CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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- 公開日2025.09.29
広島県のM&A動向は?事例や信頼できる相談先/M&Aを進めるときの注意点を解説
企業の事業承継の選択肢としてM&Aへの関心が高まるなか、広島県でも地域密着型のM&Aが活発に行われています。M&Aとは、企業同士が合併や買収によって経営資源を引き継ぎ、新たな市場への進出や人材の確保などを実現する手法です。
本記事では、広島県におけるM&Aの最新動向や実際の事例、信頼できる相談先、M&Aを進める際の注意点について解説します。広島県でのM&Aを検討している経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
広島県のM&Aの最新動向【2025年】
広島県では、企業の事業承継や成長戦略としてのM&Aが活発になっています。ここでは、広島県におけるM&Aの最新動向を2つの観点から解説します。
後継者不足により中小企業のM&Aが加速している
「株式会社帝国データバンク」による2024年の調査によると、広島県内の企業6,411社のうち、57.6%にあたる3,694社が後継者不在とされています。全国平均の52.1%を上回っており、地域内でも事業承継の課題が依然として深刻であることを示しています。
業種別に見ると、建設業(68.7%)やサービス業(63.9%)、小売業(62.3%)など、地域経済を支える業種で後継者不在率が6割を超えている状況です。
こうしたなかで、親族外承継や第三者への事業譲渡といった選択肢が注目されており、M&Aの活用が中小企業の存続を支える重要な手段となっています。
【出典】帝国データバンク「広島県 後継者不在に関する企業の実態調査(2024年)」
休廃業の増加とともにM&Aが選ばれる傾向に
「株式会社帝国データバンク」の調査によれば、2024年における広島県の休廃業・解散件数は1,543件で、前年から14%増加しました。同年の中国地方で1,000件を超えたのは広島県のみであり、地域経済における課題が浮き彫りになっています。
こうした背景から、廃業ではなくM&Aによって事業を次世代につなげようとする企業が増えつつあります。M&Aを通じた事業再編や経営資源の有効活用が積極的に進行中です。個人や小規模事業者によるM&Aも広がりを見せており、事業の出口戦略としてのM&Aが定着しつつあるといえるでしょう。
【出典】帝国データバンク「全国企業「休廃業・解散」動向調査(2024年)」
広島県でM&Aの相談どこにする?
広島県でM&Aを検討する企業や個人が増えているなか、どこに相談すればよいのかわからずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
広島でM&Aを成功させるには、自社の規模や目的に合った適切な相談先を選ぶことが重要です。ここでは、広島県内で利用できる主な相談先についてご紹介します。
M&A仲介会社に相談する
広島で本格的にM&Aを進めたいと考えるなら、まず候補に挙がるのがM&A仲介会社です。仲介会社は、売却・譲渡を希望する企業と、買収・譲受を希望する企業をつなぐ役割を担っています。
仲介会社の強みは、交渉や書類作成など煩雑な手続きを一括でサポートしてくれる点です。
広島のように中小企業が多い地域では、社内にM&Aの専門人材を持たないケースが多いため、外部の専門家による支援が有効です。
広島県内外にネットワークを持つ仲介会社であれば、地域内だけでなく全国規模でのマッチングも期待できます。
金融機関や公的機関を利用する
広島県では、地元の金融機関や公的機関によるM&A支援の体制も整ってきています。地域の銀行や信用金庫は、既存の取引先として経営状況をよく理解しているため、資金面を含む総合的なアドバイスを提供してくれるでしょう。広島の中小企業にとっては、身近で信頼できる利用しやすい相談先です。
M&Aマッチングサイトで探す
M&Aマッチングサイトは、売り手と買い手がオンライン上で情報を掲載・閲覧し、直接交渉に進めるプラットフォームです。匿名で登録できるサイトも多く、情報漏洩のリスクを抑えつつ、全国の企業との接点を持てます。
広島のように地理的に限定された市場でも、マッチングサイトを使えば首都圏や他県の企業との連携が可能になり、成約のチャンスが広がります。
ただし、手続きや契約交渉を自力で進める必要があるため、ある程度の知識や専門家のサポートが必要になる点には注意が必要です。
広島県で信頼できるM&Aの相談先一覧
広島県でのM&Aや事業承継を検討される際は、公的機関を中心とした信頼できる相談先を早めに押さえておきましょう。ここでは、広島県内で利用できるM&Aの相談先一覧をご紹介します。
広島県事業承継・引継ぎ支援センター
