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携帯販売代理店のM&A動向は?事例や成功のポイントを解説【2025年】

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  • 公開日2025.09.29

携帯販売代理店のM&A動向は?事例や成功のポイントを解説【2025年】

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携帯販売代理店のM&Aについて情報を探していませんか?

「店舗数が減ってきている今、M&Aはチャンスなのか?」「中小規模でも買い手は見つかるのか?」と不安や疑問を感じている方は多いはずです。

本記事では、携帯販売代理店業界の最新のM&A動向や注目事例を紹介しながら、成功に導くための具体的なポイントを解説します。

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携帯販売代理店業界の市場動向

携帯販売代理店業界は、2017〜18年頃に主要12社の売上高が合計約1兆円に達し、成長を続けていました。

しかし、スマートフォン普及の飽和状態やオンライン化の加速を背景に、2020年代に入ってからは市場規模が横ばいから縮小傾向へと転じています。

たとえば、キャリアショップ数は2022年2月の約8,026店から、2025年3月には6,999店まで減少しました。

さらに、2021年度のスマートフォン+端末の販売台数は4,079万台でしたが、そのうちおよそ3割にあたる28.9%が格安SIMによる契約でした。

これは、メイン市場の成長が鈍化する一方で、低価格プランを求めるニーズが急速に広がっている現状を示しています。

【出典】株式会社エムシーエイ「【調査結果】キャリアショップ数はこの半年で143店減の6999店に、約3年で1027店舗が消滅」
【出典】Seed Planning Inc.「【新刊レポート紹介】2022年版 携帯電話販売代理店・全国/地域別流通の現状及び将来動向」

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携帯販売代理店業界が抱えている課題

携帯販売代理店業界は、長年にわたり成長産業として注目されてきましたが、スマートフォンの普及率が頭打ちとなった現在、市場は大きな転換期を迎えています。

本章では、業界全体が直面している主要な3つの課題を詳しく見ていきましょう。

競争激化・市場飽和に伴う収益圧迫

スマートフォンの普及率は97%に達し、国内での新規契約余地がほとんど残っていません。

このような成熟市場において、格安SIMやキャリアのオンラインブランド(UQモバイル、ワイモバイル、ahamoなど)の台頭が進んでいます。

例えばMMD研究所の調査では、MVNO(いわゆる格安SIM)のメイン契約率が9.1%に達し、オンラインブランドを合わせると約50%弱に達するとの結果が出ています。

こうした競争環境では、端末割引やキャンペーン費用がかさみ、販売奨励金に依存する従来モデルでは収益性の維持が困難です。

【出典】モバイル社会研究所「2024年調査 スマートフォン比率97%:2010年は約4%」

【出典】MMD研究所「MVNOのシェアは9.1%、前回調査からの推移トップは「日本通信SIM」 総合満足度、NPS®ともにトップは「日本通信SIM」」

オンライン販売の拡大と実店舗意義の再定義

キャリア公式サイトやECチャネルでの契約が増加する中、実店舗の来店客数は減少傾向にあります。

そのため携帯販売代理店は、単なる販売場所から「体験」と「相談」の場へ役割を進化させることが必要です。

OMOやオムニチャネルの取り組みでは、実店舗とオンラインの在庫情報共有やチャット対応などが導入され、シームレスな購買体験が提供される流れへ変化しています。

人材不足・教育負担と離職リスク

携帯ショップ業界では、新人の1年以内の離職率が高く、ノルマや複雑な料金プランへの対応が主な原因とされています。

さらに、全国携帯電話販売代理店協会の調査によれば、コロナ禍以降は業務量やクレーム対応の負担が増え、離職率は過去最高水準に達しています。

M&A後に教育体制が不十分だと、制度や文化の違いから従業員の不安や離職が増える恐れがあるため、早急な対策が必要です。

【出典】全国携帯電話販売代理店協会「2023年度事業報告」

携帯販売代理店業界のM&A最新動向(2025年)

