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鉄鋼業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.09.30

鉄鋼業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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鉄鋼業界の将来に不安を感じていませんか。

国内需要の縮小や海外勢との競争激化、さらには環境対応への巨額投資など、経営環境は年々厳しさを増しています。

企業が将来像や成長の道筋を描くことが難しいと感じる経営者も多い状況です。

本記事では、2025年時点の鉄鋼業界におけるM&Aの最新動向を整理し、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。

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鉄鋼業界の市場動向

日本の鉄鋼市場は、バブル期以降長期的に国内需要が減少しており、近年も横ばいから縮小傾向が続いています。

IMARCの「日本の鉄鋼市場 2025-2033」よるドルベースの調査では、2024年の市場規模が843億米ドル、2025年〜2033年には年平均2.13%の成長率で推移し、2033年には1,014億米ドルへ拡大する見通しです。

また、国内需要はバブル期のピーク(9000万トン)から約3割減少し、現在は約6000万トン程度です。

こうした需要縮小とわずかな成長予測は、鉄鋼業界が構造的に再編・成長戦略の見直しを迫られていることを示しています。

【出典】IMARC「日本の鉄鋼市場 2025-2033」

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鉄鋼業界が抱える課題

鉄鋼業界は長期的に国内需要が縮小しており、人口減少や少子高齢化に伴って需要構造が変化しています。

本章では、鉄鋼業界が抱える課題を3つの観点から解説していきます。

国内需要の長期縮小と少子高齢化

国内の粗鋼需要はバブル期の約9,000万トンをピークに大きく減少しています。

現在は約5,540万トン前後で推移しており、内需の回復が難しい状況なのです。

少子高齢化や住宅着工件数の減少が背景にあり、需要の縮小が今後も続くと考えられます。

【出典】東北大学「日本鉄鋼業の過剰能力削減における政府の役割 -1970-2000 年代の経験-」

【出典】一般社団法人日本鉄鋼連盟「鉄鋼需給統計月報(抜粋)」

グローバル競争の激化と価格圧力

世界の粗鋼生産において、日本は中国やインドに次ぐ第3位です。

特に中国は圧倒的な規模と低コストで市場を支配し、価格競争をさらに激しくしています。

日本の鉄鋼メーカーは高品質を武器に差別化を進めていますが、収益確保には厳しい判断が必要です。

技術革新・環境対応の遅れと費用負担

鉄鋼業界ではカーボンニュートラル実現に向けた取り組みが急務です。

水素還元製鉄や電炉導入などの技術開発には巨額の研究開発費や設備投資が求められます。

これらの負担が経営を圧迫しており、環境対応の遅れが財務面で大きな課題です。

鉄鋼業界のM&A最新動向(2025年)

2025年の鉄鋼業界では、国内外での再編が一層進んでいます。

本章では、鉄鋼業界のM&A最新動向を3つの観点から解説していきます。

日本製鉄によるUSスチール(米国)買収完了

日本製鉄は2023年に米国のUSスチール買収に合意しました。

その後、数年にわたる審査を経て、2025年6月に正式に買収が完了しました。

交渉の過程では、安全保障や雇用維持に関する厳格な審査が行われ、規制当局や政府との調整を重ねた結果、承認に至りました。

この買収は、国際戦略と規制対応の両立を実現した、歴史的に重要なM&A事例と位置づけられます。

中小・地域企業のM&A活発化(事業承継・再編)

