売却のプロセスに深く関与し、クライアントにとって最適なスキームを設計することに注力します。特に、PMI(統合後のマネジメント支援)まで対応するブティックもあり、M&A成立後の経営統合をサポートできる点も特徴の一つです。
M&Aブティックに依頼するメリットとデメリット
M&Aを成功させるためには、適切なアドバイザーを選ぶことが重要です。M&Aブティックを利用することにはメリットやデメリットがあるため、事前に理解する必要があります。ここではM&Aブティックに依頼することで得られるメリットと、注意すべきデメリットについて解説します。企業の規模や目的に応じて、最適なM&Aパートナーを選ぶ際の参考にしてください。
M&Aブティックに依頼するメリット
M&Aブティックに依頼することで、専門的なアドバイスを受けながら、戦略的にM&Aを進められる点が大きな利点です。
M&Aは複雑なプロセスを伴うため、適切なサポートがなければスムーズに進めることが難しくなります。
M&Aブティックは、特定の業界や企業規模に特化した知識を持ち、専門性の高いアドバイスを提供します。特に、企業価値評価(バリュエーション)や契約交渉、買い手・売り手のマッチングにおいて、経験豊富な専門家がサポートするため、クライアントにとって有利な条件を引き出せます。さらに、M&Aブティックは個別のニーズに対応しやすいため、柔軟な支援を受けられる点も強みとなります。
また、中小企業やニッチ市場のM&Aにも対応可能な点もメリットの一つです。大手投資銀行が手掛けない規模の案件でも、M&Aブティックは適切な買い手・売り手を見つけ、取引を成功に導きます。企業オーナーの意向を尊重しながら進められるため、事業承継の場面でも有効です。
M&Aブティックに依頼するデメリット
M&Aブティックは専門的なサービスを提供するため、手数料が高額になることが多いです。一般的に成功報酬型の料金体系を採用していますが、着手金やリテイナー(顧問料)を求める場合もあります。特に中小企業にとっては、費用負担が大きくなる可能性があるため、事前に報酬体系を確認することが重要です。
また、M&Aブティックは特定の業界や取引規模に特化している場合が多いため、自社の案件に適したブティックを選ぶ必要がある点もデメリットとなります。特定の分野で強みを持つブティックは、その分野に特化した知見を活かせる一方で、異なる業界の案件には対応が難しくなることがあります。そのため、自社のM&A目的に合致したブティックを選定しなければ、期待した成果が得られない可能性があります。
さらに、ブティックごとに交渉スタイルが異なるため、担当者との相性も重要な要素となります。M&Aは交渉が成功の鍵を握るため、ブティックの交渉力や戦略が自社に適しているかを慎重に見極めることが大切です。
M&Aブティックの主な企業一覧
M&Aブティックは、日本国内だけでなく海外にも多数存在し、それぞれ異なる強みを持っています。ここでは、国内で主要なM&Aブティックと、外資系M&Aブティックの代表企業について紹介します。
国内のM&Aブティック
日本国内には、多くのM&Aブティックが存在し、それぞれ異なる強みを持っています。中小企業向けのM&A支援に特化した企業が多く、地域密着型のブティックも見られます。一方で、大手企業やクロスボーダーM&Aに強みを持つ独立系アドバイザリー会社も増えています。
国内の代表的なM&Aブティックには、株式会社日本M&AセンターやM&Aキャピタルパートナーズ株式会社があります。日本M&Aセンターは、中小企業の事業承継に特化し、全国の地方銀行や会計事務所と連携しながらM&Aをサポートしています。M&Aキャピタルパートナーズは、完全成功報酬型のM&A支援を提供し、スピーディーな成約を強みとしています。
また、株式会社レコフは日本でいち早くM&Aアドバイザリー業務を展開した老舗企業であり、中堅・大企業向けのM&Aにおいて豊富な実績を誇ります。四大監査法人系のデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社やPwCアドバイザリー合同会社もM&A支援を行い、財務・税務・法務の包括的なサポートを提供しています。
国内のM&Aブティックは、それぞれ異なる業界や企業規模に特化しているため、自社のニーズに合ったブティックを選ぶことが重要です。
外資系M&Aブティック
外資系のM&Aブティックは、グローバル規模のM&Aやクロスボーダー案件に強みを持っています。特に、欧米を拠点とする投資銀行系のM&Aブティックは、超大型案件の取り扱いや多国籍企業間のM&Aにおいて豊富な実績を持っています。
代表的な企業として、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーが挙げられます。これらの企業は、金融業界やテクノロジー業界のM&Aを数多く手掛け、資金調達とM&Aを組み合わせた総合的な支援を提供しています。また、ラザードは、独立系のM&Aアドバイザリー企業として、企業再生案件や政府関連のM&Aにも対応しています。
