CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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- 公開日2025.06.03
- 更新日2025.06.03
秋田県のM&A動向は?事例や信頼できる相談先/M&Aを進めるときの注意点を解説
近年、秋田県でも中小企業の後継者不足や地域経済の変化を背景に「M&A(企業の合併・買収)」が注目されています。M&Aとは、企業同士が経営資源を統合したり、事業の譲渡・譲受を行うことで、事業の成長や存続を図ったりする手法の一つです。
秋田県内でも事業承継や新規分野への進出を目的としたM&Aの事例があり、地域に根ざしたマッチングの動きも見られます。本記事では、秋田県におけるM&Aの最新動向や具体的な事例、信頼できる相談先、そして進める際の注意点について解説します。
目次
秋田県のM&Aの最新動向【2025年】
秋田県では、後継者不在や人口減少といった地域特有の課題を背景に、M&Aの必要性が高まっているといわれています。まずは、秋田県における近年のM&Aの主要な動向を2つの観点からご紹介します。
県外企業による買収・事業拡大
秋田県内の企業に対して、県外の大手企業が事業拡大を目的にM&Aを行う動きがあります。とりわけ物流や医療、食品関連などの地場産業を中心に買収が進んでおり、地域に不足しているリソースを外部から補う形で経営基盤の強化が進められています。
例えば、2024年には山形県の「東北第一物流」が秋田県内の運送事業者・大曲小型貨物自動車運送の事業を譲受。2023年には測量機器サービスを提供する「秋測」が、愛知県の「アイサンテクノロジー」によって子会社化されるなど、専門性を持った企業が地元企業の強みを活かす形でM&Aを進めています。
このようなM&Aは、単なる資本の移動にとどまらず、ノウハウや技術の共有、雇用の維持といった点でも地域にメリットをもたらしています。今後も、継続的な流れとなるでしょう。
【出典】「弊社子会社による事業譲受について」(第一貨物株式会社)
【出典】「有限会社秋測の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」(アイサンテクノロジー株式会社)
高い後継者不在率と深刻な「あきらめ廃業」
2024年における秋田県の後継者不在率は72.3%と、全国平均(52.1%)を大きく上回っており、調査開始以来でも3番目の高さを記録しています。若年層の都市部への流出が続くなか、地元で事業を引き継ぐ人材が見つからず、黒字経営であってもやむなく廃業するケースが後を絶ちません。
2024年には、秋田県内で休業・廃業、解散に至った企業は564件に達し、過去2番目の高水準を記録。このうち、72.4%が資産超過の状態であり、43.1%は直前期に黒字を計上していた企業でした。
つまり、本来であれば継続可能だった企業が、「誰にも引き継げない」「先行きに不安がある」といった理由で事業を閉じる選択をしているのです。
このような状況は、経済的損失にとどまらず、地域の雇用や暮らしにまで深刻な影響を及ぼしています。今後の地域再生でもM&Aの積極的な活用が求められるでしょう。
【出典】帝国データバンク「秋田県内企業『後継者不在率』動向調査(2024年)」
【出典】帝国データバンク「秋田県内企業「休廃業・解散」動向調査(2024年)」
秋田県でM&Aの相談どこにする?
秋田県でM&Aを進める際には、どこに相談するかが大きなポイントです。東京や大阪と異なり、地元のネットワークや支援体制を活かすことが、成功への近道となります。ここでは、秋田県でM&A・事業承継の相談先として考えられる3つの方法を紹介します。
M&A仲介会社に相談する
秋田県では、M&A仲介会社を通じての相談が一般的になりつつあります。特に、県内に支店を持つ大手仲介会社や地域密着型の仲介会社などが、企業規模や業種に合わせた最適な相手を紹介してくれるケースも少なくありません。
秋田県では「地域に根ざした継続的な経営」や「従業員の雇用維持」を重視する傾向があります。県内事情に精通した仲介会社であれば、上記のようなポイントを押さえてマッチングを行います。初めてのM&Aでも契約手続きや価格交渉をサポートしてくれるため、安心して進められるのが魅力です。
金融機関や公的機関を利用する
秋田県では、秋田県信用保証協会や秋田商工会議所、地元の信用金庫・地方銀行などが、M&Aや事業承継の支援を積極的に行っています。後継者不在の課題に直面する中小企業に向けた専門相談窓口が整備されつつあり、経営者の不安に寄り添った丁寧な支援が期待できます。
東京のような都市部に比べると、秋田県では人脈や地元事情を重視したマッチングが行われるケースが少なくありません。また、外部の企業と連携するよりも、地域内の企業同士のM&Aが進められる傾向にあります。金融機関は企業の財務情報にも詳しく、より実現可能性の高いアドバイスを得られる点も強みです。
M&Aマッチングサイトで探す
