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M&AにおけるPMIとは?意味や目的、タイミング、成功させるためのポイント

PMI

  • 公開日2024.10.30
  • 更新日2025.01.31

M&AにおけるPMIとは?意味や目的、タイミング、成功させるためのポイント

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M&Aは企業成長のための重要な手段ですが、M&Aが成功した後も成長を続けるためには、PMIの実施が不可欠です。

本記事では、M&Aの後にある「PMI」とは何か、そしてPMIを円滑に進めるための成功のポイントを5つお伝えします。

PMIとは?

PMI(Post Merger Integration)とは、M&A成立後に、異なる企業文化や業務プロセスを統合し、シナジー効果を最大化するためのプロセスを指します。M&Aの成功には、単なる企業の売買ではなく、買収後のスムーズな統合作業が不可欠です。PMIでは、経営方針の統一、人事制度やITシステムの統合、業務プロセスの最適化などが行われます。

統合が円滑に進まない場合、社員の離職や業務の非効率化といった問題が発生する可能性があります。そのため、M&Aの成功を左右する重要な要素として、計画的なPMIの実施が求められます。

PMIを始めるタイミングと必要な期間

M&A後にPMIは実施されますが、実は適切なタイミングと期間が存在します。

ここでは、PMIを始めるタイミングと期間について解説します。

PMIを開始するタイミング

PMI開始のタイミングは、M&Aのクロージングにあたる、最終契約書を締結した後です。ただし、計画や準備はM&Aの検討・交渉の時点で始めることをおすすめします。

早期からPMIの計画立案をすることで、PMIに必要なプロセスが円滑に進むだけでなく、シナジー効果による結果も大きく異なるでしょう。

特に、文化の統合や業務プロセスの調整など、時間を要する課題に対処するためには、早期の準備が必要です。

具体的なタイミングとして、専門家にM&Aについて相談する時や基本合意書を締結する時が当てはまります。PMIを成功させるために早い段階で準備を進めていきましょう。

PMIに必要な期間

PMIに必要な期間は、買い手企業により変わります。100日で一定の成果が出るように計画することもあれば、3年間を目標に買い手企業と計画することもあります。

PMIは単なる事業の統合ではなく、組織文化の融合、業務プロセスの整備、従業員の再配置など、多岐にわたるタスク があります。これらが適応し、事業として効果を発揮するには時間がかかることを理解しておきましょう。

また、事業規模によっては1年以上かかることがあります。長期的な目線でPMIの準備・計画を実施することが望ましいです。

M&A後のPMIの流れ

ここでは、PMIの具体的な流れと各フェーズの業務内容について解説します。

M&A後のPMIは、以下の9つのステップで進んでいきます。

  1. 初期検討
  2. 戦略設計
  3. M&A実施
  4. 従業員に周知
  5. 統合イベント実施
  6. 合意形成
  7. 統合プロジェクト運用開始
  8. 課題対応
  9. 業務プロセス・文化の浸透

それぞれのステップで行われる具体的な 内容について見ていきましょう。

初期検討

M&Aの目的やその後の事業計画をもとに、早い段階でPMIの内容や計画を考えることがPMI成功の鍵となります。

M&A仲介会社などの専門家の助言をもらいながら、統合の目的と目標を明確にし、リスク評価やPMIがもたらすメリットについて考えましょう。

戦略設計

戦略設計により、PMI全体の具体的なロードマップが作成されます。これにより、具体的な業務や役割が明確になり、PMIを実 施した時の混乱を避けることができます。

戦略設計をしっかり実施すると、この後に控えるステップが円滑に進むでしょう。

M&A実施

M&Aの最終契約書を締結し、企業や事業の売買を完了させます。このステップを経て、本格的なPMIの実施に向けて動いていきます。

従業員に周知

統合に関する情報を従業員へ共有します。質疑応答 の時間を交えた、全社ミーティングなどを行います。透明性を持った情報の共有や従業員のモチベーションの維持に繋がるような時間を作ることが大切です。

統合イベント実施

統合イベントの目的は、「売却 ・合併した企業と一丸となって事業を盛り立てよう」という熱い思いをメッセージとして伝える ことです。

また、統合イベントでは経営者からの代表メッセージ、統合内容の説明 などが行われます。

統合プロジェクト運用開始

計画した内容(統合プロジェクト)を実行に移します。事業の内容の変更、従業員の異動、必要があれば取引や契約の内容の変更を実施しましょう。

課題対応

統合前からあった企業の課題や、 各企業が統合したことで発生した課題について随時対応・解決していきます 。緊急性のある課題は統合1日目から100日目の間で解決にあたり、101日目以降は残る課題の解決にあたります。

課題が残ると、その課題が足かせとなり、PMI成功から遠ざかります。課題には真摯に取り組みましょう。

業務プロセス・文化の浸透

業務プロセスと文化の浸透は、PMIの最終ステップです。売却された企業は、買収した企業の業務プロセスや文化を理解する必要があります。また、統合したことで生まれた新たな業務もあるでしょう。

文化や業務の浸透はすぐ実現できるものでは ないため 、教育に力を入れたり、浸透に時間がかかる可能性 を考慮して 業務計画を立てたりすることが大切です。

【買い手向け】PMIで失敗しないためのポイント

  1. 緻密な経営戦略とプロジェクト作成
  2. 適切な人材の抜擢
  3. 一貫性のある人材活用
  4. 従業員への周知

緻密な経営戦略とプロジェクト作成

経営戦略やプロジェクトが明確でなければ、統合の目的や進捗が曖昧になり、失敗のリスクが高まります。統合時・統合後のリスクや課題を予測し、できるだけ細かく経営戦略やプロジェクトを作成しましょう。経営陣が対応する手順についても計画に加えておくと尚良いです。

