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バイアウトとは?目的や手法別のメリット・デメリット、ポイント

M&A / スキーム

  • 公開日2025.04.28
  • 更新日2025.04.30

バイアウトとは?目的や手法別のメリット・デメリット、ポイント

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バイアウトという言葉を耳にしたことがある経営者の方も多いのではないでしょうか。バイアウト(Buy Out)とは企業の経営再建や事業継続を検討する手段の一つです。

本記事では、バイアウトの基本的な意味から、手法別のメリット・デメリット、成功のポイントまで詳しく解説します。

バイアウトとは

バイアウトは企業の買収や経営権の取得を指し、企業の成長や再編を目的とした戦略的な手法です。ここでは、バイアウトの基本的な意味や他の手法との違いについて詳しく見ていきます。

バイアウトの概要

バイアウトとは、企業の株式の過半数を取得することで経営権を獲得する買収手法です。買収者は経営陣や従業員の場合(MBO、EBO、MEBO)や外部の投資ファンドや企業の場合(LBO)があります。

バイアウトは、業績が悪化した企業の経営再建や、後継者・人材不足に直面する企業の事業継続の確保、さらには外部株主や投資家の影響を排除し、経営陣が自由に判断できる環境を整えることを目的に実施されます。

経営権を取得後、新たな経営方針や戦略を導入することで、企業の収益性向上が期待されます。

M&Aとの違い

バイアウトとM&Aは、どちらも企業の買収を指しますが、その目的や手法には違いがあります。

M&Aは、企業の合併や買収を通じてシナジー効果を狙う場合が多く、事業拡大や収益向上を目的として、企業の買収が行われます。シナジー効果とは複数の要素や組織が協力して、単独で得られる効果の合計以上の結果を生み出すことです。

一方バイアウトは、特定の企業の経営権を取得し、経営方針を大きく変えることを目的としています。経営権の取得という点では同じですが、例えばMBOは、企業の経営陣が自社の株式を買収し、経営権を取得する方法です。資金は社内資金だけでなく、外部からの調達も含まれます。

イグジットとの違い

バイアウトとイグジットはどちらも企業の株式に関わる取引ですが、その目的が異なります。

イグジットとは、投資家や創業者が投資した資金を回収するために、自らの持分や株式を売却する行為を指します。バイアウトは企業の経営権を取得し、経営方針を変えることを目的とするのに対し、イグジットは投資家が利益確定を目的とする点が大きな違いです。

なお、イグジットの方法の一つとして、バイアウトが用いられるケースもあります。

バイアウトの手法別の特徴とメリット・デメリット

バイアウトには4つの手法があり、それぞれに目的やメリット・デメリットがあります。ここでは、それぞれの手法について詳しく解説します。

MBOのメリットとデメリット

MBOとは「Management Buy Out(マネジメント・バイアウト)」の略語で、企業の経営陣が、自社の株式を買収し、経営権を取得する手法です。上場企業の場合、経営陣が株主から自社の株式を買い戻して、上場廃止や株式非公開化を行うことができます。

MBOの大きなメリットは、経営権が他社へ移らないため、スムーズに事業を継続できるという点です。また、上場企業の場合、株主の意見に左右されることなく経営方針を決定できる点も利点の一つです。経営の自由度が高まることで、意思決定のスピードも向上するでしょう。

一方で、MBOにはいくつかのデメリットもあります。経営陣の入れ替えが行われないため、企業の体制や体質が大きく変わらない可能性があります。また、外部の第三者からの客観的な意見が反映されにくくなる点もリスクの一つです。

さらに、上場企業がMBOを実施すると、多くの場合は上場廃止(非公開化)が行われますが、企業の状況や経営戦略によっては上場を維持するケースもあります。非公開化を選択する場合は、企業の信用力や資金調達に影響を与える可能性があるため、メリットとデメリットを慎重に検討する必要があります。

EBOのメリットとデメリット

EBOとは「(Employee Buyout)(エンプロイー・バイアウト)」の略語で、従業員が企業の株式を取得し、経営権を得る手法です。企業の所有者が引退する際や後継者が不在の場合に、従業員が自らの手で企業を継続させる手段として利用されます。

EBOのメリットは、従業員が企業の経営に積極的に関与することで、仕事への満足度や責任感が高まる可能性があります。しかし、経営の専門知識や経験が不足している場合は、業績が悪化する可能性もあるため注意が必要です。

