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電気工事業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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  • 公開日2025.03.12
  • 更新日2025.03.12

電気工事業界のM&A動向(2025年)メリットデメリット/事例/成功のポイントを解説

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日本の電気工事業界は、人材不足・後継者問題・資材価格の高騰などが目下の課題とされます。これらの解決策として、M&Aが注目を集めている状況です。

本記事では、電気工事業界のM&A最新動向や、メリット・デメリット、成功事例、さらには成功に導くためのポイントを徹底解説します。M&Aを検討している経営者の方は、ぜひ参考にしてください。

電気工事業界の市場動向

国土交通省の「建設工事施工統計調査報告 令和4年度実績」の資料によると、2022年度における電気通信工事業の完成工事高は11兆5,166億3,600万円です。このうち元請完成工事高は5兆8,042億8,000万円、下請完成工事高は5兆7,123億5,700万円となっています。

電気工事業界の市場は長期的な減少傾向を示していたものの、近年は東日本大震災の復興需要や電力小売の自由化などを背景に、回復基調に転じています。新型コロナウイルス感染拡大の影響から一時的に停滞が見られたものの、東京オリンピック関連の建設需要が市場を下支えしました。

今後は、再生可能エネルギー関連の設備投資増加やDXの進展にともなう通信インフラの整備需要が、新たな成長の原動力となると期待されています。また、将来的なインフラ維持更新や首都圏の再開発、リニア中央新幹線関連の工事など、大型プロジェクトによる需要が見込まれている状況です。

【出典】国土交通省「建設工事施工統計調査報告 令和4年度実績」

電気工事業界が抱える課題

電気工事業界は、人材不足や資材価格の高騰、従業員の高齢化など、複数の重要な課題に直面しています。ここでは、日本の電気工事業界が抱えるさまざまな経営課題についてご紹介します。

人材不足による後継者問題

電気工事業界における後継者問題は深刻化しています。特に中小企業では、親族による事業承継が困難なケースが増加し、継続の危機に直面するケースが後を絶ちません。経営者の高齢化が進む中、後継者がなかなか決まらない企業が多く、多数の事業の存続が危ぶまれている状態です。

資材高騰による資金難

電気工事業界では資材価格の高騰という新たな課題に直面しています。特筆すべきは、銅価格の上昇です。資材高騰が電線・ケーブルの価格に大きな影響を与え、工事原価の上昇を招いています。さらには円安の進行や電力料金の上昇も重なり、資材価格はますます高騰する傾向にあります。

従業員の高齢化

電気工事業界では現役の技術者の高齢化が進行しており、多くの企業が人材不足に陥ると懸念されています。特に「電気主任技術者」の資格保有者の高齢化が問題視されており、今後数十年にわたる業界全体の課題となっています。

DXの推進

電気工事業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進は、人手不足や業務効率化の解決策として注目されています。しかし、現場作業の特性上、デジタル化への移行には限界があり、ITやロボットによる代替が難しい業務も多く存在します。そのため、BIM/CIMなどの3Dデータ活用や、現場管理のデジタル化などが不可欠です。

電気工事業界のM&A最新動向(2025年)

電気工事業界の主要企業における受注高は増加傾向にあり、近年は業界全体が成長基調にあります。ここでは、電気工事業界における最新のM&A動向について解説します。

事業再編を見据えたM&Aが増えている傾向

再生可能エネルギー関連の需要増加にともない、太陽光発電や風力発電などのプロジェクトに関連する電気工事の需要が急増し、これらの分野への参入を目指す企業のM&Aが活発化しています。また、大手企業による地域の中小電気工事会社の買収も増加しており、市場シェアの拡大と地域密着型のサービス提供体制の構築を目指す動きが見られます。

内製化を狙ったM&Aの増加

業界全体でDXが進むにつれて、システム開発やデジタル技術の内製化を目的としたM&Aが増加しています。スマートグリッドやエネルギー管理システムの導入需要の高まりに対応するため、IT企業やシステム開発企業の買収を通じて、技術力の迅速な確保を目指す動きが見られます。

