CINC CapitalはCINC(証券コード:4378)のグループ会社です。
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- 公開日2025.04.24
- 更新日2025.04.24
Webサイト売却の動向(2025年)メリットデメリット/成功のポイントを解説
Webサイトの売却は、企業の事業再編や個人の資金確保の手段として年々注目度が高まっています。すでに所有しているウェブサイトを譲渡し、買収側がそれを引き継ぐことで、両者それぞれのビジネス目標を達成できる可能性があります。
日本では2000年代初頭から取引が活発化し、現在ではマッチングプラットフォームや仲介会社を活用すれば数万円規模の小規模サイトから数億円規模の大規模サイトまで、幅広く売買が行われています。買収後の運営方針や収益化の手段は幅広く、市場動向や競合状況によってトレンドが変化するのが特徴です。
本記事では2025年時点までを見据え、Webサイト売却の市場動向やメリット・デメリット、実際の事例、成功のポイントを詳しく解説します。これから売却を検討している方も、買い手側の視点で資産としてのWebサイトを活用したい方も、ぜひ参考にしてください。
目次
Webサイト売却の市場動向
まずはWebサイトの売却や買収に関して、どのような市場動向があるのかを確認していきましょう。
近年、国内のWebサイト売買市場では買い手側の需要が高まり、売り手の数に対して大きなギャップが生じています。特に安定した収益を上げているサイトや、SEOの評価が高いサイトは非常に需要が高く、早期に高価格で売却される事例も増えています。
具体的には、月間PV約30,000、月間収益17,200円の老人ホーム・介護施設の情報サイトが、140万円で売却された事例や、月間PV約9,000、月間収益44,000円のコーヒーマシン特化レビューサイトが、96万円で売却された事例があります。
売却手続きは専門のマッチングプラットフォームや仲介会社を通じて行うケースが一般的になりました。移転手続きがスピーディーになるよう、一部のWebサイト売買プラットフォームでは契約書テンプレートの提供や決済保証機能など、取引の安全性を高めるサービスが導入されています。
ただし、大規模な案件や複雑な条件が絡む取引では、弁護士や専門家による個別のサポートが依然として重要視されています。
2025年に向けては、企業が運営するサイトを切り離す動きも多く見込まれています。特に大企業の場合、事業の集中と選択を進める過程で収益性の低いサイトの売却を検討することが増えており、市場に新たなサイトが投下されやすい状態になる可能性があります。
【出典】ラッコM&A「【ブログ売却の相場】1,050事例の分析データとブログ売買事例14選」
Webサイト業界が抱える課題
Webサイトを運営するにあたって、多くの事業者や個人が直面する課題を整理します。
アクセス数や収益の変動が激しい
Webサイトの運営では、検索エンジンのアルゴリズム変更や広告の単価変動、SNSのトレンドなどによるアクセス数の上下が避けられません。季節要因や流行の影響もあるため、収益予測を立てにくい状況が続く場合もあります。
アクセス数が急激に増減すると、売却時の査定価格や買い手からの評価にも影響を及ぼします。売り手は中長期的なアクセス動向を把握し、買い手に分かりやすく提示することで交渉をスムーズに進めやすくなります。
このような変動を安定させるためには、複数の収益源を持ち、季節やトレンドに左右されにくいコンテンツ戦略を立てることが大切です。
コンテンツの更新頻度が維持できない
Webサイトの価値を高めるには、継続的なコンテンツ制作や更新が必須です。特にニュースサイトや専門性の高い情報サイトなどは、新しい情報を定期的に発信し続ける必要があります。
しかし人手不足や予算の問題、制作リソースへの負担から、十分な頻度で更新ができなくなるケースもよく見られます。更新が滞るとアクセス数の低下につながり、サイト全体の評価にも悪影響を与えてしまいます。
こうした課題への対策としては、外部ライターの活用や定期的な編集会議を導入するなど、コンテンツ更新の仕組みを強化することが挙げられます。
専門的な知識が不足している
SEOをはじめとするWebサイト運営全般のスキルや知識は専門性が高く、常にアップデートが必要とされます。技術的なアプローチや効果測定の方法など、幅広い分野の学習が求められるため、独学だけではカバーしきれない部分が多いです。