近年では、オンラインで売却・買収の相手を探せるM&Aマッチングサイトの利用も広がっています。秋田県にいながら全国の買い手企業にアプローチできるため、県外の企業による買収ニーズに対応しやすいという利点があります。
秋田県のような地方では、買収後の地域活性化や雇用継続といった長期的視点でのマッチングが求められます。その点で、マッチングサイトのなかには、東北地域の企業と連携実績のあるものや、地元金融機関と提携して信頼性を確保しているプラットフォームも存在します。
ただし、サイトの利用に際しては、契約書類の作成や価格交渉を自社で行う必要があるケースも多いため、初めてのM&Aであれば注意が必要です。
秋田県で信頼できるM&Aの相談先一覧
秋田県でM&Aや事業承継の相談を検討する際には、地域に根ざした公的機関や支援団体に頼るのが安心です。ここでは、信頼できる相談先をピックアップして紹介します。
秋田県事業承継ネットワーク
秋田県が中心となって運営する「秋田県事業承継ネットワーク」は、中小企業庁の事業として展開されている支援体制です。
支援機関は全46機関で、秋田商工会議所や地元金融機関などと連携しながら、地域企業の事業承継に関する相談対応を無料で行っています。地域事情に精通した支援担当者が対応してくれるため、秋田県内での事業承継をスムーズに進められます。
【参考】秋田県事業承継ネットワーク
秋田県事業承継・引継ぎ支援センター
秋田県事業承継・引継ぎ支援センターは、後継者不在に悩む企業や事業譲渡を検討する中小企業のための公的支援窓口です。
相談は無料で、後継者候補の紹介やM&A仲介会社への連携も行われています。秋田県内の商工会議所や自治体窓口に拠点があり、地域密着のサポートを行っています。
CINC Capital
CINC Capital(シンクキャピタル)は、M&Aアドバイザリーに特化した企業で、地域密着型の支援にも注力しています。初めてM&Aを検討する中小企業でも安心して相談できる体制が整っており、スピーディーかつ誠実な対応が強みです。
秋田県内のM&Aも行っており、中小企業の成長や事業継続を支えるパートナーとしても信頼されています。
【参考】CINC Capital
秋田県のM&A事例
最後に、秋田県のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。
チェンジHDによる東光コンピュータ・サービスのM&A
株式会社チェンジホールディングスは、秋田県大館市のIT企業、東光コンピュータ・サービス株式会社を完全子会社化しました。
本件はSBI地域事業承継投資と連携し、後継者不足が課題となっている地方IT企業の事業承継を目的としたM&Aの一環です。
東光コンピュータは森林組合向けシステム「樹海」や、秋田県内の学校向け「職人シリーズ」など地域に根差した実績を持ちます。チェンジHDは、既に同社の14.5%の株式を取得しており、今回の完全子会社化により、全国展開やカーボンクレジット領域での新規事業推進が期待されます。
地域密着のITソリューションと全国規模のSaaS開発力を融合させることで、持続可能な地方創生への貢献が見込まれます。中堅SIerのM&Aが、地方と都市のデジタル格差解消に寄与する動きとして注目されます。
【出典】株式会社チェンジホールディングス「東光コンピュータ・サービス株式会社の完全子会社化に関するお知らせ」
アイサンテクノロジーによる秋測のM&A
測量機器の総合販売やリユースサービス「GEOMARKET」を展開する企業が、有限会社秋測の全株式を取得し、子会社化しました。
秋測は1996年創業の測量機器修理専門企業で、長年にわたり各メーカーの認定店として業界で信頼を築いてきました。
両社は既にGEOMARKETを通じた連携実績があり、今回のM&Aは技術力・人材・販路の融合によるサービス品質の向上や、コスト削減によるシナジー創出を目的としています。
本件により、同社は測量機器分野における一層の競争力強化を図るとともに、グループ全体の企業価値向上を目指す考えです。地方の優良企業との連携は、インフラ支援事業の基盤強化にも寄与するM&Aとして注目されます。
【出典】アイサンテクノロジー株式会社「有限会社秋測の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」
DOWAメタルマインによる秋田製錬のM&A
2024年3月、DOWAホールディングス傘下のDOWAメタルマイン株式会社は、住友金属鉱山株式会社から秋田製錬株式会社の全株式を取得し、同社を完全子会社化しました。
秋田製錬は、国内最大規模となる年間22万トンの亜鉛製錬能力を持ち、DOWAグループの製錬事業における中核拠点として重要な役割を担ってきました。
このM&Aにより、DOWAグループはグループ内での連携を一層強化し、亜鉛の安定供給体制と国際競争力の向上を図ります。
亜鉛は自動車やインフラ、建材など幅広い用途があり、今後も需要拡大が見込まれる中で、本件は資源循環型社会の実現にも資する戦略的な動きといえます。
【出典】DOWA ホールディングス株式会社「秋田製錬(株)の完全子会社化について」
秋田県でM&Aを進めるときの注意点
