CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。

お電話でのご相談はこちら(無料)

03-4500-7072

CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。

病院が廃業する理由とは?動向や手続き、廃業を決める前に考えるべき選択肢を解説

清算・廃業・解散 / 廃業

  • 公開日2025.04.28
  • 更新日2025.04.30

病院が廃業する理由とは?動向や手続き、廃業を決める前に考えるべき選択肢を解説

シェアする

病院を続けたい気持ちはあっても、「赤字が続いている」「後継者が見つからない」などの理由で、廃業を検討せざるを得ない状況に悩んでいませんか?多くの開業医が、経営悪化や高齢化、スタッフの退職など複数の課題を抱えながら、将来の決断に迷いを感じています。

本記事では、病院が廃業に至る代表的な理由から、廃業件数の推移、廃業時に必要な手続きなどを解説します。

病院が廃業する理由とは?

病院が廃業に至る背景には、経営上の課題と人的な問題が大きく関係しています。特に深刻なのが、収益悪化による経営難と、院長の高齢化に伴う後継者不足です。

本章では、それぞれの原因について具体的に説明します。

経営難による廃業

病院が廃業に追い込まれる大きな理由の一つが経営難です。なぜなら、近年は診療報酬の減額や患者数の減少などにより、収益が減少しているからです。たとえば、コロナ禍では受診控えが広がり、特に耳鼻科や小児科などで患者数が激減しました。

その一方で人件費やテナント料といった固定費は変わらず発生し続けるため、赤字に転落するケースが増えています。また、過重労働により心身の限界を感じ、開業医を辞めて勤務医へ転職する例もあります。

このように経営環境の悪化が進む中で、事業継続が困難となり廃業を選択する病院が増加しているのです。

院長の高齢化と後継者不足による廃業

院長の高齢化と後継者不在は、病院廃業のもう一つの主要な原因です。なぜなら、多くの病院では経営者である院長が高齢化しており、家族に医師がいない、もしくは継ぐ意思がないケースが多いためです。

たとえば、院長が70代や80代になっても継承の準備ができていない病院では、体調悪化や突然の引退によって廃業を余儀なくされるケースがあります。後継者探しを後回しにしていた結果、適切な時期にバトンを渡せず閉院に至ることも少なくありません。

このように後継者がいないまま高齢化が進むと、廃業という選択肢を取らざるを得ない状況になります。

病院の廃業率や動向

医療機関全体の廃業件数は近年増加しており、深刻な社会問題になりつつあります。なぜなら、経営難や院長の高齢化に加え、人口減少や地域偏在などの社会的要因も影響しているからです。

たとえば、帝国データバンクの調査によると、2023年における医療機関の休廃業・解散件数は709件で過去最多を記録しました。このうち診療所が580件と大半を占めますが、病院も17件が廃業しています。しかも、医療機関の倒産件数が55件だったのに対し、休廃業・解散はその12倍以上にのぼっており、自主的な閉院が中心であることがわかります。

このように、廃業率の上昇は一時的なものではなく、構造的な背景を伴った長期的な傾向であるといえるでしょう。

廃業する病院の特徴

廃業に至る病院には、共通するいくつかの兆候があります。特に多く見られるのが、患者数の減少、スタッフの離職率の高さ、そして経営者が高齢で後継者がいないといったケースです。

本章では、経営が行き詰まりやすい病院に見られる3つの特徴について解説します。

患者数の減少が続いている

患者数の減少が続いている病院は、廃業リスクが高まります。なぜなら、外来患者や入院患者の数が減少すると、病院の主な収入源である診療報酬が減ってしまうからです。

たとえば、コロナ禍では受診控えが広まり、小児科や耳鼻科などの診療科で来院数が大きく減少しました。結果として、採算ラインを維持できず閉院を決断した病院もあります。さらに、人口減少や競合の開業など地域的な要因も重なれば、回復が見込めないまま経営が悪化することも珍しくありません。