広島商工会議所が中国経済産業局から委託を受け、「産業競争力強化法」に基づいて設置された公的相談窓口です。第三者承継や親族内承継を含むワンストップ支援が特徴で、専門家による中立的かつ秘密厳守のアドバイスが無料で受けられます。
受付時間 |
平日9時~17時(年末年始を除く) |
住所 |
〒730-8510 広島市中区基町5-44 広島商工会議所ビル7階 |
電話 |
082-555-9993 |
Webサイト |
広島県 産業支援融資(事業承継支援資金)
広島県が提供する制度融資で、事業承継に伴う運転資金や設備投資に対し、最大2億円(運転資金6,000万円含む)を低金利で融資する制度です。長期的に安定した事業継続を支援する資金面での相談先として有効です。詳しくは広島県商工労働局経営革新課のサイトで確認できます。
受付時間 |
平日8時30分~17時15分(年末年始を除く) |
住所 |
〒730-8511 広島市中区基町10番52号 |
電話 |
082-513-3321(広島県商工労働局 経営革新課 代表) |
Webサイト |
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/75/1168822517324.html |
CINC Capital
「CINC Capital」は、全国対応のM&A仲介会社でありながら、中小企業と地域に特化した支援に強みがあります。経験豊富なコンサルタントが、売り手の立場に寄り添いながらマッチング・交渉・契約支援をワンストップで提供します。広島県でM&Aを検討している経営者の相談先としてもおすすめです。
受付時間 |
平日9時~18時(年末年始を除く) |
住所 |
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1丁目21-19 東急虎ノ門ビル6F |
電話 |
03-4500-7072 |
Webサイト |
広島県のM&A事例
広島県のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。
株式会社インターネットインフィニティーによる株式会社正光技建のM&A
インターネットインフィニティーは、2022年10月に広島県で住宅リフォーム事業を展開する正光技建を子会社化しました。
同社は「健康な未来」を掲げ、高齢者向けのサービス基盤拡充を進めており、短時間リハビリ型デイサービス「レコードブック」やケアマネジャー向け情報サイトを通じて高齢者に多様なサービスを提供しています。
正光技建は顧客の7割以上がシニア世代で、同社の顧客基盤やノウハウを取り込むことで、既存グループ会社であるフルケアとの相乗効果が期待されます。
特に、介護保険外の住宅リフォームを手掛ける同社の事業は、グループの事業ポートフォリオを分散させ、安定性の向上に寄与します。
M&Aによって地域でのリフォーム事業を強化するとともに、介護・生活支援サービスの新たな展開を加速させ、全国的なシニア向けプラットフォーム構築を推進する狙いが見られます。
【出典】株式会社インターネットインフィニティー「株式会社正光技建の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
第一交通産業株式会社による有限会社広島合同タクシーのM&A
第一交通産業は2019年2月、連結子会社の第一交通サービスを通じて、広島市の有限会社広島合同タクシーの全株式を取得しました。
これにより、同社のタクシー18台がグループに加わり、広島県内では既存の3社237台と合わせて計255台体制となりました。
全国ベースではタクシー保有台数が8,319台に拡大し、地域でのシェア強化につながっています。
広島合同タクシーは1961年設立の老舗で、地元に根ざした営業基盤を有しており、第一交通の広島エリアでのネットワーク拡大に資する存在です。
大手タクシーグループによる地域事業者の取り込みは、車両数やドライバー確保を通じてサービス安定性を高めるとともに、競争力強化に直結します。
今回のM&Aも、地域密着の中小事業者を取り込みながら規模の拡大を図る第一交通の戦略を体現する事例といえます。
【出典】第一交通産業株式会社「有限会社広島合同タクシーの株式取得に関するお知らせ」
ブルドックソース株式会社によるサンフーズ株式会社のM&A
ブルドックソースは2019年10月、広島市のサンフーズ株式会社を子会社化しました。
サンフーズは1916年創業の老舗で、「ミツワソース」「ヒガシマルソース」といったブランドを展開し、特に広島のお好み焼文化と深く結びついて発展してきた企業です。
同社は調味料製造に加え、お好み焼き教室や体験学習、実演販売など普及活動にも力を入れており、地域に根差した事業基盤を築いています。
今回のM&Aにより、ブルドックソースは自社の「ブルドック」「イカリ」に加えて新たなブランドを獲得し、東京・大阪・広島の三大食文化を支える体制を構築しました。
相互の人材・技術交流を通じて競争力強化を図ることで、事業基盤の安定化と成長を加速させる狙いです。
