CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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再生 / 企業再生
- 公開日2025.04.30
- 更新日2025.04.30
企業再生コンサルとは?仕事内容や資格、選び方、企業再生に強い大手コンサル5社を解説
企業再生コンサルタントは、経営不振に陥った企業を財務面や事業面から立て直すプロフェッショナルです。多種多様な専門知識を持ち、再生計画の策定から実施までを支援する重要な役割を担います。
本記事では、企業再生コンサルの基本的な概要や取得すると役立つ資格、具体的な仕事内容、コンサルタントを選ぶ際のポイント、さらに企業再生に強い大手コンサル会社を5社紹介します。企業再生に関心のある方はぜひ参考にしてください。
目次
企業再生コンサルとは?
企業再生コンサルとは、業績悪化や資金繰りが厳しい企業の経営改善や再生を支援するコンサルタントです。多くの企業再生コンサルタントは財務や事業開発、リストラクチャリングなど幅広い専門分野の知見を持ち、経営戦略の再構築を行います。企業再生コンサルと似た仕事に「経営コンサル」や「戦略コンサル」がありますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
経営コンサルとの違い
一般的な経営コンサルでは、企業が抱える多種多様な経営課題を幅広く取り扱います。例えば新規事業の立案や組織改革、人材マネジメントなど、必ずしも危機的状況でなくとも対応するのが特徴です。一方、企業再生コンサルでは倒産寸前や深刻な資金不足に陥った企業を対象にするケースが多く、より踏み込んだサポートを行います。
企業再生コンサルは深刻な経営難から脱出する方法を模索し、財務分析や金融機関との交渉などを重視します。特に資金繰りの改善や不採算事業の見直しなど、リスクの高い局面で迅速かつ的確に対処する能力が求められます。こうした点が、幅広い経営課題に対応する経営コンサルとの大きな違いと言えるでしょう。
戦略コンサルとの違い
戦略コンサルは企業の長期ビジョンを見据えた経営戦略の立案と実行支援が得意であり、新規市場への参入やM&Aなどの成長戦略に力を入れます。経営資源をどこに集中投下するかを考え、企業の将来的な競争力を高めることを目的とするのが基本方針です。
一方で企業再生コンサルは、現時点での危機を乗り越えるための具体策を中心に考え、財務状態の改善やリストラクチャリングなどの実行支援まで踏み込みます。金融機関や投資家との話し合いをリードし、資本再構築や余剰資産の整理などを含め企業を再び健全な状態に戻すのが使命です。こうした包括的な取り組みが、戦略コンサルとの大きな違いになります。
企業再生コンサルに役立つ資格
企業再生コンサルタントとして活躍するためには、財務知識や経営に関する専門資格が役立ちます。
企業再生の現場では、財務分析から法務や税務といった幅広い問題に対処することが求められます。資格を取得することで、特定の領域における専門性を示せるだけでなく、クライアントからの信頼度を高めることができるでしょう。ここでは、企業再生コンサルの仕事に役立つ資格について解説します。
事業再生士
事業再生士は企業再生のプロセス全般を深く理解している専門家として認定される資格です。財務、事業、運営などの多角的な視点から再生計画を立案し、実行に移す能力を示します。再生局面の企業に対して包括的なアプローチができるため、業界内での評価が高いのが特徴です。
金融機関との連携や再建スキームの設計など、具体的な支援業務にも積極的に関わることが多く、社内外のステークホルダーとの調整をリードする存在として重宝されます。
事業再生士補
事業再生士を目指す前段階としての資格が事業再生士補です。再生プロセスの基礎知識や基本的な手続き、関連法規などを学べるため、入門資格として最適と言われています。
