CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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- 最終更新日2025.09.10
福島県のM&A動向は?事例や信頼できる相談先/M&Aを進める時の注意点を解説
M&A(企業の合併・買収)は、後継者問題や事業拡大といった経営課題を解決する手段で、主に事業拡大・経営効率化・事業承継などの目的で実施されます。近年、福島県においてもM&Aへの関心が高まっており、後継者不足に悩む中小企業から注目されています。
本記事では、福島県のM&A動向や信頼できる相談先、M&Aを進める際の注意点について徹底解説します。
目次
福島県のM&Aの最新動向【2025年】
震災復興が進む中、福島県では地域ごとに異なる事業承継・会社売却の動きが見られます。ここでは、福島県の最新M&A動向についてご紹介します。
復興事業の承継ニーズ
福島県の浜通り地域では、東日本大震災にともなう原発関連復興事業が進む一方で、建設業や製造業の経営者が高齢化に直面し事業承継への関心が広がっています。
例えば、浜通り地域の製造業の中には、震災後の復興期に培った独自の技術力が評価され、県外企業からの買収提案を受ける企業も見られます。従業員の雇用を守りながら、技術を次世代に継承できる道を選ぶ企業が少なくありません。
会津地域での製造業統合
福島県郡山市や福島市の工業団地では、新たな企業誘致や産業集積が進んでいます。特筆すべきは、会津地域の動向です。ここでは、伝統工芸品と新技術を組み合わせた事業承継が見られ、地域に根ざした技術力を武器に、新たな市場の開拓が目指されています。
福島県でM&Aの相談どこにする?
福島県でM&Aを検討する際は、地域特性を理解した専門機関やサービスを活用しましょう。ここでは、福島県で利用できる、M&Aの主な相談先をご紹介します。
M&A仲介会社に相談する
福島県でM&Aを進める際には、専門的な知識を持つM&A仲介会社への相談をおすすめします。M&A仲介会社は、県内の産業構造や地域特性に精通しており、企業価値の算定から交渉戦略の立案、契約締結に至るまで一貫したサポートを提供しています。
特に福島県のM&Aでは、震災復興支援制度の活用など、地域特有の事情を踏まえた総合的な対応が求められます。そのため、地元事情に明るい専門家による支援が欠かせません。
金融機関や公的機関を利用する
福島県内の地域金融機関では、震災復興を掲げてM&A支援に力を入れてきました。地元企業との関係性が深く、財務や事業内容を正確に把握しているため、実現可能性の高いアドバイスが期待できます。
M&Aマッチングサイトで探す
近年、M&Aマッチングサイトを活用する企業も増えています。主要なマッチングサイトでは、福島県内の売却・買収案件を効率的に検索できる仕組みが整っており、初期段階の情報収集にも適しています。
福島県で信頼できるM&Aの相談先一覧
福島県では、中小企業向けのM&A支援を行う機関が複数存在し、地域経済の振興を目指した取り組みが展開されています。ここでは、福島県で信頼できるM&Aの相談先についてご紹介します。
福島県事業承継・引継ぎ支援センター
「福島県事業承継・引継ぎ支援センター」では、中小企業庁の委託のもと、県内企業の事業承継を無料でサポートしています。後継者を探している企業と起業家のマッチングを行うなど、独自のサービスを提供している公的機関です。
受付時間 |
月曜日~金曜日 8:30~17:15(土・日曜、祝祭日、年末年始を除く) |
住所 |
〒963-8005 郡山市清水台1丁目3番8号 郡山商工会議所会館403号 (福島県産業振興センター 郡山事務所内) |
電話 |
024-954-4163 |
Webサイト |
福島銀行(ふくぎんビジネスソリューション)
「福島銀行」は、地域金融機関として積極的に事業承継支援体制の整備を進めています。地元企業との信頼関係を強みに、財務面からのアドバイスと併せて、同行ならではの総合的なサポートを展開しています。
受付時間 |
月曜日~金曜日 9:00~15:00 |
