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ソフトウェア業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.04.11
  • 更新日2025.04.14

ソフトウェア業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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ソフトウェア業界では今、過去最高の市場規模を背景に、活発なM&A再編が進行しています。人材不足、経営者高齢化、急速な技術革新への対応という課題を抱える中小企業にとって、M&Aは生き残りと成長のための戦略的選択肢となっています。

そこで今回は、ソフトウェア業界における2025年のM&A最新動向やメリット・デメリット、成功のポイントを徹底解説します。

ソフトウェア業界の市場動向 

ソフトウェア業界は近年、着実な成長を遂げており、市場規模は年々拡大傾向にあります。経済産業省が公表する「特定サービス産業動態統計調査」によると、2024年のソフトウェア関連の売上高は約13兆91億円に達しました。これは前年比約4.2%増となり、統計開始以来の過去最高額を更新しています。

受注ソフトウェアの市場規模は約11兆997億円、システムインテグレーション(SI)分野では約7兆3,432億円、ソフトウェアプロダクツは約1兆9,094億円となっています。特にゲームソフトウェア製品は約7,379億円の市場規模を形成しています。

情報サービス産業全体では2024年に約17兆9,969億円に達し、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の推進やクラウドサービスの普及により、今後も成長が続くと予測されています。

【出典】経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」

ソフトウェア業界が抱える課題

ソフトウェア業界は現在、急速な技術革新と市場変化の中で複数の構造的課題に直面しています。これらの課題解決なくして、デジタル社会の健全な成長は望めません。ここでは、ソフトウェア業界が抱える課題について解説します。

深刻化するエンジニア不足と人材確保

ソフトウェア業界は深刻な人材不足に悩まされています。とりわけAI開発などの最先端分野ではエンジニア不足が顕著であり、企業成長を阻害する主要因となっています。

現代は技術の高度化と専門化が進む一方で、教育機関からの人材供給が追いついていない現状があります。また、エンジニアの高齢化も進行しており、若手人材の早急な育成が求められています。

経営者の高齢化

ソフトウェア業界においても、経営者の高齢化による事業承継問題が深刻化しています。中小企業では適切な後継者を見つけることが困難であり、優れた技術力や人材を持つ企業が事業継続の危機に直面しています。

急速な技術革新への対応

ソフトウェア業界では、新しいプログラミング言語やフレームワーク、開発ツールが次々と登場しています。最新スキルを習得し続けることは個人・組織の大きな負担となり、継続的な学習と適応が不可欠です。

技術革新への対応が遅れるとレガシーシステム問題が発生します。古いシステムの保守や更新が難しくなり、セキュリティリスクも高まるのが懸念点です。またクライアントのニーズ複雑化に伴い、カスタマイズの難易度も上昇しています。

ソフトウェア業界のM&A最新動向(2025年)

近年はAI技術の急速な発展やクラウドサービスの普及に伴い、大手IT企業によるM&A異業種企業からのソフトウェア分野への参入が増えています。

大手IT企業によるM&Aの増加

大手IT企業は技術革新のスピードに対応するため、M&Aを積極的に活用しています。具体的には、AI、クラウド、サイバーセキュリティなどの先端技術を保有するM&A案件が増えています。

また、人材不足解消を狙った技術獲得型M&Aも増加傾向にあります。このように、即戦力となる優秀なエンジニアを短期間で確保する手段としてM&Aが注目されているのです。

異業種によるIT企業の買収

異業種企業が製品・サービスのデジタル化や業務の「デジタルトランスフォーメーション(DX)」化を進めるために、ソフトウェア企業を買収する動きが見られます。例えば、国内の製造業が小規模な「SIer(受託開発ソフトウェア業)」を買収した事例があります。これは自社製品にデジタル技術を組み込み、市場での競争力強化を狙った動きです。

ジェネレーティブAIの台頭によるM&A活性化

2024年から2025年にかけて、ChatGPTに代表されるジェネレーティブAI技術の急速な進化により、関連技術を持つスタートアップの買収が活発化しています。大手企業はAI技術の社内実装を実現させるため、特にプロンプトエンジニアリングやAI最適化などの技術を持つ企業を積極的に買収しています。

