CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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- 公開日2025.04.21
- 更新日2025.04.21
埼玉のM&A動向は?事例や信頼できる相談先/M&Aを進める時の注意点を解説
埼玉県では首都圏の立地優位性と多様な産業基盤を背景に、経営課題解決の手段としてM&A(合併・買収)が積極的に活用されています。M&Aは、企業が他社を買収したり合併したりする経営戦略のことです。
本記事では、埼玉のM&A最新動向や事例、信頼できる相談先、進める際の注意点などを詳しく解説します。
目次
埼玉のM&Aの最新動向【2025年】
首都圏という立地の強みと幅広い産業基盤を持つ埼玉県では、成長戦略や経営問題解決の手段としてM&Aが積極的に行われています。ここでは、埼玉県のM&A最新動向をご紹介します。
経営者の高齢化・後継者不足でM&Aが増加
埼玉県内では、経営陣の高齢化または後継者不足から、事業継承を目的とするM&A取引が増加傾向にあります。
「帝国データバンク大宮支店(さいたま市)」の調査において、県内企業の後継者不在率を経営者の年代別でみると、もっとも高い数値を示したのは「30代」で前年比0.8ポイント減の85.8%でした。対して低かったのは「80代以上」で、前年比1.4ポイント増の25.9%となっています。30代の経営者の約8割が後継者未定の状況にあります。
また、80代以上の経営者で後継者不在率が上昇した理由について、同支店は「年齢を考慮し、廃業を検討する高齢代表者が一定数出ていることが想定される」と指摘しています。このような背景もあり、事業存続に向けたM&Aが積極的に行われていると考えられます。
【出典】産経新聞「埼玉県内企業の後継者不在率、8年連続低下 最多は建設業 帝国データバンク調べ」
製造業を中心に活発なM&A展開
製造業が発展している埼玉県では、自動車部品、精密機械、電子機器、食品製造などの分野が産業の中核を形成しています。近年では生産拠点の拡充を目指した企業買収が活発化し、技術革新や国際市場での競争力強化を図るM&A案件も見られました。埼玉県における製造業のM&Aは、イノベーション促進とグローバル競争力強化の観点から、今後さらなる拡大が予測されます。
地域密着型サービス業のM&Aも増加
埼玉県内では製造分野だけでなく、地元に根ざしたサービス産業でのM&A取引も増えています。近年では県内大手スーパーマーケットチェーンをはじめ、冠婚葬祭事業者や不動産関連企業などが、事業領域や営業エリア拡大を目指して企業買収に取り組んでいます。また、地方銀行系投資ファンドが有望なスタートアップ企業へ出資するケースもあるようです。
埼玉でM&Aの相談どこにする?
埼玉県内でのM&A相談先には、専門仲介会社、金融機関・公的支援機関、オンラインマッチングサイトなど多様な選択肢があります。それぞれの特徴をご説明します。
M&A仲介会社に相談する
M&A仲介会社は、守秘義務を保った案件情報の取り扱いや、適正な企業価値評価、交渉力の強化など、多くの重要な役割を担う専門家です。中立的な立場で売り手と買い手の利益バランスを調整します。
特に、業界動向や市場環境に精通した仲介会社なら、適切な買い手候補の選定や最適なタイミングでの案件公開など、戦略的なアドバイスを提供してくれます。埼玉地域に強い仲介会社を選べば、地元事情に詳しい実践的なアドバイスを受けられるでしょう。M&A仲介会社のサポートを受けることで、自社だけで進めるよりも成功確率が大幅に高まり、理想的な条件での取引も実現しやすくなります。
金融機関や公的機関を利用する
多くの地元金融機関や公的機関もM&A相談窓口を設置しています。「経済産業省」が策定した「中小M&Aガイドライン」に基づき、顧客のニーズに合わせた支援を行う機関も見られます。
M&Aマッチングサイトで探す
M&Aマッチングサイトは、WEB上で全国のM&A案件情報にアクセスできるサービスです。埼玉県も例に漏れず、さまざまな業種の譲渡・買収案件を探せます。AI技術を活用した自動マッチングシステムを採用するサービスもあり、自社に適した買い手候補を効率的に見つけられるでしょう。
埼玉で信頼できるM&Aの相談先一覧