住所 |
〒 960-8033 福島市万世町2-5 |
電話 |
024-525-2911(本店営業部) |
Webサイト |
CINC Capital
「CINC Capital」は、マーケティングテクノロジーとデータ分析の知見を活かしたM&A仲介サービスを展開する企業です。独自に開発したビッグデータとAI技術を組み合わせたマッチングシステムにより、福島県内の企業に対しても最適な譲渡先・譲受先の提案を行っています。
経験豊富なアドバイザーチームが在籍しており、企業価値の適正な評価から交渉戦略の立案、契約締結に至るまで、一貫した支援を提供しています。福島県内のM&A案件に対しても積極的に対応しており、地域企業の課題やニーズに応じた、きめ細やかなサービスに定評があります。
受付時間 |
平日9時~18時(年末年始を除く) |
住所 |
〒105-0001 東京都港区虎ノ門1丁目21-19 東急虎ノ門ビル6F |
電話 |
03-4500-7072 |
Webサイト |
福島県のM&A事例
ここでは福島県のM&Aの事例を紹介します。
株式会社ナックによる株式会社コンビボックスのM&A
2024年12月、宅配水「クリクラ」を展開する株式会社ナックは、フランチャイズ加盟店である株式会社コンビボックスを子会社化しました。コンビボックスは2006年設立で、福島・岩手を中心に東北地方で宅配水事業を展開し、製造プラントを2基保有するなど、主要加盟店の一つです。
今回のM&Aにより、ナックはクリクラの供給体制を強化しつつ、同社が展開する韓国食品スーパー「イエスマート」事業とのシナジーによる収益向上も狙っています。加盟店の完全子会社化は、ブランド統一と運営効率の面でも一定の合理性があり、今後の地域展開戦略の加速が期待されます。
【出典】株式会社ナック『株式会社コンビボックスの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ』
OCHIホールディングス株式会社による株式会社弓田建設のM&A
OCHIホールディングス株式会社は、福島県会津若松市を拠点とする株式会社弓田建設の全株式(自己株式を除く)を取得し、連結子会社化することを決定しました。弓田建設は1979年創業、1982年設立の建設会社で、建築工事を中心に土木、舗装、不動産開発、住宅建設など幅広い事業を展開しており、地域で40年以上の実績を有しています。
OCHIホールディングスは、今回の買収を通じてエンジニアリング事業のネットワークを東北地方に拡大するとともに、非住宅分野の強化を図り、グループ全体の持続的成長と企業価値向上を目指す考えです。
取得価額は約24億円で、主要株主であった東京中小企業投資育成株式会社から株式を譲受します。地域に根差した技術力を持つ弓田建設を傘下に迎えることで、同社は今後、公共工事やリフォーム分野の受注拡大とシナジー創出が期待される事例となります。
【出典】OCHIホールディングス株式会社『株式会社弓田建設の株式取得(子会社化)に関するお知らせ』
株式会社ナチュラリによる株式会社東北薬理研のM&A
医薬・ヘルスケア業界のM&A事例として、株式会社ナチュラリは2023年4月、臨床試験受託事業を手掛ける株式会社東北薬理研を完全子会社化しました。東北薬理研は、福島県を拠点に東北地方で治験施設支援機関(SMO)として長年事業を展開し、地域医療機関との強固な信頼関係を築いてきた企業です。
ナチュラリはこの買収により、東北での事業基盤を強化するとともに、東京オフィスの新設を通じて首都圏への展開を加速させる方針を示しています。背景には、地方に根差したSMOの強みと、首都圏における成長余地を掛け合わせることで、全国的な臨床試験支援体制の構築を狙う戦略があると考えられます。
地域密着型企業の信頼資産を活かしつつ、都市部での事業拡大につげる点が特徴的な事例といえます。
【出典】株式会社ナチュラリ『株式会社東北薬理研の株式取得(完全子会社化)に関するお知らせ』
福島県でM&Aを進めるときの注意点
福島県でのM&Aを成功させるためには、地域特有の課題や特性を理解することが大切です。ここでは、福島県で事業の売却を検討されている経営者向けに、M&Aを進める際の注意点を解説します。
