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空運業界のM&A動向は?事例や成功のポイントを解説【2025年】

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  • 公開日2025.09.17

空運業界のM&A動向は?事例や成功のポイントを解説【2025年】

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近年、航空業界の経営統合や買収の動きが活発化しており、業界全体が再編の時期を迎えています。

本記事では、2025年時点のM&A動向や注目事例、成功のポイントについて分かりやすく解説します。

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空運業界の市場動向

2024年には国内の航空市場規模が約169億米ドル(約2兆6,600億円)に達しており、2025〜2033年には年平均成長率(CAGR)6.7%で2033年には約318億米ドルへの成長が見込まれています。

一部の関係者からは成長鈍化を懸念する声もあるものの、2025〜2033年の年平均成長率は6.7%とされており、堅調な拡大が続く見通しです。

国内の空運市場では、ANAとJALが圧倒的なシェアを持ち、二社による二強体制が続いています。

その影響で、中堅や地域の航空会社は単独では生き残るのが難しくなり、大手との資本提携や運航の連携によって競争力を保とうとする動きが広がっているのです。

【出典】imarc「日本の航空市場レポート 航空機タイプ別(民間航空、一般航空、軍用航空)、地域別 2025-2033」

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空運業界が抱えている課題

空運業界は旅客・貨物の需要が回復していますが、安定成長に向けては依然として深刻な課題を抱えています。

本章では、業界全体に影響を及ぼしている主要な3つの課題を取り上げ、それぞれの背景と影響について見ていきましょう。

燃料コスト高騰による収益圧迫

ジェット燃料は原油価格や地政学リスクの影響を受けやすく、日本の航空会社も例外ではありません。

実際、ANAやJALは燃油サーチャージを頻繁に見直しており、2025年6〜7月には日米・欧州路線で164ドルに達しています。

航空券も値上がり傾向にあり、各社は長期的な燃料費の変動に備えてヘッジを活用しているのです。

【出典】OAG「The Impact of Fuel Surcharges on Airlines and Airfares」

脱炭素・環境規制への対応負荷

航空業界では脱炭素対応が急務となっており、日本でもSAF(持続可能な航空燃料)の導入が進んでいます。

JALは2025年度までにSAFの使用比率を1%、2030年には10%以上に引き上げる方針で、供給体制の強化も進めています。

ただし、SAFは従来燃料の数倍のコストがかかるため、政策支援や補助の充実が欠かせません。

【出典】JAPAN AIRLINES「気候変動への対応」

人手不足・専門人材の確保難

コロナ禍後、地上スタッフや整備士、パイロットなどの人材不足が深刻化しており、2030年までに日本ではパイロットが約1,000人不足すると予測されています。

運航体制の維持には採用強化や待遇改善に加え、M&Aによる人材確保も有効な手段です。

【出典】Bloomberg「Pilot Shortage Threatens Japan’s Goal for 60 Millions Tourists」

空運業界のM&A最新動向(2025年)

2025年現在、空運業界では経営環境の変化に対応するためのM&Aが行われています。

本章では、3つの動きを取り上げ、それぞれの背景と狙いを見ていきましょう。

貨物輸送強化を狙ったM&A

ANAホールディングスによる日本貨物航空(NCA)の買収は、旅客依存が高い既存体制からの脱却を図り、国際貨物の輸送力を高める戦略的M&Aとして注目されています。

2023年7月に基本合意が成立し、中国を含む海外当局の承認を得て、2025年8月1日付で完全子会社化が完了しました。

【出典】ANAホールディングス株式会社「日本貨物航空株式会社の全株式取得に関するお知らせ」

LCC・地域航空会社の統合再編

Air Doとソラシドエアは2022年に共同持株会社「Regional Plus Wings」を設立し、ブランドを維持しながら整備や調達を統合してコスト削減を進めています。