人手不足解消のためのM&Aの増加

有資格者の確保が難しい昨今、電気工事業界ではM&Aを通じた人材確保に乗り出す企業が増えています。また、若手電気工事士の不足による後継者問題も深刻化しており、事業承継型M&Aを検討する企業が多くなっている状況です。

電気工事業界がM&Aをするメリット

人材不足や後継者問題の解決、新規事業領域への参入など、M&Aには多くのメリットがあります。ここでは、売り手側の具体的なメリットについてご紹介します。

コア事業の拡大

買い手企業から新たな技術やノウハウを得ることで、事業領域を広げることができます。たとえば、太陽光発電の設備工事やインターネット回線の設備工事など、既存の電気工事に関連する分野へ展開しやすくなるでしょう。

事業の多角化

電気工事業界は景気の変動を受けやすい特徴があります。そのため、M&Aを通じて事業を多角化することは、売り手側にとって優先的に検討すべき経営戦略です。電気通信工事やエネルギー関連事業など、異なる分野に進出することで、景気変動のリスクを分散できるでしょう。

工事受注の安定化

売り手企業が大手企業の傘下に入ることで、安定的な工事受注が見込めるようになります。元請企業との関係が強化され、継続的な案件獲得も期待できるでしょう。

後継者の確保

創業者が築き上げた事業をM&Aで承継することにより、後継者不在による廃業を防ぎ、事業を存続できます。長年培ってきた技術やノウハウを確実に次世代へ引き継げるのは大きなメリットだといえるでしょう。

電気工事業界がM&Aをするデメリット

電気工事業界のM&Aは、注意点を踏まえて慎重に検討しましょう。ここでは、電気工事業界の企業がM&Aをするデメリットをご紹介します。

経営統合に失敗する恐れ

企業文化や経営方針の違いにより、M&A後の経営統合がスムーズに進まない可能性があります。特に、各社が長年培ってきた技術や品質管理の方法が異なる場合は、経営統合の難易度が高くなります。また、統合後の運営体制が十分に整っていないと、優秀な技術者が離職したり、取引先との関係が悪化したりするリスクもあります。

想定よりも低価格での売却

電気工事の受注は時期によって大きく変動しやすいため、M&Aを実施する時期によっては、会社の収益力が低く見積もられるおそれがあります。その結果、経営者が期待していた価格を下回る金額での売却を余儀なくされることがあります。

電気工事業界がM&Aを成功させるためのポイント

昨今はデジタルトランスフォーメーションや再生可能エネルギーの需要拡大を背景に、M&Aで技術力の強化、市場シェア拡大を目指す動きが見られます。ここでは、電気工事業界がM&Aを成功させるためのポイントをご紹介します。

スキルやノウハウを持った人材がいるか

電気工事業界では、有資格者の存在が企業価値を高めます。中でも施工や監督業務を担う有資格者は、業界全体で不足しているのが実情です。人材育成には長期的な時間と投資が必要となるため、即戦力となる技術者の存在は、買い手企業にとって魅力的に映るでしょう。

工事種別採算管理や顧客別採算管理を正しく行っているか

企業価値を適切に評価するためには、工事ごとの採算管理や顧客別の収益性分析が不可欠です。リニューアル工事や環境関連工事など、今後成長が期待される分野での収益性を明確に示すことができれば、より高い評価につながります。

売電実績がある

再生可能エネルギー事業の中でも、太陽光発電における売電実績は、安定的な収益源として高く評価されます。固定価格買取制度(FIT)による安定的な収益は、ストックビジネスとしての特性を持ち、企業価値を高められる可能性があります。

気候による影響が事業計画と乖離していない

太陽光発電事業では、気象条件が発電量に直接影響を与えます。そのため、計画値と実績値の乖離が小さいことが、企業価値評価において重要です。気候変動リスクへの対応策を具体的に示すことで、信頼性の高い事業として評価されやすくなります。

電気工事業界のM&A事例

北陸電気工事株式会社による株式会社日建のM&A

北陸電気工事株式会社は、2023年11月30日の取締役会において、株式会社日建の全株式を取得し、子会社化することを決議しました。契約締結後、2023年12月5日に株式譲渡が実行される予定です。

