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会社が廃業すると資産はどうなる?取り扱いや税金への影響、手続きの流れを解説

清算・廃業・解散 / 廃業

  • 公開日2025.09.29

会社が廃業すると資産はどうなる?取り扱いや税金への影響、手続きの流れを解説

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会社を廃業する経営者の方で、「資産をどう処理すればいい?」「費用や税金はどのくらいかかる?」といった不安を抱えていませんか?

この記事では廃業プロセスにおける資産整理と、実務で押さえるべきポイントなどを詳しく解説します。

会社の廃業後について気になる方は、ぜひ最後までご覧ください。

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会社が廃業するときの資産の種類とは?

会社を廃業する際には、保有する資産を適切に分類・整理し、処分や換金、会計処理を進める必要があります。

まず資産は、大きく4つのカテゴリーに分けて管理するのが基本です。

本章では、それぞれの資産の特徴と処理方針について詳しく解説します。

有形固定資産(建物・機械設備など)

建物や機械設備、車両といった有形固定資産は、長期使用される資産で、帳簿価額と実際の市場価値に差が出ることがあります。

廃業時には売却し換価するか、今後使用せず廃棄する場合には除却処理を実施しなければなりません。

売却した際は帳簿価額と売却価額の差額を特別損益として処理し、廃棄時には除却損として処理してください。

税務上は、売却には消費税課税、除却には不課税が適用される点も押さえておく必要があります。

会計処理に不安がある場合は専門家との相談がおすすめです。

無形固定資産(商標権・ソフトウェアなど)

商標権やソフトウェアは無形固定資産として計上されます。

取得価額は資産計上し、登録費用などは定額法により減価償却します。

廃業時には売却で利益回収を狙うか、市場価値がない場合には見切りをつける除却処理が必要です。

除却のためには償還見通しや今後使用しない旨を文書で残しておき、税務調査への備えとすることが望ましいです。

流動資産(現預金・売掛金・在庫など)

流動資産とは、1年以内に現金化できる性質を持つ資産を指し、主に現預金・売掛金・受取手形・在庫(棚卸資産)などが該当します。

廃業時には、これらの資産を速やかに把握し、弁済の原資として確保することが重要です。

現預金についてはそのまま債務支払いに充てられますが、売掛金や受取手形は取引先の信用状況を見極めたうえで、貸倒引当金の計上を含めた対応が必要です。

在庫については、通常の販売ルートで処分が難しい場合、セールや一括買取などで換金を図る方法もあります。

それでも売却が難しければ廃棄処分となり、会計上は除却損を計上します。

流動資産は廃業直後のキャッシュフロー確保に直結するため、現金化の見通しや回収可能性を適切に評価し、仕訳処理や税務処理も慎重に行う必要があります。

投資その他の資産(子会社株式・投資有価証券など)

投資その他の資産とは、有形・無形・流動のいずれにも属さない、長期保有を目的とする資産群を指します。

代表的なものとして、子会社株式や関連会社株式、投資有価証券、長期貸付金、差入保証金などが該当します。

これらの資産は、売買目的ではなく企業戦略や資産保全を目的に保有されているケースが多いため、廃業時には即時換金できない場合も少なくありません。

特に子会社株式などは、市場性が乏しく時価評価が困難なうえ、会社本体の清算に伴い帳簿価額と実際の価値に大きな乖離が生じることがあります。

場合によっては減損処理や簿価切り下げの必要が生じ、税務上も評価損益の処理や別表記載が求められます。

M&Aや事業承継は、まず自社の企業価値を正しく把握することから始まります。

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会社が廃業すると資産はどうなる?

