CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。

お電話でのご相談はこちら(無料)

03-4500-7072

CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。

動物病院の事業継承動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

業種

  • 公開日2025.04.10
  • 更新日2025.04.14

動物病院の事業継承動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

シェアする

近年、動物病院の事業継承が大きな課題となっています。獣医師の高齢化が進むなか、後継者不足に悩む動物病院は増加傾向にあり、廃業を余儀なくされるケースも少なくありません。

しかし、事業継承を適切に行えば、長年築いてきた病院の信頼や患者さん(飼い主)との関係を維持しながら、スムーズな世代交代が可能になります。

本記事では、動物病院の事業継承の最新動向やメリット・デメリット、成功事例を交えながら、円滑に進めるためのポイントを解説します。

動物病院業界の市場動向

動物病院業界は、近年大きな変化を迎えています。市場規模は一定の成長を維持していますが、その背景にはペット飼育数の減少や、動物医療の高度化による支出額の増加といった要因が影響しています。

日本国内におけるペットの飼育数を見ると、特に犬の飼育頭数は減少傾向です。一般社団法人ペットフード協会の調査によると、2013年には犬の飼育頭数が約870万頭と報告されていました。しかし、2023年には約685万頭と減少しています。猫は2013年が約840万頭、2023年が約907万頭と、毎年増減を繰り返しながら横ばいの状態です。今後もこの傾向が続く可能性があるとされています。

しかしながら、動物病院の数は増加傾向です。2024年末時点で全国に16,993院が存在しています。特に首都圏や大都市圏では動物病院の集中が進んでおり、供給過多の懸念が指摘されています。

また、ペットの飼育数が減少する一方で、動物医療への支出額は増加の傾向です。ペットの高齢化に伴い、慢性疾患の治療や先進的な医療技術の導入が進み、1件あたりの診療単価が上昇しているためです。高度な医療機器を導入した病院や、専門診療を提供する動物病院は成長を続けており、市場の二極化が進んでいるといえます。

このような市場動向の中で、経営が厳しくなる動物病院も増えており、今後は事業継承やM&Aによる病院の存続がますます重要になっていくでしょう。

【出典】一般社団法人ペットフード協会「令和6年(2024年)全国犬猫飼育実態調査 Ⅲ.主要指標 サマリー」

【出典】農林水産省「飼育動物診療施設の開設届出状況(診療施設数)」

動物病院業界が抱える課題

動物病院業界は、市場規模が一定の成長を維持しているものの、経営環境は厳しさを増しています。ここでは、動物病院業界が直面している主要な課題について解説します。

1病院あたりの患者数の減少

動物病院業界の大きな課題の一つが、1病院あたりの患者数の減少です。ペットの飼育頭数は年々減少しており、それに伴い1病院あたりの犬猫の来院数も減少傾向にあります。

また、動物病院の数は増え続けているため、需要よりも供給が上回る状況になっています。その結果、飼い主が病院を選ぶ基準が厳しくなり、質の高い医療サービスや専門性の強化が求められています。

院長の高齢化と後継者不足

動物病院業界では、院長の高齢化と後継者不足が深刻な課題となっています。特に地方では若手獣医師を募集しても確保が難しく、後継者不在のために廃業を余儀なくされる病院も少なくありません。親族内での事業継承が難しいケースでは、従業員や外部の獣医師への引き継ぎが検討されますが、それも困難を極めます。

動物病院業界の事業継承最新動向(2025年)

近年、動物病院業界では経営者の高齢化や後継者不足を背景に、事業承継の動きが活発化しています。この1〜2年で顕著になった最新の動向について、主要なポイントを解説します。

大手グループによる動物病院の買収が本格化

2023年から2025年にかけて、大手動物病院グループによる個人経営の動物病院の買収が本格化しています。大手グループの中には年間30件以上の買収を実施する企業も現れ、業界再編が急速に進行しています。