風評被害リスクを踏まえた企業価値評価を行う
浜通り地域では、福島第一原発事故の影響による風評被害が依然として課題となっています。このため、M&Aにおいては、実際の事業実績と風評による影響を分けて評価することが重要です。
特に食品や観光業などの分野では、風評被害が売上や取引先に与える影響を慎重に分析し、将来の事業計画に反映させなければなりません。また、地域の復興状況や科学的データを基にした安全性の証明を行い、客観的な企業価値評価を徹底しましょう。適切な評価には、地域事情に精通した専門家のサポートが不可欠です。
交通アクセス優位性を活かしたアプローチ
福島県の中通り地域は「東北自動車道」、会津地域は「磐越自動車道」を通じて首都圏へのアクセスが良好であり、物流・製造拠点としての価値が高くなっています。こうした地理的優位性を活かし、物流コスト削減や市場アクセス向上を重視する買い手にアプローチすると良いでしょう。
適切な専門家に相談する
福島県でのM&Aを成功させるには、地域特性を深く理解した専門家との連携が不可欠です。震災後の復興状況や産業構造、地域間の経済格差などを考慮した戦略を立てることで、M&Aがスムーズに進行しやすくなります。
M&Aを検討する際に知っておきたい基礎知識
ここでは、M&Aを進めるにあたって知っておきたい基本的な知識や考え方について、わかりやすく解説します。
M&Aと事業譲渡の違いはなんですか?
事業譲渡は、M&Aの一つの手法です。M&Aには事業譲渡や株式譲渡などの手法があり、前者は特定の事業・資産のみを切り離して譲渡すること、後者は企業全体の株式を取得して経営権を移転することを指します。
【関連記事】M&Aとは?意味や目的、手法など基本をわかりやすく解説
M&Aのメリットとデメリットはなんですか?
売り手企業におけるM&Aのメリットには、後継者問題の解決、創業者利益の確保、従業員の雇用継続、事業の更なる発展などがあります。一方、企業文化の変化や従業員の不安、経営方針の相違などがデメリットだといえるでしょう。
M&Aのメリットとデメリットについて、詳しくは以下の関連記事で解説しています。こちらも併せてお読みください。
【関連記事】M&Aのメリットとデメリットは?売り手や買い手、従業員など立場別にわかりやすく解説
M&Aの相場はどのくらいですか?
M&Aの相場は企業の規模や業種、財務状況などにより大きく異なるため、一概に数値で示すことは難しいといえます。一般的な算出方法としては、時価純資産に営業権(のれん)を加算する方法、マルチプル法(EBITDAなどの指標に対する倍率で評価)などがあります。なお、DCF法(将来キャッシュフローの現在価値)は主に、上場企業同士やスタートアップのM&Aで用いられます。
M&Aへ向けて自社の企業価値を知りたい方は、以下のページから「企業価値算定シミュレーション」をご利用ください。
企業価値算定シミュレーションはこちら
M&Aでおすすめの相談先はどこですか?
おすすめの相談先として、実績豊富なM&A仲介会社などが挙げられます。特に重要なのは、業界に精通し、適切な企業価値評価や交渉戦略の立案ができる専門家を選ぶことです。福島の産業特性や商習慣を理解したエキスパートを探しましょう。
M&Aの相談先について、詳しくは以下の関連記事で解説しています。こちらも併せてお読みください。
【関連記事】M&Aはどこに相談する?相談先一覧や特徴 適切な相談先の選び方を解説
福島県のM&Aのポイントまとめ
福島県でM&Aを進める際は、地域特性を踏まえた戦略設計が何よりも重要です。ここまで解説したように、浜通り地域では震災復興後の事業承継ニーズが注目され、中通り・会津地域では製造業を中心とした事業統合の動きが注目されています。こうした地域ごとの動向を踏まえて、自社に適したM&Aの方向性を見極めましょう。
各プロセスの判断には、地域事情に精通した専門家のサポートが欠かせません。自社の状況に合ったパートナーと連携し、M&Aを円滑に進めましょう。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。