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M&Aが従業員に与える影響は?従業員に開示するタイミングと対応策

M&A / 基礎知識

  • 公開日2025.03.27
  • 更新日2025.04.02

M&Aが従業員に与える影響は?従業員に開示するタイミングと対応策

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M&Aは企業の成長戦略を加速させる一方、従業員の雇用契約や給与体系、退職金制度などに大きな変化をもたらします。特に「事業譲渡」と「株式譲渡」では、雇用契約の引き継ぎ方法や従業員の同意要否が異なる点に注意しましょう。

加えて、M&Aの交渉過程では、従業員への情報開示のタイミングが企業の信頼や士気に直結します。

本記事では、M&Aが従業員におよぼす具体的な影響や、最適な情報開示のステップ、そして雇用条件の変更が生じる可能性にどう対処すべきかを徹底解説します。従業員の不安を解消しながらスムーズな事業承継を実現するポイントを、詳しく確かめていきましょう。

M&Aが従業員に与える主な影響

M&Aは雇用契約や給与体系、退職金制度など、従業員の処遇にさまざまな変化を与えます。具体的にどのような影響があるのか見ていきましょう。

雇用契約

事業譲渡は、雇用契約の引継ぎに関して従業員の同意が必要

事業譲渡の場合、従業員との雇用契約を一旦解消し、譲受企業との間で新たな雇用契約を締結しなければなりません。その際、従業員一人ひとりから転籍に関する同意を得なければならず、従業員が同意しない場合は譲渡企業に残るか、退職の選択を迫るか、解雇をすることになります。現実問題、「M&Aに同意しない従業員をどう扱うか」が難題となるため、法的には慎重に進める必要があります

M&Aは企業の戦略的選択であり、従業員の理解と協力が不可欠です。従業員個々の意思を尊重した丁寧な対応が求められます。

株式譲渡は、雇用契約の引継ぎに関して従業員の同意は不要

株式譲渡の特徴は、法人格の同一性が保持されることにあります。そのため、雇用契約は自動的に承継され、従業員の同意を得る必要性がありません。労働条件も原則として維持されるため、従業員の立場からすると安定性の高いスキームといえます。

給与などの雇用条件

M&A後の給与や労働条件は、従来のまま維持されるのが一般的です。ただ、買い手企業の規模が大きい場合、同じグループ内で労働条件に差があると条件を統一する傾向があります。結果、売り手企業の従業員は、給与などの処遇が改善されるケースが少なくありません。

退職金の条件

退職金制度の取り扱いについては、M&Aのスキームによって異なるアプローチが取られます。株式譲渡の場合、既存制度がそのまま維持されるのが一般的です。一方、事業譲渡では新たな制度設計が行われますが、いずれも従業員の不利益を最小限に抑えるため、過去の勤続年数を反映した制度が構築される傾向にあります。

なお、M&A後も継続して勤務する従業員については、旧会社と新会社での勤続期間を通算して退職金が算定されるのが一般的な対応です。

従業員にM&Aを開示する適切なタイミング

M&Aにおける従業員への情報開示は、自社の存続にかかわる重要プロセスです。事前の準備と段階的な情報共有を意識しながら、従業員の不安を軽減しつつ適切に対処しましょう。ここでは、M&Aの適切な開示タイミングを解説します。

基本合意締結前などのM&Aの初期~中期段階

M&A交渉の初期段階では、取引の成否が確定していないため、社内での情報開示は情報漏洩リスクを高めます。基本的に従業員への情報開示は行わないことが望ましいでしょう。

M&A取引の開示後などM&Aの終盤

最終契約を締結し、クロージングを実施した後は、役員・従業員へ一斉に情報開示を行います。ポイントは、従業員がもっとも関心を持つ雇用継続や待遇面について、具体的かつわかりやすく説明することです。

特に当面の仕事内容や処遇、勤務地に変更がないことを強調し、将来的な変更がある場合でも、十分な話し合いの機会が設けられることを伝えます。必要に応じて、個別面談の機会を設けたり、質問や相談を受け付ける窓口を設置したりするなど、従業員とのコミュニケーションを密に保ちましょう。

また、M&Aは経営者自身の言葉で伝えることが大切です。買い手企業の担当者同席での説明が望ましく、全従業員に対して可能な限り同じタイミングでの情報開示を心がけてください。複数の事業所がある場合、情報格差が生じないよう配慮しなければなりません。

従業員のM&Aに関する不安を解消するための対応策

M&Aにおいて、従業員の不安を払拭し、円滑な事業継続を実現することは最重要課題の一つです。経営陣は、適切なコミュニケーションと具体的な施策を通じて、従業員との信頼関係を構築しなければなりません。ここでは、従業員の不安を解消するための方法やポイントをご紹介します。

待遇や仕事内容など直接影響がある内容について説明する

従業員が抱える最大の懸念は、M&A後の自身のキャリアや待遇に関する不確実性です。経営陣は、給与体系、職務内容、勤務地などの具体的な情報を、できる限り早期に開示することが望ましいでしょう。現行の待遇維持について明確な方針を示すことで、従業員の不安を大きく軽減できます。

業務内容に大幅な変更が予定されている場合、その影響について丁寧な説明が求められます。変更の背景にある経営判断や、従業員のキャリアにもたらすメリットなども含めて、十分な理解を得られるよう配慮することが大切です。

従業員の雇用を継続する契約書を作成する

従業員の雇用を継続してもらう

従業員の雇用継続を確実にするためには、契約書での取り決めが不可欠です。特に中小企業のM&Aでは、従業員の雇用維持が大きな課題となっています。

売り手企業の場合、「株式譲渡契約書」「事業譲渡契約書」などの契約書には「M&A後も一定期間は雇用条件・業務内容を変更しない」という条項を盛り込みましょう。これにより経営者自身はもちろん、従業員の不安の軽減に繋がります。

株式譲渡の場合は会社自体を売却するため、基本的に雇用契約の変更は生じません。ただし、買収後に新経営者の方針によって変更が検討される可能性には留意が必要です。事業譲渡なら新しく雇用契約を結び直す必要があるため、より慎重な対応が求められます。

従業員の処遇も引き継いでもらう

M&A後の従業員の処遇については、同条件での雇用継続が一般的です。給与や待遇は現状維持が基本となります。ただし、勤務地など労働条件の一部が変更される可能性もあるため、契約書での明確な取り決めが大切です。

まとめ|適切なタイミングで従業員にM&Aについて説明しましょう

M&Aによって従業員が受ける影響は、雇用契約や給与・退職金制度の変化だけでなく、情報開示の時期や手法にも左右されます。具体的には、事業譲渡では従業員の同意が必須となり、株式譲渡では法人格が維持されるため引継ぎが自動的に行われます。

いずれのスキームでも、従業員がもっとも気にかけるのは自分の処遇やキャリア展望でしょう。経営陣はM&Aの各段階で適切なコミュニケーションを行い、誤解や不安を解消する対応策を講じることが大切です。本記事でご紹介したポイントを押さえることで、社長と社員、双方が納得したうえでM&Aを円滑に進めましょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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