携帯販売代理店業界では、2025年現在、業界再編が急速に進んでいます。

背景には、店舗数の減少や市場飽和、オンライン販売の台頭といった構造的な変化があるのです。

本章では、主に3つの動向について解説していきます。

大手代理店による中小代理店の積極買収

大手企業が中小の携帯ショップを買収しているのは、オンライン販売や価格競争が激しくなる中で、実店舗のネットワークが他社との差別化につながるためです。

たとえば2022年12月には、ノジマが約854億円でコネクシオをTOBにより完全子会社化し、家電と携帯の販売を組み合わせた競争力強化を図りました。

【出典】Reuters「ノジマ、伊藤忠子会社のコネクシオにTOB 1株1911円」

外資や異業種による大型M&A案件発生

携帯販売代理店の業界再編は外資や異業種の大型M&Aによって加速しています。

代表的な事例として、ベインキャピタルが2024年10月に約1,400億円でティーガイアをTOBにより非上場化し、収益構造改革と体制強化を狙っていることなどです。

【出典】日本経済新聞「携帯販売最大手ティーガイア、ベインが買収 1400億円超」

地方の小規模店舗で事業承継型M&Aが増加

地方の中小規模店舗では、オーナーの高齢化や後継者不足への対応として、スモールM&A型の事業承継が増加傾向です。

M&Aマッチングプラットフォームに掲載される店舗案件が増えており、数百万円~数千万円の譲渡事例が定期的に誕生しています。

携帯販売代理店でM&Aを成功させるためのポイント

携帯販売代理店業界でM&Aを成功させるには、単に契約を成立させるだけでなく、買収後の統合プロセスや現場運営まで視野に入れた戦略が求められます。

本章では、M&Aを確実に進めるために重要な5つのポイントを見ていきましょう。

PMI(統合)を迅速かつ計画的に実施する

M&A後は、シナジー効果の実現に必要な業務統合が遅れると効果が減少してしまいます。

例えば在庫管理・人事制度・IT基盤などをクロージング直後から計画的に統合する体制を整えておくと、M&Aのゴール設定と業務遂行が円滑に進められるでしょう。

地域ごとのサービスニーズに合わせる

都市部と地方では顧客の特性が異なるため、地域に合ったサービス設計が重要と言えます。

地方では高齢者向けの訪問サポート、都市部では法人プランや最新端末の体験サービスが効果的です。

実際、兼松コミュニケーションズは地域別にサービスを再設計し、成長につなげました。

既存ブランドの強みを残しつつブランド展開

買収先が地元で信頼を得ている場合、社名やロゴをすぐに変えるのはリスクです。

まずは既存ブランドを維持し、段階的に自社ブランドへ統合する方法が有効です。

顧客離れを防ぎ、ブランド価値も継続できます。

ティーガイアもこの方法を取り入れ、買収後しばらくは店舗名をそのまま使い、時間をかけて自社ブランドへ統合しました。

スタッフ育成・モチベーション向上を重視

M&A後、従業員は制度変更や文化統合への不安を抱きやすく、離職リスクが顕著に高まる時期です。

そのため、待遇明示・研修制度設計・フィードバック機会の提供などにより、従業員の安心感と所属感を高めた取り組みが効果を上げています。

デジタル化による業務効率化・販路拡大

M&A後の統合では、在庫・契約・顧客情報などを一元管理できるIT基盤の統合が不可欠です。

また、ECサイト運営やチャット接客など新たな販売チャネルの整備により、オンラインとオフラインの双方で顧客に接点を持てる体制を構築できます。

携帯販売代理店のM&A事例

最後に携帯販売代理店のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

株式会社ティーガイアによる株式会社富士通パーソナルズのM&A

ティーガイアは2020年8月、富士通パーソナルズの携帯電話販売事業を承継する新会社の全株式を富士通から取得し、子会社化することを決定しました。

本件は富士通が設立する100%子会社に対象事業を吸収分割で移管した上で、ティーガイアがその株式を約287億円で取得するスキームです。

対象事業はNTTドコモの一次代理店として全国に多数のドコモショップを展開し、法人向けソリューション販売でも実績を積んできました。