このように、患者が継続的に減っている病院は、経営の根幹を失いつつあり、廃業に直結するリスクを抱えています。

スタッフの離職率が高い

スタッフの離職率が高い病院は、組織としての継続性が損なわれています。なぜなら、人材が定着しない状態では業務の安定性が失われ、サービス品質や患者満足度が下がるためです。

たとえば、看護師や医療事務などのスタッフが短期間で次々に退職すると、残された人員の業務負担が増加し、さらなる離職を招く悪循環に陥ります。また、「将来性がない」と感じた職員が転職を決意するケースも多く、院内の雰囲気が不安定になります。

このように、離職が慢性化している病院は組織として機能不全を起こしやすく、結果として事業の継続が難しくなります。

経営者が高齢で後継者がいない

経営者が高齢で後継者がいない場合、病院は廃業を選ばざるを得ない状況になります。なぜなら、院長が引退する際に事業を引き継ぐ人材がいなければ、病院の運営を継続できないためです。

たとえば、子どもが医師であっても専門分野が異なる、他の病院でキャリアを積みたいと考えているなどの理由から継がないケースが多くあります。また、親族に医師がいない場合は、そもそも承継の選択肢が存在しません。

このように、後継者不在のまま経営者が高齢化すると、医療提供を続ける体制を構築できず、廃業の道を選ぶ病院が多く見られます。

病院廃業時に必要な手続き

病院を廃業する際には、法令に則った手続きが必要です。適切な流れで届出や処分を進めないと、後のトラブルにつながる可能性があります。

本章では「行政への廃業届出」「スタッフの退職対応」「医療機器や施設の処分」について解説します。

行政への廃業届出

病院を廃業するには、複数の行政機関への届出が必要です。なぜなら、病院は許認可によって運営されており、閉院後も法的な処理が義務付けられているからです。

たとえば、個人経営であれば保健所に「診療所廃止届」、厚生局に「保険医療機関廃止届」を提出します。また、麻薬施用者であれば都道府県知事への届出も欠かせません。そのほか、社会保険の資格喪失届や税務署への個人事業廃業届など、手続きは多岐にわたります。

いずれも期限が設けられているため、計画的に準備しなければなりません。このように、届出漏れを防ぐには、チェックリストを活用しながら一つずつ着実に対応することが求められます。

スタッフの退職手続き

病院を廃業する際には、スタッフの退職手続きも重要です。なぜなら、従業員との雇用契約が一括終了となるため、法律に基づいた対応が求められるからです。

たとえば、社会保険の資格喪失届や雇用保険の離職票発行など、手続き面だけでも多くの業務が発生します。さらに、退職金の支払いがある場合は、就業規則や契約内容に従って正確に算出しなければなりません。準備が不足していると、資金繰りに影響を与えるリスクがあります。

このように、スタッフへの誠意ある対応は信頼関係の維持にもつながるため、早めの説明と丁寧な手続きが欠かせません。

医療機器や施設の処分

病院を閉じる際には、医療機器や建物の処理も必要になります。なぜなら、設備や医薬品などは適切に処分しないと、法令違反や管理トラブルを招くおそれがあるためです。

たとえば、レントゲン装置や診察台などの大型機器は、専門業者による回収やリセール対応が必要になります。開封済みの薬品や廃棄対象の医療廃棄物も、定められた方法で処理しなければなりません。さらに、カルテやレントゲンフィルムなどの記録類には保存義務があるため、適切な保管方法の検討も求められます。

このように、機器や施設の処分は想像以上に手間がかかるため、信頼できる業者と連携し、計画的に実施することが大切です。

病院の廃業を回避するための選択肢とは?