買収後は、診療システムの統一化やブランディングの強化、専門診療の充実などが進められ、動物医療の質向上と効率化が同時に図られています。2025年には大手グループ間での合併・買収も見られるようになり、業界の寡占化が進んでいます。

獣医師個人によるM&Aの増加と多様化

最新の傾向として、開業を目指す獣医師個人が単に動物病院を購入するだけでなく、複数の病院を同時に取得して小規模グループ化を進める事例が増えています。2025年には、グループ内で専門診療を分担しながら地域医療を支える「地域連携型」の事業継承モデルも登場しました。

特に30〜40代の獣医師を中心に、従来の「一人開業」ではなく、複数の獣医師でパートナーシップを組み、共同で事業を継承するケースも目立ちます。これにより、休日診療の充実や専門分野への特化など、新たな診療体制の構築が可能になっています。

M&Aの一般化と市場拡大

現在では親族による承継のほか、M&Aによる第三者承継が一般化しつつあります。背景には、動物医療の市場規模拡大や、M&A仲介サービスの発展があります。特に都市部を中心に、経営難に陥る前にM&Aを活用し、スムーズな承継を目指す病院が増加しているのが特徴です。

動物病院がM&Aで売却するメリット

動物病院のM&Aは単なる事業承継手段ではなく、業界特有の課題を解決し、経営の安定化や発展につながる選択肢となります。M&Aによってどのようなメリットが得られるのかを見ていきましょう。

廃業リスクの回避と従業員・患者の継続的なケア

動物病院の経営者が高齢化し、後継者がいない場合、廃業を選ばざるを得ないケースが増えています。しかし、M&Aによる事業承継を活用すれば、病院の存続が可能になり、長年通っている患者や飼い主に安心感を与えられます。また、従業員の雇用も維持され、獣医療の提供を途切れさせることなく地域社会に貢献できる点が大きな利点です。

動物病院のブランドと信頼関係の維持

長年にわたって築き上げた動物病院のブランドや信頼関係は、経営者が引退しても守り続けることが重要です。M&Aによって適切な買い手に事業を承継すれば、病院の理念や診療方針を維持しながら運営を継続できます。患者や地域社会からの信頼を損なうことなく事業を続けられるでしょう。

規模拡大による経営の安定化

動物病院単体では限られたリソースの中で運営しなければなりませんが、M&Aによって規模の大きなグループに参画すれば、経営基盤の強化が可能です。医薬品や医療機器の仕入れコスト削減、人材確保、最新医療技術の導入など、単独経営では難しい課題にも対応しやすくなるでしょう。

動物病院がM&Aで売却するデメリット

動物病院のM&Aは多くのメリットをもたらしますが、一方でデメリットも存在します。ここでは、動物病院特有のM&Aにおけるデメリットについて解説します。

経営方針の変化による影響

M&Aによってオーナーが変わると、新しい経営者の方針によって病院の運営方法が変わる可能性があります。診療方針の変更、価格設定の見直し、サービス内容の改定などが行われることで、これまでの顧客(飼い主)が離れてしまうリスクもあるでしょう。特に地域密着型の動物病院では、これまでの信頼関係を維持することが重要なため、慎重な経営引き継ぎが求められます。

スタッフや患者(飼い主)への影響

動物病院のM&Aでは、スタッフの雇用条件が変わることや、新しい方針に適応できない場合、獣医師や看護師が退職してしまうリスクがあります。スタッフが大幅に入れ替わると、病院の雰囲気や診療の質が変わり、患者(飼い主)の信頼を失いかねません。また、M&Aによる経営の変化がうまく伝わらないと、通院していた飼い主が不安を感じ、ほかの病院へ移ることも考えられます。

希望通りの条件で売却できない可能性

M&Aを検討する際、売り手側が希望する条件で売却できるとは限りません。特に、動物病院の事業規模が小さい場合は買い手が見つかりにくく、想定よりも低い金額での売却を余儀なくされることがあります。また、買収希望者が現れても、経営方針や資金力などの面で適切な相手かどうか慎重に見極める必要があります。

