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株式譲渡や事業譲渡の際に株主総会は必要?条件や議事録について解説

M&A / スキーム

  • 公開日2025.04.28
  • 更新日2025.04.30

株式譲渡や事業譲渡の際に株主総会は必要?条件や議事録について解説

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株式譲渡とは、会社の株主が自身の株式を他者に譲ることで、会社の所有権が部分的または全体的に移転する手続きを指します。一方で、事業譲渡は、会社の一部または全部の事業そのものを譲り渡す方法であり、運営資産や事業活動の移転を伴うケースが多いです。

どちらも似ていますが、適用される法律や手続きに違いがあり、特に株主総会の決議が必要となる条件も異なります。適切な手続きを理解しないまま進めると、後々のトラブルにつながる可能性もあるため、事前にしっかりと把握しておくことが重要です。

本記事では、株式譲渡において株主総会および事業譲渡の株主総会が必要となるケースや議事録について解説します。

株式譲渡における株主総会の特別決議の必要性

株式譲渡における特別決議が必要となる具体的な条件について、売り手側と買い手側それぞれの視点から見ていきましょう。とくに、M&Aの一環として株式譲渡が行われる場合には、会社支配権の移転に関わるため、特別決議が必要となるケースもあります。

特別決議とは、株主総会において議決権の過半数を超える議決が必要な決議のことを指し、重要な事項に関する承認を得るために行われます。(会社法 第309条2項及び第467条1〜3項)

一方、普通決議は、過半数の賛成で決定できるもので、日常的な経営に関する決定事項などに用いられます。(会社法 第309条1項)

株式譲渡における特別決議が必要となる具体的な条件について、売り手側と買い手側それぞれの視点から見ていきましょう。

また、株式譲渡については以下の記事で解説しております。併せてご覧ください。

【参考】株式譲渡とは?メリットやデメリット、事業譲渡との違いも解説

【売り手側】株主総会の特別決議は一部のケースで必要

売り手側においては、株式譲渡は原則として株主総会の承認を必要としません。しかし、親会社が重要な子会社の株式を過半数以上売却する場合には、株主総会の特別決議が求められます。

具体的には、親会社による子会社株式の譲渡で以下の条件を満たす場合

  • 子会社株式の簿価が親会社の総資産の1/5(20%)を超えるケース

  • 親会社が保有する子会社株式の議決権の過半数を喪失するケース

が該当します。

また、取締役会を設置している会社であれば取締役会の承認が必要となり、取締役会を設置していない会社であれば株主総会での承認が必要となります。上記の条件に該当しない場合、株主総会において特別決議を行う必要はありません。

【買い手側】株主総会の特別決議は不要

買い手側においては、株式譲渡に関連する株主総会での特別決議は原則として不要です。これは主に株式譲渡が売り手側の企業運営に関わる事項であり、買い手側の企業運営にはそれほど影響を与えないということです。

ただし、実務上は取締役会を実施するケースが多いため、自社の状況に応じた対応を検討することをおすすめします。

事業譲渡における株主総会の特別決議の必要性

事業譲渡を行う際は、売り手側の企業と買い手側の企業の双方で、株主総会を開き特別決議の承認を得る必要があります。それぞれ条件が定められているため、売り手・買い手それぞれの視点から解説します。

【売り手側】株主総会の特別決議の必要性

事業譲渡の際に、売り手側が株主総会の特別決議を行う必要がある条件は以下の通りです。

事業の全てを譲り渡す場合は必要

事業全体を譲渡する場合は、株主総会での特別決議が必要です。(会社法 第467条)

事業をすべて他社に譲渡するという決定は、会社の方向性や運営、株主に多大な影響を及ぼすため、特別決議を通じて正式な承認を受けることが会社法によって定められています。経営に重大な影響をもたらす事柄については、株主の同意が不可欠な条件です。

事業の重要な一部を譲渡する場合は必要

企業が事業の重要な一部を他社に譲渡する場合も、株主総会での特別決議が必要です。事業の重要な一部とは、従業員数や売上など量的な面と、ブランド力や企業イメージなどの質的な面から判断されます。

事業の全てを譲渡する際と同様に、特別決議を経て株主総会で賛同を得なければならないと会社法で定められています。

子会社の株式を譲渡する場合は必要

子会社の株式を譲渡し、議決権の過半数を失う場合には、株主総会での特別決議が必要です。また、譲渡する株式または持分の帳簿価格が譲渡企業の総資産額の1/5を超える場合にも、株主総会での特別決議が求められます。

子会社の株式を譲渡する際、取締役会が設置されている場合は取締役会で決議を行います。しかし、取締役会が設置されていない企業の場合、株主総会での特別決議が必要となります。

売り手側の株主総会が不要となるケース

売り手側の企業が事業譲渡を行う場合、原則として株主総会の開催が必要ですが、例外となるケースがあります。

一つ目は、譲渡する資産が少ない場合です。譲渡する資産が総資産の1/5以下である場合は株主総会が不要となります。

二つ目は、買い手側の企業が特別支配会社の場合です。特別支配会社とは、株式の90%以上を保有している親会社のことで、この場合は略式事業譲渡等に当てはまるため、通常必要となる株主総会の特別決議を省略できます。

