CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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- 公開日2025.09.17
岩手県のM&Aや事業承継の動向は?事例や信頼できる相談先/M&Aを進める時の注意点を解説
少子高齢化や後継者不足の影響を受け、岩手県でも事業の存続や地域経済の維持を目的にM&A(企業の合併・買収)や事業承継への関心が高まっています。
M&Aとは、企業同士が資本や経営を統合することで、後継者不在や経営課題の解決を図る手法です。
本記事では、岩手県におけるM&Aや事業承継の現状、実際の事例、信頼できる相談先、そしてスムーズに進めるための注意点について解説します。
目次
岩手県のM&Aや事業承継の最新動向【2025年】
岩手県では、少子高齢化と後継者不足といった全国的な課題に直面するなかで、M&Aや事業承継の重要性が年々増しています。
まずは、岩手県におけるM&A・事業承継の代表的な動きと傾向を紹介します。
県外企業による事業拡大・買収が進む
岩手県では近年、県外企業によるM&Aが活発化しており、事業拡大や新たな拠点の確保を目的とした動きが目立っています。
特に医療・ガス・IT・建設・運輸といった分野では、地域の技術や人材、既存の取引網に着目した買収が注目されています。
これらの買収は、県内企業にとっても経営の安定化や雇用維持につながる側面があり、事業承継の一手段として期待されています。
後継者不在率は改善傾向にあるも全国平均を上回る水準
「株式会社帝国データバンク」による2024年の調査によると、岩手県の後継者不在率は54.6%となり、前年より3.3ポイント改善しました。
しかし、全国平均の52.1%を依然として上回っており、地域全体としての課題感は依然大きいといえるでしょう。
なかでも小規模事業者や個人経営の企業では、後継者確保が難航し、M&Aによる外部承継に活路を求める動きが広がっています。
【出典】株式会社帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査(2024 年)」
休廃業件数は再び増加、経営者の高齢化が影響
「株式会社帝国データバンク」によると、2024年に岩手県で休業・廃業・解散を行った企業(個人事業主を含む)は、前年より33件多い505件となり、前年比7.0%の増加となりました。
2023年の増加に続く2年連続の増加であり、現行の集計方法が導入された2016年以降で最も多い件数です。
休廃業によって影響を受けた雇用人数(正社員)は累計968人に上り、前年の750人から大幅に増加しています。
また、2024年に岩手県で休廃業・解散を行った企業の経営者の平均年齢は71.8歳で、年代別では「70代」が最も多く36.0%となりました。
「80代以上」が27.7%、「60代」が23.1%となり、60代と80代以上での増加が目立ちました。
【出典】株式会社帝国データバンク「全国企業『後継者不在率』動向調査(2024)」
【出典】株式会社帝国データバンク「岩手県企業『休廃業・解散』動向調査(2024 年)」
岩手県でM&Aや事業承継の相談どこにする?
岩手県でM&Aや事業承継を進める際には、信頼できる相談先を選ぶことが成功への第一歩です。
ここでは、岩手県の企業が利用しやすい主な相談先を3つご紹介します。
M&A仲介会社に相談する
M&A仲介会社は、売り手と買い手の間に立って交渉を進め、M&Aの全体をサポートする専門業者です。
岩手県内には支店を設けていない仲介会社も多いものの、オンライン面談や出張相談に対応している会社が多く、地理的な制約は年々小さくなっています。
首都圏のネットワークを活用して広範な買い手候補を紹介してもらえるのも大きな利点です。
特に事業承継型のM&Aでは、親族や従業員以外の選択肢として外部承継を考える企業が多く、仲介会社の活用によって選択肢が広がります。
金融機関や公的機関を利用する
岩手県内では、地元金融機関が地域密着型のM&A支援に力を入れています。
なかでも地方銀行や信用金庫では、顧客との長年の信頼関係を活かして、スムーズな承継支援が行われています。
例えば東北銀行や岩手銀行などでは、独自にM&A支援部署を設けて、案件紹介や専門家との連携を行っています。
M&Aマッチングサイトで探す
全国から相手企業を探したい場合には、M&Aマッチングサイトの活用も有効です。
岩手県のように人口や企業数が少ないエリアでは、地域内だけで理想的なマッチングが見つからない場合もあり、広域での探索が有効だといえるでしょう。
ただし、マッチングサイトを利用する場合、法務・財務のチェックや契約書作成は自社で対応する必要があり、専門家への外部依頼が必要になることもあるため注意が必要です。