動物病院が事業継承を成功させるためのポイント

動物病院の価値を適正に評価し、できる限り有利な条件で事業承継を進めるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、動物病院ならではのM&A成功のポイントについて解説します。

獣医師法に基づく許認可と手続きを確認する

動物病院の事業継承では、獣医師法に基づく各種許認可や手続きが必要となります。開設届の変更や診療施設の基準維持、薬事法に関わる手続きなど、一般企業のM&Aとは異なる専門的な対応が求められます。

特に注意すべきは、診療施設としての要件を満たし続ける必要があることです。施設基準や設備について継承前に確認し、必要に応じて改修や更新を行うことも検討しましょう。また、麻薬や向精神薬などの管理薬剤については、免許や届出の継承手続きも必要です。

継承後も円滑な診療を続けるためには、これらの法的手続きを漏れなく完了させることが重要です。地域の保健所や獣医師会など、関係機関への事前相談も効果的でしょう。

事業の価値を正しく把握して適正な売却価格を設定する

動物病院の売却価格は、診療報酬や設備の価値だけでなく、地域での評判や顧客基盤、従業員のスキルなども影響を与えます。そのため、売却前には事業価値を正確に把握し、適正な価格を設定することが大切です。

動物病院のM&Aに精通した専門家に依頼し、財務状況や市場動向を踏まえて評価を行うことで、適正な価格を見極めやすくなります。

継承後の診療方針やサービス内容の一貫性を確保する

動物病院は、飼い主との信頼関係が非常に重要な業種です。M&Aによる経営者の変更で診療方針が大きく変わってしまうと、顧客離れにつながるリスクがあります。

買い手側と継承後の方針について十分に話し合い、従来のサービスや治療方針をできるだけ維持できるよう調整しましょう。患者(ペット)の負担を減らすためにも、スムーズな引き継ぎが必要です。

従業員の待遇や雇用を継続できるよう配慮する

動物病院の経営は、獣医師や動物看護師などの専門スタッフの存在が不可欠です。M&Aの際に雇用条件が大きく変わるとスタッフの退職につながり、病院の運営に影響を及ぼす可能性があります。売却時には、従業員の雇用継続や待遇維持について買い手側としっかり協議し、可能な限り現在のスタッフが安心して働ける環境を整えることが重要です。

専門のM&A仲介業者やアドバイザーを活用する

動物病院のM&Aには、医療業界特有の規制や契約条件が関わるため、専門知識が必要です。適切な相手先を見つけるためにも、動物病院のM&A実績が豊富な仲介業者やアドバイザーに相談し、サポートを受けることをおすすめします。過去に同様の案件を取り扱った実績があるかどうかを確認し、自院に合った仲介業者を選びましょう。

動物病院業界のM&A事例

最後に、動物病院業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

株式会社WOLVES HANDによる株式会社バハティーのM&A

2025年2月、東証グロース上場のWOLVESHAND(ウルフハンド)は、滋賀県守山市で「守山しっぽ動物病院」を運営する株式会社バハティーの全株式を取得し、完全子会社化しました。

バハティーは2016年開院以来、地域密着型の医療で信頼を築いており、人口増加が続く守山市は今後の成長が期待されるエリアです。ウルフハンドは関西・関東・九州・沖縄で動物病院を展開しており、本件は関西圏の基盤強化を目的とした戦略的M&Aです。

取得後はグループ病院との連携を図り、サービス向上と事業拡大を目指します。

【出典】株式会社WOLVES HAND「株式会社バハティーの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

イオンペット株式会社による株式会社東京イースト獣医協会動物医療センターのM&A

2022年6月、イオンペット株式会社は、夜間救急診療を専門とする「ひがし東京夜間救急動物医療センター」を運営する株式会社東京イースト獣医協会動物医療センターの全株式を取得し、完全子会社化しました。

