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クリーニング業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.04.21
  • 更新日2025.04.21

クリーニング業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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2025年、日本のクリーニング業界は大きな転換点を迎えています。市場は長期的に縮小を続け、後継者不足・設備の老朽化・環境規制強化といった三重苦に直面しています。この危機を背景に、業界では大手による中小店舗の買収や無店舗型サービスへの業態転換といったM&A戦略が活発化しているのです。

本記事では、クリーニング業界の業界動向やM&Aの傾向、事業承継・会社売却におけるメリット・デメリット、成功のポイント、注意点などを売り手目線で徹底解説します。

クリーニング業界の市場動向

「矢野経済研究所」が行った調査によると、2022年国内クリーニング市場は、前年から5.9%増の2,713億5,000万円に達しました。2025年現在の最新データでは、徐々に回復傾向にあるものの、コロナ禍以前の水準には戻っていない状況です。

販路別の分析では、従来型の店頭「クリーニング店」が前年より10%増の1,600億円に急伸し、コロナ禍で大打撃を受けた2021年から回復しました。その後もビジネス活動の正常化にともない、緩やかな回復が続いています。対照的に、パンデミック下でも堅調な成長を維持してきた「コインランドリー」市場は拡大を続け、「無店舗・宅配型」サービスも新たな顧客層を獲得しています。

しかし、長期的に見るとクリーニング業界の市場規模は縮小傾向にあります。少子高齢化と人口減少が加速する日本社会において、クリーニング業界は今後も生き残りをかけた厳しい競争が避けられない状況です。

【出典】株式会社矢野経済研究所「クリーニング関連市場に関する調査を実施(2023年)」

クリーニング業界が抱える課題

クリーニング業界は現在、複数の深刻な課題に直面しており、これらが業界全体の縮小傾向を引き起こしています。以下では、主な課題について詳しくお話しします。

経営コストの増加

クリーニング業界は今、原材料費とエネルギー価格の急騰という二重の苦境に立たされています。ドライクリーニングに不可欠な有機溶剤の価格は急上昇し、2022年のウクライナ危機によりガス料金も史上最高水準まで高騰しました。複合的なコスト増が、業界全体の収益構造を根本から揺るがしています。

ビジネスウェアのカジュアル化

近年はクールビズなどの普及により、スーツやフォーマルウェアの着用機会が減少したといわれています。新型コロナウイルスの感染拡大以降、テレワークが急速に普及したことも、スーツ離れの大きな要因です。「スーツを着なくてよくなった」という状況が生まれ、結果的にクリーニング需要が大幅に減少したといえます。

家庭洗濯への移行

形状記憶ワイシャツや水洗いできるスーツなど、衣類の高機能化が進み、家庭で簡単に洗濯できる時代になりました。さらに洗濯乾燥機や洗剤、アイロンなどのホームクリーニング機器も高性能化し、以前はクリーニング店に出していた衣類を自宅で洗う消費者が増えています。

ノーアイロン仕様のワイシャツの普及も、クリーニング店を利用する社会人の減少につながっています。かつては当たり前であった「クリーニング文化」が日本社会から失われつつあることが、クリーニング市場縮小の一因といえるでしょう。

クリーニング業界のM&A最新動向(2025年)

クリーニング業界のM&Aはどのように行われているのでしょうか。ここでは、日本のクリーニング業界における2025年の最新動向についてご紹介します。

大手グループによるM&Aの増加

大手クリーニンググループは、市場シェア拡大のために中小規模のクリーニング店の買収に積極的で、特に大型商業施設内での出店を強化しています。既存店舗のM&A買収により、新規出店の手間や従業員確保の課題を解消するのが狙いです。

中小クリーニング店は事業承継を希望

後継者問題が深刻化し、中小のクリーニング店はM&Aを選択して事業継続を図るケースが増加しています。大手の傘下に入ることで、ブランド力の獲得や従業員の雇用維持が期待できるためです。ただし、経営状態の悪化が激しく、再建が難しいと判断された場合、買い手が見つからない可能性があります。そのため、経営状態が比較的良好なうちにM&Aを検討する動きが広がっています。