また、従業員だけでは資金を賄うことが難しい場合、金融機関や投資ファンドからの融資を受ける必要がありますが、融資の審査が厳しい場合が多いです。このため、資金調達が成功しないリスクがあります。

LBOのメリットとデメリット

LBOとは「 Leveraged Buy Out(レバレッジド・バイアウト)」の略語で、企業の買収資金を借入金で賄う手法です。負債を活用して自己資金を抑えながら企業の経営権を取得できることが特徴です。特に、大規模な企業や資産を獲得したい場合に有効な手法で、LBOを行うことにより、買収者は少ない自己資金で企業を買い取れます。

LBOのメリットは、少ない自己資金で企業を買収できる点です。買収者はリスクを抑えつつ、企業の経営権を手に入れることが可能になります。また、買収資金の大部分を借入金で賄うため、借入金に対する利息支払いが発生しますが、利息は税法上「損金」として計上できるため、企業の課税所得を減少させる効果があります。具体的には、利息支払いが法人税の計算において控除されるため、結果として法人税の負担が軽減されます。

デメリットとしては、借入金の返済が企業の財務に大きな負担をかける可能性や、返済が滞ることで経営の安定性が損なわれるリスクがある点が挙げられます。また、金融リスクの増加とその管理の難しさも課題となるため、慎重な資金計画とリスク管理が求められます。

MEBOのメリットとデメリット

MEBOとは「Management Employee Buy Out(マネジメント・エンプロイー・バイアウト)」の略語で、経営陣と従業員が共同で自社の株式を買収し、経営権を取得する手法です。

MEBOのメリットは、経営陣と従業員が一体となって企業の経営に関与できるという点と、経営陣と従業員が協力しながら経営に関与するため、組織の結束が強まる点です。また、買収後もスムーズな運営が可能なため、企業の安定性を維持しながら発展を目指せるでしょう。

また、MEBOでは、外部の投資ファンドや金融機関から資金を調達するのが一般的です。ただし、資金調達の難易度は企業の業績や将来性、経済状況などの要因によって大きく異なります。
企業の将来性が高く評価される場合は資金調達が比較的容易になりますが、そうでない場合は難しくなる可能性もあります。

デメリットとして、経営陣と従業員の双方が多額の資金を調達する必要があるため、従業員の資金力によっては実現が困難な場合も少なくありません。また、経営陣と従業員が共同で経営を行うことで、意見の対立が生じる可能性もあります。特に、経営方針や意思決定の方向性に関する考え方が異なる場合、組織の統制が難しくなるケースも考えられるでしょう。 

バイアウトを成功させるポイント

バイアウトを成功させるには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、バイアウトを成功に導くための具体的な方法について解説します。

企業価値を把握する

バイアウトを行う際には、まず企業価値を正確に把握しましょう。企業価値を正しく評価し把握すれば、適切な価格での株式の売却が実現しやすくなります。

企業価値を評価して把握するためには、財務諸表の分析や市場調査を行い、企業の強みや弱みを明確にすることが必要です。また、企業価値の評価は、株式の買い取り価格に直接影響するため、専門のM&Aアドバイザーを活用して適切な価格を算定することがポイントです。

バイアウトを想定した経営戦略を行う

バイアウトを実行する際には、起業当初からバイアウトを視野に入れた経営戦略を立てることが不可欠です。起業時から具体的に、いつ引退するか、事業をどのように成長させるか、買収後の経営方針や組織体制を事前に計画し、逆算して実行することで、スムーズなバイアウトが可能となるでしょう。

バイアウトファンドの活用を検討する

バイアウトファンドとは投資家から集めた資金を用いて企業の経営権を取得し、その企業の価値を向上させた後に、株式を売却することを目的としたファンドです。バイアウトファンドは、再生や成長が見込まれる企業への投資を行います。

バイアウトファンドには、MBOやEBO、企業再生に特化したものがあり、それぞれの状況に応じた選択が大切です。

また、バイアウトファンドは、企業の成長を支援するための資金を提供するだけでなく、派遣された経営の専門家やアドバイザーからアドバイスを受けられます。専門家に相談することで、買収後の経営がスムーズに進みやすくなるでしょう。

