CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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M&A / スキーム
- 公開日2025.03.25
- 更新日2025.03.25
合弁会社とは?設立のメリットやデメリット、選択の際のポイント
新規事業を立ち上げる際や、事業承継の手法として近年注目されているのが「合弁会社」です。複数の企業が共同で出資し、合弁会社を設立することで双方の強みを活かした事業展開を目指すものです。
2024年現在、M&Aや事業承継の選択肢として合弁事業の活用が増加しており、自社の課題解決や成長戦略の一環として注目されています。
本記事では、合弁会社の概要やほかの手法との違い、メリットデメリットを解説しながら、合弁会社設立までの流れについてご紹介します。
目次
合弁会社の概要
企業が成長や事業拡大、新規事業の立ち上げを目指す際、選択肢の一つとして注目されているのが「合弁会社」です。複数の企業が共同出資して設立する法人形態であり、各企業の強みを組み合わせることで、単独では達成が難しい事業の展開を可能にします。
まずは、合弁会社の基本的な仕組みやほかの法人形態・手法との違いについて見ていきましょう。
合弁会社とは
合弁会社とは、複数の企業が共同で出資して設立する法人のことを指します。出資比率や経営権、意思決定のプロセスを合弁契約で明確に定め、双方が共同で運営します。目的は、相手企業とコスト・リスクを分散しながら、強みを補完し合う形で事業を推進することです。
例えば外資企業では、日本企業と共同出資で合弁会社を設立することで進出してきた経緯があります。海外においても、現地企業と協力して合弁会社を設立し、海外での事業展開を行うケースがあります。
ほかの法人形態との違い
会社法で定められている新会社の法人形態は、「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4つです。合弁会社は会社法に定められた形態ではなく、共同出資によって創設された会社の総称となります。
合弁会社は、単独で設立する法人形態とは異なり、複数の企業が共同で設立する点が特徴です。共同出資によるメリットがある一方で、相手企業との合弁契約や意思決定の調整が必要となります。
合併との違い
合弁会社と合併は、目的や手法が異なります。合併は複数の企業が統合して1つの会社になるもので、存続会社が消滅会社の権利義務を承継します。一方、合弁会社は既存の企業が消滅することなく、新たに設立される法人形態です。そのため、各企業の独立性を維持しながら、新規事業に共同で取り組むケースに適しています。
提携との違い
資本提携との違い
資本提携とは、ある企業が相手企業の株式を取得して、資本関係を築くことを指します。ただし、資本提携では出資比率が少ない場合、経営への直接的な関与が制限されることが一般的です。
一方、合弁会社では双方が出資し、経営に深く関与できる点が大きな違いです。
業務提携との違い
業務提携は、資本関係を伴わず、特定の業務分野で協力する形式を指します。具体的には、技術供与や共同研究開発などです。これに対し、合弁会社は出資を伴うため、資本と業務の両面で関与が求められ、より密接な関係が構築されます。
子会社化との違い
子会社化は、買い手企業が相手企業の株式を取得するなどして、経営権を取得する形で行われます。出資比率が買い手企業に偏る傾向にあり、経営権や意思決定は買い手企業に集中するのが特徴です。議決権の過半数(50%超)を保有する会社を「親会社」、保有されている会社を「子会社」と呼びます。
一方、合弁会社では、出資比率や経営権を合弁契約で調整し、共同で意思決定を行う仕組みとなっています。このため、相互に対等な立場での運営が可能です。
合弁会社を設立するメリットやデメリット
合弁会社は、出資を分担しながら双方の強みを活かせる手法として広く活用されている一方で、運営やリスク管理において独自の課題も存在します。
本節では、合弁会社を設立する際に得られる主なメリットと、留意すべきデメリットについて解説します。
合弁会社を設立するメリット
出資金とリスクを抑えながら新会社の設立が可能
合弁会社では、複数の企業が共同出資を行うため、自社単独で新会社を設立する場合に比べて、出資金やリスクを分散できます。
特に、新規事業の立ち上げでは、相手企業とのリスク共有により、より大胆なビジネス展開が可能となります。スタートアップ企業や中小企業にとって大きな利点となるでしょう。
参加企業のシナジー効果の発揮
合弁会社では、各企業が持つ技術、ノウハウ、市場シェアなどの強みを融合させることで、シナジー効果を発揮できます。
例えば、A社の技術力とB社の販売ネットワークを統合することで、単独では到達できなかった市場や顧客層にアプローチできるケースが多く見られます。
海外進出の容易化
海外市場への進出において、現地企業との合弁会社設立は非常に効果的な手法です。現地企業の知識やネットワークを有効活用できれば、市場参入時のハードルを下げられます。
現地の法規制や文化的な違いへの対応が迅速に行えるため、初期段階から円滑な事業運営を実現できるでしょう。
合弁会社を設立するデメリット
利害関係が複雑化する
合弁会社では、複数の企業が経営に関与するため、意思決定が複雑化する場合があります。特に、出資比率が50%ずつの場合は意見の対立が発生しやすく、迅速な対応が求められる場面で判断が遅れるリスクがあります。