例えば、Microsoft、Google、Amazonなどの大手テック企業は、AIモデルの開発・最適化技術を持つ企業への投資やM&Aを積極的に行っています。こうした動きはソフトウェア開発の自動化や効率化を叶え、業界構造の変革を促進すると予測されています。中小規模のソフトウェア企業にとっては、特定のAI応用分野で独自技術を持つことが、大手企業からの買収を有利に進めるための差別化要因となるでしょう。

クラウドサービス・SaaS事業者の統合進展

クラウドサービスや「SaaS(Software as a Service)」事業者などの経営統合が増加傾向にあります。その目的は、技術獲得、顧客基盤の拡大、新規市場への参入、サービス拡充などです。中でもデータやAIなどの最先端技術を獲得するために、M&Aに積極的な企業が増えています。

ソフトウェア開発会社がM&A・事業売却をするメリット

事業売却は、市場価値の最大化から後継者問題の解決まで多様なメリットをもたらします。ここでは、ソフトウェア企業がM&Aをするメリットをご紹介します。

従業員の雇用維持

買い手企業が優秀な人材確保を目的といる場合、既存従業員の雇用は継続されます。給与条件・労働時間・年間休日・福利厚生などが改善されるケースも多く、従業員にとっても大きなメリットとなります。

また、大手企業傘下に入ることで労働環境や待遇が改善される可能性があります。買い手が同業の場合、エンジニア同士の交流や勉強会を通じて技術力向上やモチベーション維持が期待できるでしょう。

後継者問題の解決

親族や社内で後継者が見つからない場合、M&Aによる第三者への事業承継は有効な解決策です。会社の存続と従業員の雇用を確保しながら自身の引退を実現できるのは、廃業よりもはるかに大きなメリットがあります。

売却譲渡益が得られる

ソフトウェア企業のM&Aでは、時価純資産やエンジニアの価値単価・人数などをベースに取引金額を算定します。適正な企業価値評価に基づく売却により、まとまった譲渡益を確保できるのは大きいでしょう。

売却で得た資金は新規事業への投資や主力事業の強化、あるいは経営者の引退後の生活資金に活用できます。また、借入金の返済に充てることで、経営者個人の保証や担保を解除し、精神的負担を軽減することができるでしょう。

ソフトウェア開発会社がM&A・事業売却をするデメリット

ここからは、M&A・事業売却のデメリットをご紹介します。問題点を事前に把握し、適切に対処することがM&Aの成功につながるでしょう。

開発方針や企業文化の変更による混乱

買収後には経営方針や企業文化の統合に伴う混乱が生じやすくなります。特に異なる企業文化を持つ組織が統合される場合、文化の衝突が起こりやすく、開発方針にも影響を及ぼします。

著作権や知的財産権の帰属問題

ソフトウェアなどの著作物について著作権譲渡を行う際は、適切な契約書作成が欠かせません。特に「著作権すべてを譲渡する」と契約書に記載しても譲渡されない権利があるため、注意が必要でしょう。

著作権譲渡を行うと、著作権そのものが譲受人へ移転します。そのため、著作者であっても譲渡後は著作物を原則利用できず、使用するには譲受人からの許可が必要です。無断利用すると著作権侵害として訴えられ、差止めや損害賠償などの請求を受ける可能性があるでしょう。

ソフトウェア開発会社がM&Aを成功させるためのポイント

ソフトウェア開発会社の事業売却は、緻密な準備と戦略的なアプローチで成功率が大きく変わります。ここでは、M&Aを成功させるためのポイントをご紹介します。

技術資産・知的財産権の整理と可視化

自社が保有する技術や知的財産の棚卸しを行い、市場価値を明確にします。特許情報を調査・整理・分析し、パテントマップなどを作成すれば、自社技術の市場における位置づけを可視化できるでしょう。

エンジニアの定着施策

エンジニアの定着を促進するには、適切なインセンティブプランの導入が有効です。例えば、業績連動型の報酬体系を取り入れることで個々のモチベーションを高め、M&A後も継続して働く意欲を持たせられます。

ソースコードやドキュメントの整備

ITデューデリジェンスでは、システムの稼働状況や内在するリスク、コストなどが詳細に調査されます。そのため、ソースコードの品質や保守性、ドキュメントの充実度が高いほど、買い手企業にとってのリスクが低減され、企業価値評価に好影響を与えます。

