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技術提携とは?意味やメリットデメリット、契約書の内容について解説

M&A / スキーム

  • 公開日2025.04.11
  • 更新日2025.04.14

技術提携とは?意味やメリットデメリット、契約書の内容について解説

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新技術の開発を加速させる手段として、多くの企業が技術提携を活用していますが、契約の注意点を理解せずに進めると、情報漏洩や権利問題などのリスクに直面する可能性があります。

本記事では、技術提携の基本から、メリット・デメリット、契約書に記載すべき条項、成功させるためのポイントまで詳しく解説します。

技術提携とは?

技術提携とは、企業同士が技術を共有し、共同で研究開発や生産を行う協力関係を指します。新技術の開発や事業の拡大を効率的に進める手段として、多くの企業が採用しています。技術提携にはさまざまな手法があります。

企業は目的に応じて、適切な提携形態を選択することが重要です。また、業務提携や資本提携と混同されることがありますが、それぞれの違いを理解することが大切です。

ここでは、技術提携の主な手法と業務提携や資本提携との違いについて詳しく解説します。

技術提携の主な手法

技術提携には、「共同研究・開発」と「ライセンス契約」の2つの手法があります。共同研究・開発とは、複数の企業が協力して新技術や製品を開発する方法です。研究開発のコストやリスクを分担できるため、双方の企業にとって大きなメリットがあります。

一方で、ライセンス契約は、一方の企業が持つ技術を他社に提供し、その対価としてライセンス料を受け取る方法です。技術の市場展開を迅速に進められるため、自社の技術を広めたい企業にとって有効な手段となります。どちらの手法を選ぶかは、企業の目的や技術戦略によって異なります。

業務提携や資本提携との違い

技術提携は、業務提携の一種に分類されます。業務提携は、企業同士が特定の事業分野で協力することを指し、技術提携のほかにも生産提携や販売提携などが含まれます。技術提携は業務提携の中でも技術に特化した協力形態であり、技術共有や共同開発が主な目的となります。

一方で、資本提携は企業間での出資や株式の持ち合いを伴うため、経営面での関係が強くなります。技術提携は、資本関係を持たずに柔軟な協力が可能であり、企業の独立性を維持しながら技術を活用できる点が特徴です。

技術提携のメリット

技術提携を行うことで、企業は新たな技術の開発や事業拡大をより効率的に進めることが可能になります。特に、自社だけでは実現が難しい技術革新をスムーズに進める手段として有効です。技術提携にはさまざまなメリットがありますが、ここでは「新技術開発の時間短縮」「手続きの簡易化」「リスクの低減」という3つの主要な利点について解説します。

新技術開発の時間を短縮できる

技術提携を行うことで、新技術の開発にかかる時間を短縮できます。企業が単独で研究開発を進めると、試行錯誤に時間がかかり、成果が出るまで長期間を要する可能性があります。

しかし、提携先の技術やノウハウを活用することで、開発の初期段階を短縮し、より効率的にプロジェクトを進められます。また、複数の企業が協力することで技術の相互補完が可能になり、開発スピードがさらに向上します。特に競争の激しい市場では、いち早く製品を投入することが事業成功の鍵となるため、技術提携は有効な手段となります。

手続きを簡易化できる

技術提携は、企業買収や合併といったM&Aに比べ、手続きが簡易的です。M&Aを実施する場合、企業の財務状況の調査や法的手続きを経る必要があり、完了までに時間とコストがかかります。一方で、技術提携は基本的に契約を交わすだけで協力関係を築けるため、スムーズに事業を開始できます。

また、資本関係を持たないため、組織統合の必要がなく、企業の独立性を保ちながら柔軟な連携が可能です。このように、短期間で技術活用を実現できる点が、技術提携の大きな利点となります。

リスクを低減できる

技術開発には、高額な投資や不確実性が伴いますが、技術提携を活用することでこれらのリスクを分散できます。単独で新技術を開発する場合、開発の成功が保証されないうえに、多額のコストを一企業が負担することになります。

しかし、技術提携を行えば、開発資金の負担を分担できるため、財務的なリスクを軽減できます。また、異なる企業の専門知識を結集させることで、技術的な課題を克服しやすくなるため、開発の失敗リスクも低下します。さらに、市場の変化に対する適応力が高まるため、環境変化に強い事業運営が可能になります。

