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宗教法人の事業承継の方法/メリット・リスク/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.04.21
  • 更新日2025.04.21

宗教法人の事業承継の方法/メリット・リスク/成功のポイントを解説

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近年、少子高齢化や後継者不足の影響が宗教法人にも及び、住職や代表役員の引き継ぎが円滑に進まないケースが増えています。本記事では、宗教法人の事業承継について、そのメリットとリスク、そして成功のポイントを中心に解説します。

また、通常の会社経営とは異なり、宗教法人特有の法的性質や税務上の優遇制度などを踏まえたうえで、どのように承継を進めればよいのかを整理します。登記や届け出の実務手続き、専門家の活用例もあわせてご紹介します。

宗教法人の法的性質と基本的構成

宗教法人は一般的な営利法人とは異なる特別な法的性質を持ち、代表役員や責任役員など独自の構成が宗教法人法に定められています。

一般の会社組織では株主総会や取締役会が意思決定を行いますが、宗教法人では責任役員会や檀信徒総会が重要な役割を担います。被包括宗教法人の場合、包括宗教法人(上位宗派)の規則に基づき代表役員や住職が任命されるため、企業の事業承継とは異なる手続きが必要です。こうした特性を理解することが、スムーズな事業承継の第一歩といえます。

包括宗教法人と単立宗教法人の違い

包括宗教法人は大きな宗派の傘下に入り、教義や運営方針の統括や指導を受けながら活動を行います。一方で、単立宗教法人は特定の上位組織をもたず独立しており、設立・運営・代表役員の選任も独自に行うのが特徴です。被包括宗教法人の場合は宗規や宗制に基づく承認が必要になるため、事業承継の段階では上位組織との連携が重要になります。

責任役員・代表役員の役割と選任手続き

責任役員は宗教法人の運営方針や財務、事業計画など重要事項を審議し、意思決定に関わる立場にあります。代表役員は対外的に法人を代表し、法的な書類への署名や行政機関への届出などを行います。選任には寺院規則や宗派規則に従い責任役員会や総会での議決が不要欠かせず、特に被包括宗教法人の場合は上位宗派の承認なども必要となります。

宗教法人における事業承継の具体的な方法

住職や代表役員の座を譲る際、内部の後継者を選ぶ方法や第三者への承継など、複数の選択肢が存在します。

後継者不足が深刻化する中、住職や代表役員を誰に引き継ぐかは大きな課題です。内部から後継者を選ぶ場合でも、責任役員会や宗派への正式な手続きが必要となり、その候補者の育成や信徒の合意形成に時間を要することがあります。一方、第三者承継の手段としてはM&Aや外部法人への事業譲渡も考えられますが、宗教法人特有の法的手順に沿った入念な検討が大切です。

住職を含む内部継承の進め方

住職を内部継承する場合は、まず後任候補となる人物の資質や経験を見極めることが重要です。早期に候補を指名して教育や修行の環境を整え、徐々に責任役員会などでの意見交換に同席させると、円滑な引き継ぎが行えます。現住職と後任候補との関係性を明確にし、信徒の理解を得るためにも、定期的な説明や合意形成が欠かせません。

第三者への承継の流れ

外部の宗教法人や個人、民間事業者に承継する際は、契約書の整備や所轄庁への届け出など通常の法人譲渡以上に慎重な手順が求められます。被包括宗教法人の場合は、代表役員変更のみならず宗規・宗制上の許可が必要となることもあり、事前に上位宗派との協議を行うことが大切です。譲渡後も檀信徒や関係者の納得を得るために、承継の背景や新体制の運営方針を明確化しておくことが望ましいでしょう。

相続税・贈与税・譲渡所得税など税務上のポイント

宗教法人には各種税制上の優遇がある一方、収益事業や資産の譲渡に関しては課税対象となるケースもあります。

宗教法人の財産は宗教活動(公益事業)のために使われる場合は非課税ですが、収益事業を行っている場合はその収益事業から生じる所得に対して法人税が課税されます。特に事業規模が大きい寺院や、資産を多数保有している法人は適切な税務申告が必要です。事業承継の際には法人の公益事業と収益事業の区分を明確にしたうえで、収益事業部分の課税関係を適切に把握することが重要です。