PMIの成功に向けた準備

ソフトウェア業界のM&Aを成功させるためには、PMI(M&A後の統合プロセス)の準備が重要です。急激な変更はシステム障害やエンジニアの離職などの原因となり得るため、段階的に技術統合を進めましょう。

また、売り手側と買い手側のエンジニア文化の違いを尊重し、双方の強みを活かす柔軟なアプローチが求められます。勉強会や共同プロジェクトなど、技術知識やノウハウを共有するための知識移転プログラムを整備し、組織全体で円滑な統合を推進しましょう。

ソフトウェア業界のM&A事例

最後に、ソフトウェア業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社によるシステム・プロダクト株式会社のM&A

2024年2月、デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社(DIT)は、ソフトウェア開発会社であるシステム・プロダクト株式会社の株式80%を取得し、子会社化することを発表しました。

DITは「DIT 2030ビジョン」のもと、事業領域拡大と現場力強化を目指してM&Aを積極展開しており、本件はその一環です。システム・プロダクトは証券業務に強みを持ち、近年はSalesforce関連のクラウドビジネスにも注力してきました。

DITの金融・組込み系システム開発力と、システム・プロダクトのクラウド技術を融合することで、開発力の拡充と成長市場への対応力強化が期待されます。また、同社が抱える後継者問題の解決にもつながるM&Aであり、戦略性と双方の課題解決が合致した好事例といえます。

【出典】デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社「システム・プロダクト株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

株式会社マクアケによる株式会社ジシバリのM&A

2021年1月、クラウドファンディング事業を展開するマクアケは、ソフトウェア開発会社である株式会社ジシバリの全株式を取得し、同年2月に吸収合併を実施しました。

ジシバリはWebサイトやアプリケーションの開発を手がける企業で、同社の持つ技術力やノウハウを取り込むことで、マクアケは自社サービス基盤の強化と業務効率の向上を図ります。

本件は、IT内製化を推進する中での戦略的M&Aであり、システム開発力の確保と経営資源の最適化という両社のニーズが一致した結果といえます。また、完全子会社化後すぐに吸収合併することで、迅速な統合と一体運営を目指す点も特徴的です。

【出典】株式会社マクアケ「株式会社ジシバリの株式の取得(子会社化)及び吸収合併(簡易合併・略式合併)について」

エレコム株式会社によるgroxi株式会社のM&A

2023年5月、エレコム株式会社は岩崎通信機の完全子会社であるgroxi株式会社の全株式を取得し、子会社化することを決定しました。

groxiはネットワークの設計・構築・保守などITインフラ領域を手がけており、今回の買収により、エレコムのネットワーク関連機器とgroxiのサービスを組み合わせたワンストップのソリューション提供が可能となります。

特に中小企業のDX推進において、Wi-Fiを含むオフィスネットワーク工事から運用・保守までを全国対応で展開できる体制が整うことが期待されます。また、岩崎通信機が持つ無線・IP音声技術も取り込むことで、エレコムグループのサービス多様化と競争力強化につながる戦略的M&Aといえます。

【出典】エレコム株式会社「groxi株式会社(岩崎通信機グループ)の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ 岩崎通信機社との協業によるDX化推進ビジネスを強化」

ソフトウェア業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

M&Aは今や「売却」という単なる出口戦略ではなく、企業価値を最大化する成長戦略へと変わりました。変化の激しいソフトウェア業界だからこそ、日頃から企業価値を高める施策を講じながら、戦略的なM&Aを見据えた事業運営が求められます。

CINC Capitalでは、ソフトウェア業界に特化したM&Aアドバイザリーサービスを提供しています。当社の特徴の一つは、業界最低水準の手数料体系です。ソフトウェア企業のM&Aに特化したシンプルな手数料体系で、オーナー経営者の負担を軽減します。

IT・ソフトウェア業界の特性を熟知した、業界経験10年以上のアドバイザーが、技術評価から交渉まで一貫してサポートするのも強みです。また、マーケティングテクノロジーを活用した独自のマッチングシステムにより、最適な買い手候補を効率的に見つけ出します。

ソフトウェア企業のM&A・事業売却をお考えの経営者様は、ぜひCINC Capitalにご相談ください。初回相談は無料で承っております。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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