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焼肉店業界のM&A動向(2025年)メリット/事例/成功のポイントを解説

業種

  • 公開日2025.04.09
  • 更新日2025.04.10

焼肉店業界のM&A動向(2025年)メリット/事例/成功のポイントを解説

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焼肉店業界では近年、店舗数の増加や消費者の嗜好の多様化にともない、競争が激化しています。原材料費や人件費の高騰が経営に大きな影響を与える中、ブランド力の強化や新たな顧客層の開拓を目指して、業界内でのM&Aが注目されています。

本記事では、焼肉業界のM&A動向を中心に、メリットや成功事例、成功させるためのポイントについて解説します。

焼肉店業界の市場動向

焼肉店には日本の牛肉消費量の増加とともに成長してきた背景があります。自分で肉を焼くという楽しみ方や多彩なメニュー展開が消費者から支持され、飲食業界の中でも重要な市場を形成しています。

近年の焼肉業界は、多くの飲食業と同様に2020年の新型コロナウイルス感染拡大により打撃を受けました。ただ、コロナ禍においても焼肉業界は換気の良さが評価につながり、比較的堅調な業績を維持したとされています。さらに、新たに“一人焼肉”やカップル利用などの市場ニーズが生まれました。

しかし、「帝国データバンク」の調査によると、2023年には倒産件数が22件と前年の約2倍に増加し、2024年には9月時点で39件に達しています。個人経営や小規模店舗の閉鎖も相次ぎ、全体的な店舗数の減少が進んでいると考えられるでしょう。

【出典】:帝国データバンク「「焼肉店」の倒産動向(2024年1-9月)」

焼肉店業界が抱える課題

焼肉業界は、近年の市場環境の変化により多くの課題に直面しています。ここでは、業界が抱える主な課題について解説します。

他店との差別化が急務に

焼肉店業界では、競争の激化が進む中で他店との差別化が重要な課題となっています。単身者やカップルなど多様化する顧客層に対応するため、スタイリッシュな内装や個室にこだわる店舗、独自のメニューを導入する店舗が増加傾向です。

たとえば、「一人焼肉に特化したサービス」や「女性向けのヘルシーメニュー」など、ターゲットを絞った戦略が注目されています。しかし、これらの差別化施策には新たな投資が必要であり、中小規模の店舗にとっては負担となるケースもあるでしょう。

労働力不足と人件費の高騰

日本全体で進行する少子高齢化の影響により、飲食業界全体で労働力不足が深刻化しています。焼肉店も例外ではなく、アルバイトや従業員数の確保が難しくなっており、その結果として人件費の高騰が経営の圧迫要因となっています。

特に小規模店舗では、スタッフの負担が増加し、サービスの質に影響を及ぼす場合も少なくありません。こうした課題を解決するために、業務効率化やテクノロジーの活用が求められます。

原材料費の高騰と価格戦争

牛肉や野菜といった焼肉店の主要食材の価格が上昇している一方で、価格競争が激化しているため、食材費の増加をメニュー価格に反映しづらい状況です。

なかでも大手チェーンと競争する個人経営の焼肉店では、価格転嫁が難しいケースが多く、利益率が圧迫されています。また、サステナブルな食材調達や高品質な食材を使用することで差別化を図る店舗では、コスト負担が経営リスクとなっています。

大手資本の拡大と中小店舗の淘汰

焼肉業界では、大手外食企業の市場占有率が高まっています。M&Aを活用した業界再編が進行し、個人経営や中小店舗の淘汰が進んでいる状況です。

資本力を持つ大手企業が広告や価格競争で優位性を示す中、個人店舗が経営を維持するのはますます難しくなっています。今後もこの傾向が加速することが予測されるでしょう。

焼肉店業界のM&A最新動向(2025年)

焼肉店業界では、競争激化や消費者ニーズの変化を背景に、M&Aが業界全体で加速しています。2025年の最新動向として、以下の3つのポイントが挙げられます。

大手企業による個人店買収が加速

大手外食チェーンが個人経営の焼肉店を積極的に買収する動きが目立っています。その背景には、大手企業が資本力を活かして地域に根付いた個人店を傘下に収めることで、店舗数を効率的に拡大する戦略があります。

特に地方都市では、このような傾向が顕著に見られるのが特徴的です。M&Aによってメニューやサービスの均質化が進む一方、個性ある地元店が減少する懸念も指摘されています。

焼肉店がM&Aをするメリット

焼肉店業界では競争激化や経営課題に対処するため、M&Aが有力な選択肢とされています。ここでは、焼肉店がM&Aをするメリットを解説します。

【売り手側】従業員やノウハウの継承

M&Aスキームによっては既存の従業員や店舗運営のノウハウをそのまま引き継げる可能性があります。これまでに培ってきた食肉の調理技術や仕入れルート、接客スキルなどを次の事業者へ引き継ぎ、自社の従業員やノウハウを承継できるのがメリットです。

【売り手側】ブランド力や顧客基盤の評価

M&Aによって焼肉店のブランド力や固定客の価値が高く評価される可能性があります。買い手企業にとって、新規参入時のマーケティングコストを削減でき安定した収益を確保できる焼肉店は、魅力的な買収対象となります。自社の独自メニューを価値化できるほか、常連客の維持が期待できます。

【売り手・買い手共通】経営資源の活用

焼肉店のM&Aによって、売り手・買い手がそれぞれの強みを活かした経営が可能です。例えば、地域密着型の顧客基盤を持っている企業と連携すれば、ノウハウを活用して新たな市場開拓が期待できます。また、効率的な食材供給ルートを持っている企業との連携により、コスト削減や品質向上が見込めます。