病院を取り巻く経営環境は年々厳しさを増しており、廃業を検討する医療機関も少なくありません。しかし、すぐに閉院を決断するのではなく、状況に応じた対策を講じることで、事業を継続できる可能性があります。

この章では、病院の廃業を回避するために有効な3つの選択肢「経営改善」「後継者育成」「M&A・事業承継」について解説します。

経営の改善を行う

経営の立て直しによって、廃業を避けられる可能性があります。なぜなら、収益構造や運営体制を見直すことで、赤字からの脱却が現実的になるためです。

たとえば、予約システムやオンライン診療を導入して利便性を高めれば、患者の利用が増加します。また、診療科の統合や病床数の見直しなど、規模を適正化することで経費を抑えながら効率的に運営できます。さらに、広告やSNSを活用した情報発信により集患力を強化することも有効です。

このように、現状を正しく分析し、改善策を段階的に実行すれば、経営再建による病院の継続が見込めます。

後継者の育成を行う

後継者を早期に育てることで、事業の継続が可能になります。なぜなら、事前に承継準備を進めておけば、突然の引退にも対応できる体制を整えられるためです。

たとえば、子どもが医師であれば、計画的に診療に参加させ、経営や地域との関係構築を経験させることが重要です。親族に適任者がいない場合は、勤務医や外部の医師を招き入れて後継者候補とする選択肢もあります。いずれの場合も、引き継ぎには時間がかかるため、早めに意思確認を行い、段階的に引き継ぎを進めることが不可欠です。

このように、後継者の育成を計画的に進めることで、突然の廃業を防ぎ、病院の未来を守ることができます。

M&A・事業承継を検討する

M&Aを活用することで、病院の存続と地域医療の継続が実現できます。なぜなら、第三者へ事業を引き継ぐことで、自らの引退後も病院が存続する仕組みをつくることができるためです。医療機関のM&Aには、いくつかの特徴的な制約があります。

個人開業医の場合は「医療機関の開設権」自体を直接譲渡することができないため、「医療法人化」してから事業承継するか、「開設権」と「事業資産」を分けて承継する方法が取られます。

医療法人の場合は、持分あり医療法人と持分なし医療法人で手法が異なります。近年では、大手医療法人グループによる買収や、地域の基幹病院による診療所の取り込みなど、様々な形態のM&Aが行われています。

譲渡側にとっては、①スタッフの雇用継続、②患者への医療提供の継続、③適正な譲渡価格の実現という3つのメリットが期待できます。病院のM&Aを成功させるためには、医療機関特有の許認可や会計処理、医療法の制約など、一般企業のM&Aとは異なる専門知識が必要となるため、医療業界に精通した専門家のサポートを受けることが重要です。

まとめ|早めに「廃業」以外の選択肢も検討を

病院の廃業は経営難や後継者不在といった複合的な要因によって増加しています。しかし、経営改善や承継対策を早期に講じれば、廃業を回避できる可能性があります。もし廃業を選択する場合でも、適切な手続きと丁寧な対応によって、関係者への影響を最小限に抑えることが可能です。現状を正しく把握し、早めに選択肢を検討しましょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

OTHERS 関連コラム すべてのコラムを見る

SEMINARセミナー すべてのセミナーを見る

“経営者”のためのM&A研究会 ~単独成長・IPO・M&A 選ぶべき道~
  • M&A体験談

“経営者”のためのM&A研究会 ~単独成長・IPO・M&A 選ぶべき道~

2025/06/18(水)14:00〜18:30

オンライン

申し込む
粉飾・簿外債務・追徴課税 のリスクを見抜く!「よくわかるDDのポイント」
  • Tips

粉飾・簿外債務・追徴課税 のリスクを見抜く!「よくわかるDDのポイント」

2025/06/10(火)12:00〜13:00

オンライン

申し込む
「M&Aは乗っ取り…?」中小企業M&Aで”ほぼ毎回聞かれる”10の質問
  • Tips

「M&Aは乗っ取り…?」中小企業M&Aで”ほぼ毎回聞かれる”10の質問

2025/06/03(火)12:00〜13:00

オンライン

申し込む

CONTACTお問い合わせ

秘密厳守いたします。お気軽にご相談ください。最新の業界動向・M&A相場などわかり易くご説明させていただきます。