ティーガイアはモバイル販売で業界トップの地位を有しており、本件により店舗網と販売力を拡大し、サービスの高度化や効率化を図る狙いです。

さらに、富士通パーソナルズが培った法人向け事業を自社の商材開発力や販売ノウハウと融合させることで、法人顧客へのソリューション提供を強化し、新たな価値創出を目指しています。

携帯電話販売代理業界は成熟化が進む一方で、スマートフォンや法人需要への対応が成長の鍵となっており、本件はその中で競争優位を高める戦略的なM&Aと位置づけられます。

【出典】株式会社ティーガイア「株式会社富士通パーソナルズの携帯電話等販売事業を吸収分割により 承継する会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

オリンパス株式会社によるITX株式会社のM&A

オリンパス株式会社は2011年3月、携帯電話販売を中心とした情報通信サービス事業を展開するアイ・ティー・エックス(ITX)株式会社を株式交換により完全子会社化しました。

本件は2010年11月から実施した公開買付けで発行済株式の92.54%を取得した後、残余株式を株式交換で取得する形で実施され、ITXは同年3月に上場廃止となりました。

オリンパスは創業100周年ビジョンの中で「情報通信分野の強化」と「新規事業創出」を掲げており、ITXをグループ内の新規事業創生エンジンとして位置づけてきました。

特にITXは携帯電話販売チャネルの拡大やスマートフォン市場対応で収益基盤を強化しており、オリンパスのブランド力と経営資源を活用することで、ソリューションビジネスの拡大や独自サービスの創出が期待されています。

競争が激化する通信市場環境において、意思決定の迅速化とグループシナジーを高めるための戦略的な完全子会社化といえます。

【出典】オリンパス株式会社「オリンパス株式会社によるアイ・ティー・エックス株式会社の株式交換による完全子会社化に関するお知らせ」

ソフトバンクグループによるボーダフォン株式会社のM&A

ソフトバンクグループは2006年4月、全額出資子会社であるBBモバイルを通じてボーダフォン株式会社の公開買付けを完了し、同社株式の約99.5%を取得しました。

併せて、ボーダフォン株を保有していたメトロフォン・サービス株式会社の全株式も取得し、事実上の完全支配を実現しました。

買収資金は、モバイルテック株式会社やヤフー株式会社、ボーダフォン・グループからの増資引受に加え、総額約1.28兆円に及ぶ金融機関からのブリッジローンなどで調達されました。

この買収により、ソフトバンクは固定通信、インターネット事業に加えて携帯通信事業にも本格参入し、総合的な通信事業者としての地位を確立することになりました。

当時、日本の携帯市場はNTTドコモとKDDIが二強を形成しており、ソフトバンクはボーダフォン買収を通じて第3の勢力として存在感を高めました。

ユビキタス社会の実現を掲げたこのM&Aは、のちのスマートフォン普及期におけるソフトバンクの急成長の礎となった点で、通信業界の構造転換を象徴する事例といえます。

【出典】ソフトバンクグループ「ボーダフォン買収完了に関するお知らせ」

まとめ|携帯販売代理店のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

携帯販売代理店業界では、市場の成熟や店舗統廃合が進む中で、M&Aによる再編が加速しています。

大手の地域店舗買収や外資の参入、地方での事業承継など、さまざまな動きが交差しています。

M&Aを成功させるには、契約成立だけでなく、統合後の人材・ブランド活用やIT基盤の整備まで含めた戦略が欠かせません。

CINC Capitalでは、携帯販売代理店業界に精通したアドバイザーが、案件選定から交渉、PMIまで一貫してサポートします。

M&Aの成功を目指す方は、ぜひご相談ください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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