※略式事業譲渡とは、特別支配株主(議決権の90%以上を持つ株主)が事業を譲り受ける場合に、通常の手続きを簡略化して行う事業譲渡の方法です。

【買い手側】株主総会の特別決議の必要性

事業譲渡の際に、買い手側が株主総会の特別決議を行う必要がある条件は以下の通りです。

事業の全てを譲り受ける場合は必要

事業の全てを譲り受ける場合、買い手側でも株主総会での特別決議が必要です。譲り受ける事業の規模の大きさに関わらず必要となります。事業の一部のみを譲受する場合は原則として株主総会は必要ありません。

一定数以上の株主が反対した場合は必要

一定数以上の株主が事業譲渡に反対した場合には、特別決議が必要となります。一定数の株主とは、原則として総株主の議決権の1/6超を有する株主のことを指します。

買い手側の株主総会が不要となるケース

買い手側は上記で解説した条件に該当していない場合、株主総会が不要となります。具体的には、事業の一部のみを譲受する場合や、事業の全てを譲受する場合に、交付する対価が純資産の1/5以下の場合は株主総会の開催は必要ありません。

株式譲渡の議事録について

株主総会や取締役会では、記録を残すための「議事録」を作成する必要があります。

株式譲渡の議事録とは

株式譲渡の議事録とは、株主総会において決定された株式の譲渡に関する議論や決定を詳細に記録する文書のことです。株主総会や取締役会で承認を得る際は、株式の譲渡制限を解除し売買できるようにします。売買できるようにするために必要なものが「譲渡承認決議」です。株式譲渡の議事録は、譲渡承認を得たことを証明する重要な書類となります。

また、議事録は株主や第三者に対する透明性を確保し、将来的な紛争の回避、紛争が発生した際の法的証拠として機能します。

株式譲渡の議事録は「株主総会議事録」と「取締役会議事録」の二つに分けられます。

株主総会議事録

株主総会議事録とは、株主総会の決議事項や議事の経過などを記録するものです。株主総会議事録の作成は会社法で規定されており、書面もしくは電子データとして記録・保存します。(会社法 第318条)

作成した株主総会議事録の原本は本店に10年間保管・コピーを支店に5年間保管しなければなりません。保管期間の間に株主や債権者から議事録の閲覧および謄写を請求された場合には、請求に応じる必要があるので、注意して保管しましょう。(会社法 第318条2~5項)

取締役会議事録

取締役会議事録とは、株式譲渡を行う場合に、取締役会が承認したことを証明するものです。取締役会を設置している企業は株式譲渡にあたり、取締役会議事録を作成することが会社法で義務付けられています。(会社法 第369条)

また、株主総会議事録と同じように書面もしくは電子データとして記録・保存し保管期間中に株主や債権者から請求があった際には、応じる必要があるので保管には注意しましょう。

ただし、取締役会議事録と株主総会議事録には二つの異なる点があります。

一つ目は、取締役会議事録が書面で作成されている場合は、出席した取締役および監査役の記名押印を、電子データで作成した場合は電子署名をすること。(会社法 第369条3~4項)

二つ目は、取締役会議事録は、本店で原本を10年間保管する必要があることです。(会社法 第371条)

議事録に記録する基本的な内容

議事録は、会議の基本情報や決定事項を詳細に記録する必要があります。基本項目は以下の通りです。

議事録の種類

基本項目

株主総会議事録

・株主総会の日時、開催場所
・出席株主、議決権の状況
・出席役員の氏名または名称
・議長および議事録作成者の氏名
・議事の経過およびその結果

取締役会議事録

・取締役会の日時、開催場所
・出席役員の氏名や名称
・議長および議事録作成者の氏名
・議案の経過およびその結果

事業譲渡における株主総会では、議事録に「事業譲渡契約書」を添付することが一般的です。

作成した議事録が必要になる場面と注意点

議事録は、株式譲渡契約書を締結する際や、商業登記の申請時に使用されます。また、決議の内容について裁判が行われる際の証拠書類にも使用されるため、議事録を作成する際には、法律に不備がないようにすることがトラブル防止につながります。そのため、議事録の作成は慎重に行い、正確な記録を残す意識が重要です。

議事録の主要となる部分は定型化されていますが、企業の状況に応じて修正が必要な場合もあります。議事録の作成に不安がある場合には、専門家へ相談することも検討しましょう。

まとめ|株主譲渡や事業譲渡の手続きについて正しく理解しよう

M&Aの手法である株式譲渡や事業譲渡の、株主総会決議の必要性について解説しました。M&Aにおいて株主総会は重要な通過点でもあるので、今回紹介した条件をしっかりと理解したうえで、手続きを進めることが必要です。

法律や規約についての解釈に疑問がある場合や、手続きの詳細に関して不明点がある際には、専門家のアドバイスを求めることが効果的です。法律の専門家やコンサルタントのサポートを受けることで、より確実に手続きを進められるでしょう。

弊社はM&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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