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子会社売却とは?メリットデメリットや実施プロセス、成功させるためのポイントを解説

売却 / 会社売却

  • 公開日2024.12.17
  • 更新日2025.01.22

子会社売却とは?メリットデメリットや実施プロセス、成功させるためのポイントを解説

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経営戦略の一環として、M&Aを実施する企業が増えています。数ある手法の中でも、特に子会社の売却は多くのメリットをもたらすため、注目を集めています。

本記事では子会社売却を考えている企業に向け、子会社売却のメリットやデメリット、具体的な流れとおさえるべきポイントを解説します。子会社売却を十分に理解し、自社の発展に活かしましょう。

子会社売却とは?

子会社売却とは、親会社が所有する子会社の株式や資産を第三者に譲渡することを指します。

親会社は事業戦略や財務状況の改善を目的に、子会社を売却することで、不要な経営資源を見直し、事業の最適化を図ります。

【引用】中小企業庁「後継者の有無別に見た、売り手としてのM&Aの目的や想定する効果」

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の調べによると、M&Aの目的に事業の承継やそれに伴う従業員の雇用の維持に次いで、「事業の成長・発展」と回答した方が45%と、高い数値を示しました。

数値やグラフからも、事業の売却は経営戦略の一環として活用されていることがわかります。

子会社売却をするためのM&A手法

子会社を売却するためのM&A手法には、以下の3つが挙げられます。

  • 株式譲渡
  • 会社分割
  • 事業譲渡

ここでは、各M&A手法について解説します。

株式譲渡

株式譲渡は、会社の株式を他の企業や個人に売却する手法です。売り手企業が買い手企業に株式を譲渡することで、経営権や事業の移動が伴います。買い手企業は、取得した企業の資産や負債を包括して受け取ることになります。

株式譲渡については 以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。

【関連記事】株式譲渡とは?メリットやデメリット、事業譲渡との違いも解説

会社分割

会社分割は、会社が持つ事業の一部、または全ての事業を他の企業に承継する手法のことを指します。

会社の一部を切り離して、別の会社に承継します。新たな経営体制の確立や、事業の再編成を目的として実施されることが多いです。

会社分割については以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。

【関連記事】会社分割とは?吸収分割や新設分割との違い、手続きについても解説

事業譲渡

事業譲渡は、会社の特定の事業や資産を分割して売却する手法です。会社全体ではなく特定の事業単位で売却することができます。

ただし、事業譲渡は以下の点に注意が必要です。

【負債の取り扱い】

  • 負債だけを切り離して譲渡することはできない
  • 原則として資産・負債・契約関係等は包括的に引き継ぐ必要がある
  • 個別の資産・負債の選択的な譲渡には、債権者の同意が必要


【譲渡の範囲】

  • 事業継続に必要な資産
  • 従業員との雇用契約
  • 取引先との契約
  • のれん(営業権)
    ※事業単位での譲渡が一般的です。

事業譲渡については以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。

【関連記事】事業譲渡とは?メリットやデメリット、手続きをわかりやすく解説

子会社売却のメリット

ここでは子会社を売却するメリットについて解説します。メリットを理解し、今後の売却に役立てましょう。

主力事業に集中できる

複数の事業を抱える企業は、事業や経営資源が分散することで主力事業に専念できなくなることがあります。
子会社を売却により、企業は主力事業に集中し、競争力を高めることができます。

人事面や経理面も、親会社と重複していた点が解消され、コスト削減に繋がる場合があります。

売却益を得られる

子会社が市場で価値を持っている場合、その子会社の株式を売却により、売却益を手に入れたり、一時的なキャッシュフローを改善したりすることが可能です。

もし成長させたい事業があり、資金が必要となった時に子会社の売却を行うことで、売却益を投資に充てることもできるでしょう。

不採算事業を切り離せる

不採算事業は企業全体の財務状況を圧迫する原因となるため、その処分が求められます。

もし、子会社の業績が悪く、負債が増え続けているのであれば、子会社をどうするべきかしっかり考えないといけません。

子会社が不採算事業に該当するのであれば、売却を検討しましょう。売却により、経営効率を改善することが期待できます。

子会社売却のデメリット

子会社売却はメリットがある一方で、デメリットも存在します。ここでは子会社売却のデメリットについて解説します。

子会社からの利益がなくなる

子会社が成長し、利益が生まれているのであれば、当然その子会社を売却することで、子会社からの利益がなくなります。子会社の収益を失えば、親会社全体の収益に影響を与えます。