企業再生の現場は複雑かつ多面的なため、初期段階から体系的な知識を身につけることは大変重要です。将来的に専門家としてキャリアアップを図る際にも役立ちます。
事業再生アドバイザー
事業再生アドバイザーは、再生案件における金融機関との交渉や計画策定など、専門性の高い業務を担う際に強みを発揮する資格です。特に借入金のリスケジュールや債権者との調整など、財務関連の折衝が多い再生業務で価値を発揮します。
金融庁や各種団体が定める基準を踏まえて再生計画を作成するケースも多く、規制をしっかりと理解した上でのコンサルティングが可能となります。
中小企業診断士
中小企業診断士は経営戦略からマーケティング、人事、財務まで幅広く学ぶことができる総合資格です。中小企業向けの支援実績を積む上では、この資格は非常に有効とされています。
企業再生においては、経営・組織改革だけでなく、売上拡大やコスト削減施策といった実務レベルの提案も求められます。中小企業診断士の幅広い知識が、課題把握から改善策の実行まで一貫して役立つことが多いでしょう。
士業関連資格(公認会計士、税理士、弁護士)
公認会計士や税理士、弁護士などの士業資格も企業再生に欠かせない存在です。財務諸表の監査や税金の申告、法的手続きへの対応など、専門性の高い領域をカバーできるのが強みと言えます。
特に債務整理や破産手続き、M&Aなどを含むケースでは法律面・税務面での適切なアドバイスが不可欠です。複数の士業資格者と連携しながら進めることで、企業再生がより円滑に進むでしょう。
企業再生コンサルタントの仕事内容
企業再生コンサルタントは、経営状況の分析から従業員の意識改革まで、多岐にわたる業務を担います。ここでは、企業再生コンサルタントが行う主要な仕事について紹介します。
経営課題の分析と現状把握を行う
まずは財務諸表やキャッシュフロー計画、取引先との契約状況など、企業を取り巻くデータを徹底的に分析します。市場や業界の動向も精査し、競合他社との比較を通じて客観的に企業の強みと弱みを洗い出すことがポイントです。こうした準備段階をしっかりと行うことで、的確な優先順位と課題設定が可能になります。
この分析を土台に、短期的な資金繰りの確保から中長期的な経営ビジョンの再構築まで、一連の再生計画の方向性が定まります。現在の経営状況を正しく把握することが、成功のための第一歩です。
再生計画の立案と実行支援を行う
分析結果をもとに、実現可能な再生計画を練り上げるのが次のステップです。収益性の高い事業を強化し、不採算事業は縮小や整理を検討するなど、具体的な施策がプランに組み込まれます。再生計画では数値目標やスケジュールも明確に設定し、経営陣や従業員が共通認識を持てるようにします。
しかし計画を策定するだけでは不十分であり、コンサルタントは実行段階でも経営陣と協力し、施策の進捗管理や修正を行います。定期的なモニタリングを通じて実行状況を分析し、必要に応じて計画を修正しながら目標達成を目指すのが企業再生コンサルの大きな役割です。
金融機関との交渉や資金繰り改善をサポートする
資金繰りの不安が絶えない企業にとって、金融機関との交渉は非常に重要です。借入金のリスケジュールや追加融資を検討する場合、従来の信用格付が落ちているケースも少なくありませんが、そこで活きるのがコンサルタントの経験と交渉力です。具体的な改善策や事業計画を提示し、金融機関からの理解と協力を得ることを目指します。
また、資本再構築によって財務体質を改善し、将来的な成長資金を確保するスキームを検討する場合もあります。金融面を安定化させることは再生の土台作りにも直結するため、コンサルタントは企業と金融機関の橋渡し役を丁寧に務める必要があります。
事業の選別やリストラクチャリングを進める
不採算事業からの撤退や組織の再編成、余剰資産の売却など、リストラクチャリングを行う際には大きな決断が伴います。従業員の異動や削減が必要になる場合もあり、社内外の反発やリスクをコントロールするための綿密な計画と説明が求められるでしょう。