会社を廃業すると、保有する資産は売却による換金、廃棄処分、債権者への弁済、残余財産の確定、株主への分配という順序で処理されます。

本章では、それぞれのステップについて詳しく説明していきます。

資産の売却による換金処理

廃業決定後にはまず、土地や建物、設備、在庫などが市場において売却され、現金化されます。

これは債権者への弁済や、株主に配当可能な残余財産を得るための重要な手段です。

不動産や備品は業者や売却マーケットを通じて価値査定され、帳簿価額との差額は譲渡益や損失として会計処理されます。

清算人はすべての資産を可能な限り換金し、その結果を株主総会に報告します。

廃棄処分による資産の処理

市場価値を失った在庫や故障した設備などは、廃棄処分の措置が必要です。

この場合、廃棄業者に依頼し、除却費用や処分費用を支払います。

会計上は除却損を計上し、帳簿から資産を除去してください。

こうした処理は、資産価値がゼロのものを正式に財務諸表から消し去るために不可欠であり、廃棄証明書などを添えて税務対応も行います。

債権者への弁済

換金した現金は、まず借入金や買掛金、未払金、未払給与など、すべての債務の弁済に充てなければなりません。

債権者には官報公告や個別催告で債権届出を促し、一定期間内に申出のあった債権を整理したうえで支払いを実施します。

債務がすべて返済されない限り、次の残余財産の所在が決められません。

これは会社法に定められた債権者保護手続きです。

残余財産の確定

会社が廃業し、すべての債務の返済が完了した後に残った現金や資産は「残余財産」と呼ばれます。

これは、債権者に対する弁済義務をすべて果たした後に会社に残された純粋な財産であり、最終的に株主へ分配される対象です。

残余財産の内容には、現預金だけでなく、未売却の資産や回収済みの債権、処分見込みのない在庫などが含まれることもあります。

清算人は、債務の弁済がすべて完了した時点で、会社が保有する全資産を集計し、財産目録および貸借対照表を作成します。

そして、これらの書類をもとに株主総会を開き、残余財産の額や内容について承認を得る必要があるのです。

株主への残余財産の分配

会社の債務整理がすべて完了し、残余財産が確定した後は、その財産を株主に分配する手続きに入ります。

分配は、会社法の規定に基づいて実施され、原則として株主の持株比率に応じて平等に行われます。

通常は現金での分配が基本ですが、法律上は不動産や棚卸資産などの現物による分配も可能です。

ただし、現物分配を行う場合は、分配財産の評価や登記、税務処理などが複雑になるため、実務では現金化してから分配するケースが一般的です。

会社廃業時の資本金の税務上の取り扱いは?

会社を廃業する際、株主への残余財産の分配は税務処理の観点から明確な区分が必要です。

特に「資本金の返還」と「利益剰余金の分配(みなし配当)」では課税の有無が異なり、間違えると株主や会社に税務リスクが生じます。

本章では、資本金の取り扱いとその課税関係について解説していきます。

廃業時に資本金の取り扱い

残余財産の分配のうち、設立・増資時に払い込んだ資本金等の額に相当する部分は、株式の譲渡として扱われ、課税対象です。

資本金等の額を超える部分は『みなし配当』として配当所得となり、所得税が課税されます。

例えば、非課税の対象であるため、払い戻された資本金に対して譲渡所得や配当所得を申告する必要はありません。

ただし、払い戻し額が資本金等の額を超える場合、その超過部分は「みなし配当」として配当所得に該当し、所得税の課税対象です。

この取り扱いは、株主にとって初期出資分の取り戻しとして理解され、税務上の公平性が保たれます。

残余財産と資本金の違いは?