中小規模の鋳鋼・加工企業では、後継者不足や経営効率化といった課題が深刻化しています。

こうした状況を背景に、地域内の同業者や関連企業同士によるM&Aが増加しています。

これにより、技術の継承や経営基盤の強化が進み、業界再編を後押しする大きな流れとなっています。

高付加価値・環境分野への戦略的M&A

鉄鋼業界では、高機能鋼材や脱炭素対応技術を持つ企業の買収が増加しています。

環境負荷を抑えつつ製品差別化を図る動きが目立つのです。

こうしたM&Aは技術力の補完を可能にし、将来的な収益基盤を強化する戦略的選択といえるでしょう。

鉄鋼業界でM&Aをするメリット

鉄鋼業界においてM&Aを実施することは、企業が直面する課題を克服し、成長を加速させるための有効な手段です。

鉄鋼業界でM&Aをするメリットを5つの観点から解説していきます。

グローバル規模拡大による競争力強化

日本製鉄はUSスチールを買収することで、北米市場にすぐに参入できる体制を整えました。

これにより付加価値の高い鋼材を現地で供給する力も手に入れたのです。

地政学的にも有利な立場を築き、世界的な競争力を強化する戦略的判断となりました。

事業承継対策と継続力強化

日本の中小企業では、後継者不足が経営を続けるうえで大きな障害になっています。

M&Aを利用すれば、事業を承継しながら雇用と技術を守ることが可能です。

結果として経営基盤の安定化と強化につながるでしょう。

技術力・製品力の補完・強化

鉄鋼業界では、新しい技術や環境に対応した製品の開発が収益を大きく左右します。

M&Aによって他社の優れた技術や高機能製品を取り込むことができるのです。

短期間で自社の競争力を高められる手段として非常に有効といえます。

市場シェア・販路拡大

M&Aによって競合企業を傘下に収めると、市場シェアの拡大が実現します。

さらに流通網や顧客チャネルを統合することが可能です。

その結果、価格政策や販路戦略を有利に進められ、売上を伸ばすことができるでしょう。

経営安定と業界再編の推進

鉄鋼業界は世界的な市況の影響を強く受け、価格の変動が激しく設備投資の負担も大きい産業です。

そのため単独での安定経営には限界があり、効率化と収益基盤の強化が重要になります。

M&Aによる業界再編は、規模の経済を活かしてコストを下げると同時に競争力を高める好機です。

鉄鋼業界でM&Aをするデメリット

鉄鋼業界でのM&Aは成長の手段となりますが、必ずしも成功ばかりではありません。

本章では、鉄鋼業界でM&Aをするデメリットを3つの観点から解説していきます。

過大投資リスクと財務負担

日本製鉄によるUSスチールの買収は、成長を狙った戦略的な一手でした。

ところが巨額の投資は借入比率を押し上げ、財務の健全性を揺るがす可能性がありました。

実際にS&Pが格付けを引き下げた事例もあり、過大投資には十分な注意が必要です。

統合失敗によるシナジー不発

M&Aは統合計画が順調に進めば相乗効果を発揮できます。

しかし統合後の文化の違いや計画の遅れが原因で、想定した成果が得られない場合があるのです。

事前に緻密なPMIを設計し、確実に実行することが成功において重要になります。

地域・顧客との関係悪化

M&Aで経営体制が変わると、地域社会や既存の顧客との関係に影響を与えることがあります。

信頼関係を軽視した統合を進めれば、取引縮小や地域からの反発を招く危険が高まるのです。

地域や顧客への丁寧な説明と配慮を欠かさないようにしましょう。

鉄鋼業界でM&Aを成功させるためのポイント

鉄鋼業界におけるM&Aは、事業承継や競争力強化の手段として有効ですが、成功にはいくつかの重要なポイントがあります。

鉄鋼業界でM&Aを成功させるポイントを5つ紹介していきます。

目的とビジョンの明確化

M&Aはあくまで成長の手段であり、明確な目的がなければ成果は期待できません。

企業がM&Aで何を実現したいのかをはっきりさせ、意思決定を同じ方向に揃えることが大切です。

目的が曖昧だとシナジー効果が薄れ、現場での混乱を招く恐れがあります。

統合計画(PMI)の構築

M&Aは契約成立後の統合が成功において重要です。

設備や人材、販売網などの統合プロセスには、現実的なスケジュールと担当体制を設けましょう。

適切なPMIを実行することで、シナジーを最大限に引き出すことが可能です。

環境・技術シナジーの最大化狙い

環境対応技術や高機能鋼を強みに持つ企業とのM&Aは、鉄鋼業界において競争力を高める大きなチャンスです。

こうした技術や製品を自社に取り込むことで、脱炭素化の取り組みや高付加価値製品戦略を加速できます。

環境規制が厳しくなる中で優位性を発揮でき、将来の収益拡大や企業価値向上にも直結する重要な取り組みと言えるでしょう。

地域・顧客対応の丁寧な実施

M&Aによって経営体制が変わると、地域社会や既存顧客との関係性にも影響が及びます。

不安を抱く取引先や地域住民に対しては、誠実で丁寧な説明と継続的なフォローを行うことが欠かせません。

こうした対応が信頼の維持につながり、統合後の顧客離れや地域からの反発を防ぐことができるのです。

組織文化と人材の尊重

M&Aにおける最も重要なポイントは、人材と組織文化を尊重する姿勢です。

従業員が安心して働ける環境を維持しなければ、モチベーションの低下や人材流出につながりかねません。

組織文化を軽視せず、融合させる工夫を行うことで組織全体の力を保つことができます。

まとめ|鉄鋼業界M&Aの未来を切り拓くために

鉄鋼業界は国内需要の縮小、グローバル競争の激化、環境対応への投資負担といった課題を抱えています。

その一方で、M&Aは事業承継や技術獲得、シェア拡大を実現する有効な手段として、業界再編の中心的な役割を担いつつあります。

実際に大手による国際買収から、中小企業の承継型M&A、環境技術を狙った戦略的案件まで、多様な取引が進展しています。

M&Aは単なる選択肢ではなく、企業の成長と持続性を高める経営判断のひとつです。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員であり、中小企業庁の登録支援機関として信頼を築いてきました。

10年以上にわたり培った知見をもとに、企業の規模や目的に合わせた最適なM&A手法を提案し、秘密厳守で円滑な取引をサポートします。

まずは無料相談にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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