CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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- 公開日2025.09.17
山形県のM&Aや事業承継の動向は?事例や信頼できる相談先/M&Aを進める時の注意点を解説
農業や観光業が盛んな山形県では近年、経営者の高齢化や後継者不足を背景に、中小企業を中心としたM&Aへの関心が高まっています。
M&Aとは「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」の略で、企業同士が統合したり、他社の経営権を取得したりする手法のことです。
事業存続・拡大を目的とした選択肢として、山形県においてもニーズが年々高まっています。
本記事では、山形県におけるM&A・事業承継の動向や実際の事例、信頼できる相談先、さらに進める際の注意点まで徹底解説します。
M&Aを検討中の経営者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
山形県のM&Aや事業承継の最新動向【2025年】
山形県では、人口減少と高齢化の進行に伴い、中小企業の後継者不足が深刻化しています。
こうした状況を背景に、事業承継の有効な手段としてM&Aが注目されています。
ここでは、山形県におけるM&A・事業承継の最新動向をお伝えします。
農業6次産業化を背景とした事業承継ニーズの拡大
山形県の農業分野では、地域特産品のブランド価値を高めるためのM&Aが注目されています。
特に、さくらんぼやぶどうなど果樹栽培の分野では、気候や土壌の特性を生かした独自の栽培技術が蓄積されており、これらの技術的資産を含めた事業承継への関心が高まっている状況です。
また、農業法人化が進んだことで、これまで個人経営では難しかったM&Aも、現実的な選択肢として検討できるようになりました。
加えて6次産業化の推進により、農業経営は生産だけでなく加工・流通・販売まで担う総合的な事業へ発展しています。
そのため、こうした広範な事業全体をまとめて引き継ぐ形の事業承継が求められる傾向にあります。
温泉・観光業でも事業承継が課題に
「株式会社帝国データバンク」が実施した調査によると、山形県の2024年の後継者不在率は44.3%でした。
調査開始以来、低い水準へと改善が見られているものの、県内企業の約4割がいまだ後継者を決められていない状況です。
この課題は観光業にも広がっています。
蔵王や銀山温泉といった県を代表する観光地では、長い歴史を持つ老舗旅館が世代交代の時期を迎えています。
しかし、経営者の高齢化が進むなかで後継者が見つからず、事業の存続が難しい事例が少なくありません。
例えば、蔵王温泉の複合施設「ZAOセンタープラザ」は、後継者難や施設老朽化などを背景に、2023年に営業終了しました。
銀山温泉など他の観光地でも同様に、代替わりの時期を迎えた老舗旅館が後継者不足で存続の危機に直面するケースが少なくありません。
【出典】株式会社帝国データバンク「山形県「後継者不在率」動向調査(2024 年)」
山形県でM&Aや事業承継の相談どこにする?
ここでは、山形県でM&Aの検討をする際に利用したい相談先をご紹介します。
M&A仲介会社に相談する
山形県でM&Aを進める際、相談先としておすすめなのがM&A仲介会社です。
たとえば地域密着型の仲介会社は、地元企業とのつながりや地域特有の商習慣への理解が深く、現実的で確度の高い提案を受けられます。
一方、中堅規模の仲介会社であれば、柔軟な対応やバランスの取れたマッチングが期待できます。
コストやスピード感の面でもメリットがあり、必要に応じて県外企業とのマッチングを視野に入れた提案を受けられるでしょう。
いずれにしても、地域の産業特性や企業文化を理解している仲介会社を選ぶことが大切です。
金融機関や公的機関を利用する
県内の金融機関・公的機関では、無料相談サービスを提供しており、専門チームがきめ細やかな伴走支援を行っています。
地域密着型ならではの、顔の見えるサポートを受けられる点が、公的機関や地域金融機関を利用する大きなメリットといえるでしょう。
M&Aマッチングサイトで探す
近年は、インターネット経由でM&Aの相手先を探す「マッチングサイト」の利用が広がっています。
地理的な制約を超えて幅広い候補と出会えるほか、匿名で案件を掲載できる仕組みも整っています。
山形県の中小企業にとっては、気軽に情報収集を始めやすい、ハードルの低い選択肢といえるでしょう。
ただし、マッチングサイトで相手先が見つかったとしても、状況によっては専門家のサポートが必要となる場合があります。