さらに、ロスチャイルド&カンパニーは欧州を代表するM&Aアドバイザリー企業であり、長期視点での経営戦略を支援することが特徴です。米国系のエバーコアやモーリス&カンパニーは、特定の業界に特化したM&Aアドバイザリーを提供し、ハイレベルな交渉力を持つことで知られています。
外資系M&Aブティックを利用することで、国際的な買い手・売り手とのマッチングや、大規模案件の資金調達支援が可能になります。ただし、外資系ブティックは手数料が高額であることが多いため、依頼する際には報酬体系を事前に確認することが重要です。
M&Aブティックの業務内容
M&Aブティックは、M&A戦略の策定、候補先の選定・マッチング、企業価値評価(バリュエーション)、デューデリジェンス、契約のサポート、クロージングおよびPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)のサポートに至るまで、幅広い業務を担います。ここでは、M&Aブティックが提供する主要な業務内容について解説します。
M&Aアドバイザリーとしての役割
M&Aブティックは、M&A戦略の策定から実行までを一貫してサポートする役割を担います。企業の成長戦略や事業承継の実現には、適切なM&Aスキームの設計が不可欠です。
M&Aのプロセスでは、企業の財務状況や市場動向を分析し、最適な戦略を立案することが求められます。M&Aブティックは、クライアントの目標に応じたM&A戦略を構築し、案件ごとに適切な進め方を提案します。さらに、交渉のサポートや買収スキームの立案など、専門的なアドバイスを提供する点が強みです。
M&Aの成功には、適切な相手先の選定や交渉の進め方が重要です。M&Aブティックのサポートを受けることで、スムーズにM&Aを進められる可能性が高まります。
企業価値評価(バリュエーション)
M&Aにおいて、企業の適正な価値を評価することは重要なステップです。売り手と買い手の双方が納得できる取引を実現するために、企業価値評価(バリュエーション)が必要になります。
企業価値の評価方法には、DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法、類似企業比較法、純資産評価法などがあります。M&Aブティックは、企業の財務情報や市場環境を詳細に分析し、最適な評価手法を選択します。特に、中小企業のM&Aでは、財務データの透明性が低いケースもあるため、M&Aブティックの専門知識が欠かせません。
適切な企業価値評価を行うことで、M&Aの交渉をスムーズに進めることが可能になります。買収価格の妥当性を示す材料としても機能するため、バリュエーションはM&Aの成功に直結します。
買い手・売り手のマッチング
M&Aを成功させるためには、適切な買い手・売り手を見つけることが不可欠です。自社にとって最適な相手を選定することが、M&A後のシナジー効果を最大化するポイントになります。
M&Aブティックは、独自のネットワークを活用し、買い手・売り手のニーズに合致する企業をマッチングします。特に、未公開情報を扱うM&Aでは、売り手が直接買い手を探すのは困難です。そのため、M&Aブティックの仲介を通じて、適切な候補企業を見つけることが重要になります。
適切なマッチングが行われることで、スムーズな交渉が可能になります。また、業界特化型のM&Aブティックを活用することで、業界知識を活かした精度の高いマッチングが期待できます。
デューデリジェンスの支援
M&Aのプロセスでは、対象企業の財務状況やリスクを詳細に調査するデューデリジェンスが不可欠です。デューデリジェンスを適切に行うことで、買収後のトラブルを未然に防ぐことができます。
デューデリジェンスには、財務、法務、税務、人事、ITなど、さまざまな分野の調査が含まれます。M&Aブティックは、各分野の専門家と連携し、対象企業の潜在リスクを明らかにする役割を果たします。買収後に発生しうる問題を事前に把握し、適切な対策を講じることで、M&Aの成功率を高めることができます。
特に、中小企業のM&Aでは、財務・法務の整備が不十分なケースが多いため、デューデリジェンスの重要性が増します。M&Aブティックの支援を受けることで、リスクを最小限に抑えた取引が可能になります。
契約交渉とクロージングのサポート
M&Aの最終段階では、契約交渉とクロージングの手続きを円滑に進めることが求められます。契約内容の調整を誤ると、M&A後のトラブルにつながる可能性があるため、慎重に進める必要があります。
M&Aブティックは、売買契約の作成や最終交渉をサポートし、取引が円滑に進むように調整します。買収資金の受け渡しや、法的手続きを確実に遂行することで、M&Aの成功率を向上させます。また、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)の支援を行うブティックもあり、M&A後の統合プロセスを円滑に進める役割を果たします。
契約交渉の段階では、適切な条件交渉を行うことで、クライアントにとって有利な条件を引き出すことが可能になります。
M&Aブティックを選ぶ際のポイント