特に初心者や個人運営の場合、分析ツールの正確な利用やSNSと連携したプロモーションなどに手が回らず、サイトの収益化に至らないケースも少なくありません。
運営体制を整えたり、外部専門家にコンサルティングを依頼するなどの手段を講じることで、サイト全体の価値を高め売却時にも高い評価を得られる可能性が高まります。
WebサイトのM&A最新動向
2025年に向け、WebサイトのM&A市場でどのような動きが見られるのかを探ります。
国内の市場においては売り手が少なく、買い手が多い傾向
日本のWebサイトM&A市場では、売却を検討しているオーナーが相対的に少なく、買収ニーズが上回る傾向にあります。そのため人気のサイトでは買い手同士の競合が起こり、売却額が上がりやすい環境が整っています。
需要側の特徴として、初心者向け情報サイトや特化型コンテンツサイトなど、特定の分野で安定した読者を持つサイトが特に高く評価されやすいといえます。
個人サイトだけでなく、企業サイトの売却も増加
従来は個人運営のサイト売却が中心でしたが、近年は企業が運営する大規模なニュースメディアやECサイトなども、事業再編の一環として売りに出されるケースが増えています。
企業サイトの場合はトラフィック規模やブランド知名度が大きいため、買い手にとっては短期間でビジネスを拡大できるチャンスとなります。一方で契約手続きが複雑化しやすく、法的なスキームの検討や財務デューデリジェンスがより慎重になる傾向があります。
また、Webサイト売買では著作権や商標権などの知的財産権の移転が重要な論点となります。特にサイト内で使用されている画像や記事などのコンテンツの権利関係を明確にし、第三者の権利を侵害していないことを保証する条項を契約書に盛り込むことが必要です。
個人情報保護法に基づく会員データの取扱いや、既存契約(広告主との契約等)の承継についても事前に整理しておきましょう。
【売り手】Webサイトを売却するメリット
売り手側にとって、Webサイトを売却することにはさまざまな利点があります。
大きな収益を短期間で得られる可能性がある
ある程度収益やアクセスが安定しているWebサイトであれば、その資産価値を一度に現金化できる魅力があります。
取引額に差が出る要因としては、主に直近の収益実績(EBITDA)や将来の収益予測、SEO評価、月間PV数、継続性の見込みなどが挙げられます。特に収益が安定しているサイトは高い評価を受ける傾向があります。
運営コストや手間から解放される
売却後はサイトの更新やサーバー費用などの維持コストを負担する必要がなくなるため、経営者や個人運営者にとっては大きな負担軽減になります。予想外に時間を取られていたカスタマーサポート業務も含めて手離れを良くできます。
運営におけるリスク管理を手放せる点もメリットです。サイトに関する法務上の問題やクレームなどのリスクは買い手に移り、自身は別の事業機会に集中できるようになります。
後継者不足を解消し、サイト運営を持続させることができす
個人で運営していたサイトを継続する場合、モチベーションの維持や後継者の育成が困難なケースもあります。売却によって、新しいオーナーのもとでサイトのサービスやコンテンツが継続・発展する道が開けます。
長年培ってきたノウハウやユーザーベースが次の段階でさらに成長していくことは、売り手にとっても意義のある選択といえます。
【売り手】Webサイトを売却するデメリット
一方で、売り手には下記のようなリスクやデメリットが考えられます。
適切なサイトの評価が難しい
SEOスコアやアクセス状況、収益モデルなど、多岐にわたる要素が売却価格に影響を与えます。運営者自身が過大評価や過小評価をしてしまい、適正な査定価格を把握できないケースが少なくありません。
その結果、交渉が長引いたり、提示価格をめぐって買い手とのすれ違いが生じる可能性があります。複数の専門業者やアドバイザーの意見を参考にしながら、公平な価格帯を模索することが大切です。
売却後に運営方針が変わる可能性がある
Webサイトの売却後は、買収者の戦略や文化に応じて運営方針が大きく変わることがあります。これまで作り上げてきたブランドイメージやコミュニティの方向性が変わることを懸念する売り手も少なくありません。
ただし、契約段階で利用規約やブランドの扱いなどについて買い手と合意しておくことで、運営方針が大きく変わらないように一定の保証を設けることは可能です。