岩手県で信頼できるM&A・事業承継の相談先一覧
岩手県でM&Aや事業承継を検討する際は、地元の実情に詳しい公的機関や支援団体への相談が安心です。
ここでは、岩手県で利用できるおすすめの相談先を紹介します。
岩手県事業承継・引継ぎ支援センター
岩手県内の中小企業を対象に、事業承継やM&Aに関する無料相談を提供する公的機関です。
中小企業診断士やM&A実務経験者が在籍し、親族内承継・従業員承継・第三者承継すべてに対応可能となっています。
マッチング支援や専門家紹介も行っており、実務的なサポートも受けられます。
岩手県よろず支援拠点
経営に関するあらゆる課題について無料相談ができる「経営相談の総合窓口」です。
M&Aや事業承継に関しても、専門家によるアドバイスが受けられ、必要に応じて他機関への紹介も実施しています。
盛岡市に拠点があり、予約制で相談が可能です。
【参考】岩手県よろず支援拠点
CINC Capital
CINC Capitalは、中小企業の事業承継・M&A支援に特化したサービスを提供する全国対応型の仲介会社です。
岩手県を含む地方企業にも力を入れており、地方の後継者不足や小規模M&Aのニーズに寄り添った対応を行っています。
特徴的なのは、地方の中小企業の価値を丁寧に見極めたうえで、首都圏の買い手企業や後継者候補とのマッチングを行っている点です。
税理士や会計士などの士業とも連携し、財務や法務の支援体制も整っており、初めてM&Aを検討する企業でも安心して相談できます。
オンライン面談にも対応しており、岩手県内からでも気軽に相談可能です。
【参考】CINC Capital
岩手県のM&Aや事業承継の事例
岩手県のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。
NOVAホールディングス株式会社による株式会社いわてアスリートクラブのM&A
NOVAホールディングス株式会社は、JリーグJ3に所属するサッカークラブ「いわてグルージャ盛岡」を運営する株式会社いわてアスリートクラブの株式を追加取得し、子会社化しました。
今回、秋田豊社長(元トップチーム監督)が保有していた株式33.4%を取得し、保有比率は51.4%となりました。
同社は2019年に当クラブの株式をパルコホールディングスグループから譲受して以来関与してきましたが、スタジアム建設やクラブ運営における地域一体の支援が必要とされる中で、経営権を再び握る判断に至ったものです。
今後は、Jリーグ再昇格に必要な観客動員数の確保を目指し、地域社会と連携したクラブ運営が期待されます。
スポーツ分野におけるM&Aは、地域密着型事業と企業ブランドの融合を図る動きとして注目されます。
【出典】NOVAホールディングス株式会社「サッカークラブ『いわてグルージャ盛岡』の運営会社 株式会社いわてアスリートクラブの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
エルテス株式会社によるクロスオーバーソリューションズ株式会社のM&A
エルテス株式会社は、連結子会社であるJAPANDXを通じて、岩手県盛岡市に拠点を置くクロスオーバーソリューションズ(XOS)の全株式を取得し、完全子会社化することを決定しました。
取得額は約4.05億円で、2024年11月28日に実行予定です。
XOSは放送局向けアプリ「ReTSTA」などの開発実績を持ち、JAPANDXとはすでにDXソリューション分野で共同開発の関係にありました。
今回のM&Aにより、技術力とネットワークを融合させ、DX開発案件の効率化・高度化を推進するほか、生成AIを活用した放送局向け音声読み上げソリューションなどの新事業展開も企図しています。
また、自治体DXの推進や地方放送局との連携強化を通じて、地域経済全体への貢献も期待されます。
地方に根差したデジタル企業の統合は、地域創生とDX推進を両立させる戦略的な事例といえます。
【出典】エルテス株式会社「連結子会社によるクロスオーバーソリューションズ株式会社の株式取得に関するお知らせ」
エア・ウォーター東日本株式会社による株式会社深沢ツールのM&A
エア・ウォーターグループの地域事業会社であるエア・ウォーター東日本株式会社は、岩手県のガス販売店である株式会社深沢ツールから高圧ガスおよび機械工具の卸売事業を2024年11月1日付で譲り受けました。
深沢ツールは盛岡市を中心に39年間にわたり産業・医療用ガスやLPガス、機械工具の販売を行ってきた地域密着型企業であり、顧客基盤の厚さと信頼性が強みです。
エア・ウォーター東日本は東北地域で産業・医療用ガスの供給体制を強化しており、既に紫波町に「VSU」の設置やシリンダー充填工場の稼働を進めてきました。
今回の事業譲受により、地域に根差した販売網を取り込み、顧客基盤の拡大とサービス向上を図る狙いです。
