CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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- 公開日2025.04.21
- 更新日2025.04.21
兵庫県のM&A動向は?事例や信頼できる相談先/M&Aを進める時の注意点を解説
M&A(合併・買収)とは、企業の買収や合併を通じて経営権を獲得する手法です。兵庫県においては、後継者問題や技術承継、雇用維持といった経営課題の解決にM&Aが活用されており、県内または近隣府県の企業間での地域密着型取引が主流となっています。
今回は、兵庫県のM&A最新動向や信頼できる相談先、注意点、そして基礎知識まで幅広く解説します。事業承継や経営戦略としてM&Aを検討されている経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
兵庫県のM&Aの最新動向【2025年】
兵庫県では後継者不足や技術承継問題を解消するため、中小企業を中心にM&Aが行われています。ここでは、兵庫県のM&A最新動向をご紹介します。
後継者不足による県内企業の廃業率増加
兵庫県を含む近畿地区では、企業の休廃業・解散が増加し続けています。株式会社帝国データバンクが実施した調査によると、2024年に近畿地区で報告された休廃業・解散件数は9,115件に達し、前年と比較して約16.7%も増加しました。この上昇傾向の主な要因は、経営者の高齢化と後継者不足にあります。
中小企業や個人事業主が後継者問題に直面しており、適切な事業承継ができないまま廃業を選ぶケースが増えています。同じく株式会社帝国データバンクによる2023年の調査結果では、兵庫県における後継者が不在の企業の割合は48.0%と報告されています。
【出典】株式会社帝国データバンク「近畿地区「休廃業・解散」動向調査(2024 年)」
【出典】株式会社帝国データバンク「全国「後継者不在率」動向調査(2023 年)」
地域密着型の技術承継・雇用維持目的のM&Aが増加
兵庫県のM&A市場では、県内または隣接府県の企業間でのM&A案件が半数以上を占めます。単に企業規模を拡大するのではなく、地域の技術・雇用を守ることに重点を置いたM&Aが多く見られます。
具体的には、「播州織」や「三木金物」製造における技術継承を目的としたM&Aが行われています。こうした動きにより、地域の貴重な産業資源が保たれているのです。さらに、譲渡後も従業員の雇用確保を条件とする案件が増加し、地域経済の持続可能性を高める取り組みが広がっています。
兵庫県でM&Aの相談どこにする?
M&Aは専門的な知識や手続きが必要になるため、信頼できる相談先を見つけることが重要です。ここでは、兵庫県でM&Aの相談ができる主な方法を紹介します。
M&A仲介会社に相談する
兵庫県でM&Aを検討するなら、事業承継や事業売却などの専門知識を持つ「M&A仲介会社」に相談するのがおすすめです。神戸市や姫路市を中心に、地元企業の特性を熟知したM&A仲介会社が多く存在します。いずれも兵庫県の主要産業である製造業や卸売業に特化したマッチングを行い、事業承継の成功率を高めています。
また、M&A仲介には、企業価値の算定やデューデリジェンスといった専門的な業務も一括して依頼できます。特に兵庫県のように、神戸市を中心とした都市部と淡路島や但馬地方といった地方部で経済格差がある地域では、適正価格の算定が重要です。
金融機関や公的機関を利用する
兵庫県のM&Aにおいては、地元金融機関や公的機関に相談するのも一つの手です。無料で中立的な立場でのアドバイスが受けられますが、M&A仲介会社に比べると、支援の幅は狭くなります。なお、兵庫県独自の補助金や助成金を活用できる場合もありますが、申請条件や審査期間に注意が必要です。
M&Aマッチングサイトで探す
時間的な制約が少なければ、M&Aマッチングサイトで案件を探すこともできます。兵庫県内の企業が多く登録されており、地場産業や食品加工業、機械部品製造業といった兵庫県の主力産業に関連する案件が豊富です。
兵庫県で信頼できるM&Aの相談先一覧
兵庫県では、中小企業の事業承継やM&Aを支援するための相談窓口が多数設けられています。公的機関から民間企業まで、経営者のニーズに合わせたサポートを提供しています。ここでは、具体的な相談先をご紹介します。
兵庫県事業承継・引継ぎ支援センター