適切な人材の抜擢

PMIではPMIを成功させるために支援チームを作ります。適切な人材を支援チームに抜擢 することで、PMIは効率的かつ効果的に進行します。M&AやPMIを成功させるために、役 員やM&Aの専門知識がある従業員を支援チームに参加させることが望ましいです。

状況によっては経営者(社長)自ら支援チームに参加 することもあります。実力のある人材の抜擢がPMI成功のポイントです。

一貫性のある人材活用

一貫して同じ人材が統合に携わることで、統合後の混乱を最小限に抑えられます。経営統合前の計画の段階では役員が関わっていたものの、統合後は役員ではなく、従業員に任せようと考えている企業も中にはいるかもしれません。

引き継ぎができていれば良いというわけではなく、M&Aに至るまでの状況を理解していることが大切です。また、統合先の担当者にとっても、コミュニケーションを取る相手が変わらないことはトラブルなく統合を行うための安心材料となります。

PMIを成功に導くためにも、統合前後で一貫した人材を活用していきましょう。

従業員への周知

統合に伴う変化に対し、従業員が不安を感じないように周知を積極的に実施しましょう。統合前に従業員に向けた情報共有 や質疑応答の時間などを設け、統合に対する不安の払拭をしながら、統合に向けた心の準備をさせる ことが大切です。

従業員の不満はPMIでの課題となってしまうので、不満を最小限にするためにも周知の徹底が必要となります。

【売り手向け】PMIで失敗しないためのポイント

売却後のビジョンを明確にする

M&Aの成約はゴールではなく、統合後の企業運営が円滑に進むかどうかが重要なポイントです。売り手企業は、売却後に事業や従業員がどのような環境に置かれるのかを明確にし、買い手企業と共にビジョンを共有することが求められます。

従業員の雇用維持や企業文化の継承、取引先との関係性について、どのような形が理想なのかを具体的に考え、買い手企業とすり合わせておくことがPMI成功の鍵となります。

従業員と買い手企業の橋渡しをする

M&Aによる経営統合において、大きな影響を受けるのは従業員です。統合の過程で組織体制や経営方針が変わるため、不安を抱える従業員が増えることが予想されます。

そのため、売却前から買い手企業の方針や経営戦略を把握し、従業員に適切な情報を伝えることが重要となります。売却後の体制について十分な説明を行い、統合に向けた心構えを促すことで、従業員の混乱を防ぐことができます。買い手企業の経営陣とも密に連携し、従業員がスムーズに新体制へ移行できるようサポートする姿勢が求められます。

取引先との関係維持をサポートする

M&A後に取引先の不安を最小限に抑えるためには、売却前からの調整が不可欠です。買収による経営体制の変化を理由に取引を見直す企業も少なくないため、事前に取引先との信頼関係を築き直すことが求められます。

特に、長年にわたって取引を続けてきた企業に対しては、M&A後も事業が継続されることを説明し、安心感を与えることが必要です。売り手企業の代表や経営陣が一定期間関与し、取引先との関係をサポートすることで、統合後の事業運営の安定につながります。

売却後の関与レベルを決めておく

M&A後、売り手企業の経営者やキーマンがどの程度関与するかは、統合の成否を左右する重要な要素となります。完全に経営から手を引くケースもあれば、一定期間顧問やアドバイザーとして残るケースもあります。

どの形が適切かは、M&Aの目的や買い手企業の方針によって異なるため、売却前の交渉段階で明確にしておくことが重要です。統合の初期段階では売り手企業の知見が必要になる場面も多いため、統合が安定するまでの一定期間は支援する形を取ることで、M&A後のスムーズな移行を実現できます。

PMIの成功事例

ここでは実際にあったPMIの成功事例について紹介します。

サントリーがビーム社を1兆6,500億で買収

サントリーは2014年にビーム社を1兆6,500億円で買収し、売上9.4%増を達成しました。

PMIの成功要因は、ビーム社の伝統を尊重しつつ、コントロールを行った点にあります。サントリーは蒸留所の統合を行わず、ビーム社の精神を尊重。さらに、新製品開発のためのグローバルイノベーションセンターも設立しました。

伝統を守り、革新を恐れない姿勢が、両社のシナジーを生み出しました。

まとめ|PMI成功の鍵は計画と適切な人材の活用

M&A後のPMIを成功させるためには、明確な戦略設計と計画的な統合プロセスの実施が不可欠です。特に、緻密な経営戦略の策定、適切な人材の選定、一貫性のある組織運営、従業員への十分な周知の4つのポイントが、スムーズな統合を実現する鍵となります。

また、PMIは単なる業務の統合ではなく、企業文化の調整や従業員の意識統一も求められるため、時間をかけた計画的な対応が必要です。成功事例からもわかるように、買収先の伝統や強みを尊重しながらシナジーを生み出すことが、PMIを成功へと導くポイントとなります。

M&AやPMIには専門的な知識と経験が求められるため、スムーズな統合を実現するためには専門家のアドバイスを活用することが重要です。計画的かつ慎重な対応で、M&Aの成功とその後の企業成長を確実なものにしていきましょう。

CINC Capitalでは、M&A仲介会社としてM&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーも在籍しております。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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