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「分社型分割」と「分割型分割」の違いとは?適格要件や税務仕訳、会社法での扱いを解説

M&A / スキーム

  • 公開日2025.04.22
  • 更新日2025.04.23

「分社型分割」と「分割型分割」の違いとは?適格要件や税務仕訳、会社法での扱いを解説

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会社分割を検討しているが、「分社型分割」と「分割型分割」の違いがわからないと悩んでいませんか?どちらを選択するかによって、会社法上の手続きや税務処理が大きく変わるため、注意が必要です。

本記事では、「分社型分割」と「分割型分割」の違いを会社法の規定・適格要件・税務仕訳の観点から解説します。会社の再編やM&Aを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

「分社型分割」と「分割型分割」の違いは?

会社分割は、企業が特定の事業を他の会社へ移転する際に用いる手法です。その中でも「分社型分割」と「分割型分割」は、事業移転の対価を受け取る主体によって区別されます。以下でそれぞれの特徴について解説します。

分社型分割とは

分社型分割とは、分割会社が特定の事業を承継会社に移転し、その対価として承継会社の株式を受け取る会社分割の手法です。分割会社が承継会社の親会社となるため、グループ内の事業再編やM&Aによる事業譲渡の際に活用されることが多くあります。

この手法を用いることで、分割会社は事業を切り離しつつ、新たな子会社として管理を継続できます。そのため、事業の選択と集中を進めながら、経営権を保持できる点が大きなメリットです。また、税務上の特徴として、みなし配当が発生しないため、株主に課税されるリスクが少ないことも利点の一つです。

一方で、分社型分割を実施すると、承継会社の経営状況が分割会社の財務や戦略に影響を与える可能性があります。そのため、経営リスクの分散という観点では一定の制約が生じることに注意が必要です。また、適格要件を満たさない場合、事業移転に伴う譲渡損益が課税対象となるため、慎重な事前準備が求められます。

分割型分割とは

分割型分割とは、分割会社が特定の事業を承継会社に移転し、その対価として承継会社の株式を分割会社の株主に交付する会社分割の手法です。分割会社と承継会社はそれぞれ独立した会社として存在することになります。

この手法を活用することで、企業は特定の事業をスピンオフし、株主に新会社の株式を配分できます。そのため、グループ外で独立した経営を行いたい場合や、事業ごとに異なる戦略を採用したい場合に適した方法といえます。また、M&Aの場面では、株主に対して承継会社の株式を分配することで、事業の公平な再編が可能となります。

ただし、分割型分割には税務上の課題があります。特に、適格要件を満たさない場合には、みなし配当とみなされ、株主に対する課税が発生する可能性があるため、慎重な設計が必要です。さらに、分割後は分割会社と承継会社が資本関係を持たないため、経営権の維持が難しくなる点にも注意が必要です。

会社法における「分社型分割」と「分割型分割」の扱い

会社法では、会社分割は『吸収分割』または『新設分割』として規定されており、分社型分割はこの枠組みの中で扱われます。これにより、企業は事業を円滑に分割し、新会社や既存の承継会社へ移行できます。手続きとして、取締役会の決議や株主総会の承認、債権者保護手続きが必要です。

一方、分割型分割(人的分割)には直接的な規定がなく、実務上は「吸収分割」や「新設分割」の枠組みで処理されます。通常、分社型分割を行った後、分割会社の株主に承継会社の株式を配当する流れとなります。適格要件を満たさない場合、みなし配当課税が発生する可能性があるため、慎重な判断が必要です。

「分社型分割」と「分割型分割」の適格要件

会社分割には、適格分割非適格分割の2種類があり、税務上の取り扱いが異なります。

適格分割とは、一定の条件を満たすことで、資産・負債の移転を簿価で行い、譲渡損益を発生させない分割を指します。一方、非適格分割の場合、移転資産は時価で評価され、分割会社に譲渡益課税が発生し、場合によっては株主に対しても課税が行われる可能性があります。

分社型分割と分割型分割では、適格要件を満たすための条件が異なるため、それぞれの基準を確認しておくことが重要です。

比較表

項目

分社型分割(物的分割)

分割型分割(人的分割)

支配関係

分割会社が承継会社を一定割合以上支配すること

分割会社の株主が承継会社の株式を一定割合以上保有すること

資産の移転

主要資産・負債の移転が必要

主要資産・負債の移転が必要

株主への影響

分割会社の株主構成は変わらない

株主が承継会社の株式を受け取るため、持株比率が変化する

みなし配当

なし

適格要件を満たさない場合は発生

分社型分割の適格要件

分社型分割が適格分割として認められるためには、分割会社が承継会社を一定割合以上支配していることが重要な要件となります。例えば、分割会社が承継会社の株式を50%以上保有している場合、適格要件を満たしやすくなります。

