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金融業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.04.21
  • 更新日2025.04.21

金融業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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金融業界では近年、「低金利環境の長期化」「規制強化によるコスト増加」「フィンテックの台頭」という三重の課題に直面しています。その対応策として、国内の金融機関はM&Aを戦略的に活用しているのです。

今回は、日本の金融業界のM&A最新動向を分析し、メリット・デメリットや成功のポイントを徹底解説します。

金融業界の市場動向

「業界動向サーチ」の調査によると、2021〜2022年における主要192社の経常収益合計は、約66兆円に達したことがわかりました。2025年現在、最新の業界データでは、この傾向がさらに強まっており、特に証券業・損害保険業・リース業は堅調な成長を維持しています。

セグメント別で見ると、証券業・損害保険業・リース業が約6〜16%の成長率を誇り、好調な推移を見せています。反対にクレジットカード業や消費者金融業は、ほぼ横ばいまたは微減となりました。

また、金融業界のM&A市場については、金利上昇や地政学的緊張、景気後退への懸念を背景に縮小しました。今後も資金調達コストや規制環境の変化から、厳しい状況が続くとされています。

ただし、回復の兆しも見られ、とりわけ政府系ファンドやプライベート・エクイティ、ベンチャー・キャピタル、一部の大企業が持つ豊富な待機資金が金融業界のM&A市場を底支えすると考えられます。

【出典】業界動向サーチ「金融業界の動向や現状、ランキングなどを研究」

金融業界が抱える課題

金融業界は現在、低金利環境の長期化や規制強化によるコスト増加、フィンテックの台頭による競争激化が課題となっています。それぞれ具体的にご説明します。

低金利環境の長期化

顧客から見た銀行預金の魅力低下や金利の下落により、金融機関の収益性が著しく低下しています。この状況下で、多くの金融機関は新たな収益源を確保するためにM&Aを積極的に活用しています。

中小規模の金融機関は、限られた経営資源の中で十分な資金調達が難しい状態にあります。この課題に対応するため、「規模の経済」を追求した合併や、新たなビジネス領域への進出を目的とした買収が増えています。

規制強化とコンプライアンスコスト増大

金融業界では規制強化の流れが続いており、コンプライアンス対応のためのコスト増大が大きな課題となっています。具体的には、国際規制「バーゼル3」の枠組みに沿った自己資本の上積み要求などがあり、金融機関の経営に影響を与えています。

規制対応のためのシステム投資やコンプライアンス人材の確保は、中小金融機関にとって大きな負担です。この負担を分散させるため、規模の拡大や経営資源の共有を目的としたM&Aが増えています。

金融業界のM&A最新動向(2025年)

ここでは、2025年における金融業界のM&A最新動向をご紹介します。M&Aが活発化している背景を掘り下げてみましょう。

地方銀行を中心とした業界再編の加速

地方銀行業界では「1県1行」への圧力が強まり、再編の動きが加速しています。特に2025年に入ってから、地域に複数の銀行が存在する地域での統合が進んでいます。

例えば、「八十二銀行」と「長野銀行」の経営統合は、地方銀行再編の象徴的な事例です。2023年6月、「八十二銀行」が株式交換により「長野銀行」を完全子会社化し、2025年6月を目途に合併する計画が進行しています。これによって、長野県内の金融基盤が強化され、地域経済と中小企業支援の体制が整うと期待されています。

【出典】株式会社八十二銀行「株式会社長野銀行との経営統合について」

業界の枠を超えたクロスボーダーM&A

近年はクロスボーダーM&Aが活発化しており、日本企業による海外進出や異業種からの金融業界参入が増加しています。中でも海外市場に活路を求める日本企業が増加しており、クロスボーダーM&Aで市場開拓にかかる時間とコストを削減している状況です。実際、2024年夏以降から大型の国際取引が増加し、その傾向は2025年も継続すると予測されています。

フィンテック企業の買収

近年、銀行などの既存金融機関はフィンテック企業の買収を通じて技術革新に対応しようとしています。フィンテックとは「金融(Finance)」と「技術(Technology)」を組み合わせた造語で、金融サービスとIT技術を融合させた新しいサービスを提供する分野です。金融業と非金融業との境界があいまいになる、新たな業界再編の動きが見られます。