一時的な売却益により、会社の資源は増えるかもしれませんが、子会社が急激に成長し、今後さらに大きな利益をもたらす可能性もあります。

子会社の未来を見据え、売却の有無を社内で話し合うことが大切です。

子会社の売却益に課税される

子会社の売却によって得た利益には、税金が課せられます。売却益は課税対象となるため、実際に手に入る金額は税引き後となります。これにより、売却益が減少します。

売却益に課税されるため、期待したほどの利益は得られない場合があるでしょう。子会社の売却後の課税がどのくらいになるか、事前に確認することが大切です。

子会社売却の主なプロセス

子会社の売却にはいくつかのステップがあります。子会社売却の流れは以下の通りです。

  • M&Aの準備
  • 譲渡先との基本合意書の締結
  • 子会社への株式譲渡承認の請求
  • 親会社での臨時取締役会の開催
  • 親会社での臨時株主総会の招集
  • 子会社からの株式譲渡の承認
  • 譲渡先との株式譲渡契約の締結
  • 子会社への株主名簿書換請求

各ステップを正確に理解し、実行することで、スムーズな売却が実現できます。ここでは子会社売却の流れ・対応事項について解説します。

M&Aの準備

子会社売却、つまりM&Aに向けた準備を怠ると、円滑に売却できないのはもちろん、後のプロセスで問題が発生する可能性があります。

特に財務状況や法務リスクについて十分に洗い出しをしっかり行ったうえで、徹底した準備を行うことが大切です。

この準備の段階で、M&A仲介会社をはじめとした、M&Aアドバイザーへの相談は大変おすすめです。 M&Aアドバイザーから支援をもらい、売却プロセスを円滑に進める基盤を整えましょう。

譲渡先との基本合意書の締結

交渉の上、譲渡先(買い手企業)と基本合意書を締結します。事前に基本的な条件や事項を合意することで、後々のトラブルを防ぐことができます。

ちなみに基本合意書は今後の方向性を示したものです。法的拘束力があったり、条件が確約されたりするわけではありません。

子会社への株式譲渡承認の請求

非上場企業のほとんどは、株式に譲渡制限を設定しています。譲渡制限を設けられた株式を譲渡するには、取締役会または株式総会で株式譲渡の承認を請求しなければなりません※。

