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電子部品業界のM&A動向は?事例や成功のポイントを解説【2025年】

業種

  • 公開日2025.09.29

電子部品業界のM&A動向は?事例や成功のポイントを解説【2025年】

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電子部品業界におけるM&Aの動向が気になっていませんか?

市場環境が変化するなか、「業界の成長性」や「自社の将来像」に不安を抱える経営者は少なくありません。

本記事では、電子部品業界の市場動向、M&Aの事例などを分かりやすく解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。

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電子部品業界の市場動向

日本の電子部品市場は、2023年から2033年にかけて年平均6.4%の成長が見込まれています。

2022〜2023年はスマホやPCの需要減で一時停滞しましたが、2023年以降はEVや5G、IoT向け部品の需要が拡大しています。

特にEV化に伴い、自動車向けの搭載部品が大きく増加傾向です。

日本は世界シェアの33%を占め、センサーやコンデンサなどの高付加価値部品で強みを発揮しています。

Fortune Business Insightsによると、電子部品(Electronic Components)市場は2024年の3,936億ドルから2032年には8,479億ドルに達するとの予測があり、国内市場の成長にも追い風となっています。

【出典】SPHERICAL「日本電子部品市場動向、成長、需要」
【出典】Fortune Business Insights「半導体・エレクトロニク / 電子コンポーネント市場」
【出典】JEITA 電子部品部会「日本の電子部品産業の強み」

M&Aや事業承継は、まず自社の企業価値を正しく把握することから始まります。

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電子部品業界が抱えている課題

電子部品業界は、需要の拡大と成長の機会に恵まれる一方で、いくつかの構造的な課題を抱えています。

本章では、業界に共通する3つの主要な課題について解説します。

技術革新への対応と開発リソース不足

電子部品業界では、AIや5G、自動運転への対応が求められ、各社は研究開発への投資を迫られています。

IoTやEVの普及により、高性能・小型・省電力な部品の開発が必要とされ、技術的な難易度も上がっています。

専門人材の確保や継続的な投資が不可欠ですが、中小企業では予算や人員が限られ、開発や設備更新が難航している状況です。

その結果、試作や検証が不十分となり、製品化の遅れにつながるケースも増えています。

人材不足・後継者問題

電子部品業界では、熟練技術者の高齢化が進む一方で、若手人材の確保が難しくなっています。

中小企業では採用力が弱く、人材不足が技術継承や生産性低下を招いています。

採用コストの上昇も企業の利益を圧迫している要因の一つです。

さらに、経営者の高齢化と後継者不在が重なり、事業承継の課題が深刻化しています。

こうした中、M&Aによる人材確保や事業継続の動きが広がっており、後継者問題の解決策として注目されています。

グローバル競争と価格圧力

電子部品業界では、グローバル化により価格競争が激化し、日本企業はコスト圧力に直面しています。

特に汎用品では、アジアの低価格メーカーとの競合が厳しく、収益を圧迫しています。

EVやIoTの普及で部品数は増えていますが、利益には直結していません。

さらに原材料や物流コストの上昇も逆風となっており、高付加価値製品への転換が求められています。

ただし、高機能部品の開発には大きな投資と技術が必要で、対応できる企業は少ないです。

そのため、M&Aによって生産力や開発力を補完し、競争力を高める動きが広がっています。

電子部品業界のM&A最新動向(2025年)