夜間帯の救急診療を年中無休で行う同センターは、東京都・千葉県エリアにおいて300以上の動物病院と連携する実績を有しています。

本件により、イオンペットは「ペテモネットワーク」の強化を図り、夜間医療体制の充実と地域全体の医療水準向上を目指しています。予防から高度医療まで幅広く対応するイオンペットの戦略的拠点として、重要な役割を担うことが期待されます。

【出典】イオンペット株式会社「株式会社東京イースト獣医協会動物医療センターの全株式の取得および子会社化のお知らせ」

株式会社WithmalとLキャタルトン・ジャパン株式会社の資本業務提携

2023年9月、動物病院の事業承継に注力するWithmalは、世界最大級のコンシューマ業界特化型プライベートエクイティ投資会社Lキャタルトンのアジアファンドと資本提携を実施しました。

Withmalは、後継者不足に悩む動物病院の承継を通じて地域医療の継続と経済の活性化を目指す企業で、承継後は会計・労務などの管理業務を支援することで、獣医師が診療に専念できる体制を構築しています。

Lキャタルトンは過去にもペット関連企業への豊富な投資実績を持ち、今回の提携ではWithmalの成長支援やサービス品質の向上を推進します。

本件は、社会的課題である動物病院の後継者不足への解決策として、業界全体の持続可能性にも貢献する重要な資本提携事例です。

【出典】株式会社Withmal「プライベートエクイティ投資会社Lキャタルトンとの資本提携について」

まとめ|動物病院の事業継承動向を押さえてM&Aを成功へ

動物病院の事業承継は、一般的なM&Aとは異なる特有の課題やポイントが存在します。売却条件を明確にし、日々の経営努力を続けて売却価格を高める努力も重要です。また、理想的な譲渡先を見つけるためには、業界に精通した仲介業者のサポートを受けることが成功への近道となります。

弊社CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、動物病院の事業継承を専門的にサポートしています。当社の強みの一つは業界最低水準の手数料体系です。動物病院の事業特性を理解した合理的な料金設定で、院長先生の負担を最小限に抑えています。特に地域医療を支える中小規模の動物病院の実情に配慮した料金プランをご用意しています。

また、業界歴10年以上または獣医療業界に精通した、経験豊富なアドバイザーのみがお客様をサポート。獣医師法や関連法規に基づく各種手続きにも詳しく、スムーズな事業継承をお手伝いします。そして、マーケティングテクノロジーを活用した独自のマッチングシステムにより、診療科目や立地条件、経営方針などを考慮した最適な譲渡先候補を効率的に見つけ出し、成約率を高めています。

長年にわたって地域の動物医療を支えてきた動物病院の価値を最大限に活かし、円滑な事業継承を実現するためには、早めの準備と適切なサポートが不可欠です。事業継承をご検討の動物病院院長様は、ぜひCINC Capitalにご相談ください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

OTHERS 関連コラム すべてのコラムを見る

SEMINARセミナー すべてのセミナーを見る

“経営者”のためのM&A研究会 ~単独成長・IPO・M&A 選ぶべき道~
  • M&A体験談

“経営者”のためのM&A研究会 ~単独成長・IPO・M&A 選ぶべき道~

2025/06/18(水)14:00〜18:30

オンライン

申し込む
【60代の経営者様向け】会社売却準備を徹底解説
  • Tips

【60代の経営者様向け】会社売却準備を徹底解説

2025/05/13(火)17:00〜18:00

オンライン

申し込む
最大800万円!?手残りを最大化するための「M&A補助金」~申請前に押さえるべきポイントを徹底解説~
  • Tips

最大800万円!?手残りを最大化するための「M&A補助金」~申請前に押さえるべきポイントを徹底解説~

2025/04/22(火)17:00〜18:00

オンライン

申し込む

CONTACTお問い合わせ

秘密厳守いたします。お気軽にご相談ください。最新の業界動向・M&A相場などわかり易くご説明させていただきます。