ここでは、埼玉県内で信頼性の高いM&A相談窓口を紹介します。地域特性を理解した相談先を選ぶと、スムーズな事業承継・企業売却が期待できるでしょう。
埼玉県事業承継・引継ぎ支援センター
「埼玉県事業承継・引継ぎ支援センター」は、中小企業庁が策定した「事業承継ガイドライン」にもとづいて運営される公的相談窓口です。事業承継に関する相談やM&Aマッチングを通じて、中小企業の円滑なバトンタッチをサポートしています。
埼玉りそな銀行
「埼玉りそな銀行」は、りそなグループの一員として埼玉県を中心に幅広い金融サービスを展開しています。M&A支援においては、専門知識と広範なネットワークを活かし、企業の成長戦略をサポートしています。
【参考】埼玉りそな銀行
CINC Capital
「CINC Capital」は、M&A仲介事業を手掛ける企業です。企業の買収・売却支援や事業譲渡時の価値最大化をサポートしています。買い手企業のM&A実績データを収集・分析する高度なマーケティングテクノロジーによって、適切な買い手を提案します。埼玉県内はもちろん、全国のM&A案件に対応しているのが特長です。
【参考】CINC Capital
埼玉県のM&A事例
最後に、埼玉県のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。
東京インキ株式会社による荒川塗料工業株式会社のM&A
東京インキ株式会社は、2021年1月29日付で荒川塗料工業株式会社の全株式を取得し、子会社化しました。荒川塗料工業は紙加工用塗料や建築用塗料を手掛ける老舗企業であり、確かなブランド力と技術力を有しています。
東京インキは、中期経営計画「TOKYOink 2020」の一環としてコア事業の強化と周辺領域の拡大を掲げており、今回の買収によりグラビアインキ事業の環境対応製品などとシナジー効果を期待しています。
両社の製品領域は競合せず、技術・生産ノウハウの共有による新事業・新製品の開発力向上が見込まれます。これにより、インキ事業の拡大とグループ全体の企業価値向上を目指す戦略的なM&Aとなりました。
【出典】東京インキ株式会社「子会社等の異動を伴う株式取得に関するお知らせ」
レンゴー株式会社による日藤ダンボール株式会社のM&A
レンゴー株式会社は、2023年2月に日藤ダンボール株式会社の発行済株式70%を取得し、子会社化しました。日藤ダンボールは1966年設立、埼玉県桶川市を拠点とする段ボールメーカーで、地域密着型の堅実な顧客基盤を有しています。
レンゴーは今回のM&Aにより、埼玉県および周辺地域における事業基盤を強化し、グループ会社間の連携を深化させる方針です。段ボール事業のさらなる拡充を目指す戦略の一環であり、地域に根差した企業を傘下に収めることで、安定的な供給体制の構築と競争力向上を図る動きといえます。
【出典】レンゴー株式会社「日藤ダンボール株式会社の子会社化について」
ジャパンクリエイト株式会社による株式会社ブイ・テクノロジーのM&A
株式会社ブイ・テクノロジーは、2023年1月6日付でジャパンクリエイト株式会社の全株式を取得し、完全子会社化しました。
ブイ・テクノロジーは、ディスプレー向け製造装置を主力とする東証プライム上場企業であり、グローバルに製造ソリューションを提供しています。
ジャパンクリエイトは20年以上にわたり顧客基盤を築いてきた企業であり、今回のM&Aにより、財務基盤や営業網の強化、事業拡大のスピードアップが期待されています。
子会社化後も従来通りの取引体制を維持し、顧客へのサービス向上を目指す姿勢が強調されています。事業成長に向けたグループ戦略の一環といえるでしょう。
【出典】ジャパンクリエイト株式会社「株式会社ブイ・テクノロジーの株式取得によるジャパンクリエイト株式会社の完全子会社化に関するお知らせ」
埼玉でM&Aを進めるときの注意点
ここでは、埼玉県でM&Aを進めるときに知っておきたい注意点を「売り手企業目線」でご紹介します。
必要書類の把握と整理
M&Aでは、株券や株主名簿の整理、財務諸表、各種契約書など多岐にわたる文書が必要です。とりわけ埼玉県は製造業が多く、技術関連の知的財産権や設備資料も重視されます。これらの書類が整然と管理されていれば、デューデリジェンス(企業調査)がスムーズに進み、取引成功率も高まるでしょう。
交渉で譲れないポイントを決めておく
