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技術者派遣業界のM&A動向は?事例や成功のポイントを解説【2025年】

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  • 公開日2025.09.29

技術者派遣業界のM&A動向は?事例や成功のポイントを解説【2025年】

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「技術者の確保が難しい」「将来の事業継続に不安がある」とお悩みではありませんか。

技術者派遣業界は、人材不足や価格競争、法制度の変化など、大きな転換期を迎えています。

本記事では、技術者派遣業界の最新市場動向やM&A成功のポイントについて解説します。

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技術者派遣業界の市場動向

技術者派遣業界とは、IT・機械設計・建設などの高度専門人材を派遣する業界です。

日本の派遣市場(約8.7~9兆円)のうち、約2.7兆円(30%程度)を占めています。

市場は2020年以降も年間成長率5〜10%程度で拡大しており、特にDX・デジタル人材向け派遣市場は2023年1兆3,615億円と、前年比9.1%の伸びを記録しています。

派遣労働者数も2022年には約186万人、うち技術者派遣が17~18万人に達しており、市場として拡大傾向です。

【出典】矢野経済研究所「デジタル人材を対象とした人材サービス市場に関する調査を実施(2025年)」

M&Aや事業承継は、まず自社の企業価値を正しく把握することから始まります。

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技術者派遣業界が抱えている課題

技術者派遣業界は、市場規模の拡大が続く一方で、深刻な構造的課題を抱えています。

本章では、業界が直面している三つの代表的な課題について解説します。

エンジニア人材の深刻な不足

日本ではIT系エンジニアの人材不足が深刻化しており、将来的にもその傾向は続くと予測されています。

情報サービス分野でも多くの企業が人材不足を課題として認識しており、状況は深刻です。

派遣会社は人材確保のために報酬や育成への投資が必要ですが、その分コストが増え、収益を圧迫しています。

【出典】帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)」

価格競争と収益圧迫

技術者派遣市場は参入しやすいため、中小企業が乱立し、価格競争が激化しています。

単価は下がる一方で、採用や教育にかかるコストは増えており、中小企業では収益悪化が進んでいます。

効率化や差別化を図らなければ、価格競争から抜け出すことは困難です。

法制度や市場変化への対応負担

同一労働同一賃金や派遣法の改正により、制度対応の負担が増しています。

働き方の多様化やフリーランス、オフショアの普及も進み、派遣市場は再編の時期を迎えています。

派遣会社は法規制と市場変化の両方に対応しながら、事業の継続を図る必要があります。

【出典】厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査の概況」

技術者派遣業界のM&A最新動向(2025年)

2025年現在、技術者派遣業界ではM&Aがますます活発になっています。

本章では、主に3つの動きについて詳しく解説していきます。

大手による中小派遣会社の買収

大手派遣会社は人手不足や市場拡大に対応するため、中小企業の買収を進めています。

特にITや医療分野に強みを持つ企業が買収の対象となっており、2025年もその動きが活発です。

この流れは、大手にとっては競争力強化につながり、中小企業にとっては生き残りの手段となっています。

デジタル領域・専門分野への進出

最近では、M&AによってITやDXなどの専門技術を持つ人材を取り込む動きが増えています。

単なる規模の拡大ではなく、派遣サービスの質や効率を高めることが目的です。

実際に、IT系の専門会社を買収して、自社のシステムやサービスに統合する事例も見られます。

このようなデジタル領域のM&Aは、今後の競争力を保つために欠かせない成長戦略となっています。

後継者不在と事業承継を背景としたスモールM&A

中小規模の派遣会社では、経営者の高齢化と後継者不在が事業継続の大きな課題になっています。そのため、創業者が会社を円滑に引き継ぐ手段として、数千万円から数億円規模のスモールM&Aが増加傾向です。

