CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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業種
- 公開日2025.09.29
寿司業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説
寿司業界の将来に不安を感じていませんか。
人材不足や後継者不在、原材料の高騰、さらに新規出店コストの重さに直面し、多くの経営者が事業継続や発展に課題を抱えています。
本記事では、2025年時点での寿司業界におけるM&Aの最新動向を整理し、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。
目次
寿司業界の市場動向
市場調査会社の富士経済によると、すし店市場(回転寿司を含む)の規模は、2023年に約1兆4,974億円となり、前年から15.6%増加しました。
なかでも成長が目立つのが回転寿司市場です。2022年には約7,252億円、2023年には約7,530億円と着実に拡大しており、2024年には約8,318億円に達する見込みです。
これらの動向から、寿司業界は全体として安定した成長基調にあることがわかります。
【出典】みなと新聞「回転寿司市場4%増7530億円 23年、コロナ後も高成長 民間予測」
寿司業界が抱える課題
寿司業界では、後継者不足や原材料費の高騰、競争の激化といった課題が深刻化しています。
本章では、寿司業界が直面する課題について、3つの観点から解説していきます。
後継者不足による事業継続の困難
寿司店の経営では、後継者不足が深刻な課題となっています。経営者の高齢化が進む一方で、家族の中に事業を引き継ぐ人がいないケースが増えているのです。
後継者がいなければ、やむを得ず店を閉めざるを得ない場合も多く、その結果として業界全体で事業の継続が難しくなっています。
新規開店に比べた開業コストと広告費の課題
新しく寿司店を開くには、物件代や内装工事、調理道具に加えて宣伝の費用など、多くのお金が必要です。
こうした費用は経営者にとって大きな負担となります。
最近ではM&Aを使って既存の店を引き継ぐ方法に注目が集まっています。
価格転嫁困難と収益圧迫(コスト上昇)
寿司に使う魚や米などの原材料の値段が上がり続けています。
しかし、メニューの値段を簡単に上げると客離れが起きやすいため、利益を確保するのが一層難しくなっています。
また、回転寿司各社では、原材料高の中で価格改定が既存店客数に影響するケースが見られます(出所:各社決算資料)。
個店・ブランド差が大きいため、改定幅・タイミング・代替施策(値ごろ感の訴求等)の設計が重要です。
寿司業界のM&A最新動向(2025年)
寿司業界では、後継者不足や原材料価格の高騰、競争の激化を背景にM&Aの必要性が高まっています。
本章では、寿司業界におけるM&Aの最新動向について、3つの観点から解説していきます。
後継者不在の個人店を守る事業承継型M&A
寿司店では後を継ぐ人がいないことが大きな問題になっています。
後継者不足が原因で、これまで地域に根付いていた店が廃業に追い込まれるケースも少なくありません。
最近では、M&Aを活用して第三者に経営を引き継ぎ、店を閉めずに伝統を守る方法として注目されています。
テイクアウト・中食需要を取り込む戦略的M&A
コロナ期に高まったテイクアウト需要の取り込みを狙い、F&LC(旧スシローGH)は2021年に吉野家HDから京樽を買収しました。
京樽はテイクアウトに強みがあり、これをグループに入れることで販売力を高めています。
この動きにより、首都圏を中心に出店を加速させることができました。
【出典】株式会社スシローグローバルホールディングス「株式会社京樽の株式取得(完全子会社化)のお知らせ」
業界規模の拡大を伴うチェーン間の連携・買収
大手外食チェーンにおいては、M&Aによる店舗網や業態の拡充が進んでいます。
F&LCは2021年、吉野家HDから京樽を取得。
テイクアウト強化や首都圏チャネルの補完を狙った動きで、グループ内の販路・商品ポートフォリオ拡充に寄与しています。
この方法で、異なる客層を取り込みながら新しい市場に広がっています。
寿司業界でM&Aをするメリット
M&Aは、売り手にとっては廃業を避けて事業を承継できる方法であり、買い手にとっては顧客基盤やブランドを即座に獲得できる有効な手段です。
本章では、寿司業界でM&Aを行うことで得られるメリットについて、5つの観点から解説していきます。
事業承継と廃業回避
寿司店では、後を継ぐ人がいないために店を閉めざるを得ないケースが増えています。
M&Aを使えば、経営権を他の人に引き継ぐことで店を続けることができます。
従業員や店の伝統を守れる方法として、事業承継型M&Aが注目されています。