譲渡株式の種類や譲渡先の基本情報を記載した書面を、子会社に提出します。

※会社の乗っ取りを避けるために譲渡制限が設けられています。

親会社での臨時取締役会の開催

子会社の売却について臨時株主総会の招集決議が必要なため、親会社で臨時取締役会を開催します。

もし、取締役会の設置されていない会社の場合は、取締役の過半数の賛成が必要になります。

親会社での臨時株主総会の招集

開催の1週間前までに株主に対して招集通知の送付をし、臨時株主総会を開催に備えます。

取締役会が設置されていない会社の場合は、書面の送付は必要ありません。

子会社からの株式譲渡の承認

親会社の臨時株主総会で、株式譲渡の承認があった後、子会社に対して書面での株式譲渡の承認請求を行います。

子会社は、株式譲渡の承認請求を受けた日から2週間以内に臨時株主総会を開催します。株主総会は普通決議にて承認します。

譲渡先との株式譲渡契約書の締結

取締役会や株主総会の承認後、譲渡先(買い手企業)との間で株式譲渡契約書が締結されます。

株式譲渡承認契約書は、契約内容が詳細に記載された最終の契約書です。買い手と売り手双方が合意となれば、契約書の締結となります。

子会社への株主名簿書換請求

株主名簿の書き換えによって株主名簿記載事項証明書が交付され、株式の所有権が移転します。株主名簿の書き換えにより、売却の最終手続きが完了します。

※会社法では株式不発行が原則で、株式の現物を手渡すことはほとんどありません。

子会社売却のポイント

子会社を売却する際には、成功させるために押さえるべきポイントがいくつかあります。

ここでは、子会社売却において特に重要な4つのポイントについて解説します。

買い手の選定

適切な買い手の選定は、子会社売却の成功に直結します。買い手の選定によって、売却後の事業継続や従業員の雇用維持、取引先との関係維持などが大きく左右されます。また良い買い手を選ぶことで、売却後のトラブルを最小限に抑えることができるでしょう。

M&A仲介会社の支援をもらう場合、シナジー効果を期待して買い手を紹介することが多いです。しっかり自社の強みや事業計画を明確にして、共有することが大切です。

競業避止義務の確認

売却後の競争リスクを避けるために、競業避止義務の確認は必要です。子会社を譲渡する際は、株式譲渡契約書に競業避止義務の旨が記載されます。

もし、売却後に買い手企業が同様の事業を行なっていた場合は、問題になる恐れがあります。交渉の時点で競業避止義務について、確認を怠らないようにしましょう。

従業員の離職への備え

子会社といっても、事業や会社が売却されることには変わりないので、ネガティブに捉える従業員も存在するでしょう。その結果、子会社売却後に離職する人が増える可能性もあります。

従業員の離職が増えると、売却後の企業価値や運営効率が低下してしまいます。離職を防止するために、売却前に従業員向けの説明会を開催し、多くの質問に応じることで、従業員の不安を軽減するなどの対策を講じることが大切です。

取引先に影響を与える可能性の考慮

売却がきっかけで、取引先との関係が悪くなることがあります。会社売却に対してネガティブなイメージを持つ取引先が、子会社売却後に契約解除などの対応をした場合、当然今後のビジネスに支障が出る可能性があります。

主要な取引先に対して事前に売却について説明し、不安や疑問を解消することで、関係を維持できるよう対応しましょう。

子会社売却に関するよくある質問

子会社売却すると社員はどうなりますか?

子会社が売却される場合、社員の雇用条件や待遇は売却先企業との契約内容に左右されます。通常、売却先が社員をそのまま引き継ぐケースが多いですが、雇用条件が変更される可能性があります。

売却後、職務内容や勤務地が変わる場合もあり、従業員にはその詳細が事前に説明されることが一般的です。

また、一部の社員が希望退職を募られる場合もあります。法的には労働契約承継法に基づき、労働者の権利は基本的に保護されますが、詳細は企業間の取り決め次第です。従業員は会社の対応や自身の立場についてしっかり確認することが重要です。

子会社売却すると税金はどうなりますか?

子会社売却を行うと、売却損益にかかる法人税が発生します。売却益が出た場合、親会社が取得した金額と売却金額の差額に対して法人税(33~36%程度)が課税されます。

一方、売却損が発生した場合は損失として計上でき、他の課税所得と相殺が可能です。

個人が株式を売却した場合の所得税率が20.315%であるのに対し、法人税率は高めです。また、株式譲渡は消費税の課税対象外となります。詳細な税務処理は条件によって異なるため、税理士など専門家に相談することが推奨されます。

まとめ|子会社売却により売却益を得ながら、主力事業に専念することが可能に

子会社の事業が黒字であれば、その価値が評価され、子会社売却の際に売却益を得ることが可能です。また、売却益をそのまま自社の投資に充てたり、主力事業に集中したりすることも期待できます。

子会社売却はメリットが多いですが、会社の売却という大きな取引となるため、以下のポイントを意識して、計画的に進めることが大切です。

  • 買い手の選定
  • 競業避止義務の確認
  • 従業員の離職への備え
  • 取引先に影響を与える可能性の考慮

CINC Capitalでは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、子会社売却のご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。子会社売却の相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長。リクルート関連会社や外資系製薬会社、大手・ベンチャー独立系M&A仲介会社で営業組織を牽引。 特にM&A実績の多い業界は調剤・IT・運送業。

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