適格分割と認められると、資産・負債の移転を簿価で行うことが可能になり、譲渡損益が発生しません。これは、企業が税負担を回避しながら事業再編を行う上で大きな利点となります。特に、グループ内での事業整理や持株会社の設立においては、適格要件を満たすことが企業の経営戦略においても有利に働きます。

しかし、適格要件を満たさない場合、移転資産は時価評価され、分割会社に対して法人税が課税されることになります。そのため、事前に要件を確認し、適格分割として認められるための準備を行うことが求められます。

分割型分割の適格要件

分割型分割が適格分割として認められるためには、株主が承継会社の株式を持株比率に応じて受け取ることに加え、資産・負債の移転や事業の継続性などの要件を満たす必要があります。これは、分割型分割では株主構成が変化するため、適格要件として公平な配分が求められるためです。適格分割と認められれば、株主にみなし配当課税が発生しません

しかし、適格分割として認められるための要件は、具体的なケースにより異なるため、専門家への確認が必要です。

株主にとって大きなメリットとなるため、企業側は適格要件を満たす形で分割を計画することが望ましいといえます。特に、スピンオフ型の分割では、適格要件を満たすことで税負担を抑えながら新たな事業の独立を促進できます。

一方で、適格要件を満たさない場合、株主が受け取る承継会社の株式は現物配当とみなされ、みなし配当課税の対象となります。この場合、株主にとって税負担が大きくなるため、事前に適格要件を満たすような分割計画を立てることが不可欠です。

「分社型分割」と「分割型分割」の税務仕訳

会社分割の実施にあたっては、税務処理を正しく理解することが重要です。特に、分社型分割と分割型分割では、税務仕訳や課税の取り扱いが異なります。適格要件を満たすかどうかによっても、税務上の影響が変わるため、事前の確認が必要です。

比較表

項目

分社型分割(物的分割)

分割型分割(人的分割)

仕訳の流れ

分割会社と承継会社の間で資産・負債の移転と株式の受渡しが記帳される

分割会社と承継会社の間で資産・負債の移転後、株主へ株式配当の仕訳が行われる

適格分割時

資産・負債は簿価で移転され、譲渡損益は発生しない

株主へのみなし配当は発生しない

非適格分割時

資産移転の際に分割会社に譲渡益が発生し、法人税が課税される

株主にみなし配当課税が発生する可能性がある

 

分社型分割の税務仕訳

分社型分割の税務処理では、分割会社が承継会社の株式を受け取り、事業の資産・負債を承継会社に移転します。

適格分割と認められた場合、資産・負債は簿価で移転され、譲渡損益が発生しないため法人税の課税対象にはなりません。ただし、他の税務要件も満たす必要があります。

適格要件を満たさない場合、移転する資産は時価評価され、分割会社には譲渡益が発生します。この譲渡益には法人税が課されるため、適格要件を満たすかどうかで税務上の影響が大きく変わります。

また、分社型分割では、株主に直接的な配当が発生しないため、みなし配当は発生しません

このように、分社型分割の税務処理では、資産の簿価移転による課税繰延の可否と、譲渡益の発生の有無がポイントとなります。

分割型分割の税務仕訳

分割型分割の税務処理では、分割会社が承継会社の株式を受け取り、その株式を分割会社の株主に配当する形で処理されます。

適格分割と認められる場合、株主への配当はみなし配当とみなされず、課税対象にはなりません。ただし、税制適用には複数の要件を満たす必要があります。

適格要件を満たさない場合、株主が受け取る承継会社の株式は現物配当とみなされ、みなし配当課税の対象となります。この場合、分割会社の株主は、取得した株式の評価額に応じて所得税や住民税が課税される可能性があるため、慎重な計画が必要です。

分割型分割では、株主構成が変化することに加え、税務処理においても株主への影響が大きいため、適格要件を満たす形で分割を進めることが重要です。税負担を抑えながら事業再編を実施するには、税務専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。

まとめ|経営の目的をふまえて慎重な判断を

分社型分割と分割型分割は、会社の事業再編やM&Aにおいて重要な手法です。最大の違いは対価の受け取り主体にあり、分社型分割では分割会社が承継会社の株式を受け取るのに対し、分割型分割では株主が承継会社の株式を受け取る点が特徴です。

会社法上、分社型分割は明確に規定されている一方で、分割型分割は「吸収分割」や「新設分割」の枠組みで処理されます。適格要件の有無によって、税務処理や課税関係も異なるため、事前の準備が欠かせません。どちらの手法を選択するかは、経営の目的や税務の影響を踏まえて慎重に判断する必要があります。事業の成長戦略や株主構成の変化を考慮しながら、適切な会社分割を進めることが重要です。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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