新規出店より低コストで営業開始
新しく寿司店を開くには、物件代や内装工事、広告など多額の費用がかかります。
既存店舗をM&Aで引き継げば、そのような初期費用を大きく減らすことが可能です。
短期間で営業を始められる点が大きなメリットです。
ブランド・顧客基盤の即時獲得
人気のある寿司店をM&Aで引き継げば、そのままブランド力や常連客を活用できます。
新規開業と違って、一から顧客を集める必要がありません。
すぐに集客を安定させられる点が大きな強みです。
調達力・仕入れ力の強化
複数店舗が協力して仕入れると、食材を安く大量に仕入れることができます。
M&Aでグループに入れば、そのスケールメリットを利用できるようになるのです。
これによりコスト削減と安定した経営が可能になります。
オペレーション・ITノウハウの共有
大手寿司チェーンには効率的な運営方法やITシステムが整っています。
M&Aで大手チェーンに参画すれば、タッチパネル注文やデータ管理の仕組みを利用できます。
これにより、中小店舗でも業務の質や効率をすぐに高めることが可能です。
寿司業界でM&Aをするデメリット
寿司業界ではM&Aが事業承継や成長戦略の手段として広がっていますが、一方で注意すべきデメリットも存在します。
本章では、寿司業界におけるM&Aのデメリットを3つ解説していきます。
味やサービスの変化による常連客離れ
M&Aで経営が変わると、店の味やサービスの内容が大きく変わることがあります。
これまで通っていた常連客は、その変化に違和感を覚えて店から離れてしまうことがあります。
特に、オーナーや職人の個性に支えられていた店では、引き継ぎを丁寧に行うことが大切です。
職人・スタッフの流出リスク
経営者が変わると、働き方やお店の方針も変わることがあります。
その変化に慣れず、スタッフや職人が仕事を辞めてしまうことも少なくありません。
寿司店の魅力は人に支えられているため、人材を守る工夫や雇用の継続がとても重要です。
専門性が数字で評価しづらく、買収後のギャップが発生しやすい
寿司店の価値は、レシピや店の雰囲気、常連客との信頼など「目に見えない要素」によって成り立っています。
こうした要素は数字だけでは測れないため、買う側が正しく評価するのは難しいです。
その結果、M&A後に思ったほど利益やブランド力が得られないというギャップが生じることがあります。
寿司業界でM&Aを成功させるためのポイント
M&Aを成功させるためには、業界特有の事情に配慮した準備と進め方が欠かせません。
本章では、寿司業界でM&Aを成功に導くための具体的なポイントを5つの観点から解説していきます。
後継者問題を扱う専門家への相談推奨
M&Aを成功させるには、法律や税金の知識に加えて、飲食業の事情にも詳しい専門家の力が必要です。
早めに相談すれば、安心して進められるだけでなく、無駄な時間やトラブルも防げます。
専門家の助言は、取引全体の安全性と効率を高める近道です。
希望条件・戦略目標の事前整理
M&Aを進める前に、価格や譲渡方法、引き渡しの時期などの希望を整理しておくことが大切です。
さらに、「M&Aを通じて何を実現したいのか」という目的をはっきりさせる必要があります。
準備をしておけば交渉がスムーズになり、双方が納得しやすくなります。
自店の強み(立地、職人、仕入先)を整理・提示
お店の立地や職人の技術、仕入れルートなど、自店の強みをしっかりまとめることが重要です。
文書や資料にして相手に伝えれば、店の価値をわかりやすく示せます。
強みを明確にすることで、交渉を有利に進めやすくなるでしょう。
従業員・顧客への丁寧な引き継ぎ計画
M&Aの後も従業員や顧客が安心して店に関われるようにすることが大切です。
そのためには、引き継ぎの時期や方法をあらかじめ決めて伝える必要があります。
信頼を守る丁寧な対応こそが、長く続く成功につながります。
相手企業との事業シナジーを重視した選定
M&Aは、相手と一緒になることで新しい力を生み出すことが一番の成果です。
同じ業種でも違う業種でも、互いの強みを活かせる相手を選ぶことが重要です。
相性の良い相手を選べば、事業拡大や収益アップの可能性が大きく広がります。
まとめ|寿司業界におけるM&A活用の重要性
寿司業界は市場の回復やインバウンド需要がある一方で、後継者不足や原材料高騰、競争激化といった課題を抱えています。
M&Aは廃業を防ぎ、店の伝統を守る有効な方法として注目されています。
動向やメリット・デメリットを理解すれば、M&Aは未来を守り成長を支える力となります。
CINC Capitalは、中小企業庁の登録支援機関であり、信頼性の高い専門機関です。
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この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。