焼肉店がM&Aを成功させるためのポイント

ここでは、焼肉店業界におけるM&Aを成功させるためのポイントを売り手側の目線で解説します。

設備の状態を事前に確認する

焼肉店では、設備の状態が経営の効率や品質に影響します。買い手企業に安心感を与えるためにも、売り手企業はダクト・ロースター・七輪などの主要な設備の状態を事前に確認しておくことが重要です。

例えば、「ダクトは排煙がスムーズで清掃がしやすいか」「ロースターは火の通り方や煙の抑制機能が適切か」といった観点でチェックを行い、必要に応じて修理やメンテナンスを行っておきましょう。買収後のコストや手間を軽減できると、買い手にとって魅力的な物件として評価される可能性が高まります。

仕入先との契約状況を精査する

焼肉店の運営において、仕入先との信頼関係は店舗の安定経営に欠かせません。現状の仕入先との契約状況を精査し、M&Aの前に関係を強化しておくことが重要です。

契約解除のリスクを最小限に抑えるために、仕入先への丁寧な説明を行い、合意を得る必要があります。また、買収後も良好な関係を維持できるよう、誠実な対応を心掛けましょう。

ブランド力や強みを明確にする

焼肉店のM&Aを成功させるには、店舗やブランドの強みを明確にしておくことが重要です。

例えば、「高品質な和牛を使用したメニュー」や「地域での高い知名度」といった特徴を具体的に示すことで、買い手企業に魅力を伝えられます。明確な魅力を提示することで、シナジー効果を期待する買い手企業から高い評価を得られる可能性が高まります。

売却へ向けて自社の強みを整理する際には、焼肉業界に詳しいM&A専門家の支援を受けると良いでしょう。

なお、焼肉業界のデューデリジェンスでは「食品衛生法の許可状況」「消防法の適合性」「店舗賃貸借契約の承継」「食材仕入れ契約の継続性」などのポイントで詳細なチェックが行われます。また、許認可の承継や店舗保証金の引継ぎなどの多数の手続きが必要です。こうした対応へ向けて、専門家に相談するようおすすめします。

焼肉店業界のM&A事例

GFA 株式会社による黒沼畜産株式会社のM&A

2021年8月18日、GFA株式会社(以下、GFA)は、新会社「GFA FOODS株式会社」(本社:東京都港区)を設立し、黒沼畜産株式会社(本社:山形県)から焼肉店「まっしぐら」(東京都練馬区)の事業を譲受することを決定しました。

GFAは、デジタル分野を中心に事業を展開していましたが、新型コロナウイルスの影響を受けた飲食業界の回復を見据え、今回の事業譲受を決定。特に焼肉業態はコロナ禍でも比較的好調であり、上石神井駅前という好立地にある「まっしぐら」のブランド力を活かすことで、早期の事業安定化を目指します。

新会社GFA FOODSは、飲食店経営のほか、フランチャイズ事業やコンサルティング業務も手掛け、2023年3月までに5店舗の拡大を計画しています。本事業譲受は、GFAの新たな事業領域への展開と収益の多角化を狙った戦略的な動きといえるでしょう。

【出典】GFA 株式会社「新会社の設立及び事業譲受に関するお知らせ」

株式会社あみやき亭による株式会社ニュールックのM&A

2023年3月22日、株式会社あみやき亭(本社:愛知県)は、株式会社ニュールック(本社:神奈川県横浜市)の全株式を取得し、子会社化することを決定しました。ニュールックは、横浜市を中心に「野毛ホルモンセンター」などの焼肉・ホルモン・焼鳥業態を直営19店舗、FC9店舗展開する企業です。

あみやき亭は、焼肉チェーン「あみやき亭」や焼鳥業態「元祖やきとり家美濃路」を展開し、関東・中部地方を中心に成長を続けています。これまで横浜市エリアでの出店は少なかったものの、本件買収により、同エリアでの営業基盤を強化する狙いです。また、ニュールックの独自のメニュー開発力を活用し、グループ全体のメニュー戦略にも活かしていく方針です。

今回のM&Aは、地域ごとの強みを活かしたブランド展開を進めるあみやき亭の戦略的な動きの一環といえます。特に、ホルモン専門業態の拡充によって都心型店舗の強化が期待され、さらなる業績向上が見込まれます。

【出典】株式会社あみやき亭「株式会社ニュールックの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

チムニー株式会社によるる株式会社シーズライフのM&A

2023年2月14日、チムニー株式会社(本社:東京都墨田区)は、完全子会社である株式会社シーズライフを吸収合併することを決定しました。合併の効力発生日は2023年4月1日を予定しています。

チムニーは「はなの舞」「さかなや道場」などの居酒屋チェーンを展開してきましたが、2019年に焼肉業態「焼肉牛星」を運営するシーズライフを買収。以降、直営店やフランチャイズ(FC)を通じて焼肉業態を拡大し、2023年1月時点で焼肉業態の店舗数は40店舗に達しました。今回の吸収合併により、商品開発や店舗運営をグループ内で統一し、よりスピーディーな事業展開を実現する狙いがあります。

焼肉業態は、コロナ禍での需要回復が見込まれる業態の一つであり、チムニーはシーズライフのノウハウを活用し、さらなるブランド強化を目指します。居酒屋業態と焼肉業態のハイブリッド店舗など、多様な形態での出店が期待されます。

【出典】チムニー株式会社「連結子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ」

まとめ|焼肉店業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

ここまで、焼肉店業界のM&A動向を解説しました。M&Aを成功させるには、焼肉店特有の課題を理解した上で、買い手企業へ適切に事業の魅力を伝える必要があります。その際は、デューデリジェンスなどの重要なM&Aプロセスで専門家の支援を受けることで、スムーズな取引を実現できます。焼肉店業界の動向を踏まえて、戦略的にM&Aを活用しましょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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