トラブルを防ぐためには、合弁契約の段階で意思決定プロセスを明確化しておくことが必要です。
技術やノウハウなど経営資源の流出リスク
合弁会社を通じて、技術やノウハウが相手企業に流出するリスクも懸念されます。自社の競争力の源泉となる技術や情報が、将来的に競合となる可能性がある企業に渡るリスクを十分に考慮しなければなりません。適切な契約内容や守秘義務の規定が重要です。
パートナー企業の社会的信用の影響を受けるおそれ
相手企業が社会的信用を失った場合、自社の評判にも悪影響が及ぶリスクがあります。
例えば、合弁会社が関与する事業で問題が発生した場合、すべての出資企業が連帯して責任を問われる可能性があります。
合弁会社設立の際に決める事項
合弁会社を設立するときは、事前に重要事項の決定が必要です。事業運営の方向性や将来的なリスク回避にも関わるため、合弁契約の中で明確にしておかなければなりません。
法人形態
合弁会社を設立する際には、まず法人形態を決定することが重要です。それぞれの特徴を理解した上で、自社や相手企業の目的に合った形態を選ぶ必要があります。
事業の目的や規模、双方の合意内容を踏まえて、フェアな会社運営ができる法人形態を選択することが合弁会社の成功につながります。
出資比率
出資比率は、合弁会社の経営権や利益配分に大きな影響を与えるため、慎重に決定する必要があります。
例えば、双方が50%ずつ出資する場合、経営権が対等になるため平等な運営が可能です。一方で、意見が対立した際に意思決定が停滞するリスクが生じることがあります。
また、出資比率によって、利益の配分やリスクの分担も変わってきます。経営の主導権をどちらが握るのか、もしくは平等な立場を維持するのかといった方向性を事前に話し合うことが重要です。
出資比率が曖昧なまま事業を進めると、後にトラブルが発生する原因になりかねないため、合弁契約書に明確な取り決めを記載しておくことが求められます。
撤退条件
合弁会社では、事業が計画通りに進まなかった場合や、相手企業との関係が悪化した場合に備えて、撤退条件を明確にしておくことが重要です。
撤退のタイミングや条件、撤退時の対価や資産の評価方法、さらに権利や義務の処理について取り決めることで、将来的なトラブルを防げます。
また、合弁事業を途中で終了する場合には、債務や権利の引き継ぎについても明確に定めておく必要があります。撤退条件が曖昧なままだとトラブルが長期化し、双方に大きな負担をもたらす可能性があるため、慎重に合意を形成することが不可欠です。
合弁会社設立の流れ
合弁会社を設立する際には、いくつかのステップを順序立てて進める必要があります。適切な手続きを踏まえることで、後のトラブルを防ぎ、事業運営をスムーズに始められるでしょう。ここでは、合弁会社設立までの基本的な流れについて解説します。
パートナー企業の選定
合弁会社設立に向けた第一歩は、パートナー企業の選定です。相手企業の選定では、自社が目指す事業の目的や方向性と一致しているか、双方の強みを活かせるかが重要なポイントとなります。
また、企業の経営状況や社会的信用、企業文化の違いなども事前に確認し、信頼できるパートナーを選ぶことがポイントです。
基本合意の締結
パートナー企業が決定したら、次に行うのが基本合意の締結です。基本合意書では、合弁会社設立に向けた大枠の合意事項を文書としてまとめます。合弁事業の目的や事業内容、出資比率、経営方針、運営体制などについて合意し、双方の認識を一致させることが目的です。
基本合意書では、守秘義務や独占交渉義務のほか、費用負担や準拠法・紛争解決などの重要な条項には法的拘束力を持たせます。事業計画や詳細な出資条件、経営方針などは、本契約である合弁契約書(Joint Venture Agreement)において最終的に確定させるのが一般的です。
各種締結条件の確認
基本合意の締結後は、各種締結条件の確認を進めます。この段階では、より具体的な条件について精査し、相手企業と協議を重ねることが大切です。
具体的には、出資額や出資比率、経営権の所在、利益の配分方法、撤退時の条件、債務や権利義務の取り扱いなどを細かく確認します。
合弁会社設立契約の締結
各種条件の確認が完了した後、最終的に合弁会社設立契約を締結します。この契約は合弁会社の運営に関わるすべての条件やルールを正式に定めたものであり、双方の合意事項が法的効力を持つ文書としてまとめられるものです。
契約内容には、合弁会社設立の目的と概要、株式の保有率、取締役会役員、経費負担、重要事項、剰余金の配当などが含まれます。
まとめ|合弁会社の設立で事業の可能性を広げよう
合弁会社は、自社だけでは成し得ない事業展開や市場拡大を実現するための有効な手段です。共同出資によるリスク分散や相手企業とのシナジー効果は、成長戦略の大きな後押しになるでしょう。
しかし一方で、利害関係の複雑化や経営資源の流出リスクといったデメリットも存在するため、パートナー企業の選定や契約内容の精査が不可欠です。
合弁会社の設立を検討する際には、事業目的や出資比率、撤退条件などを明確にし、信頼できる企業と合意形成を進めることが成功の秘訣となります。自社の成長戦略の一環として合弁会社を活用し、さらなる事業の可能性を広げていきましょう。
CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。