2025年現在、電子部品業界ではM&Aが戦略的な手段として定着しつつあります。

本章では、特に注目すべき3つの動向を取り上げ、現在のM&Aトレンドを解説します。

大手による業界再編・技術獲得型M&Aの加速

大手企業は技術力強化を目的にM&Aを加速しており、ロームによるラピステクノロジーの吸収合併が代表例です。

2024年の統合では、パワー・アナログ技術とLSI技術の融合による高付加価値製品の開発を目指しています。

競争が激化する中、技術力のある中小企業やスタートアップを取り込むことで、市場シェアを広げる動きが活発化しています。

【出典】ROHM「Integrated Report 2024」

クロスボーダーM&Aによる海外市場進出の一般化

国内市場の成熟により、電子部品企業は海外展開を強化しています。

丸紅はシンガポールのDTDS Technologyに出資し、ASEAN・インド市場へ本格参入しました。

DTDSの開発力を活かし、AIやEV分野での競争力を高めています。

また、台湾ヤゲオによる芝浦電子へのTOBなど、クロスボーダーM&Aも増加しており、国際展開は企業戦略の主流となりつつあります。

【出典】丸紅株式会社「シンガポール・電子部品卸売会社DTDS Technology Pte Ltdへの出資参画について」

中小企業の事業承継型M&Aの増加

中小の電子部品メーカーでは、経営者の高齢化と後継者不在により、事業承継型のM&Aが増えています。

後継者のいない企業が、大手やファンドと統合し、資本や販路を再構築する動きが目立ちます。

これにより、安定供給や技術支援を受けながら、顧客との関係や技術の継承が可能になります。

地域産業の維持や技術継承にもつながる点で、社会的にも重要な取り組みです。

電子部品業界でM&Aを成功させるためのポイント

電子部品業界でM&Aを成功させるには、業界特有の技術や取引構造を踏まえた戦略が不可欠です。

本章では、成功に導くための5つのポイントを解説します。

的確な企業価値評価と適正価格設定

M&Aでは、買収対象の本質的な価値を正確に評価することが重要です。

電子部品業界では、特許や設備、品質管理、取引先との契約などが企業価値に大きく影響します。

一般的な評価手法に加えて、技術資産や契約の実態を定量的に把握する必要があります。

実際にMinebea Mitsumi社は、収益性を踏まえた適正価格での買収と、統合後の運営体制を重視した戦略を実行しています。

【出典】MINEBEA MITSUMI Inc.「2024 MinebeaMitsumi Group Integrated Report」

明確なシナジー目的の設定と示唆的統合戦略

M&Aの成否は、シナジーをどれだけ具体化できるかにかかっています。

技術補完や販路拡大などの目的が不明確だと、統合後の施策が失敗に終わる可能性があります。

海外企業との交渉でも、成果を出すには実現内容や市場を事前に明確にする必要があります。

成功には、実行前から統合後を見据えた具体的な戦略設計が欠かせません。

法規制・独禁法対応の事前確認

大手同士や海外企業とのM&Aでは、公正取引委員会の審査が必要になる場合があります。

特に海外からの出資では、重要技術の流出リスクに配慮し、事前に政府機関と協議する必要があります。

大規模な取引では、手続きの遅延やリスクを防ぐため、早期に法務や専門家と連携し、万全の準備を整えることが重要です。

PMI(統合プロセス)の徹底による品質・組織維持

PMI(買収後の統合)は、M&Aの成功を左右する重要な工程です。

電子部品業界では品質や製造基準が厳しく、統合に失敗すると品質低下や人材流出のリスクがあります。

成功のためには、製造現場や技術者を巻き込んだ統合計画を事前に整えることが重要です。

サプライチェーン・顧客関係の安定対策

M&A後も取引先や仕入先との関係を維持するには、体制整備が不可欠です。

供給停止や条件変更の懸念があると、信頼を損ない取引が減少する可能性があります。

そのため、PMIでは、主要取引先との事前協議や専任窓口・品質対応チームの設置が効果的です。

特に電子部品業界では、グローバル顧客への安定供給を早期に確保することが重要です。

電子部品業界のM&A事例

最後に、電子部品業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

FIRST INTERNATIONAL COMPUTER, INCによるGuan Zhi Holdings LimitedのM&A

グンゼ株式会社は、2023年12月に連結子会社であるGuan Zhi Holdings Limited(GZH)の株式85.1%と、日本・米国におけるタッチパネル事業の商権を、台湾のFIRST INTERNATIONAL COMPUTER, INC(FIC)へ譲渡することを決定しました。

GZHは電子部品の仕入販売を手がけ、タッチパネルを中心に展開してきましたが、赤字が続いており、グンゼはポートフォリオの見直しの一環として譲渡を選択しました。

譲渡先のFICは自動車用電子機器の設計・製造で実績を持つ企業であり、グローバルに電子部品事業を展開しています。本取引により、FICはタッチパネル事業を強化し、グンゼは経営資源を成長分野に集中できる体制を整えることができます。

電子部品業界では事業再編が進んでおり、本件もグローバル競争の中で最適な事業ポートフォリオを模索する動きの一例といえます。

【出典】グンゼ株式会社「電子部品事業における連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ」

日清紡ホールディングス株式会社によるディー・クルー・テクノロジーズ株式会社のM&A

日清紡ホールディングスは、2022年2月にエレコム株式会社からディー・クルー・テクノロジーズ(DCT)の全株式を取得し、子会社化しました。

日清紡グループは2022年1月に新日本無線とリコー電子デバイスを統合し、日清紡マイクロデバイス株式会社として新体制を発足させたばかりで、アナログ技術を核とした「アナログソリューションプロバイダー」への成長を目指しています。

DCTはミックスドシグナルLSIの開発を強みとし、モジュール設計からソフトウェアまで一貫した体制を有するほか、AIや量子コンピュータ、創薬向けカスタムプロセッサーなど先端分野の開発経験も持っています。

今回の買収により、日清紡は次世代技術を取り込むことで製品群を拡充し、事業変革を加速させる狙いです。半導体業界では技術獲得型のM&Aが活発化しており、本件もその動きを示す事例といえます。

【出典】日清紡ホールディングス株式会社「ディー・クルー・テクノロジーズ株式会社の株式取得に関するお知らせ」

能美防災株式会社による明星電気株式会社のM&A

能美防災株式会社は、2025年8月に株式会社IHIから明星電気株式会社の全株式を取得し、子会社化する契約を締結しました。

能美防災は火災報知設備や消火設備など屋内防災に強みを持つ一方、明星電気は1938年創業以来、気象観測機器や地震計、人工衛星搭載機器など屋外防災・宇宙防衛分野に実績を持つ企業です。

特に同社の地震動観測技術は能美防災の創業の原点とも重なり、両社の技術融合によるシナジーが期待されています。

本件により、能美防災は「屋内と屋外」「観測と制御」「地上と宇宙」を結ぶ総合防災ソリューションの基盤を強化し、事業領域の拡大を加速する考えです。

近年、自然災害の激甚化や宇宙利用の拡大を背景に、防災分野でも多角的なソリューションが求められており、本件は総合防災メーカーとしての進化を目指す戦略的M&Aの好例といえます。

【出典】能美防災株式会社「明星電気株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

まとめ|電子部品業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

電子部品業界では、技術革新や人材不足、競争の激化によりM&Aの重要性が高まっています。

大手の再編や中小企業の事業承継、海外との連携など多様な動きが進む中、自社に合った戦略的判断が求められます。

環境変化やリスクを見極め、適切な相手選定と統合を行うことで、M&Aは経営転換の有力な手段になります。

CINC Capitalは、業界に精通した専門家が最適なM&A戦略を提案します。

電子部品業界のM&に興味がある方は、ぜひお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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