買い手候補との交渉においては、自社の譲れない条件をあらかじめ明確にしておくことが重要です。これにより交渉の軸がぶれず、希望する条件での合意が実現しやすくなります。また、従業員の処遇も重要なポイントです。交渉前に従業員の今後について自社の方針を固めておけば、買収側企業との認識のずれを防げるでしょう。
適切な専門家に相談する
M&Aには、複雑なプロセスがともないます。初期段階から専門家に相談することで潜在的なリスクを早期に発見し、適切な対策を講じられるでしょう。特に埼玉県では製造業のM&Aが多く、技術評価や知的財産権の取り扱いなど専門的な知識が求められる場面も多いため、専門家のサポートが求められます。
専門家選定においては、成約実績や対応可能な業界・業種、得意とする案件規模などを確認することが大切です。埼玉県の産業構造や企業文化に精通している仲介会社などに相談すれば、エリアの特色を踏まえたアドバイスが得られるでしょう。
M&Aを検討する際に知っておきたい基礎知識
埼玉県内では幅広い産業が集積しており、都心へアクセスも優れていることから、事業承継や会社売却のニーズが高まっています。ここでは、M&A検討時に理解しておくべき基本事項を解説します。
M&Aと事業譲渡の違いはなんですか?
M&Aは合併(Merger)と買収(Acquisition)を指す広い概念です。実行手法としては株式譲渡・事業譲渡・会社分割・合併などがあります。事業譲渡は会社内の特定事業を売却するスキームであり、M&Aの一形態として位置づけられます。売買対象となる事業を選択でき、負債継承リスクを避けやすいのがメリットです。ただし、各種手続きが複雑になる場合もあります。
M&Aの手法について、詳しくは以下の関連記事で解説しています。こちらも併せてお読みください。
【参考】M&Aとは?意味や目的、手法ごとのメリットデメリットをわかりやすく解説
M&Aのメリットとデメリットはなんですか?
M&Aのメリットとして、事業継続や拡大、シナジー効果の創出などが挙げられます。一方、注意すべきデメリットとしては、粉飾決算や簿外債務などが発覚するリスクがあります。また、買収後の統合(PMI:Post Merger Integration)の失敗リスクについても、十分に考慮しておきましょう。企業文化の違いや従業員の反発、システム統合の難しさなどが原因で、期待した成果を達成できないことがあります。買収価格の妥当性の検証が不十分だと、過大評価による買収後の財務負担が発生するリスクもある点に留意が必要です。
M&Aのメリットとデメリットについて、詳しくは以下の関連記事で解説しています。こちらも併せてお読みください。
【参考】M&Aのメリットとデメリットは?買い手と売り手の立場別にわかりやすく解説
M&Aの相場はどのくらいですか?
M&A取引の相場は企業規模や業種、収益性などに大きく左右されるため、一概に言及するのは困難です。ただし、企業価値評価(バリュエーション)は売却金額に大きく影響します。日本の中小企業M&Aでは、特に以下の2つの方法が多く採用されています。
- 時価純資産+営業権法:企業の純資産に営業権(のれん代)を加算する方法
- マルチプル法:EBITDA(利払前・税引前・減価償却前利益)などの収益指標に一定の倍率を掛けて算出する方法
M&Aへ向けて自社の企業価値を知りたい方は、以下のページから「企業価値算定シミュレーション」をご利用ください。
M&Aでおすすめの相談先はどこですか?
M&A検討する際には、適切な相談先選びが成功への鍵となります。複雑なM&Aプロセスを円滑に進めるには、それぞれの専門機関が持つ強みを理解し、自社のニーズに最適な支援者を見つけることが大切です。
M&Aの相談先について、詳しくは以下の関連記事で解説しています。こちらも併せてお読みください。
【参考】M&Aはどこに相談する?相談先の選び方やメリットデメリットを解説
まとめ|埼玉のM&Aのポイント
M&Aを成功させるには、専門仲介会社や金融機関、公的支援機関などの適切な相談先選びが重要です。また、必要書類の整理や交渉における譲れないポイントの明確化、専門家への早期相談も欠かせません。M&Aと事業譲渡の違いやメリット・デメリット、企業価値評価の方法などを理解した上で、地域性を踏まえた戦略的なM&Aを実現しましょう。
CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。