企業再生コンサルタントは、長期的な視点でのメリット・デメリットを経営者と一緒に検討し、実行までをサポートします。組織をスリム化しつつ、収益構造を改善することで、企業が再び競争力を取り戻すための基盤を築き上げるのです。
経営者・社員への意識改革を促す
企業再生を成功させるためには、経営陣と社員が同じ方向を向き、積極的に行動することが不可欠です。コンサルタントは、経営者に対してリーダーシップ強化の重要性を伝えつつ、社員には現場レベルでの改革意識を高める方法を提案します。場合によっては組織文化の改革セミナーやワークショップを実施することもあります。
意識改革が進まないと、再生計画が机上の空論に終わってしまうリスクが高まります。社員一人ひとりが再建プロセスに主体的に参加する雰囲気を作ることで、再生計画の実行力と継続性を大幅に向上させることができるでしょう。
企業再生コンサルタントを選ぶときのポイント
企業再生コンサルタントを選ぶ際には、実績や専門性、コミュニケーションのしやすさなど多角的な視点が求められます。企業再生は企業にとってとても切迫した局面であり、再生に失敗すれば企業の存続そのものが危ぶまれる可能性があります。そのため、パートナーとなるコンサルタントを慎重に選ぶことは極めて重要です。ここでは、依頼する企業再生コンサルタントを選ぶ際に考慮したいポイントについて解説します。
実績や専門分野を確認する
コンサルタントによって得意とする業界や企業規模は異なります。自社の規模や業種に適した過去の実績があるかどうかを確認し、その中で短期・中長期の成果がどの程度上がっているかを見ることが重要です。たとえば製造業に強いコンサルタントとIT企業に強いコンサルタントでは、業務プロセスやコスト構造へのアプローチが異なる可能性があります。
事例を通じて、どのような方法で再生を実現したか、具体的な支援策や所要期間はどれくらいかを把握することで、自社の再生計画に活かせるノウハウを持っているかを判断できます。結果だけではなく、そのプロセスや手法も見極めることが大切です。
中立的な立場で助言してくれるかを見極める
企業再生では、利害関係者も多く、複雑な調整が必要になることがあります。コンサルタントが特定の金融機関や投資家の利益を優先させてしまうと、企業の再建にとって最適な判断が行われにくくなるかもしれません。中立的な立場を保ち、あくまで企業の再生と成長を最優先に考えるコンサルタントが望ましいでしょう。
そのためにも、事前の面談や紹介事例の確認の際に、どのような考え方や方針で再生支援を行っているのかを質問してみるのがおすすめです。中立性を重視しているコンサルタントであれば、説明も分かりやすく信頼感を得やすいはずです。
コミュニケーションの取りやすさを重視する
企業再生の過程では、経営陣とコンサルタントが情報を頻繁に共有する必要があります。たとえばプロジェクトの進捗状況や金融機関との交渉結果、新たに生じた課題などをリアルタイムで把握し合わなければ、意思決定が遅れてしまうでしょう。
そのため、コンサルタントとの連絡手段や対応スピード、レスポンスの質を事前にチェックしておくと安心です。コミュニケーションが円滑だと、困難な局面でも迅速に軌道修正が図れる可能性が高まります。
自社の業種や規模に理解があるかを確認する
企業によっては独自のビジネスモデルや生産工程が存在し、再生の方法論もそれに合わせてカスタマイズする必要があります。コンサルタントが自社の業種や規模を理解していないと、的外れな提案や非現実的なスケジュールを組んでしまうリスクがあるでしょう。
過去に似たような業界や規模の案件に携わった経験があれば、トラブルシュートのポイントを知っていることが多いです。自社の事例に近い成功ケースや失敗ケースを話してもらうことで、十分な理解と実行力を持っているかを見極めることができます。
費用や契約内容が明確かどうかをチェックする