金融業界の企業がM&Aで売却するメリット

事業承継・株式譲渡・事業売却などのM&Aは、金融業界の企業に多くの利点をもたらします。ここでは、M&Aのメリットを売り手企業目線でお伝えします。

規制対応・システム投資の負担軽減

金融業界では規制の厳格化が進み、それに対応するためのコンプライアンス体制の整備やシステム投資が大きな負担となっています。特に中小規模の金融機関では、限られた経営資源の中でこれらに対応するのが困難な状況です。

M&Aによって大手金融機関の傘下に入ることで、規制対応のノウハウやシステム基盤を共有でき、単独での投資負担が軽くなります。また、親会社の資金力を活用できれば、必要な投資を効率的に行いつつ、本来の事業活動に経営資源を集中させられるでしょう。

規模拡大による競争力強化

金融業界では「規模の経済」が働きやすく、資産規模が大きくなることで資金調達コストの低減や業務効率の向上が期待できます。結果、自社の市場競争力の強化につながるでしょう。こうしたM&Aを介した事業規模拡大は、中小の金融機関にとっては重要な生存戦略といえます。

デジタル化の効率化

金融業界ではデジタル化の波が急速に押し寄せており、「フィンテック」への対応が競争力維持の鍵となっています。しかし、先端システムやAIなどの導入には、多額の投資と専門知識が必要であり、単独での対応が難しい金融機関も少なくありません。M&Aによって技術力のある企業と統合できれば、自社のデジタル化を効率的に進められるでしょう。

金融業界の企業がM&Aで売却するデメリット

金融業界の企業がM&Aを行う際、売り手側にはさまざまな課題や懸念点が生じます。ここでは、売却後に直面する可能性のあるデメリットを解説します。

ライセンスや許認可の承継リスク

金融業界のM&Aでは、事業運営に必要なライセンスや許認可、顧客との契約関係の承継が大きな課題となります。M&A後、これらの権利や契約関係をスムーズに移行させるのは簡単ではありません。

例えば、顧客との契約に「チェンジオブコントロール条項」が含まれている場合、M&A後に契約が解除される可能性があります。事前に取引先の理解を得ることが大切です。

企業文化や営業スタイルの相違による摩擦

M&A後の統合プロセスにおいて、企業文化や営業スタイルの違いによる摩擦は大きな課題です。リスク管理の方針や顧客対応は企業によって異なるため、その違いによる衝突が生じやすいとされています。

金融業界の企業がM&Aで売却を成功させるためのポイント

M&Aでは自社の価値を最大限に引き出し、適切な準備と交渉を行うことが大切です。ここでは、M&Aを成功させるためのポイントをご紹介します。

監督官庁の認可プロセスへの対応

金融業界のM&Aでは、金融庁などの監督官庁による事前認可が必要となるケースが多く見られます。手続きは時間と専門知識を要する点に留意しましょう。例えば、銀行の場合は銀行法に基づく認可、証券会社であれば金融商品取引法に基づく認可が必要です。

M&Aを円滑に進めるためには、早い段階から監督官庁との協議を開始し、必要書類の準備と提出スケジュールを適切に管理することが重要です。特に主要株主の変更を伴うM&Aでは厳格な審査が行われるため、買い手企業の適格性を事前に評価しておく必要があります。

また、業態によって異なる規制や監督体制があるため、クロスセクター(例:銀行と証券会社の統合)のM&Aでは、複数の規制枠組みに対応する必要があります。これらの複雑な規制対応を適切に管理するために、金融規制に精通した専門家のサポートを受けることが成功のポイントとなります。

顧客資産と取引関係の可視化

金融業界のM&Aでは、顧客資産や取引関係が重要視されます。これらを適切に可視化し、買い手企業に対して明確に示すことが売却成功の鍵です。また、リテール営業であれば顧客獲得率や手数料収益の前年比実績、新規と既存顧客の割合などの具体的な数値データを提示しましょう。いずれも将来の収益性を評価するために欠かせない、重要な指標です。

法令遵守・リスク管理体制の整備

業界特有の法令遵守・リスク管理の整備状況は、買い手企業が重視するポイントです。場合によっては、社内にコンプライアンス管理に特化した部署を設けましょう。適切な管理体制を整備しておけば、買い手企業との交渉時に有利になります。

金融業界のM&A事例

最後に、金融業界のM&A事例をご紹介します。自社のM&A検討時の参考にしてみましょう。

株式会社岩手銀行によるいわぎん事業創造キャピタル株式会社のM&A

2025年3月、株式会社岩手銀行は、ベンチャーキャピタル子会社である「いわぎん事業創造キャピタル株式会社」の全株式を取得し、同社を完全子会社化することを決定しました。