山形県で信頼できるM&A・事業承継の相談先一覧
M&A・事業承継を検討する際には、信頼できる相談窓口を把握しておくことが重要です。
ここでは、県内で安心して相談できる公的機関や支援サービスをご紹介します。
山形県事業承継・引継ぎ支援センター
経済産業省(東北経済産業局)の委託事業として設立された公的な相談機関です。
県内企業の事業承継に関する幅広い課題に対応しており、専門知識を持つコーディネーターが無料で相談に応じています。
公益財団法人やまがた産業支援機構
山形県内の中小企業を総合的に支援する専門機関です。
「山形県事業承継ネットワーク」に参画し、県内の金融機関や商工団体と連携しながら、包括的な支援体制を整えています。
【参考】公益財団法人やまがた産業支援機構
山形県商工会議所連合会
県内7カ所の商工会議所を統括する組織で、事業承継支援に取り組んでいます。
各商工会議所では、専門家による実践的なアドバイスを提供しており、地域密着型の中小企業にとって身近な窓口として機能しています。
【参考】山形県商工会議所連合会
山形県信用保証協会
中小企業の資金調達支援を専門とする機関で、M&Aや事業承継に関連する融資保証もサポートしています。
事業承継にともなう設備投資や運転資金の調達では、信用保証制度を活用し、スムーズな資金繰りを支援しているのが特徴です。
【参考】山形県信用保証協会
CINC Capital
マーケティングテクノロジーとデータ分析の専門知識を活かしたM&A仲介会社として、山形県の案件にも積極的に対応しています。
独自のビッグデータとAI技術を活用したマッチングシステムにより、山形県特有の農業・観光業・製造業の価値を適切に評価し、最適な譲渡先とのマッチングを実現します。
【参考】CINC Capital
山形県のM&Aや事業承継の事例
山形県のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。
サクサホールディングス株式会社による株式会社ソアーのM&A
サクサホールディングス株式会社は2024年5月、東北パイオニア傘下の株式会社ソアーを株式取得により完全子会社化することを発表しました。
サクサグループは山形県米沢市に主力工場を構える一方、老朽化や拠点分散による非効率化、労働力不足といった課題を抱えていました。
ソアーは世界初の有機ELディスプレイ量産や車載オーディオ機器の開発・製造で培った高い技術力と人材を有し、カーエレクトロニクスを中心に多様な製品量産の実績を持ちます。
両社は同じ米沢市内に拠点を構え、隣接企業という地理的近接性も強みです。
今回の子会社化により、人材や設備の相互活用、スマート工場化の推進が可能となり、生産性向上と事業拡大が期待されます。
製造業においてはコスト削減と技術革新の両立が求められる中、本件は地域拠点の統合による競争力強化の好例といえます。
【出典】サクサホールディングス株式会社「株式会社ソアーの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
株式会社じもとホールディングスによる株式会社富士通山形インフォテクノのM&A
じもとホールディングス傘下のきらやか銀行は、2024年4月に富士通が保有する株式会社富士通山形インフォテクノの全株式を取得し、完全子会社化しました。
同社は1974年に設立され、きらやか銀行やグループ各社のシステム開発、ATM運用、IT人材育成などを担ってきた実績があります。
従来は富士通が51%、きらやか銀行が49%を出資する関連会社でしたが、株主間協定の期限を迎えたことを機に協議を重ね、システムの安定運用と人材確保を自社主導で進めるため完全子会社化に至りました。
金融機関にとってシステムは事業基盤の中核であり、外部依存を減らしグループ内に取り込む動きは、経営の安定性と競争力の強化に直結します。
本件は、地域銀行がIT子会社を戦略的に位置付け、今後のデジタル対応力を高める一例といえます。
【出典】株式会社じもとホールディングス「当社子会社における株式会社富士通山形インフォテクノの株式取得について」
株式会社牧野フライス製作所による株式会社エツキのM&A
牧野フライス製作所は、2023年4月1日付で山形県の株式会社エツキを株式取得により完全子会社化しました。
エツキは「高精度の大型鋳物加工」から「各種産業機器の試作・組立」まで一貫生産を強みとし、専用機や産業機械分野で高い評価を得ている企業です。
牧野フライスは工作機械メーカーとして効率的な生産体制の構築を進めており、今回の子会社化によってエツキとの協力体制を強化し、相互にシナジーを発揮することで企業価値の向上を図ります。