「兵庫県事業承継・引継ぎ支援センター」は、中小企業の事業承継をサポートする公的な相談窓口です。無料での相談対応が可能で、親族内承継からM&Aによる第三者承継まで幅広く支援しています。
中小企業庁が設置した全国的なネットワークの一環として運営されており、兵庫県内の中小企業に特化したアドバイザーが在籍しています。経営者の高齢化や後継者不足といった課題に対し、事業承継計画の策定や譲渡先とのマッチングなどを行っています。
兵庫県よろず支援拠点
経営全般の相談に対応する公的な支援機関で、事業承継やM&Aに関する無料相談を行っています。地域密着型のサービスが特徴であり、兵庫県内の事業者が気軽に利用できる相談窓口です。また、経営改善や新事業展開などの相談に加え、事業承継に関する専門的なアドバイスも行っています。各地域にサテライト拠点が設けられており、県内全域で利用可能です。
【参考】兵庫県よろず支援拠点
CINC Capital
「CINC Capital(シンクキャピタル)」はM&A仲介会社です。東京都港区を拠点に活動しており、マーケティングテクノロジーを活用した効率的かつ迅速なM&A支援を特徴としています。企業の成長戦略や事業承継、出口戦略に至るまで幅広いサポートを行っており、兵庫県のM&A案件にも対応しています。自社の強みを全面に活かし、経営者とその企業の未来に寄り添ったサービスを提供しています。
【参考】CINC Capital
兵庫県のM&A事例
最後に、兵庫県のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。
株式会社ココカラファインによる株式会社神戸マルゼンのM&A
株式会社ココカラファインの子会社であるココカラファインヘルスケアは、兵庫県で調剤薬局を運営する株式会社神戸マルゼンから、同社の調剤薬局1店舗を譲り受けることを決定しました。
本件は、ココカラファインが掲げる「地域密着型かかりつけ薬局」の強化戦略の一環であり、西日本エリアでのドミナント戦略を進める目的があります。
譲受店舗は同エリアにおける旗艦店として位置づけられ、地域におけるヘルスケアネットワークの構築が期待されています。買収金額は非開示ですが、DCF法等に基づいて算定されたとのことです。
ドラッグストア業界では調剤部門の強化が競争力の鍵となっており、地域密着型モデルを支えるM&Aが今後も続くと見られます。
【出典】株式会社ココカラファイン「調剤薬局事業の譲受に関するお知らせ」
丸大食品株式会社によるトーラク株式会社のM&A
2020年、丸大食品株式会社は、不二製油グループ本社の子会社であるトーラク株式会社の全株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。トーラクは「神戸プリン」や「らくらくホイップ」などの人気商品を持つ乳加工食品メーカーで、神戸を拠点に独自ブランドを展開しています。
本件は、丸大食品が掲げる基幹事業の拡大と新規事業の柱育成を目的としたもので、デザート分野の強化を図るものです。今後は両社の販売力や研究開発力の融合により、新商品開発やラインナップ拡充が期待されています。
食品業界では、ブランド力と商品開発力の相乗効果を狙ったM&Aが活発化しており、本件もその流れを象徴する事例といえます。
【出典】丸大食品株式会社「トーラク株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」
フジッコ株式会社による株式会社フーズパレットのM&A
2019年、フジッコ株式会社は、中華総菜を製造・販売する株式会社フーズパレットの全株式を取得し、子会社化することを発表しました。
フーズパレットは「四陸(フォールー)」や「チャイナチューボー」といったブランドで百貨店を中心に中華総菜を展開しており、長年にわたり顧客から支持を得てきた企業です。
フジッコは惣菜製品を主力事業の一つとしており、今回のM&Aにより自社の販売力や開発力とフーズパレットのブランド力を融合し、商品力の強化や新たな価値の提供を目指しています。
中食市場の拡大を背景に、強みの異なる企業の統合によるシナジー創出を狙った動きが加速しており、本件もその一環といえるでしょう。
【出典】フジッコ株式会社「株式会社フーズパレットの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
兵庫県でM&Aを進めるときの注意点
兵庫県でM&Aを進める際には、地域特性を深く理解すること、適切な専門家の選定、そして従業員や取引先への配慮が重要となります。ここでは、兵庫県でM&Aを進めるときに知っておきたい注意点を売り手目線でご紹介します。