これにより、従来40%だった出資比率を100%へ引き上げ、グループ経営の一体化をさらに強化します。同社は2015年設立以降、岩手県内のベンチャー企業支援や産業振興を目的に活動しており、地域課題の解決や雇用創出に貢献してきました。

今回の完全子会社化により、岩手銀行グループの経営資源との連携を深め、ベンチャー支援機能を強化することで、地域の持続的発展と企業価値の向上を目指します。地方銀行の地域創生戦略の一環として注目される動きです。

【出典】株式会社岩手銀行「『いわぎん事業創造キャピタル株式会社』の完全子会社化について」

荘内銀行及び北都銀行の合併

2024年1月、フィデアホールディングス株式会社は、完全子会社である荘内銀行(山形県)と北都銀行(秋田県)の合併方針を発表しました。

2009年の経営統合以降、両行は持株会社を通じて本部機能の統合や営業体制の一本化を進めてきましたが、人口減少やマーケット縮小といった構造的課題を背景に、地域密着型の金融機関としての持続的成長を見据えた更なる統合が求められていました。

今回の合併は2026年度中の実施を目指しており、経営資源の最適活用による経営効率の向上や地域金融サービスの強化、脱炭素・DX・観光振興などを通じた地域経済への貢献が期待されています。県境を越える広域地方銀行として、新たなビジネスモデルの確立を目指す再編です。

【出典】フィデアホールディングス株式会社「当社の完全子会社である荘内銀行及び北都銀行の再編について」

株式会社大和証券グループ本社と株式会社あおぞら銀行の資本業務提携

2024年5月、株式会社大和証券グループ本社と株式会社あおぞら銀行は資本業務提携を締結し、大和証券があおぞら銀行の発行株式の約15.4%を取得する第三者割当増資に応じることを発表しました。

本提携により、ウェルスマネジメントや不動産ファイナンス、M&A、成長企業支援といった領域での協業を進め、双方の強みを融合した新たな金融サービスの提供を目指します。

大和証券は資産管理型ビジネスモデル、あおぞら銀行は投資銀行型業務に強みを持ち、それぞれの顧客基盤や専門性を活かすことで、中長期的な企業価値向上が期待されます。証券・銀行の垣根を超えた協業モデルとして、今後の展開が注目される資本提携事例です。

【出典】株式会社大和証券グループ本社「株式会社大和証券グループ本社と株式会社あおぞら銀行の資本業務提携に関するお知らせ」

まとめ|金融業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

金融業界のM&Aには規制対応負担の軽減や競争力強化、デジタル化の効率化というメリットがある一方、ライセンス承継リスクや企業文化の摩擦などのデメリットも存在します。成功のためには、顧客資産・取引関係の可視化とリスク管理体制の整備が不可欠です。

特に金融業界のM&Aでは、監督官庁による認可プロセスや業態特有の規制に精通した専門家のサポートが重要な成功要因となります。

弊社CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、金融業界のM&Aを専門的にサポートしています。当社の3つの強みは以下の通りです。

  1. 業界最低水準の手数料体系
    金融業界の事業特性を理解した合理的な料金設定で、オーナー様の負担を最小限に抑えています。特に中小規模の金融機関の実情に配慮した料金プランをご用意しています。
  2. 経験豊富な専門アドバイザー

    業界歴10年以上または金融業界に精通したアドバイザーのみがお客様をサポート。金融規制や監督官庁対応、顧客資産の評価など、業界特有の課題に対する深い知見を提供します。

  3. マーケティングテクノロジーの活用

    独自のマッチングシステムにより、金融業界に特化した買い手候補を効率的に見つけ出し、成約率を高めています。守秘性の高い金融業界のM&Aにおいても、適切な情報管理のもとで最適なマッチングを実現します。

      金融業界の変革期を乗り切るための戦略的選択として、M&Aをご検討の経営者様は、ぜひCINC Capitalにご相談ください。お客様の真の利益を追求し、金融業務の継続性と価値最大化を両立するM&Aをサポートいたします。

      この記事の監修者

      阿部 泰士

      CINC Capital取締役執行役員社長

      阿部 泰士

      リクルートHRマーケティング、外資系製薬メーカーのバクスターを経て、M&A業界へ転身。 日本M&AセンターにてM&Aアドバイザーとして経験を積み、ABNアドバイザーズ(あおぞら銀行100%子会社)では執行役員営業本部長として営業組織を牽引。2024年10月より上場会社CINCの100%子会社設立後、現職に就任。

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