これにより、雇用を守りつつ経営を次の世代に引き継ぐことができ、現実的な選択肢として定着しつつあります。

この動きは、小規模企業の価値を正しく評価し、買収側にもメリットのある業界全体の流れになっています。

技術者派遣業界でM&Aを成功させるためのポイント

技術者派遣業界でM&Aを成功させるには、業界特有の事情を理解したうえで、慎重かつ戦略的に進めることが不可欠です。

本章では、M&Aを成功させるポイントを5つ解説します。

キーマン(社員・技術者・顧客)の流出防止

M&A後に最も注意すべきなのは、優秀な社員や技術者、そして彼らと関係のある顧客が離れてしまうことです。

このリスクを避けるには、早い段階で重要な人材を特定し、一人ひとりと丁寧に面談を行うことが大切です。

たとえば、経営者や営業の責任者には、買収後の役割や今後の働き方を具体的に伝え、将来のビジョンを共有することで信頼関係が深まります。

こうした対応が、人材と顧客の流出を防ぎ、企業の価値を守ることにつながるでしょう。

技術者価値に基づく企業評価の正確化

派遣業界では、在籍する技術者のスキルや人数、そして顧客との契約が安定しているかどうかが、企業価値を大きく左右します。

そのため、正確な企業評価を行うには、技術者一人ひとりの価値をしっかり把握することが重要です。

エンジニアの専門分野や経験年数、対応できる仕事の種類などを詳しく確認し、それに基づいた評価基準を作ると良いでしょう。

領域シナジーを見据えた買収戦略

M&Aでは、ただ規模を拡大するのではなく、自社が強化したい専門分野や地域に強みを持つ派遣会社を選ぶことが大切です。

たとえば、ITや機械設計、建設など、補強したい分野をはっきりさせることで、どの会社を買収すべきかが明確になります。

また、買収後の連携を想定しておくことで、統合後すぐに成果を出す体制を整えやすくなります。

法規制順守とM&Aスキーム最適化

派遣業を引き継ぐには、厚生労働省の許可が必要です。

株式譲渡なら許可をそのまま引き継げますが、事業譲渡の場合は新たに申請しなければなりません。

そのため、法令をきちんと守っているか、過去に行政処分がないかなどを、事前にしっかり確認することが大切です。

また、買収の目的や事業の規模、税金面のメリットなどを踏まえて、どの方法で進めるかを選ぶことで、リスクを減らし、スムーズな統合が実現できます。

PMIの計画と文化・制度統合

M&Aは契約で終わりではなく、その後の統合(PMI)が成功のポイントになります。

特に派遣業界では、社員や技術者のモチベーション維持や組織文化の統合が重要です。

人事や評価、報酬制度の調整に加え、社内アンケートやワークショップで意識を共有することが欠かせません。

こうした対応によって、M&A後の組織の安定と一体感を高めることができます。

技術者派遣業界のM&A事例

最後に、技術者派遣業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

株式会社網屋による株式会社社グローブテック・ジャパンのM&A

サイバーセキュリティ事業を展開する株式会社網屋は、2023年8月にIT技術者派遣を手がける株式会社グローブテック・ジャパンを子会社化しました。

網屋は中期経営計画において、複数のセキュリティ関連事業を包括するホールディングス体制の構築を掲げており、その一環としてセキュリティエンジニア派遣事業の立ち上げを進めています。

今回の買収により、1999年設立以来エンジニア派遣事業で実績を持つグローブテック社の人材基盤を活用し、網屋が強みとするサイバーセキュリティ人材育成を掛け合わせることで、高付加価値の人材派遣サービスを展開する狙いです。

今後は、増加する企業のセキュリティ需要に応える形で事業拡大が期待されます。人材派遣とセキュリティ育成を組み合わせるモデルは、人材不足が深刻なIT分野において競争優位性を発揮する可能性が高いと考えられます。

【出典】株式会社網屋「株式会社グローブテック・ジャパンの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

株式会社ワールドホールディングスによる株式会社日本技術センターのM&A

ワールドホールディングスは、2023年5月に兵庫県姫路市に本社を置く株式会社日本技術センターを子会社化しました。

同社は創業55年の歴史を持ち、機械・電気・電子・ソフトウェア分野における技術請負や製造・技術者派遣を手がけ、特に関西エリアで強みを有しています。

ワールドホールディングスは「ものづくり」領域を幅広くカバーする人材教育ビジネスを基盤としていますが、今回の買収により日本技術センターの高度な技術者リソースを取り込み、プロダクツHR事業の技術領域を強化するとともに、西日本における事業基盤を拡大する狙いがあります。

人材不足が深刻化する製造業界において、技術派遣と教育を組み合わせたサービスは今後さらに重要性を増すと見込まれ、両社のシナジーによる成長加速が期待されます。

【出典】株式会社ワールドホールディングス「株式会社日本技術センターの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

株式会社オープンアップグループによる株式会社オフューカスインベスコのM&A

オープンアップグループは、2024年10月に株式会社オフューカスインベスコを買収し子会社化しました。

同社は建設分野の人材派遣・紹介を展開するアイアール株式会社を傘下に持ち、特に名古屋を拠点とする東海地方で事業基盤を有しています。

オープンアップグループは未経験者を技術者へと育成する独自モデルを強みに、エンジニア派遣領域で高成長を続けていますが、建設派遣においては業界トップクラスの地位を確立しており、さらなる強化を進めています。

今回の買収により、シェアの低かった東海地方での事業拡大と、アイアール社が得意とするSNSを活用した効率的な採用ノウハウの取り込みが可能となります。

人材不足が続く建設業界において、育成力と採用力を兼ね備えた体制は競争力を高め、今後の成長ドライバーになると見込まれます。

【出典】株式会社オープンアップグループ「連結子会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ 」

まとめ|技術者派遣業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

技術者派遣業界のM&Aは、単に買収を進めるだけで終わりません。

その背景にある人手不足やDX化、法制度対応といった業界構造を正しく把握し、大手による中小買収、専門領域への進出、スモールM&Aなどの潮流を戦略の中核に据えることが重要です。

CINC Capitalでは、様々な分野のM&Aに精通した専門アドバイザーが、戦略立案から契約、統合まで支援しています。

技術者派遣業界のM&Aを検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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