北陸電気工事は、北陸地方を中心に電気設備工事や管工事を手掛ける企業であり、一方の日建は神奈川県を拠点に空調・給排水管工事などを展開する設備工事会社です。今回のM&Aにより、北陸電気工事は関東市場での事業拡大を図り、中期経営計画「アクションプラン2024」の達成を目指します。

日建は近年、業績が低迷しており、2023年3月期には営業損失を計上していました。北陸電気工事との統合により、経営基盤の強化や首都圏での営業力向上が期待されます。設備工事業界では、地域に根差した企業が広域展開を進める動きが増えており、本件もその一環といえるでしょう。

【出典】北陸電気工事株式会社「株式取得(子会社化)に向けた株式譲渡契約締結のお知らせ

JESCOホールディングス株式会社による阿久澤電機株式会社のM&A

JESCOホールディングス株式会社は、2022年9月14日の取締役会において、阿久澤電機株式会社の全株式を取得し、完全子会社化することを決議しました。契約締結および株式譲渡は、同年9月28日に実行される予定です。

JESCOホールディングスは、国内およびアセアン地域において、電気・無線通信工事を手掛けるEPC企業として事業を展開しています。一方、阿久澤電機は1919年創業の老舗企業で、群馬県高崎市を拠点に電気工事・電気通信工事を行い、官公庁や上場企業との取引実績を有しています。また、高崎市からの直接受託事業として、防犯カメラの賃貸事業にも強みを持っています。

JESCOホールディングスは、2018年に群馬県前橋市の菅谷電気工事(現JESCO SUGAYA)を完全子会社化しており、今回の阿久澤電機の買収により、群馬県全域および近隣県での営業基盤をさらに強化する狙いがあります。また、資格保有者の人材交流によるシナジー効果も期待されています。設備工事業界では、広域展開を図る動きが進んでおり、本件もその一環といえるでしょう。

【出典】JESCOホールディングス株式会社「阿久澤電機株式会社の株式の取得(完全子会社化)に関するお知らせ

燦キャピタルマネージメント株式会社による株式会社高山エンジニアリングのM&A

燦キャピタルマネージメント株式会社は、2023年6月16日の取締役会において、株式会社高山エンジニアリングの株式51%を取得し、子会社化することを決議しました。株式譲渡は同年6月30日に実行される予定です。

高山エンジニアリングは、2022年に設立された比較的新しい企業で、再生可能エネルギー関連の発電所設備工事やコンサルティング業務を手掛けています。同社は特定建設業許可を保有しており、燦キャピタルマネージメントにとっては、クリーンエネルギー分野での事業拡大と、建設業許可取得にかかるコストや期間の短縮が期待できる点が魅力となりました。

今回のM&Aでは、燦キャピタルマネージメントが取締役3名を派遣し、同社取締役会長の前田健司氏が高山エンジニアリングの代表取締役に就任する予定です。クリーンエネルギー業界では、発電設備の開発・施工を一体的に行う体制の強化が求められており、本件もその流れの一環といえるでしょう。

【出典】燦キャピタルマネージメント株式会社「当社による事業会社の株式の一部取得(子会社化)に関するお知らせ

まとめ|電気工事業界のM&A動向を押さえてM&Aを成功させましょう

M&Aにはさまざまな経営課題の解決につながるメリットがあります。一方で、電気工事業界では経営統合の難しさや企業価値評価の問題など、慎重に検討すべきポイントも存在します。M&Aによる会社譲渡・株式譲渡・事業譲渡を検討する際は、これらの情報を十分に考慮し、電気工事業界に詳しいM&A仲介会社などの専門家と相談しながら戦略的に取り組むと良いでしょう。

CINC Capitalは、M&A仲介協会会員および中小企業庁のM&A登録支援機関として、M&Aのご相談を受け付けております。業界歴10年以上のプロアドバイザーが、お客様の真の利益を追求します。M&Aの相談をご希望の方はお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長

阿部 泰士

CINC Capital取締役執行役員社長。リクルート関連会社や外資系製薬会社、国内最大手M&A仲介会社で営業組織を牽引。 特にM&A実績の多い業界は調剤・IT・運送業。

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