地域密着のサービスを保ちつつ、2026年度までに約90億円の営業利益を目指しています。

【出典】FlightGlobal「Japan’s Air Do, Solaseed join forces under new holding company」

環境・デジタル技術強化目的の戦略的M&A

JALグループはDXと脱炭素を経営の柱とし、SAF導入や技術革新で競争力を強化しています。

JALはDXへの取り組みが業界内でも注目されており、AIによる雷回避技術などで安全性と効率性の両立を図っていることなどが特徴的です。

ENEOSとの協業で国内初のSAF供給体制も構築し、2030年までにSAF比率10%を目指しています。

【出典】JAPAN AIRLINES「JAL、『DX注目企業2025』に選定」

空運業界でM&Aを成功させるためのポイント

空運業界では、市場の変化や構造的な課題への対応としてM&Aが重要な経営手段となっています。

しかし、単に企業を統合するだけでは、想定したシナジーや成長効果を得ることはできません。

本章では、M&Aを成功させる5つのポイントを解説していきます。

路線ネットワーク統合によるスケールメリットの発揮

航空会社の統合により重複路線を整理でき、運航や人員、燃料の効率が大きく改善されます。

アメリカン航空とUSエアウェイズの統合では、路線最適化によってコスト削減と収益向上を実現しました。

そのため、M&A前の路線分析と統合計画が重要です。

【出典】アメリカン航空「アメリカン航空と US エアウェイズが最大級のグローバル航空会社を設立 新生アメリカン航空が誕生」

事前デューデリジェンスとPMI計画の徹底

PMI(統合後の運営計画)がうまくいかないと、期待した効果が出ず、資源のムダやブランドの価値低下につながります。

航空業界では、発着枠や機材リース、整備契約、マイレージ制度などの細かい部分まで事前に確認する必要があります。

統合後はDay1から100日、さらに1年後まで段階的に進める計画が重要で、外部のガイドラインを活用することで成功率が高まるでしょう。

環境規制対応をM&A戦略に組み込む

航空業界にとって脱炭素化は避けられず、今後は排出権や環境税などの規制強化が見込まれます。

M&AによりSAFや脱炭素技術を持つ企業を取り込めば、コスト負担を分散でき、研究や投資体制も強化されるのです。

こうした統合は環境対応を加速させ、規制対応力とブランド価値の向上にもつながるでしょう。

顧客ニーズ対応のサービス統合

統合後はサービスの統一を図りつつ、LCCは価格重視、地域航空は利便性重視など柔軟な対応が可能になります。

顧客満足が高まれば、単価の引き上げや乗り継ぎ需要の拡大による収益向上も期待できるでしょう。

地方と幹線のバランスを取ったダイヤ編成は競合との差別化にもつながります。

企業文化・運航安全文化の融合促進

航空会社の統合では、文化や安全意識の違いからすれ違いが起こりやすく、運航や安全に影響する恐れがあります。

そのため、ビジョンの共有や安全基準の統一、現場との対話が不可欠です。

経営陣から現場まで一体となって取り組むことで、信頼を築き、統合後も安定した運営を実現できます。

空運業界のM&A事例

最後に、空運業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

ANAホールディングス株式会社によるPeach Aviation株式会社のM&A

ANAホールディングスは2024年12月、香港のファーストイースタンアビエーションホールディングス(FE)が保有していたPeach Aviation株式7%を取得し、同社を完全子会社化しました。

Peachは2011年創業の日本初のLCCで、2017年にANAHDの連結子会社となった後も事業を拡大。

2024年度中間期には収入が過去最高を記録し、12月には関西―シンガポール線を開設するなど国際展開も進めています。

完全子会社化により、ANAグループは成長が見込まれるLCC事業を経営戦略の柱に据え、訪日旅客需要や地方創生への貢献を一層強化します。

ANAブランドとは異なる顧客層を取り込むPeachの強みを活かしつつ、グループ内連携を深化させることで事業領域の拡大と収益性向上を目指す動きは、フルサービスキャリアとLCCの両輪による競争力強化戦略の典型的な事例といえます。

【出典】ANAホールディングス株式会社「Peach Aviation 株式会社の全株式取得に関するお知らせ」

株式会社ミライト・ワンによる国際航業株式会社のM&A

通信インフラ工事大手のミライト・ワンは、2023年11月に国際航業の全株式を約455億円で取得し、完全子会社化することを決定しました。

国際航業は1947年創業の公共コンサルタント企業で、空間情報技術を活用した街づくりやインフラ管理、防災・環境分野などで強みを持ちます。

ミライト・ワンは中期ビジョン「MIRAITONE Group Vision 2030」で掲げる「みらいドメイン」領域の拡大を進めており、本件により国際航業の企画・設計・コンサルティング機能と自社の施工・運用力を融合させ、フルバリュー型の事業展開を加速させる狙いです。

空間データ基盤や解析人材も取り込み、脱炭素や都市DXといった社会課題対応型の事業シナジー創出を目指します。

建設・通信業界で進む「縦・横の統合」による再編の一例であり、今後の都市インフラ市場での競争力強化に直結する動きといえます。

【出典】株式会社ミライト・ワン「国際航業株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

株式会社FPGによる北日本航空株式会社のM&A

リース事業を展開するFPGは、2019年11月、北日本航空の全株式を取得し完全子会社化しました。

北日本航空は岩手県花巻市に本社を置き、沖縄では離島医療を支えるドクターフライト、本社では災害時の空撮など社会的意義の高い航空事業を手掛けています。

FPGは今回の子会社化により、同社の希少な航空ライセンスや運営ノウハウを活用し、チャーター・遊覧フライト事業の拡大や収益改善による黒字転換を目指します。

さらに将来的には、自社顧客基盤である富裕層向けのプライベートジェット事業参入も視野に入れています。

北日本航空は直近3期連続で赤字計上していましたが、社会貢献性の高い事業を基盤に成長戦略へ取り込む動きは、FPGの事業多角化と新規収益源確保の一環といえます。

航空分野への参入は異業種M&Aの代表的事例として注目されます。

【出典】株式会社FPG「北日本航空株式会社の株式取得(完全子会社化)の完了及び新規事業参入に関するお知らせ」

まとめ|空運業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

空運業界はコロナ後に回復しつつありますが、燃料費の高騰や人材不足、環境規制などの課題を抱えています。

こうした状況に対応し競争力を高める手段として、M&Aの重要性が高まっています。

本記事では、貨物輸送の強化、LCCの再編、環境・デジタル分野への投資など、2025年時点で注目されるM&A動向を紹介しました。

成功のためには、路線統合やサービスの最適化、文化の融合、PMIの実行といった空運業界ならではの視点が欠かせません。

CINC Capitalは、様々な業界に精通したM&A支援を通じて、貴社の成長を力強くサポートします。

まずはお気軽にご相談ください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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