秋田県でM&Aを進める売り手の方は、地域特有の事情を十分に理解し、慎重に進めることが求められます。ここでは、秋田県でM&Aを進める際に注意すべきポイントを解説します。
地域における買い手の数や事業承継ニーズを見極める
秋田県では、人口減少や後継者不足といった背景から、M&Aを通じた事業承継が注目されています。一方で、買い手の母数が都市部に比べて少ない傾向にあるため、条件の合う相手を見つけるのに時間がかかることもあります。
地域経済の実情を踏まえ、自社の強みがどのように買い手に評価されるのかを見極めることが大切です。
交渉相手の意向を尊重しつつ柔軟に対応する
秋田県では、地元密着型の企業が多く、買い手も「従業員の雇用継続」や「地域貢献」といった非財務的な要素を重視する傾向があります。
売却条件を一方的に押しつけるのではなく、相手の意向をくみ取り、譲れる部分と譲れない部分を明確にしたうえで交渉を進める姿勢が求められます。
スムーズな引き継ぎのための準備を怠らない
M&A後のスムーズな引き継ぎは、従業員や取引先との関係維持にも影響します。売却前から社内体制の整備や業務マニュアルの作成、財務状況の整理などを行い、買い手が安心して引き継げる環境を整えることが重要です。
秋田県では特に、地域に根付いた業務や取引先との関係性を明文化しておくと、買い手にとっての信頼材料になります。
適切な専門家に相談する
M&Aは法務・税務・財務など多岐にわたる専門知識が必要とされる取引です。秋田県でM&Aを進める場合も、地域事情に詳しいM&A仲介会社や会計士、弁護士といった専門家に相談することで、円滑な取引が実現しやすくなります。
特に、事業承継を目的とする場合は、長期的な視点でサポートしてくれる専門家を選ぶと安心です。無料相談を受け付けている専門家も多いため、まずは気軽に情報収集から始めてみましょう。
M&Aを検討する際に知っておきたい基礎知識
M&Aを検討し始めた段階では、基本的な知識やよくある疑問をあらかじめ把握しておくことが大切です。ここでは、初めてM&Aを考える経営者の方に向けて、よくある質問と回答をご紹介します。
M&Aと事業譲渡の違いはなんですか?
M&Aは会社そのものを譲渡・統合する手法全般を指し、株式譲渡や合併などが含まれます。事業譲渡はM&Aの一種であり、会社の一部門や特定の事業だけを売買する形式です。どのスキームを選ぶかは、目的や規模、リスクの取り方によって異なります。
M&Aの手法について、詳しくは以下の関連記事で解説しています。こちらも併せてお読みください。
【関連記事】M&Aとは?意味や目的、手法ごとのメリットデメリットをわかりやすく解説
M&Aのメリットとデメリットはなんですか?
M&Aのメリットとしては、後継者問題の解消や早期の資金化、取引先や従業員の引き継ぎなどが挙げられます。一方で、情報漏洩リスクがあるほか、思うような条件で売却できない可能性も考えられます。
M&Aのメリットとデメリットについて、詳しくは以下の関連記事で解説しています。こちらも併せてお読みください。
【関連記事】M&Aのメリットとデメリットは?買い手と売り手の立場別にわかりやすく解説
M&Aの相場はどのくらいですか?
一般的な算出方法としては、時価純資産に営業権(のれん)を加算する方法、マルチプル法(EBITDAなどの指標に対する倍率で評価)などがあります。なお、DCF法(将来キャッシュフローの現在価値)は主に上場企業同士やスタートアップのM&Aで用いられる手法です。
M&Aへ向けて自社の企業価値を知りたい方は、以下のページから「企業価値算定シミュレーション」をご利用ください。
【参考】企業価値算定シミュレーション
M&Aでおすすめの相談先はどこですか?
M&Aを進める際は、実績が豊富で信頼できる専門家への相談が不可欠です。具体的には、経験のあるM&A仲介会社、税理士法人、金融機関などが挙げられます。交渉から契約、引き継ぎまで一貫してサポートできる体制が整っているかを確認しましょう。
CINC Capitalは、豊富な実績と確かな専門知識を持つM&A仲介会社です。企業の売却・譲渡を目指す経営者の力強いパートナーとなり、成功をサポートします。
M&Aの相談先について、詳しくは以下の関連記事で解説しています。こちらも併せてお読みください。
【関連記事】M&Aはどこに相談する?相談先の選び方やメリットデメリットを解説
まとめ|秋田県のM&Aのポイント
秋田県では、少子高齢化や後継者不足を背景に、M&Aが地域経済の活性化や事業継続の手段として注目されています。
特に地元企業同士の譲渡や、県外企業による買収を通じて、地域の技術や雇用を守る動きが広がっています。M&Aを成功させるためには、基本的な知識を押さえたうえで、自社の状況や目的に合った進め方を検討することが重要です。また、信頼できる専門家や仲介会社への早期相談が、スムーズな譲渡のカギとなります。
今後の事業の選択肢としてM&Aをお考えの方は、まずは企業価値を知ることから始め、必要に応じて実績のある仲介会社へ相談してみましょう。しっかりと準備を進めることで、納得のいくM&Aを実現することが可能です。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。