技術提携のデメリット

技術提携には多くのメリットがある一方で、リスクや課題も存在します。特に注意すべきなのは、情報漏洩のリスクと製品の権利問題です。これらのリスクを適切に管理しないと、提携が逆に自社の競争力を損なう要因になりかねません。ここでは、技術提携における主なデメリットについて詳しく解説します。

情報漏洩のリスクがある

技術提携では、自社の持つ技術やノウハウを提携先と共有するため、情報漏洩のリスクが高まります。提携相手が競合企業である場合、提供した技術が不正に使用される可能性もあります。そのため、機密保持契約(NDA)を締結し、情報の取り扱いルールを明確に定め、違反時の対処法も契約に盛り込むことが重要です。

また、社内でアクセス制限を設けるなど、情報管理体制の強化も必要になります。情報の流出を防ぐためには、契約内容だけでなく、実際の運用においても徹底した対策が求められます。

製品の権利問題が発生する

技術提携により開発された技術や製品の知的財産権が、後々問題になることがあります。提携前に権利の帰属を明確にしておかないと、提携終了後に技術の利用を巡ってトラブルが発生する可能性があります。例えば、共同開発した製品の特許やライセンスがどちらの企業に帰属するのかを事前に定めておかないと、後になって紛争の原因になることがあります。

こうした問題を防ぐためには、契約時に権利関係を詳細に取り決め、将来的な使用範囲についても明確にしておくことが不可欠です。

技術提携契約書に記載する内容・条項

技術提携を円滑に進めるためには、契約書を作成し、提携内容や各社の役割を明確にすることが重要です。契約書には、提携の目的、業務範囲、知的財産権の取り扱いなど、トラブルを防ぐための条項を盛り込む必要があります。特に、競合製品の取り扱い制限や秘密保持契約などのリスク管理項目は、契約の安定性を左右する重要な要素となります。ここでは、技術提携契約書に記載すべき主要な内容について解説します。

目的

技術提携の目的を契約書に明記することで、提携の方向性を明確にできます。目的が曖昧なままだと、提携の意義が不明確になり、双方の期待する成果が異なってしまう可能性があります。例えば、「新技術の共同開発」「特定の技術のライセンス供与」など、提携のゴールを具体的に定めることが重要です。目的を明確に設定することで、提携の枠組みがぶれることなく、双方が合意した方向に進められます。

業務範囲

提携する業務の範囲を明確にすることで、不要なトラブルを防げます。業務範囲が曖昧なままだと、想定外の業務負担が発生したり、一方の企業が不必要な責任を負うリスクが生じる可能性があります。例えば、「特定の研究分野に限定する」「共同開発する技術の分野を明確にする」といった形で、範囲を明示することが大切です。こうすることで、提携の枠組みを明確にし、効率的な業務遂行が可能になります。

設備の利用

技術提携では、どちらかの企業の設備を使用するケースがあります。そのため、設備の利用条件を明確にしておくことが重要です。例えば、「研究施設の利用範囲」「設備の維持管理の責任」「利用時間の制限」などを契約に盛り込むことで、設備利用に関するトラブルを未然に防げます。設備の利用が不明確なままだと、過剰な使用やメンテナンス費用の負担を巡る問題が発生する可能性があります。

知的財産権

技術提携によって生まれた知的財産の帰属を明確にすることは、契約の中でも特に重要です。知的財産権の取り決めが不十分な場合、提携解消後に技術の使用権を巡る争いが生じる可能性があります。例えば、「共同開発した特許は両社で共有する」「各社が独自に開発した技術の権利は開発企業に帰属する」といった取り決めを事前に行うことが望ましいです。こうすることで、知的財産の扱いに関するトラブルを防げます。

競合製品の取り扱い禁止

提携した技術を利用して、提携先が競合製品を開発することを防ぐための条項です。技術提携の目的は、双方の利益を最大化することにありますが、競合製品が市場に出ると、自社の技術が不正に流用されるリスクが生じます。そのため、「提携技術を利用した競合製品の製造・販売を禁止する」「提携終了後も一定期間は同様の製品を開発しない」といった制約を契約に含めることが重要です。

製造物責任

技術提携によって生産された製品の品質や安全性に関する責任の所在を明確にする条項です。製品に欠陥が発生した場合、どの企業が責任を負うのかを事前に定めておかないと、予期せぬ損害を被る可能性があります。例えば、「開発企業が品質管理を行う」「製造企業がクレーム対応を担当する」といった形で、責任分担を契約に明記することで、紛争の発生を防ぐことが可能になります。