産業・医療ガス分野では安定供給が競争力の源泉であり、地場企業の事業承継を通じた拡販戦略は、地方市場でのシェア強化につながる事例といえます。
【出典】エア・ウォーター東日本株式会社「岩手県のガス販売店、㈱深沢ツールからの事業譲受について」
M&Aや事業承継を進めるときの注意点
岩手県では、高齢化の進行や後継者不在を背景に、M&Aや事業承継を選択する企業が増加しています。
しかし、実際の手続きを円滑に進めるためには、いくつかの注意点を押さえておくことが重要です。
以下に、岩手県内の経営環境を踏まえたポイントを紹介します。
地域性や産業構造を踏まえて相手を選ぶ
岩手県では、製造業や建設業、農林業など地域に根差した業種が多く見られます。
そのため、M&Aの相手を選ぶ際は、地域の商習慣や業界特性に理解のある企業かどうかを慎重に見極めることが大切です。
文化や事業スタイルが大きく異なる相手との統合は、従業員の離職や取引先との関係悪化を招くリスクもあります。
公的支援制度を活用する
岩手県では、「事業承継・引継ぎ支援センター」や「よろず支援拠点」など、M&Aや事業承継に関する公的なサポート体制が整っています。
初期相談や事業診断、マッチング支援を無料で受けられる点は大きなメリットです。
コストを抑えて専門的な情報を得る手段として、積極的に活用しましょう。
適切な専門家に相談する
M&Aや事業承継には、法務・税務・財務などの専門知識が必要です。
岩手県内にはM&A実務に精通した士業や、地域事情に詳しい仲介機関も存在します。
経験豊富な専門家に早めに相談することで、想定外のトラブルや損失を防ぐことができ、納得のいく承継を実現しやすくなります。
M&Aや事業承継を検討する際に知っておきたい基礎知識
初めてM&Aや事業承継を検討する際には、基礎的な用語や違いをしっかりと理解しておくことが重要です。
ここでは、よくある質問に簡潔にお答えします。
M&Aと事業譲渡の違いはなんですか?
M&Aは企業の合併・買収を意味し、事業譲渡はM&Aにおける手法の一種です。
M&Aにはいくつかの手法があり、主なものに株式譲渡と事業譲渡があります。株式譲渡は会社の株式を取得することで経営権を移転する手法です。一方、事業譲渡は特定の事業・資産のみを切り離して譲渡する手法となります。
【関連記事】M&Aとは?意味や目的、手法ごとのメリットデメリットをわかりやすく解説
M&Aのメリットとデメリットはなんですか?
M&Aのメリットには、「後継者不在の解決」「事業の成長加速」「雇用の維持」などがあります。
一方で、「文化の違いによる統合失敗のリスク」「従業員や取引先への影響」など、デメリットも存在するため注意が必要です。
【関連記事】M&Aのメリットとデメリットは?買い手と売り手の立場別にわかりやすく解説
M&Aの相場はどのくらいですか?
M&Aの相場は、企業の規模や業種、財務内容などによって大きく変動するため、明確な金額を一律に示すことはできません。
一般的な評価手法には、時価純資産に営業権(のれん)を加える方法や、EBITDAなどの利益指標に倍率をかけて算出するマルチプル法があります。
なお、将来のキャッシュフローをもとに評価するDCF法は、主に上場企業同士やスタートアップ企業間のM&Aで用いられています。
M&Aへ向けて自社の企業価値を知りたい方は、以下のページから「企業価値算定シミュレーション」をご利用ください。
【参考】企業価値算定シミュレーション
M&Aでおすすめの相談先はどこですか?
事業承継・M&Aの相談先には、公的支援機関、金融機関、M&A仲介会社などがあります。
自社の状況や規模に応じて、適切な専門家や機関を選ぶことが成功の鍵となります。
岩手県を含む地方企業の支援にも実績のあるCINC Capitalは、地域密着型のM&A支援に強みがあり、初めての相談でも安心して任せられるパートナーです。
【関連記事】M&Aはどこに相談する?相談先の選び方やメリットデメリットを解説
まとめ|岩手県でも広がるM&Aと事業承継の選択肢
岩手県では、後継者不在や経営者の高齢化に伴う休廃業の増加が続く一方で、県外企業によるM&Aが活発化するなど、M&Aの活用が広がりを見せています。
M&Aを成功させるためには、信頼できる相談先を見つけることが欠かせません。
岩手県内の公的機関や金融機関に加えて、地域密着型の支援に強みを持つ専門家に相談することも一つの有効な選択肢です。
事業の継続や発展を見据えて、自社に合った承継方法を早めに検討していくことが、今後の経営の安定につながるでしょう。
CINC CapitalはM&A仲介協会会員・中小企業庁の登録支援機関です。
業界歴10年以上の専門家が、譲渡や買収の目的に応じて適切な手法をご提案します。
秘密厳守でスムーズな取引を支援します。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。