地域特性や産業構造を理解した譲渡先を選ぶ
兵庫県は神戸市や阪神間といった都市部から、播磨や但馬、淡路島といった地方部まで、それぞれ地域特性や産業構造が異なります。
例えば、神戸地域では運輸・飲食料品・電気機械、阪神地域は電子部品・非鉄金属、東播磨・北播磨地域では一般機械・鉄鋼・金属製品、中播磨・西播磨地域は鉄鋼・電気機械・化学製品などが基幹産業となっています。但馬地域は電子部品や漁業などのほか、旅館や宿泊所などの観光業も強い点が特徴です。
同様に、淡路地域も観光関連の産業や漁業に強みがあります。地域特性や産業構造を踏まえない統合では、M&A後の事業統合やシナジー効果の実現が難しくなる可能性があるでしょう
適切な専門家に相談する
M&Aを進める際には、地域に精通したM&A仲介会社のサポートが不可欠です。兵庫県の経済や業界動向を理解した専門家に頼ることで、地域特有の課題に対応しながら適切な買い手を選定できます。
また、M&A後の統合プロセス(PMI)においても、仲介会社のサポートがあれば従業員や取引先との関係を円滑に維持できます。
従業員や取引先への配慮を忘れない
M&Aでは、従業員や取引先との長期的な関係性が企業価値を左右します。M&Aを進める際には、これらのステークホルダーへの配慮が欠かせません。
雇用条件や取引条件の変更については、事前に従業員や主要取引先と協議し、明確な合意を形成することが重要です。特に地方部では、従業員の多くが地元に生活基盤を持つため、雇用条件の変更は慎重に進める必要があります。
M&Aを検討する際に知っておきたい基礎知識
ここからは、M&Aに関する基礎知識をわかりやすくご紹介します。それぞれの詳細については別記事で深掘りしますので、必要に応じてご確認ください。
M&Aと事業譲渡の違いはなんですか?
M&Aと事業譲渡は、どちらも所有権の移転を伴う取引ですが、適用範囲や手続きにおいて異なります。M&A(合併・買収)は、企業全体、またはその株式を取得することで経営権を得る方法です。この場合、対象企業の資産と負債の両方を引き継ぎます。一方、事業譲渡は、特定の事業部門や資産のみを切り離して譲渡する形式で、引き継ぐ範囲を柔軟に選択できます。
M&Aの手法について、詳しくは以下の関連記事で解説しています。こちらも併せてお読みください。
【関連記事】M&Aとは?意味や目的、手法ごとのメリットデメリットをわかりやすく解説
M&Aのメリットとデメリットはなんですか?
M&Aを実施することで、買い手と売り手の双方に特有のメリット・デメリットが生じます。たとえば、売り手側のメリットとしては、後継者問題の解決や企業価値の資金化が挙げられます。ただし、社名変更や従業員の処遇問題などのデメリットもあります。
M&Aのメリットとデメリットについて、詳しくは以下の関連記事で解説しています。こちらも併せてお読みください。
【関連記事】M&Aのメリットとデメリットは?買い手と売り手の立場別にわかりやすく解説
M&Aの相場はどのくらいですか?
M&Aの相場は、対象企業の規模や業種、収益性により異なります。主な算定方法としては、マルチプル法やDCF法が一般的です。たとえば、マルチプル法では、EBITDA(利払前・税引前・減価償却前利益)に業界ごとの倍率を掛けて企業価値を算出します。
M&Aへ向けて自社の企業価値を知りたい方は、以下のページから「企業価値算定シミュレーション」をご利用ください。
【参考】企業価値算定シミュレーション
M&Aでおすすめの相談先はどこですか?
M&Aを成功させるには、適切な相談先を選ぶことが重要です。その際、実績や専門性に加えて、自社の業種や規模に適したサービスを提供しているかをご確認ください。兵庫県のM&A案件については、「CINC Capital」で取り扱いがございます。まずは一度ご相談ください。
M&Aの相談先について、詳しくは以下の関連記事で解説しています。こちらも併せてお読みください。
【関連記事】M&Aはどこに相談する?相談先の選び方やメリットデメリットを解説
まとめ|兵庫県のM&Aのポイント
M&Aは単なる企業の売買ではなく、地域の技術や雇用を守り、企業価値を次世代に引き継ぐための経営戦略です。自社の将来を見据え、適切な方法でM&Aを検討しましょう。今後、事業承継や事業売却、株式譲渡などを検討している経営者は、まずはM&A仲介会社にお問い合わせください。
CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。