ここでは、M&Aブティックを選ぶ際に確認すべきポイントとして、「取り扱う案件規模」「料金体系」「得意業界」「実績・過去のM&A事例」「コンサルタントの専門性や評判」について詳しく解説します。自社に合ったM&Aブティックを選ぶ際の参考にしてください。
取り扱う案件規模(中小企業向けか、大手向けか)
M&Aブティックを選ぶ際には、自社の規模やM&Aの目的に適したブティックを選定することが重要です。ブティックごとに得意とする案件の規模が異なるため、自社のニーズに合った企業を選ばなければなりません。
中小企業の事業承継を目的としたM&Aであれば、中小企業向けのM&Aブティックが適しています。日本M&AセンターやM&Aキャピタルパートナーズのように、地方銀行や会計事務所と連携しながら、事業承継案件を支援する企業が強みを発揮します。一方、大手企業やクロスボーダーM&Aを検討している場合は、外資系のM&Aブティックや投資銀行系のM&Aアドバイザリーを選ぶことが有効です。
自社の案件規模とブティックの専門領域を照らし合わせ、適切な選択をすることで、よりスムーズなM&Aを進められます。
料金体系(成功報酬型か、固定報酬型か)
M&Aブティックを利用する際には、報酬体系を事前に確認し、コストを把握することが必要です。料金体系はブティックごとに異なり、一般的には成功報酬型と固定報酬型の2つの方式が存在します。
成功報酬型では、M&Aが成立した際にのみ報酬が発生するため、初期費用の負担を抑えられるというメリットがあります。特に中小企業のM&Aでは、この方式が採用されることが多く、企業側のリスクが少なくなります。ただし、成功報酬率が高めに設定されている場合もあるため、契約前に報酬体系を詳細に確認することが重要です。
一方、固定報酬型では、着手金や月額フィーが発生するため、案件が成立しなくても費用がかかる点に注意が必要です。しかし、交渉の初期段階からブティックのサポートを受けられるため、戦略的なM&Aを進めたい企業には適しています。
M&Aブティックを選ぶ際には、料金体系とサービス内容を比較し、自社にとって最適なプランを選択することが求められます。
得意業界(IT、製造、ヘルスケアなど)
M&Aブティックを選定する際には、自社の業界に精通したアドバイザーを選ぶことが成功の鍵となります。M&Aの交渉では、業界特有のビジネスモデルや規制に関する知識が求められるため、業界ごとの専門知識があるブティックを活用することが有効です。
例えば、IT業界のM&Aでは、知的財産権やソフトウェアの評価が重要になります。一方、製造業では、設備や工場の評価がポイントとなるため、それらに強みを持つブティックを選ぶことが望ましいです。また、ヘルスケア業界では、医療機関のM&Aや薬事規制の理解が必要となるため、医療関連のM&Aを多く手掛けているブティックを選定することが重要です。
M&Aブティックの公式サイトや過去の実績を確認し、自社の業界に精通した企業を選ぶことが成功につながります。
実績や過去のM&A事例
M&Aブティックを選ぶ際には、過去の実績やM&A事例を確認し、その企業の強みを把握することが重要です。実績が豊富なブティックほど、成功する可能性が高まります。
特に、自社と類似した業界・規模のM&A実績があるブティックを選ぶことで、スムーズな交渉が期待できます。ブティックの公式サイトには、過去の成約事例や案件の特徴が掲載されていることが多いため、事前に確認することをおすすめします。
また、M&Aリーグテーブルのランキングも参考にできます。成約件数や取引額のデータをもとに、実績豊富なブティックを選定することで、安心して交渉を進めることが可能になります。
コンサルタントの専門性や評判
M&Aブティックを選ぶ際には、担当コンサルタントの専門性や評判も重要な要素となります。M&Aは高度な交渉が求められるため、経験豊富なコンサルタントが担当するかどうかが、成功の鍵を握ります。
コンサルタントの専門性を確認する方法としては、過去の担当案件や経歴をチェックすることが有効です。また、口コミや評判を参考にすることで、実際の対応力や交渉力を把握できます。信頼できるブティックを選ぶためには、事前に担当者と面談を行い、適切なアドバイスを受けられるかを確認することが大切です。
まとめ|自社に最適なM&Aブティックの選定を
M&Aブティックは、M&Aの成功を支援する専門家集団です。M&A仲介会社や投資銀行とは異なり、クライアントに寄り添いながら、企業価値評価や交渉、クロージングまで一貫したサポートを提供します。
M&Aブティックを選ぶ際には、案件規模や得意業界、料金体系、過去の実績、コンサルタントの専門性を慎重に見極めることが重要です。特に、自社のM&A戦略に適したパートナーを選ぶことで、交渉を有利に進められる可能性が高まります。
適切なM&Aブティックと協力することで、M&Aの成功確率を高め、企業の成長や事業承継をスムーズに実現することが可能です。M&Aを検討している企業は、本記事の内容を参考にしながら、自社に最適なM&Aブティックを選定してください。
CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。