取得価額や売却株主については非開示ですが、全株式(54,197株)を取得し、完全子会社化を実現しました。業績への影響は軽微と見込まれています。
牧野フライスがサプライチェーンの安定化と生産能力の強化を目的に、強みを持つエツキを取り込み、モノづくり基盤の拡充を狙ったM&Aです。
【出典】株式会社牧野フライス製作所「株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
M&Aや事業承継を進めるときの注意点
M&Aや事業承継を検討する売り手企業にとっては、地域特有の事業環境や産業構造、さらには季節性を踏まえた戦略的なアプローチが重要となります。
ここでは、山形県でM&A・事業承継を進める際の注意点を解説します。
季節性を考慮して売却タイミングを決める
さくらんぼや西洋なしなど、山形県を代表する農産物の収穫期は、関連企業の売上を左右する繁忙期です。
そのため、基本的には収穫シーズンを避けて交渉スケジュールを組むことが望ましいでしょう。
また、農業や観光業のように季節変動が大きい業種では、企業価値を正しく評価してもらうために、年間を通じた業績推移を丁寧に説明することが重要です。
雪国特有のコスト構造を正確に開示する
除雪費用や暖房費などの季節コストは、他地域では想定しにくい支出項目のため、過去数年間の実績データを月別に整理して提示する必要があります。
また、冬季の物流制約に対応する在庫調整のノウハウや、豪雪時の事業継続手順は、雪国での経営に欠かせない知的資産として高く評価されます。
適切な専門家に相談する
山形県における地域産業の特殊性を理解し、適切な企業価値評価ができるM&A専門家を選びましょう。
実績のあるM&A仲介会社などの専門家に相談することで、自社に合った最適な譲渡プランを見つけやすくなります。
M&Aや事業承継を検討する際に知っておきたい基礎知識
ここからは、M&Aを初めて検討する方が知っておきたい基礎知識や、よくある疑問を簡潔にご紹介します。
M&Aと事業譲渡の違いはなんですか?
M&Aは企業の合併・買収を意味し、事業譲渡はM&Aにおける手法の一種です。
M&Aにはいくつかの手法があり、主なものに株式譲渡と事業譲渡があります。株式譲渡は会社の株式を取得することで経営権を移転する手法です。一方、事業譲渡は特定の事業・資産のみを切り離して譲渡する手法となります。
【関連記事】M&Aとは?意味や目的、手法ごとのメリットデメリットをわかりやすく解説
M&Aのメリットとデメリットはなんですか?
M&Aには事業承継問題の解決や創業者利益などのメリットがあります。M&Aによって事業の継続・発展を目指すことが可能です。
一方デメリットとしては、企業文化の違いによって統合がうまくいかなかったり、期待していた効果が得られなかったりする可能性があります。
【関連記事】M&Aのメリットとデメリットは?買い手と売り手の立場別にわかりやすく解説
M&Aの相場はどのくらいですか?
M&Aの相場は、企業の規模や業種、財務状況によって大きく変動するため、一律に示すことはできません。
一般的には、時価純資産に営業権(のれん)を加える方法や、EBITDAなどの利益指標に一定の倍率をかけて算出するマルチプル法が用いられます。
また、将来のキャッシュフローをもとに評価するDCF法などもあり、これは上場企業同士やスタートアップ企業間のM&Aで活用されています。
M&Aへ向けて自社の企業価値を知りたい方は、以下のページから「企業価値算定シミュレーション」をご利用ください。
【参考】企業価値算定シミュレーション
M&Aでおすすめの相談先はどこですか?
実績のあるM&A仲介会社のほか、地域の金融機関や公的機関などがあります。
なかでも中小企業の支援に強いCINC Capitalは、初めてM&Aを検討する経営者にも寄り添った丁寧な対応を心掛けています。
専門用語を避けたわかりやすい説明や段階的な進め方によって、不安を解消しながら手続きを進めることができます。
初めてM&Aを検討する場合にもおすすめです。
M&Aの相談先について、詳しくは以下の関連記事で解説しています。
こちらも併せてお読みください。
【関連記事】M&Aはどこに相談する?相談先の選び方やメリットデメリットを解説
まとめ|山形県のM&Aや事業承継のポイント
山形県では事業承継のニーズが年々高まり、M&Aの活用が広がっています。
売却を検討する際は、地域の事情を踏まえながら、適切なタイミングと方法を見極めましょう。
CINC Capitalは初めてM&Aを検討される方にも分かりやすくサポートします。
専門用語を避けた丁寧な説明と段階的な進め方で不安を解消し、小規模案件にも真摯に対応します。
まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。