残余財産と資本金は異なる概念です。

残余財産とは、債務精算後に会社に残ったすべての財産を指し、事実上清算人によって確定されます。

一方で、資本金は株主が会社設立や増資時に払い込んだ元手です。

残余財産の分配額が、法人税法上の資本金等の額を上回る場合、その超過分は税務上「みなし配当」となり、株主に配当所得として課税されます。

この区分は、会社の払戻し原資を資本部分と利益部分に合理的に分離するために重要であり、税務処理の根拠ともなるのです。

利益剰余金とみなされる部分の処理

残余財産が資本金を超えた分は「みなし配当」として税務上扱われ、株主に配当所得として課税されます。

非上場会社の場合、20.42%の所得税(復興特別所得税込み)が所定により源泉徴収され、株主は確定申告が必要です。

一方、上場会社では15.315%+住民税5%の課税が行われる制度になります。

この源泉徴収は会社側の義務であり、未実施の場合は追徴課税の対象となるうえ、株主に不要な税負担を強いることになりかねません。

みなし配当は、払戻額から資本金相当額を差し引いた金額で計算可能です。

株主は配当控除や源泉徴収税額控除を受けることができます。

残余財産の分配に関する法人税の取り扱い

平成22年の税制改正により、従来の清算所得に対する法人税課税は廃止されました。

現在は、清算中の事業年度についても通常の損益計算に基づく所得課税が適用されます。

たとえ赤字であっても、法人住民税の均等割などは発生するため、解散事業年度および清算事業年度それぞれで確定申告を行う必要があります。

また、残余財産の分配に伴ってみなし配当が生じた場合には、会社が所得税を源泉徴収し、その金額を翌月10日までに税務署へ納付しなければなりません。

これらの手続きを怠ると、追徴課税や加算税などのペナルティが発生する恐れがあるため、清算確定申告書を正確に作成し、税務署と連携しながら適切に処理を進めましょう。

廃業に伴う資産処理の手続きの流れ

会社を廃業する際には、法務・税務・会計の各側面から段階的に資産処理を進める必要があります。

特に、清算人の選任から法人登記の抹消まで、法定の手順を順守しなければなりません。

本章では、廃業に伴う資産処理の一般的な流れを5つのステップに分けて紹介します。

清算人の選任と法人銀行口座の凍結

まずは株主総会または取締役会にて清算人を選任し、登記を行います。

清算人が法人の代表権を引き継ぐため、銀行に届け出て法人名義の口座を清算人名義に変更しなければなりません。

これを怠ると預金の出し入れが停止され、清算事務が滞る恐れがあります。

口座解約は清算完了後、資金がすべて精算された段階で行います。

債権・債務の把握と整理

まず、会社が保有する全ての資産と負債を洗い出し、財産目録および貸借対照表を作成します。

次に、債権者保護手続きとして、官報公告と個別通知により、債権の申し出を一定期間内に行うよう催告しなければなりません。

この手続きにより、債務漏れを防ぐことが可能です。

同時に、売掛金や貸付金などの債権回収を進める一方、借入金・買掛金・未払給与・税金・社会保険料など、全ての債務を優先的に弁済していきます。

資産の売却・換金または廃棄

会社を廃業する際、清算手続きにおいて重要なステップの一つが資産の売却または廃棄による整理です。

債権・債務の把握と並行して、清算人はまず資産目録と貸借対照表を作成し、会社が保有する全資産の内容と評価額を明確にします。

そのうえで、土地や建物などの不動産、機械設備、車両、棚卸資産(在庫)などを市場で売却し、現金化する作業を進めます。

売却によって得られた資金は、債務の弁済資金として優先的に使用されるのです。

売却価格が帳簿価額を上回る場合は譲渡益、下回る場合は譲渡損として会計処理を行います。

一方で、売却が困難な資産や市場価値がない資産については、廃棄処分を選択し、除却損として帳簿から削除します。

残余財産の分配と法人解散登記

債務のすべての弁済が完了すると、会社に残った現金や資産は「残余財産」として株主に分配されます。

分配は原則として株主の持株比率に応じて行われ、現金が基本ですが、不動産などの現物で行うことも可能です。

分配に先立ち、清算人は決算報告書を作成し、株主総会での承認を受ける必要があります。

承認が得られたら、2週間以内に法務局へ清算結了の登記申請を行い、これによって法人格が正式に消滅します。

廃業届・確定申告・税金精算手続き

会社を廃業する際には、税務署への各種申告と届出が必要です。

まず、解散した日から2ヶ月以内に「解散事業年度」の法人税確定申告を行います。

清算が長期にわたる場合は、清算中の事業年度ごとに申告が必要です。

そして、残余財産が確定した後は、1ヶ月以内に「清算確定申告書」を提出し、未納税額があれば精算します。

さらに、清算結了登記が完了した後には、税務署や都道府県・市区町村に対して異動届出書を提出することで、税務面においても正式に廃業手続きを完了できます。

会社廃業時にかかる主な費用

会社を廃業する際には、登記費用や官報公告費、専門家報酬、従業員や役員への支払い、在庫処分費、原状回復費など、複数のコストが発生します。

本章では、それぞれの費用項目について詳しく解説していきます。

登記にかかる費用

廃業するには法務局での複数の登記が必要になります。

解散・清算にかかる登記費用(登録免許税)は、合計で約41,000円(解散登記30,000円+清算人選任登記9,000円+清算結了登記2,000円)です。

ただし、登記の方法(電子申請または書面申請)などによって若干異なる場合があります。

この費用は法的手続きの必須経費として支払いが必要です。

官報公告にかかる費用

会社解散後は官報に公告しなければならず、1行あたり3,500~3,600円の掲載料がかかります。

通常9~11行分を掲載するため、費用の目安は3万2千~4万円程度です。

公告文の長さによって多少の増減がある点に注意しておく必要があります。

専門家への報酬

司法書士、税理士、弁護士などに手続きを依頼する場合には報酬が発生します。

司法書士報酬は解散・清算結了手続きで合計7~10万円、税理士報酬は解散確定申告や清算確定申告で15~30万円程度になるケースが多いです。

内容に応じて費用が異なるので、詳しい費用はそれぞれの専門家へお問い合わせください。

従業員や役員への退職金

従業員や役員を廃業で退職させる際は、就業規則や契約に基づく退職金を支払わなければなりません。

勤続年数や給与によって個別に算出され、その総額は数十万~数百万円になることもあります。

人件費は早めに資金計画に加えておくべき支出です。

在庫や設備などの処分にかかる費用

売却できない在庫や老朽設備は処分費用が必要です。

トラック運搬1台分で数万円、廃棄業者への処理費も同様に発生するため、数十万円~それ以上になるケースもあります。

大量廃棄がある場合、見積取得をするとよいでしょう。

賃貸物件の原状回復にかかる費用

賃貸していたオフィスや店舗を退去する際は、原状回復工事費が必要です。

撤去・補修・清掃などが坪あたり数万円~10万円程度必要で、数百万円規模の出費になる場合もあります。

事前に契約書や見積を確認し、費用負担を把握しておくべきです。

まとめ

会社を廃業するには、資産の整理・債務の精算・税務処理など、多岐にわたる作業を適切な順序で行う必要があります。

本記事で解説した資産の分類や換金、清算手続き、税務上の取り扱いを押さえておけば、スムーズな廃業が可能です。

専門家のサポートも活用しながら、法令に沿った対応で最後まで責任ある経営を行いましょう。

CINC CapitalはM&A仲介協会会員・中小企業庁の登録支援機関です。

業界歴10年以上の専門家が、譲渡や買収の目的に応じて適切な手法をご提案します。

秘密厳守でスムーズな取引を支援します。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

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