宗教法人の財産と収益事業に関する課税の考え方

宗教活動そのものは非課税とされることが多い一方で、宿坊の運営や不動産賃貸などの収益事業は法人税や地方税の課税対象です。仮に事業を譲渡する場合でも譲渡益が発生すれば税課金がかかる可能性があるので、専門家を交えた事前のシミュレーションが推奨されます。宗教法人の基盤を維持しながら税務リスクを最小化するには、収益管理や書類整理を徹底することが肝要です。

租税特別措置法の優遇措置と注意点

宗教法人には相続税や贈与税などで一定の優遇措置がありますが、目的や手続きを誤ると課税逃れとみなされる事例も少なくありません。たとえば多額の資産を個人から宗教法人へ移転する場合は、宗教法人法と租税特別措置法で定められた条件を満たさなければ優遇が適用されない可能性があります。移転の目的が明確であるか、また資産の管理方法が適切かを常に専門家と協議しながら進めることが望ましいでしょう。

宗教法人M&A・事業譲渡のメリットとリスク

第三者承継を選択する場合、後継者難や財政再建をクリアにする一方で、信徒代表の理解を得るための情報開示など、慎重な進め方が求められます。

近年では後継者が見つからず寺院を閉じるケースも増えていますが、宗教法人のM&Aや事業譲渡により運営母体を維持できる可能性があります。と同時に、外部の法人が寺院や収益事業を引き継ぐ際には、伝統や教義をどう保つかが大きな課題となります。メリットとリスクを正確に把握し、信徒への周知を慎重に行うことで、長期的に安定した運営を続けることができるでしょう。

メリット:後継者問題解消・財政健全化

第三者への承継によって最も大きな恩恵を受けるのは、後継者不在の問題を速やかに解決できる点です。財政面でも新たな運営主体が資金やノウハウを持ち込むことで、寺院の改修やイベント開催に広がりが生まれる可能性があります。これにより檀信徒の満足度が向上し、地域社会への貢献度も高まることが期待されます。

リスク:運営方針・信徒の理解と対応

外部法人や他の宗派に承継する場合、寺院の伝統や信徒の信仰心に合わない運営方針が取られる可能性があります。そのため、承継前に運営理念や組織体制を明確にし、檀信徒に丁寧に情報共有を行う必要があります。合意形成が不十分なまま承継すると不信感を招き、檀信徒離れや地域社会との軋轢が生じるリスクにもつながります。

事業承継を円滑に進めるための手続きとポイント

承継に必要な登記や届け出などは、法律専門家のサポートを受けることで円滑に進められます。

宗教法人の代表役員が変更された場合、所轄庁や法務局への登記申請を速やかに行わなければなりません。変更登記には期限が定められており、提出が遅れると罰則を受ける可能性もあります。後継者が決まった段階で専門家を交えながら、必要書類の確認や締切の管理を徹底することがポイントです。

登記申請・都道府県への届け出などの実務

代表役員や規則の変更が決定したら、まず法務局への登記申請とともに所轄庁や都道府県の宗教法人担当部署に届け出を行います。寺院の内規や宗派ごとのルールを踏まえながら、責任役員会や総会での決議内容も忘れずに添付書類としなければなりません。非常に多岐にわたるため、丁寧な手順確認と期日管理が不可欠です。

弁護士や公認会計士・税理士のサポート活用

宗教法人法や税務分野に精通した弁護士、税理士、公認会計士などの専門家を早期に交えることで、承継関連のリスクを大幅に軽減できます。契約書の作成や関係者との調整だけでなく、収益事業の税務チェックなど幅広いサポートを期待できます。特に被包括宗教法人の場合は上位宗派への対応も必要になるため、専門家との連携体制を整えて臨むことが成功への近道です。

まとめ|宗教法人の事業承継の特徴を理解し成功に導きましょう

宗教法人の事業承継は、従来の寺院運営に加えて法務・税務面での専門的な対応が必要です。早めの準備と専門家によるサポート体制が、スムーズな世代交代と法人の持続的な発展を可能にします。

一般企業の事業承継とは異なり、宗教法人は被包括宗教法人としての縦組織や責任役員会など独自の構造があるため、一度にすべてをスムーズに進めるのは難しい場合もあります。だからこそ、代表役員や住職の後継問題を早期から検討し、信徒や関係者と適切な協議を重ねることが求められます。専門家の知見を活用し適切な手続きを踏むことで、2025年以降の社会の変化にも柔軟に対応でき、寺院の伝統とコミュニティを守りながら次世代へと繋いでいくことができるでしょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、事業承継のご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。事業承継や組織変更の相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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