M&Aの専門家へ依頼する

バイアウトに関する知識や経験が豊富なM&Aアドバイザーや仲介会社への依頼も視野に入れると良いでしょう。

M&Aの専門家は、買収のプロセスをスムーズに進めるためのアドバイスを提供し、交渉を有利に進めるサポートを行います。また、市場の動向や法的なリスクを把握しているため、バイアウトに伴うリスクを最小限に抑えることにもつながります。

M&Aのアドバイザーを選ぶ際には、実績や専門分野、手数料体系などを比較することが重要です。複数のアドバイザーに相談し、自社のニーズに最も適したパートナーを選びましょう。 

バイアウトの注意点

バイアウトを行う際には、いくつかの注意点があります。

従業員や役員の理解を得る

バイアウトは手法によって企業の所有権の所在や経営方針が大きく変わる可能性があり、従業員や役員の待遇が変化する懸念があります。もし待遇や労働環境が悪化した場合は、従業員や役員に不安や抵抗が生じる可能性があります。こうした懸念を解消し、買収後の経営を円滑に進めるには、バイアウトの目的や今後の経営方針を明確にし、それを従業員や役員に丁寧に説明することが求められます。

経営陣が、従業員や役員の意見や懸念に真摯に向き合い、信頼関係を築くことで組織の結束を強めるでしょう。また、透明性のある情報提供と対話を重ね、不安を解消しながら企業の未来を共有する姿勢が求められます。

株式の保有者を考慮する

バイアウトは売り手側が全ての株式を買い手側に譲渡することが一般的です。しかし一部の株式を現経営者に残すケースもあります。株式の保有比率によって会社経営の権限が変わるため、一定の権利を現経営陣に残したい場合は、買い手と交渉を行いましょう。

持分比率の交渉の際にはどの程度の経営権を維持したいのか、または新たな経営者にどのくらいの権限を与えるのかといった基準を定めることが必要です。また、買い手の意向や要求についても理解を深め、持分比率の交渉にどのように影響するかを考慮しましょう。

買い手企業の要望に注意する

バイアウトを行う際は、買い手企業からの要望や要求が予想されます。特に、経営再建を目的としたバイアウトでは、売上や利益の拡大、売上への貢献度が高い商品やサービスの強化を求められる場合があります。そのため、新たな経営者の要求を予測し、必要な施策を事前に検討すると良いでしょう。

また、買い手企業の要望が既存の取引先や従業員に影響を与える可能性があるため、関係者との十分な話し合いを行い取引先や従業員の不満が生じないよう注意する必要があります。

バイアウトの成功事例

ここではバイアウトの成功事例を取り上げます。成功事例を知ることで、自社のバイアウトに役立てましょう。

ベネッセホールディングスの事例

ベネッセホールディングスは少子化の影響で、通信教育を中心とする教育事業が苦戦していました。投資ファンドの知見を取り入れながら構造改革に取り組むため、欧州の投資ファンドと共同でMBOを実施しました。

MBOを通じて、デジタル技術を活用した教育事業の刷新や、企業の持続的な成長を目指しています。

【出典】株式会社ベネッセホールディングス「ブルーム1株式会社による当社株券等に対する公開買付けの結果並びに親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」

ソフトバンク株式会社の事例

ソフトバンクはボーダフォンの日本法人(ボーダフォン株式会社)を約1兆7,500億円で買収しました。このうち約1.2兆円はLBOを通じて調達された資金でした。

ボーダフォンは当時、巨額の負債を抱えていましたが、ソフトバンクはこの買収を通じて携帯電話市場に進出し、iPhoneの発売や新しい料金プランの導入により市場シェアを拡大しました。このLBOは、ソフトバンクが「三大キャリア」と呼ばれるまでに成長する要因となりました。

【出典】ソフトバンクグループ株式会社「ボーダフォン日本法人買収に係わる資金調達において7金融機関を共同主幹事に決定」

 まとめ|バイアウトの手法やメリット・デメリットを理解し適切な方法を選択しよう

バイアウトは企業の経営権を取得し、新たな成長や経営の安定を目指すための有効な手法です。特に、後継者不足や資金調達の課題を抱える経営者にとって、バイアウトは、事業を存続させながら新たな経営体制へ移行する選択肢となるでしょう。

バイアウトは複雑なプロセスを伴うため、専門家のアドバイスを受けることが成功への近道です。

弊社はM&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーがお客様の真の利益を追求いたします。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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