企業再生コンサルの報酬体系は、時間制、成果報酬制、固定料金制などさまざまです。また、支援範囲も財務改善だけなのか、マーケティング戦略や組織改革まで含むのかによって変動します。契約段階でこれらの条件を明確にしておくことで、後々のトラブルを回避できるでしょう。
不明確なまま契約してしまうと、追加費用の発生や作業範囲をめぐる認識の食い違いが生じる可能性があります。契約内容をしっかり確認し、必要に応じて書面に残しておくことが、スムーズな再生支援のためには欠かせません。
企業再生に強いコンサル会社5選
企業再生の実績が豊富で、専門的なノウハウを持つ大手コンサル会社を5社ピックアップします。自社の状況や再生の目的に合致するコンサル会社を選ぶ際の参考にしてください。
山田コンサルティンググループ株式会社
山田コンサルティンググループ株式会社は、企業再生の実行支援に強みを持つ独立系大手コンサルファームです。財務と事業の両面から根本改善を図り、M&Aや金融機関調整なども含めた一貫支援が可能。豊富な再生実績と専門家チームにより、中小企業特有の課題にも柔軟に対応し、再成長まで伴走する体制が高く評価されています。
みそうパートナーズ株式会社
みそうパートナーズ株式会社は、会計・財務に強みを持つ専門家チームが企業再生を一貫支援するコンサルティングファームです。資金繰り改善や事業計画の策定から実行支援まで、経営者に寄り添いながら伴走します。法務・投資など外部専門家とも連携し、状況に応じた柔軟なスキーム構築が可能です。再生後も成長支援を継続し、全国の中堅・中小企業から高い信頼を得ています。
株式会社AGSコンサルティング
AGSコンサルティングは、会計・財務の専門家を中心に、企業の実情に即した再生計画の策定から実行支援までを一貫して提供しています。経営者とともに汗をかきながら施策を実行する“実務サポーター”として伴走する支援スタイルが特徴です。税務・法務・ITを含む専門ネットワークと金融機関との信頼関係を活かし、再建を確かなものに導きます。
ロングブラックパートナーズ株式会社
ロングブラックパートナーズ株式会社は、中堅・中小企業の事業再生において国内有数の実績と専門性を持つパートナーです。経験豊富なプロフェッショナルが現場に常駐し、DDS(デット・デット・スワップ)やDES(デット・エクイティ・スワップ)など複雑な金融調整からスポンサー企業の探索までワンストップで支援します。豊富な案件経験に基づく実行力と全国対応力を備えており、貴社の再建に向けた力強い伴走者となるでしょう。
フロンティア・マネジメント株式会社
フロンティア・マネジメント株式会社は、事業再生において計画策定から実行まで一貫して支援するハンズオン型コンサルティングを強みとします。再生人材を経営陣として派遣し、現場に入り込んで改革を主導します。多様な専門家チームと豊富な実績、金融機関・投資家との強固なネットワークを背景に、財務再建、組織改革、M&Aまで対応可能です。中堅・中小企業から上場企業まで幅広く支援し、実行力と総合力で高く評価されています。
まとめ|企業再生コンサルタントに早期に相談することで、企業の再生と成長を
企業再生コンサルは、経営改善を通じて企業の存続と成長を支援する重要な存在です。
苦境に陥った企業を再生させるためには、財務改善や事業構造の見直しだけでなく、人材や組織文化、リーダーシップに至るまで、多角的に改革を進める必要があります。その実行には外部の専門知識だけでなく、内部の経営陣と従業員が一丸となって取り組む姿勢が求められます。こうした背景から、頼れる企業再生コンサルタントの存在意義はますます高まっています。
早期にコンサルタントに相談することで、資金繰り悪化や経営難を未然に防ぎ、企業価値を大きく損なうリスクを軽減できるでしょう。企業再生のノウハウを持った専門家と協力し、戦略的なアクションを積み重ねることで、深刻な危機を乗り越えるだけでなく、将来的な成長の可能性を切り開くことができます。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。