売却交渉や手続きに時間がかかる
買い手選定から価格交渉、契約締結、譲渡までのプロセスは想像以上に手間や時間を要します。大規模サイトや企業間の取引となると、法務や財務の専門家が加わるため、さらに時間を要する傾向があります。
その間は他の事業やプライベートとの両立が難しくなることもあるため、売却を決断する際はスケジュールや作業リソースを十分に考慮する必要があります。
【買い手】Webサイトを買収するメリットデメリット
買い手視点では、Webサイトを買収することで得られるチャンスと注意点がそれぞれ存在します。
買い手にとって既存のWebサイトを買収する最大のメリットは、ゼロからサイトを立ち上げるよりも短期間でトラフィックや収益を得られる点にあります。すでに認知度やSEO評価が高いサイトであれば、事業を速やかに拡大しやすいでしょう。
一方で、買収コストを回収するには十分な収益が継続できるかが重要であり、サイトの価値評価が難しい点や、買収後の運営マネジメントにリスクが伴う点がデメリットとして挙げられます。加えて、サイトのコンテンツやブランドイメージを引き継ぐ義務や責任が生じるため、事前の精査やデューデリジェンスが不可欠です。
Webサイト売却を成功させるためのポイント
売主・買主双方がスムーズに取引を進めるためには、以下のような点を押さえておくことが重要です。
適切な査定を受けて市場価値を把握する
Webサイトの収益化やアクセス規模を客観的に評価するためには、M&A登録支援機関など信頼できる仲介会社に依頼することが重要です。競合他社の事例や業界相場を踏まえた価格帯を知ることで、売り手と買い手の両者が納得感のある取引を行いやすくなります。
また、マッチングプラットフォームに掲載する際には、収益レポートやアクセスログなど客観的な情報を提示して信頼性を高めることが重要です。
Webサイトの売却価格は、一般的に『EBITDA(利息・税金・減価償却費・償却費控除前利益)×マルチプル(倍率)』で算出されるケースが多いです。また、時価純資産に営業権(のれん代)を加算する方式も採用されます。売却を検討される際は、直近2〜3年の収益状況を明確に示せるよう、財務情報を整理しておきましょう。
SEOや収益性を高める準備を事前に行う
売却前にサイトのSEOを強化したり、広告配置や導線設計の見直しを行ったりして収益性を向上させると、買い手にとって魅力的な物件として映りやすくなります。定期更新の仕組みや外部発信の導線を強化しておくと、運営体制の評価も高まる可能性があります。
サイト内の古いコンテンツを整備したり、デザインをリニューアルするなど、買い手がすぐに運営を開始できる状態にしておくことも交渉を有利に進めるポイントとなります。
適切なアドバイザーや専門家を活用する
大きな金額や企業規模が絡む取引では、税務や法的なリスクが生じやすいため、アドバイザーや弁護士、会計士といった専門家のサポートが不可欠です。契約書のチェックや移転手続きの確認をしっかりと行うことで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
SEOやサーバー移転、ドメイン移管など技術的な部分にも精通した専門家がいると、スムーズかつ安心して手続きを進められます。
まとめ|Webサイト売却で新たな一歩を踏み出そう
最後に、Webサイト売却を通じてビジネスやキャリアを前進させるために押さえるべきポイントを整理します。
Webサイト売却は、事業の選択と集中を進めたい企業や新たなキャリアを模索する個人にとっても、多くの選択肢や可能性を生み出します。近年は売買市場の拡大やマッチングサービスの充実によって、信頼性と利便性が向上しています。
一方で、サイト運営はノウハウや資産的価値が積み重なる一方、専門的な知識や継続的な更新体制が欠かせません。売却を検討する際は、サイトの状態を適切に整え、多面的な評価を得られるように準備を行うことが大切です。
2025年に向けての市場動向を踏まえながら、自身のビジネスやライフプランに合わせた戦略を立て、Webサイト売却を通じて次のステップへと進んでみてはいかがでしょうか。
CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者

CINC Capital取締役執行役員社長
阿部 泰士
リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。