秘密保持契約

技術提携では機密情報を共有するため、秘密保持契約(NDA)の締結が不可欠です。情報漏洩が発生すると、競争優位性を失うリスクがあります。そのため、「提携期間中および終了後も一定期間、技術情報を第三者に開示しない」「違反した場合の罰則を設ける」といった取り決めを契約に含めることが必要です。情報管理体制を整え、実際の運用でも徹底することが求められます。

規定外事項

契約書に記載されていない事項が発生した場合の対応を定める条項です。想定外の事態に備え、「規定外の事案が発生した場合は双方協議のうえ解決する」「解決が困難な場合は仲裁機関を利用する」などの取り決めを設けておくことで、円滑な問題解決が可能になります。契約の抜け漏れによるトラブルを未然に防ぐためにも、この条項を明記することが重要です。

専属的合意管轄

契約に関する紛争が発生した際に、どの裁判所で解決を図るかを定める条項です。企業が異なる地域や国に存在する場合、裁判の管轄を明確にしておかないと、法的手続きが複雑化する可能性があります。例えば、「第一審は東京地方裁判所とする」といった形で、専属的合意管轄を定めておくことで、訴訟手続きを簡素化できます。

有効期限

契約の有効期限を明記することで、提携の期間や更新のルールを明確にできます。有効期限が設定されていないと、提携の解消が難しくなり、不都合な状況が発生する可能性があります。そのため、「契約期間は3年間とし、期限満了時に自動更新する」「更新を行う場合は両社の合意が必要」といった形で、契約の継続や終了条件を明記することが望ましいです。

技術提携契約を成功させるためのポイント

技術提携を成功させるためには、事前の準備と適切なリスク管理が不可欠です。目的を明確にし、情報漏洩対策を徹底することで、提携の成果を最大化できます。また、契約内容の精査や交渉をスムーズに進めるためには、専門家の支援を受けることも有効です。ここでは、技術提携契約を成功させるために重要な3つのポイントを解説します。

目的を明確化しておく

技術提携の目的を明確にすることで、契約内容の方向性が定まり、不要なトラブルを防ぐことができます。目的が曖昧なままだと、提携の範囲が広がりすぎて双方の負担が増えるだけでなく、期待する成果が得られない可能性があります。例えば、「新技術の共同開発」「特定技術の供与」「市場拡大のための技術交換」など、提携の意図を具体的に定めることが重要です。目的がはっきりしていれば、契約内容の調整もしやすくなり、提携の成功率が向上します。

情報漏洩防止を徹底する

技術提携では、自社の機密情報を他社と共有するため、情報漏洩のリスクが伴います。秘密保持契約(NDA)の締結は必須であり、機密情報の範囲や取り扱いルールを明確に定めることが重要です。特に、提携終了後の情報管理についても事前に取り決めておかないと、将来的に競合企業へ技術が流出するリスクが生じます。また、情報の取り扱いは社内でも厳格に管理し、アクセス権限の制限やデータの暗号化などの対策を講じることで、情報漏洩のリスクを最小限に抑えることが可能になります。

M&Aアドバイザーへの相談・支援を活用する

技術提携契約を円滑に進めるためには、M&Aアドバイザーや法務専門家の支援を受けることが有効です。契約内容の精査や提携相手の信用調査、交渉の進め方など、専門家のアドバイスを活用することで、リスクを回避しながら適切な契約を結ぶことができます。また、M&Aアドバイザーは、技術提携が将来的にM&Aへと発展する可能性がある場合にも、有益な戦略を提案できます。専門家の知見を活かすことで、より確実な技術提携を実現できます。

まとめ|技術開発時間の短縮に期待!事業拡大の手段に技術提携がおすすめ

技術提携は、新技術の開発スピードを向上させ、コストやリスクを分散することで競争力を強化できる手段です。自社にない技術を活用することで、短期間での市場参入や事業拡大を実現できます。一方で、情報漏洩や知的財産の取り扱いに注意が必要なため、契約内容を慎重に検討し、適切な管理体制を構築することが重要です。

目的を明確にし、秘密保持契約や競合制限などの条項を整備することで、トラブルを防ぎながら効果的な技術提携を進められます。戦略的な技術提携を活用し、持続的な成長につなげましょう。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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