デジタル化・新サービス導入による業態変革

将来的な市場縮小に対応するため、デジタル化や新サービスの導入による業態変革が進んでいます。ECと組み合わせた宅配クリーニングの台頭やアプリ連携、サブスクリプションモデルの導入など、新しいビジネスモデルへの転換が見られます。また、大手を中心にハウスクリーニングや家事代行サービスなど、幅広い家事支援事業を展開する企業を買収し、新たな市場開拓を図っているのも特徴です。

クリーニング業界の企業がM&Aで売却するメリット

M&Aのメリットは多岐にわたります。ここでは、クリーニング業界の企業がM&Aを検討するメリットをご紹介します。

後継者不足と高齢化問題を解決できる

クリーニング業界では、経営者の高齢化と後継者不足が深刻な課題となっています。2018年の厚生労働省の調査によると、クリーニング業の経営者の年齢層は70~79歳が約40%と、もっとも多い結果となりました。後継者が決まっている事業者は全体の20%程度という状況です。

特に個人経営の小規模店舗では子どもが別の道に進むケースが多く、家族内での事業承継が難しくなっています。また、クリーニング業は専門技術が必要な上、労働環境が厳しいイメージがあることから、外部からの新規参入者も少ないのが実情です。

この結果、毎年多くのクリーニング店が廃業しており、業界全体の縮小に拍車をかけています。こうした背景から、M&Aによる第三者への事業承継は、クリーニング業界の存続における重要な選択肢となっています。

【出典】厚生労働省「クリーニング業の実態と経営改善の方策」

設備更新負担から解放される

クリーニングでは、プレス機やドライクリーニング機などの専門設備が必要不可欠です。しかし、これらの設備は高額であり、老朽化にともなう更新には多大なコストがかかります。中小のクリーニング店にとって、設備投資・更新は大きな課題ですが、事業承継をすればその負担から解放されます。

従業員の雇用を維持できる

クリーニング業界では、優れた技術を持つベテラン従業員の存在が企業価値を左右します。M&Aが事業存続の糸口となり、既存従業員の雇用を維持できるのは大きなメリットです。

クリーニング業界の企業がM&Aで売却するデメリット

複数の経営課題を解決できる一方、M&Aには注意すべきデメリットも存在します。詳しく見ていきましょう。

M&A特有の制限を受ける

クリーニング業界のM&Aでは、売り手側が経営権を失ったり、指定地区内で同様のクリーニング業を営むことが規制されたりする可能性があります。一定期間内は事業開始できないこともある点は、企業買収特有の障害といえるでしょう。

従業員の離職リスクがある

大手グループの傘下に入った場合、雇用形態や契約金額をグループ内で統一するケースが少なくありません。雇用形態や労働環境・労働条件の変化にともない、既存従業員が離職する可能性があります。

クリーニング業界の企業がM&Aで売却を成功させるためのポイント

ここからは、売り手企業がM&Aを成功させるためのポイントを解説します。重要なのは、買い手企業の視点に立って戦略的なアプローチを実施することです。

特殊技術・ノウハウを持つ人材をアピールする

熟練したシミ抜き技術を持つスタッフや「クリーニング師」資格保有者の存在は、買い手企業にとって大きな魅力です。企業価値を高める無形資産として、専門人材の詳細情報を明確に提示することが、交渉を有利に進める鍵となります。

顧客データを整理し関係強化を図る

地域密着型のクリーニング店の場合、周辺住民から支えられながら経営を続けてきた店舗が少なくありません。そのため、顧客との関係性維持は何よりも重要です。

顧客別の利用頻度・金額・品目などのデータを整備すれば、事業の将来性を示す交渉材料となります。特に優良顧客との関係を維持・強化する取り組みは、買い手にとって魅力的に映るでしょう。

M&A仲介会社のサポートを受ける

M&A仲介会社のサポートを受けることで、クリーニング業界特有の課題や価値評価のポイントを適切に行えます。特に小規模のクリーニング店は、買い手から注目されにくい傾向があります。適切な買い手を見つけるためにも、専門家のアドバイスは必須です。

クリーニング業界のM&A事例

最後に、クリーニング業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

イオンリテール株式会社によるアクティア株式会社のM&A

2023年9月、イオンリテール株式会社は、イオングループ内のイオンディライト株式会社が保有していたアクティア株式会社の全株式を取得し、子会社化しました。

アクティアは「ハウスクリーニング」や「家事代行」など、家事支援サービスを全国展開する企業で、共働き世帯の増加を背景に市場が拡大する中、そのノウハウが評価されました。