ソース文化やお好み焼文化の普及を通じ、食品業界におけるブランド多角化戦略を進めた好例といえます。
【出典】ブルドックソース株式会社「サンフーズ株式会社株式取得(子会社化)のお知らせ」
広島県でM&Aを進めるときの注意点
広島県でM&Aや会社売却を検討している売り手の方にとって、成功の鍵を握るのは「地域性に即した戦略」と「適切なパートナー選び」です。ここでは、広島県でM&Aを進める際に売り手が注意すべきポイントをご紹介します。
地場産業の傾向に応じた売却戦略を立てる
広島県では、自動車関連、造船、食品加工、観光などの地場産業が経済の中心を担っています。そのため、これらの業種に関心のある買い手が多く、逆にニッチ業種や首都圏向けビジネスに対しては関心が薄い場合もあります。
自社の強みや特性を整理し、地場買い手に魅力的に映るポイントを明確にしておくことが重要です。また、製造業などでは設備・人材・地元ネットワークの維持が重視されるため、引き継ぎ後の運営方針についても整理しておくと買い手の評価が高まります。
経営者の「地域内での信頼」を意識する
地方では経営者同士のつながりや、従業員・取引先との長年の関係が企業価値の一部として評価される傾向にあります。
買い手は地域内の評判や代表者の誠実さを重視するケースが多いため、売却にあたっては社内外の信頼関係を崩さず、丁寧な情報開示と関係性維持が求められます。
適切なタイミングで従業員や幹部へ段階的に情報を共有しながらM&Aを進める体制づくりを意識しましょう。
適切な専門家に相談する
地域の特性を理解したうえで最適なM&Aを実現するには、M&A専門の仲介会社や公的支援機関など、信頼できる専門家の力を借りることが不可欠です。
また、全国対応のM&A仲介会社であっても、地方の実績が豊富な事業者であれば、地域性に合った買い手の紹介や交渉支援が受けられます。
専門家に早めに相談することで、会社の価値を適正に評価されるだけでなく、買い手とのミスマッチやトラブルを未然に防ぎやすくなります。
M&Aを検討する際に知っておきたい基礎知識
M&Aを進めるうえで、まず押さえておきたい基本的な疑問について簡潔に回答します。詳細については、それぞれの関連記事も併せてご覧ください。
M&Aと事業譲渡の違いはなんですか?
「M&A」とは、企業の合併(Mergers)と買収(Acquisitions)を指す言葉です。M&Aの手法の一つに「事業譲渡」があります。事業譲渡は会社の一部または全部の事業を第三者に譲渡する形で、株式譲渡など他の手法と比べて、譲渡対象を柔軟に選べるのが特徴です。
【関連記事】M&Aとは?意味や目的、手法ごとのメリットデメリットをわかりやすく解説
M&Aのメリットとデメリットはなんですか?
売り手にとっては後継者問題の解消や資金の獲得といったメリットがある一方で、従業員や取引先への影響がデメリットになることもあります。買い手にも同様に、成長戦略とリスクの両面があります。
【関連記事】M&Aのメリットとデメリットは?買い手と売り手の立場別にわかりやすく解説
M&Aの相場はどのくらいですか?
M&Aの相場は、企業の規模や業種、財務内容などによって大きく変動するため、明確な金額を一律に示すことはできません。
一般的な評価手法には、時価純資産に営業権(のれん)を加える方法や、EBITDAなどの利益指標に倍率をかけて算出するマルチプル法があります。
なお、将来のキャッシュフローをもとに評価するDCF法は、主に上場企業同士やスタートアップ企業間のM&Aで用いられています。
M&Aへ向けて自社の企業価値を知りたい方は、以下のページから「企業価値算定シミュレーション」をご利用ください。
【参考】企業価値算定シミュレーション
M&Aでおすすめの相談先はどこですか?
M&Aを進めるには、豊富な実績や専門知識を持つ仲介会社やアドバイザリー会社への相談が安心です。企業規模や業種に応じて、最適なアドバイスを得られる相手を選ぶことが重要です。
なかでも、幅広い業種・規模のM&A実績を持つ「CINC Capital」は、売り手・買い手双方にとって最適なマッチングを実現し、円滑なM&Aの支援を行っています。初めての方でも安心してご相談いただけます。
【関連記事】M&Aはどこに相談する?相談先の選び方やメリットデメリットを解説
広島県のM&Aのポイントまとめ
広島県では、地域経済の活性化や後継者不在といった課題に対応する手段として、M&Aへの関心が高まっています。中小企業を中心に、事業の存続と成長を目的としたM&Aは、今後さらに重要性が高まると考えられています。M&Aは一見するとハードルが高いように見えますが、正しい知識と信頼できる専門家のサポートがあれば、円滑に進めることが可能です。
まずは自社の価値やM&Aの基本を理解したうえで、実績のある専門機関への相談を検討してみましょう。将来の選択肢を広げる一歩として、M&Aを前向きに捉えることが成功への第一歩となります。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。