イオンリテールはこれまで「リフォーム」「DIY用品」など住まい領域の事業を手がけており、今回のM&Aにより生活支援のサービス領域を強化。既存の販売網や顧客基盤との相乗効果によって、家事支援事業の成長を見込んでいます。小売業がサービス領域へ進出する動きの一環といえるでしょう。

【出典】イオンリテール株式会社「アクティア株式会社の株式取得(子会社化)について」

センコーグループホールディングス株式会社による、ダイヤクリーニング株式会社のM&A

2021年11月、センコーグループホールディングス株式会社は、岡山県を中心に中四国エリアでクリーニング事業を展開するダイヤクリーニング株式会社の全株式を取得し、グループ化しました。

ダイヤクリーニングは約200店舗のクリーニング店と100店舗以上のコインランドリーを運営し、地域に根差した高品質なサービスで高収益体質を確立しています。併設型店舗やショッピングモール内への出店など多様な業態展開も特徴です。

センコーグループは本件を通じて、物流から日常生活支援までを視野に入れたライフサポート事業の強化を図ります。今後は、グループ各社との連携により、リサイクルや新商品の開発といった付加価値の高い取り組みにも期待が高まります。

【出典】センコーグループホールディングス株式会社「中四国エリアで、クリーニング大手企業をグループ化~生活を支援する事業領域拡大へ~」

トランコム株式会社によるSergent Services Pte LtdのM&A

2019年10月、物流業を中心に事業を展開するトランコム株式会社は、シンガポールのビルクリーニング会社Sergent Services Pte Ltdの株式を90%取得し、連結子会社化しました。

Sergent Servicesはチャンギ国際空港や商業施設を中心に清掃サービスを提供する現地企業で、高品質な管理体制と地域に根ざした運営力が強みです。

本件はトランコムにとってアジア市場への本格展開を進める一環であり、既存のロジスティクス事業に加えて、施設管理・ビルクリーニングといったライフサポート領域を強化する狙いがあります。今後は、同社の経営資源やノウハウを活用した業務効率化と品質向上が期待され、成長市場でのプレゼンス拡大に資する動きといえます。

【出典】トランコム株式会社「Sergent Services Pte Ltd の株式取得(子会社化)完了に関するお知らせ」

まとめ|クリーニング業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

M&Aは単なる事業売却ではなく、長年培った技術とブランドの継承戦略といえます。成功の鍵の一つは、クリーニングの「職人技」を数値化して誰でも理解できる形にすることです。さらに、顧客データの資産化や地域密着型ビジネスとしての強みを可視化することも重要です。市場縮小が続く中でも、無形資産を可視化できれば、理想的な買い手が見つかる可能性は十分にあります。事業承継や会社売却を検討中のクリーニング店経営者は、市場環境や業界動向を見極めながら、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

弊社CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、クリーニング業界のM&Aを専門的にサポートしています。当社の3つの強みは以下の通りです。

  1. 業界最低水準の手数料体系
    小規模クリーニング店の経営実態に配慮した合理的な料金設定で、オーナー様の負担を最小限に抑えています。特に地域密着型の中小クリーニング店にとって、コスト面での安心感を提供します。
  2. 経験豊富な専門アドバイザー
    業界歴10年以上または特定業界に精通したアドバイザーのみがお客様をサポート。クリーニング業界の特殊性を理解し、技術やノウハウといった無形資産の価値評価にも精通しています。
  3. マーケティングテクノロジーの活用
    独自のマッチングシステムにより、クリーニング店オーナーの希望条件に合った最適な買い手候補を効率的に見つけ出し、成約率を高めています。全国ネットワークを活用し、地域を超えた最適なマッチングを実現します。

    クリーニング事業の継続や承継についてお悩みの方は、ぜひCINC Capitalにご相談ください。お客様の真の利益を追求し、長年築き上げたクリーニング事業の価値を最大限に活かしたM&Aをサポートいたします。

    この記事の監修者

    阿部 泰士

    CINC Capital取締役執行役員社長

    阿部 泰士

    リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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